富士見ミステリー文庫


はじめに、その7

はじめに、その6

はじめに、その5

はじめに、その4

はじめに、その3

はじめに、その2

はじめに、その1

レビュー

深沢美潮 "菜子の冒険" 「猫は知っていたのかも。」

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「レクイエムは君の-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「バラードは闇の-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「ララバイは永遠の-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「ラブソングは雪の-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ SINGLES" GOOD NIGHT DARKNESS
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「エトワールは彼方の-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ SINGLES" SOMEDAY
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「アンコールは誓いの-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「ラプソディーは絆の-」
南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「アンプラグドは幻の-」
南房秀久 "天国?へのトビラ" 「ANGEL」
南房秀久 "オールルームズロックアウト" 「ANGEL2」

舞阪洸 "御手洗学園高等部実践ミステリー倶楽部"「亜是流城館の殺人」
舞阪洸 "御手洗学園高等部実践ミステリー倶楽部"「彫刻の家の殺人」

イタバシマサヒロ "小林少年の生活と冒険"「月が射す夏」
イタバシマサヒロ「七不思議学園の風来坊」

高山浩 "Heaven's Game" 「ゲームデザイナーは眠れない」

夏緑 "理央の科学捜査ファイル"「静寂の森の殺人」
夏緑 "理央の科学捜査ファイル2"「赤い部屋の殺意」
夏緑 "理央の科学捜査ファイル3"「そして私が消えていく」

あざの耕平 「Dクラッカーズ」 "接触 -touch"
あざの耕平 「Dクラッカーズ2」 "敵手 -pursuer-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ3」 "祭典 -ceremony-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ4」 "決意 -resolution-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ・ショート」 "欠片 -Piece-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ5」 "乱 -rondo-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ6」 "追憶 -refrain-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ・ショート2」 "過日 -roots-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ7-1」 "王国 -the limited world-"
あざの耕平 「Dクラッカーズ7-2」 "王国 -a boy & a girl-"

田村純一 "天知未来がいる街1"「愉快な奇術師」
田村純一 "天知未来がいる街2"「沈黙の隠者」
田村純一 "天知未来がいる街3"「愚者 - ザ・フール」

じょうもん弥生 "コスプレ探偵花梨"「助けて!ワトソン君」
じょうもん弥生 "コスプレ探偵花梨"「負けるな!ワトソン君」

藤咲淳一 "Blood The Last Vampire"「闇を誘う血」

水城正太郎 "東京タブロイド" 「新都疾る少年記者」
水城正太郎 "東京タブロイド2" 「白夜に響く黒猫の歌」
水城正太郎 "東京タブロイド3" 「紅い星より来る使者」
水城正太郎 "東京タブロイド4" 「黄泉近き神を継ぐ里」
水城正太郎 "東京タブロイド5" 「天空抱く賢者の楽園」
水城正太郎 "東京タブロイド コレクション" 「新都揺るがす猟奇な男?」
水城正太郎 "東京タブロイド6" 「陽炎ゆらめく夏の王国」
水城正太郎 "東京タブロイド コレクション" 「白夜に猟奇の花束を?」
水城正太郎 "東京タブロイド7" 「碧海仰ぐ記述の砦」
水城正太郎 "東京タブロイド8" 「秘境に消えた少年記者」
水城正太郎 "東京タブロイド コレクション" 「紅い猟奇な星の使者」
水城正太郎 "東京タブロイド9" 「風雲告げる新都の未来」
水城正太郎 "世界の記憶" 「LOST MOMENT」
水城正太郎 "時の後継者" 「LOST MOMENT II」
水城正太郎 「ハーフダラーを探して」

谷原秋桜子 "激アルバイター・美波の事件簿"「天使が開けた密室」
谷原秋桜子 "激アルバイター・美波の事件簿2"「龍の館の秘密」

秋口ぎぐる "ショットガン刑事" 「炸裂!リボルバー娘。」
秋口ぎぐる "ショットガン刑事" 「強奪!エプロン刑事。」
秋口ぎぐる "ショットガン刑事" 「刑事暗殺。」

