「残冬」

ひとかけらの寒さと
忘れかけていた時代のことと
おそらくは大きすぎる幻と
そんなものを気にも留めず
定時に襲いかかる夜
車のヘッドライトも
夜を殺すことはできず
ただ深ければ深いほど
朝への憧れを燃え立たせて

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