「鬱病」

オーストリッチのブーツはかなり昔に捨てちまった
お前を乗せて走ったバイクも今はもうない
長い時間がたった
人間丸くもなるさ
わかっているさ
惰性の日々に飼い馴らされた
自分への言い訳だということくらい

若いころのような自信はもう持っていない
夢さえ描かなければ埋もれている日々は楽だ
たまに酒を飲んではじけるのが精一杯
それ以上の気力はこんな日々に要らない

「ある日通勤電車の中でいきなり涙がこぼれた。
悲しいことなんか何一つ思ってはいないのに」

おかしいと思うが、ちょっとした故障だ
どうせ自殺だってやり遂げたためしがない
少しゆっくり休んでナマケモノをしてみる
食うに困る前に働き始めればいい

薬漬けの日々でも何とか暮らしていける
他人からの期待はすでに無いし
自分が期待しなければうまくやれる
成人病みたいに一生付き合えばいい
薬さえ飲めば何とか暮らしていける

目次へ