雑破業 "なばかり少年探偵団" 「さくらの季節」
雑破業 "なばかり少年探偵団" 「雨のちカゼ」
雑破業 "なばかり少年探偵団" 「消えた短冊」

立花薫 "極東ジパング探偵録"「ようこそ大旋風ガール!」
立花薫 "極東ジパング探偵録"「絶対絶命大旋風ガール!」

新井輝 "DEAR" 「少女がくれた木曜日」
新井輝 "DEAR2" 「あの娘を信じる金曜日」
新井輝 "DEAR3" 「二人で見つめる土曜日」
新井輝 "DEAR4" 「貴方にいえない日曜日」
新井輝 "DEAR Diary1" 「寝起きの悪い定休日」
新井輝 "おとなりさんはアーティスティック!?" 「ROOM NO. 1301」
新井輝 "同居人は×××ホリック?" 「ROOM NO. 1301 #2」
新井輝 "同居人はロマンティック?" 「ROOM NO. 1301 #3」

新城カズマ "浪漫探偵・朱月宵三朗" 「屍天使学院は水没せり」
新城カズマ "浪漫探偵・朱月宵三朗2" 「無謬邸は暁に消ゆ」

マツノダイスケ "エンジェル・ダスト"「天使が降ってきた夏」

吉田縁 "月光少女 アンティック・ナナ" 「満月の長い夜」

吉村夜「マンイーター」

秋田禎信 「閉鎖のシステム」

伊吹秀明「黄金の血脈」

柘植めぐみ "ミステリアス・キャッツ1" 「にゃあ!にゃあ!にゃあ!」
柘植めぐみ "ミステリアス・キャッツ2" 「みゃお!みゃお!みゃお!」

紙谷龍生 "超探偵ハヤブサ" 「隼は舞い降りた」

村瀬継弥 "着流し探偵事件帖" 「青空の下の密室」
村瀬継弥 "着流し探偵事件帖" 「白いブランコの鎮魂曲」

吉村夜「真・女神転生」
吉村夜「真・女神転生II」
吉村夜「真・女神転生if...」
実弥島巧「真・女神転生 NINE」
吉村夜「真・女神転生 III」- NOCTURNE
あざの耕平・甲斐透・吉村夜・五代ゆう "真・女神転生 III- NOCTURNE" 「アンソロジー」

大迫純一 "デストラクターXIII 1" 「黒き魔像の契約者」
大迫純一 "デストラクターXIII 2" 「白き流聖の追撃者」

ゆうきりん "聖ウィンチェスター学園の魔女たち" 「銀の逢魔ヶ刻探偵団」

金巻兼一 "硝子ノ音色1" 「蒼い波紋のラプソディ」

六道慧 "風水探偵タケル" 「陰陽のかごめ歌」
六道慧 "風水探偵タケル" 「水魔の都」
六道慧 "風水探偵タケル" 「四三の外法」

冴木忍 「夢幻万華鏡」
冴木忍 「夢幻万華鏡2」"うつろふ花蔭"

霞流一 "フォート探偵団ファイル" 「牙王城の殺劇」

深見真 "ブロークン・フィスト"「戦う少女と残酷な少年」
深見真 "ブロークン・フィスト2"「傷だらけの遠い明日」
深見真 "ブロークン・フィスト3"「風に躍る宿命の調べ」
深見真 "探偵王女フジコ"「ペイガン・ゴッドの白狼」
深見真 "探偵王女フジコ2"「バトル・オブ・銃器城」
深見真 「パズルアウト」

早見祐司 "Mr. サイレント"「仮想世界の優しい奇跡」
早見祐司 "Mr. サイレント2"「自立世界の愛しい未来」
早見祐司 "Mr. サイレント3"「夢現世界の熱い予感」
早見祐司 "Mr. サイレント4"「心像世界の幸せな景色」
早見祐司 "Mr. サイレント5"「愛情世界の聖なる希望」

三田誠 「アンダーヘヴン -Ryo-」"翼の境界線"

太田忠司 「レンテンローズ」
太田忠司 "レンテンローズ" 「笑う月」
太田忠司 "レンテンローズ" 「囁く百合」

日昌晶 "レブリガン・ド・レコール" 「今宵、すべての悪党たちに」

桜庭一樹 "B-EDGE AGE" 「獅子たちはアリスの庭で」
桜庭一樹 "B-EDGE AGE" 「獅子たちはノアの方舟で」
桜庭一樹 「GOSICK」
桜庭一樹 「GOSICK II」 "その罪は名もなき"
桜庭一樹 「GOSICK III」 "青い薔薇の下で"
桜庭一樹 「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」

