「遠い音色」

愛する望みさえ
消してしまった夜に
ただ低く響く
遠い海鳴り
耳に残して
忘れ去ればすべて
許されると信じ
そこを発ったあの日

歌から遠く離れ
都会の四角い部屋で
いつも耳に響く
遠いサイレン
耳を慣らして
目を閉じればすべて
消えてしまうと祈り
冷えたベッドで眠る

顧みもせずに
夢も押し殺して
いつの日を待てば
背負ったこの荷を
降ろせるだろうか
そしてそのとき私は
また目覚めるのだろか
ここを発つその日

持ち望んだ刻は
訪れれてくれるだろうか
今耳をふさぎ
遠く思える
心臓の鼓動
あの日聞こえた
遠い海鳴り
ただ遠くかなたから
繰り返すだけの
遠い音色
遠い音色

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