「ゆれている」

これといった話題もないのだけれどね君
少し側にいてはくれないか、そう、君の息の音が聞こえるくらい
言葉を使って君をデッサンしようか
それとも流れる音のベールで僕らを包もうか
冬のせいで風が少しずつ冷たくなっていくから
愛が必要なんだと、まるで詩人のように語りかけながら
ゆれているのは、そう、君ではなく僕なのだから

君、側にいて僕を見つめてくれないか
今はまだ何が本当かわからないから
何かを確かめるより前に
君がそこにいて、僕を見つめているという事実を与えてほしい
何よりも、そう、僕の想いが君に届くように

不思議な感覚が、ある
優しい言葉はいらないから、君
優しい時間さえあればいいから、君
二人で風を聞こう
どんな愛の歌よりも素敵な

君の背に廻した手が、心なしか震えている
ゆれているのは、そう、君ではなく僕なのだと

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