西奥隆起 "ちけっと・2・らいど" 「カシオペアは北天に輝く」

雅孝司 "注文の多いパズル" 「夏の雪に説けたパスワード」

伊藤響太郎 "フォルクローロの記憶" 「あの空に届いた約束」

真坂たま "今夜だけ退魔少女" 「あたしの中の王子様」

年見悟 "カフェ <白銀館>物語 一" 「危険な魅惑のアロマ」

葉山透 "ルーク&レイリア" 「金の瞳の女神」
葉山透 "ルーク&レイリア2" 「アルテナの少女」
葉山透 "ルーク&レイリア3" 「ネフィムの魔海」

樹川さとみ 「ブラインド・エスケープ」

時海結以 「業多姫」 - 壱之帖
時海結以 「業多姫」 - 弐之帖
時海結以 「業多姫」 - 参之帖
時海結以 「業多姫」 - 四之帖
時海結以 「業多姫」 - いろどりつづり
時海結以 「業多姫」 - 伍之帖
時海結以 「業多姫」 - 六之帖

師走トオル "逆転のトリックスター" 「タクティカル・ジャッジメント」
師走トオル "きまぐれなサスペクト!" 「タクティカル・ジャッジメント」
師走トオル "いやがらせのリベンジ" 「タクティカル・ジャッジメント」
師走トオル "ろくでなしのリアクション" 「タクティカル・ジャッジメント」
師走トオル "紅の超新星、降臨!" 「タクティカル・ジャッジメントSS」
師走トオル "湯けむりのデスティニー!邂逅編" 「タクティカル・ジャッジメント」
師走トオル 「がらくたのフロンティア」
師走トオル 「がらくたのフロンティア2」

上田志岐 「ぐるぐる渦巻きの名探偵」
上田志岐 「ぐるぐる渦巻きの名探偵2」 "逆しまの塔とメイ探偵"
上田志岐 「ぐるぐる渦巻きの名探偵3」 "カレイドスコープ・エスケープ"
上田志岐 「イレギュラーパラダイス」 "赤い童話のワールドエンド"
上田志岐 「イレギュラーパラダイス2」 "青い王女のエスケープホリデー"

結城貴夜 「ホーム・チェリー・ホーム」

枯野瑛 「魔法使いに大切なこと1」 "夏と空と少女の思い出"
枯野瑛 「魔法使いに大切なこと2」 "真冬の夢の静寂に"
枯野瑛 「魔法使いに大切なこと3」 "夢色に染まる秋天の下で"

一条理希  "ブルー・ムーンにくちづけを"「怪盗紳士は夜、微少う」
一条理希  "ブルー・ムーンにくちづけを"「休日王子は夢に舞う」

上遠野耕平  "The Eccentric Dead In White Sickroom"「しずるさんと偏屈な死者たち」

甲斐透(影崎由那原作) 「かりん増血記1」
甲斐透(影崎由那原作) 「かりん増血記2」
甲斐透(影崎由那原作) 「かりん増血記3」

野梨原花南 「マルタ・サギーは探偵ですか」
野梨原花南 「マルタ・サギーは探偵ですか」"a collection ofs.

田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ」
田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ」 其貳
田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ」 其参

岡村流生 「黒と白のデュエット」
岡村流生 「黒と白のデュエット」 Op. 2
岡村流生 「ハイスクールミッション」 "トキメキのチャンスは一度だけ"

名島ちはや 「仮面は夜に踊る」

壱乗寺かるた 「さようならトロイメライ」
壱乗寺かるた 「さようならトロイメライ2」 "かんむり座の約束"
壱乗寺かるた 「さようならトロイメライ3」 "幻想リプレイ"

