「ただ、それだけで」

ただ、知らないというだけで
どれだけ安らぐことが出来るだろう
望むらくは
知らずに居たかった
そこにはただ
お前の影

ただ、風が吹くというだけで
どれだけ心苦しめられるのだろう
風に吹かれてゆく
目の前の
美しい亡霊に
惑わされて

まるでわかりはしない
どうしたら良いのかなど
とどまることを得ないのなら
忘れるしかないというのに
もはや時の流れは
手におえない激流と化し
その中に全てを
押し流そうとする

ただ、知ってしまったというだけで
ただ、風が吹くというだけで

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