「雪幻」

ふり つづける
ふり つづける
白い沈黙がいつまでも
目を閉じても
まぶたの裏に
白いゆきがふりつづく
音のない 白さの中で
僕のつげた さようならは
思いがけぬ 大きな音に
二人には 聞こえていただろう

傘を持たぬ 僕は雪に濡れ
言葉持たぬ 君は涙に濡れ
後に残る者は 悲しいから
二人はいつまでも立ちつくす
あの ときから
すべて雪に埋めてしまおう
涙でとける雪よりも
もっと深く埋めてしまおう

立ちつくす 二人の姿は
音のない 雪幻

ふり つづける
ふり つづける
ゆき まぼろし
ふり つづける

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