加門七海 「呪いの血脈」

中島望 「人形はひとりぼっち」
大倉らいた "リリカルレストラン" 「あした天使の翼をかりて.....」

イセカタワキカツ 「式神宅配便の二宮少年」

ヤマグチノボル 「描きかけのラブレター」

小林めぐみ 「食卓にビールを」
小林めぐみ 「食卓にビールを2」

川上亮 「僕らAI」



はじめに、その7

さて、富士見ミステリー文庫、昨年の12月から、新装開店となりまして、で、その後、それまでに発刊されていた作品も、随時、新しいデザインで版を重ねることとなったようですが、が、が、うーん、どっちかっていうと私の趣味な作品、初期の比較的メジャーな人たちの作品が、ことごとく絶版になってしまったようですね。1作品だけで終わったのとか、2作品で終わったのとか。うーん、ちょっと悲しいですね。もちろん、ここの感想文につきましては、絶版になろうがなんであろうが、けずったりすることはありませんから、あとは古本屋ででも探して読んでいただくことになろうかと。

結局のところ、ミステリー文庫とはいえ、ミステリーではなくて、なんか、多少の超常現象付きの学園ラブコメ的なものが主流になりつつあり、そういう意味では、基本的にファンタジーになってしまった、ファンタジア文庫を補完するものになってしまったんですね。だから、まあ、ファンタジア文庫と合わせて、電撃文庫みたいな位置づけになりましょうか。私はそれはそれでよいと思いますが、うーん、ちょっとなー。 (2004年6月28日)


はじめに、その6

さて、2004年5月の新刊は、どうもあまり気が乗らなかったのです。どの作品も最近の富士見ミステリー文庫デビューなみなさんのがほとんどで、しかも、一作目がどれも、なんだかなー、というような作品の二作目がほとんどでした。多少なりとも期待できたのは、「がらくたのフロンティア2」くらいで、ほかは、もうこりゃあかん、と思っていたのですが、それが、どうして、一作目よりもはるかに良くなっている作品ばっかり。内容、ストーリー、発想どれをとっても、特別なものは無いんですけれど、ただ、小説としての出来が良い、という感じがしたんですね。きっと、富士見ミステリーの担当編集者のひとたちがしごいたんでしょうねぇ。もちろん、発想やストーリーなどがもう一歩くれば、かなりいけそうなので、そうなると、富士見ミステリー文庫デビューでない、もっと経験つんだ作家さんに近いところまできそうな感じもします。その意味で、今回は進歩を感じさせた作品ばかりでした。だから、発売からなんとか一週間で感想まで書く気になったのでした。 (2004年5月16日)


はじめに、その5

やっぱり、今回のイメージ刷新作戦、なんだかなーっていうか。まだ初期の作家さんたちので、完結していないのがたくさんあるのに、そういうのがどんどんなくなっていく、、っていう悲しさがありますね。じょうもんやよいさんのとか、いろいろ読みたい作品はまだまだあるのに、で、結局、ミステリー文庫で新人デビューなみなさんの作品が増えてきたけど、そういうみなさんの、なかには結構いいのもあるけど、やっぱりなんだかなーというのも多い。刷新のときに、もういちど原点にもどって、初期の作家さんに新作を、っていうわけにいかないんですかね。デザインもなんだかファンタジア文庫にそっくりで、見分けがつかない。なんだかなー(2004年1月4日)。


はじめに、その4

さて、「はじめに」も四つめです。それにしても富士見ミステリー文庫もう、120冊におよぶものになったんですね。すごいすごい。当初は、どうやら、あたらしい文庫シリーズってことで、有名作家さんが登場していましたが、最近は、ミステリー文庫からの新人さんもかなり出てくるようになって、十分に回り始めた感じがします。が、しかし、続編よみたいぞ!と思う作品の続編があまり出ていません。たとえば、最初の最初である、深沢氏の「菜子」は是非二作目を読みたいし、また、じょうもん氏の「コスプレ探偵」も三作目以降絶対読みたいし、舞阪氏の「御手洗学園」もまだまだ読みたいし、イタバシ氏のもシリーズじゃあなくていいから、三作目がほしい。秋口、雑破両氏は、ちょくちょくぽろぽろ出てますので、まあ、今後も、年に一度くらいは出るんじゃあないかと思いますが。で、あとは、新城氏のもあと二冊くらいは読みたい。吉田氏の「アンティック」ももう二作くらい読みたい。柘植氏の作品もなんだかまだ中途半端です。ゆうき氏のも、一冊ではあんまりです。これはかなり名作ものなので。というわけで、初期作家さんの作品もどんどん出て欲しい!というのが、最初っから読んでいる私のせつなる望みなのでした。


