公明党前区議、わいろを要求ー初公判

湯河原保養所汚職ー区幹部も深く関与

区民保養所「湯河原あだち荘」の業務委託業者をめぐるあっせん収賄罪などで起訴された前公明党区議忍足(おしたり)和雄被告らの初公判が7月8日、東京地裁(栗原正史裁判長)で開かれました。

冒頭陳述によると、「勇駒」役員の川島章男被告が公明党議員に口利きを依頼するきっかけとなったのは、西口喜代志公明党元区議の言葉でした。

 勇駒に来店した西口元区議に「保養所の情報を教えてほしい」と依頼。西口元区議は「勇駒ならできるんじゃないか。やってみたらどうか」と後押ししました。

 西口氏は2003年区議選に出なかったものの同期の忍足被告に「勇駒」が受託業者として選定されるよう便宜を図ることを依頼、忍足被告もこれを承諾しました。同年3月22日には「勇駒」で忍足被告、西口区議、川島被告が会食。川島被告が「お願いします」と要請すると、忍足被告は「わかりました」と了解しました。

 区議選後、副議長に就任した忍足被告に対し、川島被告は副議長室を訪れ「その節はよろしくお願いします。もし勇駒がとれたら、それ相応のお礼をさせていただきます」と請託。これを受けた忍足被告は、あだち荘の業者選定を担当している地域振興部長に〃取引〃をもちかけます。

 同部は住民サービス低下につながる北千住区民事務所・北千住サービスセンターの統廃合を計画していましたが、当時、公明党は反対を表明。忍足被告は同部長に対し、「もう反対しない。振興部の案が通るようにおれが党内をまとめてやる。その代わりに、あだち荘の運営委託は、勇駒にとらせてやってくれ」とセンターなどの統廃合と勇駒への委託を取引材料にしました。

 地域振興部長は、忍足被告の意を受け、勇駒を受託業者とするためには、指名競争入札ではなく、行政裁量の大きい公募制を採用することを決定、選定手続きに必要な書類を正式な配布前に勇駒に手渡し、適正価格を知らせました。

選考基準を勝手に変更して「勇駒」を選定

 さらに業者提案書を提案させた後、地元業者への加点を30点にする基準で評価すると「勇駒」1位とならなかったため、加点を50点とする基準に変更し、第一次審査でトップとしました。 この裁判では、まだ責任が問われていませんが、地方公務員法に違反したことは明白です。

 勇駒が受注に成功したあとの2003年の11月下旬か12月中旬ころ、忍足被告は、報酬として300万円のわいろを打診。翌年の五月以降も「少なくても二回にわたり支払いを求め」、計300円を受け取りました。

 忍足被告はこのわいろを飲食費や旅行に使っていました。

 公判で忍足被告は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認め、贈賄の罪に問われた川島被告も認めました。

 検察側は本人尋問で「『わが党は清潔さに非常に厳しい』というが、あなたはわいろをせっついて要求している」「センターなどの統廃合と勇駒の受注を交換条件にするとは職権乱用のさいたるものだ」と批判しました。

 「区立湯河原区民保養所の契約事務等に関する調査特別委員会」は7月25日午後1時半から開かれる予定です。

 

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