はじめに、その3

「はじめに」というのも、もう三回目。前に書いたのは、だいぶ前で、最後にちーこがどうのっていうから、一年近くたつだろうか? さて、富士見ミステリー文庫も、すでに100冊近くなり、かつ作家さんも50人近くに及んで、かなり大きな文庫シリーズになってきたと思うし、また、深見真、葉山透といった、この文庫で作家デビューの人たちも増えてきて、とくに、今月(2003年1月)は、そういう富士見ミステリーでデビューな人たちばかりの作品だったこともあって、なんとなく、一つの区切りがついたようにも思うんですね。

まあ、富士見ミステリー、どこがミステリー?っていうような作品も多く、富士見ファンタジア文庫との切り分けも非常に難しいところではありまして、なんつうか、逆に、本格ミステリーな系統、たとえば、谷山秋桜子作品などがどっちかっていうと浮いているような感じすらしなくない。

そういう意味では、ばりばりファンタジーな作家さんである深沢美潮が、一応、超常現象もない、たぶんにマンガチックではあるけれど、まともなミステリー(っていうと、怒る人もいるかもしれないけど、一応、超常現象のない作品っていう意味で)を書いているあたりがなかなか。

私自身、本格ミステリーってなんぞ?なんていうこともあって、最近では、このシリーズ以外に、たとえば、富士見スニーカー文庫のミステリー倶楽部も全部読んでいたりするんだけど、まあ、あっちも、こっちとあまり変わらない現象があって、まあ、もうすこし、ホラー入ったのとか、いろいろありますけど、うーん、まあ、ミステリー文庫に、乙一作品はこないだろうな。

はさておいて、しかし、いろいろなミステリーが、これがミステリーか?っていう作品も含めて、たくさん登場したことは事実であります。で、たしかに、ファンタジア文庫にあっても十分いけているんじゃあないの?っていう作品も多い中で、でも、このミステリー文庫があるから、っていう作品も多いと思うし。

ところで、ハリポタの4巻、炎のゴブレットも読みましたが、ハリポタといえば、ファンタジーとだれもが思うだろうし、実際に、指輪物語なんかが映画でぶつけてくるところを見ると、まあ、十分にファンタジーなんでしょうが、実は、ハリポタ、もし日本で文庫化するなら、富士見ミステリーがもっともいいんじゃあないか、って思うくらいの作品ですね。理由は、

1)現代が舞台
2)基本的には学園モノである
3)事件の謎解きの要素が必ず入っている
4)ラスボスらしい敵の黒幕がいる
5)主人公たちは、世間一般からは隠れた種族である
6)ちょっとだけラブロマンスに発展しそう
7)エマ・ワトソンがかわいい(これは映画版の話だけど)

えっと最後はおいといて、つまり、富士見ミステリー文庫のかなりが、主人公が中学生ないし高校生というのが「マスト」であるってことと、そうなると彼らが集う場所としての、中学校、高校、ないしは、両方まざった学園が舞台であるから、学園モノになっていて、でもって、ミステリー文庫といいつつ、魔法やら超常現象がいっぱい。つまり、そうなると、基本的にはハリポタなのです。でー、じゃあこういうのは、世界的にどうなのか、って思うけど、アメリカだと、ロズウェルあたりがそれに近いのかな。学園もので、宇宙人で、まあアメリカにはさして魔法っていう伝統がないから、SF的になるのかな。イギリスには、名作映画「小さな恋のメロディ」にもあるように、いたずら好きな少年と、ちょっとかわいいけどな女の子が登場する学園モノはたくさんあって、それが魔法に結びつくと、っていうのはあるようで。

そういう意味で、時代がめぐってくれば、富士見ミステリー文庫の中の作家さんが、ハリポタ風作品を書く可能性はあって、いやすでに書いていて、でもまだ世界ヒットはない、ってことなのかもしれませんが、ハリポタが受けている現状を考えれば、富士見ミステリーみたいなものは、案外これからの主流文学なのではないか、とまあ、思うわけです。がんばれ富士見ミステリー。


はじめに、その2

とまあ、書いたのは、もうだいぶ前になるのかな。

21世紀最初の夏休み、旅行にでも行って、またあっちこっち写真でもと思っていたのが、結局のところ、パソコンが壊れたのと、風邪ひいたので、家でごろごろしつつ、本読んだり寝たりというようなことをしていたので、最近買ったばかりの富士見ミステリー文庫をなんども読み返したりっていうようなこともしていたわけです。

第一印象としておもしれーっていうのもあれば、最初はまあまあでも、二度三度読みたくなるっていうのもあるし、それぞれいろいろ個性的ではあります。

富士見ミステリー文庫は、基本的には中学生高校生向けを原則として、それくらいの年頃の大人とも子供ともつかない人達が主人公になることが、原則となっているものなんで、そこにミステリーと来ると、定型的に弾き出されるのは、中学生や高校生が、被害者あるいは加害者になる殺人事件で、それを中学生あるいは高校生が推理して解きあかす、というようなパターンじゃないかと思う。で、それに「いくらなんでも、中高生だけが事件をといちゃうのはなんだからー」っていう理由で、大学生とか本職の警察関係者とかそういう人達もでばって来るようなものになるんじゃないかって。

で、そのあたりの王道をいっているのが、たぶん、夏緑の「理央の科学捜査ファイル」シリーズの二つ。まあ、このシリーズ、まだまだたくさん出てきそうで、どうせ、理央ちゃんは、慢性腎不全だかになやまされつつも、高校生くらいまでは生き延びて頑張ると思いますけど。このシリーズでは、事件そのものは、大人の世界の大人の理由によるもので、被害者は中高生だったりもする。理央は事件に巻き込まれ、そして、それを解くのは、彼女ではなくて冬樹ってことになっている。まあ、王道ですね。伊吹の「黄金の血脈」もその王道といってよいもので、ここでも、事件は大人の理由で大人が行なうもの。被害者は中高生も含まれるという図式。谷原の「激アルバイター」もその口。できは最悪だけど、立花の「極東ジパング」もその口でしょうか。時代背景はさておいて、水城の「東京タブロイド」もそうかも。しょーもないけど、南房の「ハードデイズナイツ」もそうかもしれない。

一方、王道のもう一つで、恐い方向は、中高生が加害者という系統。じょうもんの「コスプレ探偵花梨」シリーズは、その意味ではかなりきちんとやっている。しかも、探偵もまた中学生ともしかしたら小学生(たぶん、中学生だと思うが)のコンビ。この手の作品だと、中高生が加害者になるんだから、それに応じた理由っていうのをキチンと考えないといけないわけで、その意味で、このシリーズでは、最初の「助けてワトソン君」ではイジメ、「負けるなワトソン君」では複雑な家庭事情を背負った少女が、レイプされたことから起こる連続殺人というという形式。まあ、十分な動機づけもされているし、なかなかきっちりと描いていると思う。

一方で富士見とつくからには富士見ファンタジーとの関連もあって、で、ファンタジー系っていうのももちろんある。超科学的な方向で、もちろん、これにも超能力ものやら霊の方向とか、いろいろあるんだけど、こうなると、超能力を使って、あるいは魔法をつかって事件が解決できちゃうんだから、逆にいえば、魔法や超能力の範囲の設定のしかたをうまいことしないと、ミステリーが成り立たない。魔道探偵Xみたいなのが出てきて、どんな事件もたちどころにしっかり解決しちゃう、じゃあ面白くないし、魔道殺人者Xが出てきて、絶対に無理な密室殺人をイトも簡単に魔法で殺しちゃうっていうのもつまらない。実際のところ、ファンタジー系ミステリーっていうのはあるわけで、ドタバタファンタジーである「スレイヤーズすぺしゃる」の短篇の中のいくつかにもミステリーものはあるし(最近じゃあ「エイプリルの事件簿」とか)、また、上遠野が「殺竜事件」や「紫骸城事件」で扱っているのもこの口なんだけど、上遠野も結構苦労しているようには思う。

今回、富士見ミステリーを全部眺めると、超能力やら霊の世界やら魔法の絡むものはかなりあって、あるいは、超自然もあるけれど、超能力、あるいは魔法と事件との関係をもっともそれらしく、うまいこと扱っているのは、田村の「天知未来がいる街」シリーズではないか。この作品はうっすらとしていて、それほど強い魔術が登場するわけではないが、事件の中心にこの「アルカナ」の魔法があり、それが、いわば現代の中高生たちの置かれた状況と対になって、陰惨な殺人事件が起こるというパターン。話の展開も自然であり、うまくできていると思う。あと、幻覚なのか超科学なのか、そのあたりを絶妙にあつかっているあざのの「Dクラッカーズ」も面白い。少年たちの犯罪組織と幻覚剤カプセルとの絡みなどもなかなかなんだけど、ただ、ちょっと現実性に対する説得力が弱いのと、「ブギーポップ」ほどのぶっとびがないのが残念。

究極的なファンタジーなのか、幻想小説というべきか、っていうあたりは、新城の「浪漫探偵」シリーズで、全体が散文詩のような形になっている。文体も戦前的文体から、現代的なもの。セリフの言い回しも、古くさいものから現代的なものまでおりまぜて、かなり文学的になっているんだが、ちょっとばっかしやりすぎな感じもあって、ちょっと焦点がぼけている感じもする。っていうか、構造が見え難くなりすぎているのが問題。二作目以降は、もう少し、単純な構図で、より文学的な方向でも目指して欲しいもの。ただ、登場人物の名前にそれとなく南北朝なカオリをさせているあたりなんか好きですけどねー。

で、他のファンタジーとかSF的な作品は、まー、とくに書くべきほどのこともないか。 シミュレーションゲーム系の新井の「少女がくれた木曜日」や、マツノの「エンジェルダスト」やら、吉田の「月光少女」やら、スプラッターものの吉村の「マンイーター」、あとは、藤咲の「Blood The Last Vampire」とか、高山の「ゲームデザイナー」なんかがその口かなー。

この系統で、結構良い味が出ているのは、柘植の「にゃあ!にゃあ!にゃあ!」であり、人間が猫になってしまったが故に、その人間としての記憶と猫としての能力を駆使して、殺人事件を解決し、ってあたり。もちろん、そこに、魔法も出てくるし霊も出てくるけれど、視点として面白いし、さすが猫好きだからこその発想っていう意味で、面白い。

さて、結局そうなると、残るのは、殺人事件もなく、青春もの、、で、そこはかとなくミステリーっていうようなのが残るんだけど、これが案外、本来の富士見ミステリーの方向なんじゃないかとすら思えるもの。そんなかの究めつけの駄作は、もちろん、秋口の「ショットガン刑事」で、これは設定も筋道もなにもかもデタラメのぐちゃぐちゃで、学芸会の芸にもなっていない駄作。

しかし、やっぱり二作品が二作品とも光っているイタバシの「小林少年」と「七不思議学園」は傑作といってよいのではないか。とくに、「七不思議学園」は、もちろん、犯罪すれすれの「連続悪戯事件」を描いたものであり、事件性はあるんだが、一方で、殺人事件はない。被害者は中学生と学校の教師であり、加害者は結局教師だったことになるが、その内容は、というと、現在学校で進行している学級崩壊の問題やそれにからむ生活指導とか、いろいろなそういう今日的なものが中心であり、そこに一風変わった風来坊を主人公として設定しているあたりが良い。で、この物語、ぎりぎりの線で、現実的でもある。もう一歩はずすと、「ショットガン刑事」のようなしょーもない駄作になるところだが、なんとか、「あり得るかもしれない」とおもわせる程度に現実性がある。

これと似た路線で、やっぱり中学生の日常をあつかった雑破の「なばかり少年探偵団」もいけている。もちろん、この作品、最後の「結成!なばかり少年探偵団」がなくて、最初の二つだけ(さくらの季節と、仁義なき選挙戦)だけだったら、「どこがミステリーだ!」ってことになるんだが、一応、最後の話だけは、十分にミステリーになっている。しかも、そのオチも、たちの悪い悪戯とか、犯罪行為とか、少年非行とかそういうことではなくて、たんなる、「少年奇行」にすぎないあたりが良い。優等生の少年が、ぐれるわけでもなく、ただ、女装することで、自分をなんとか正常に保とうとする、という、もしかしたらあり得る話。

で、もちろん、学校を舞台とはしていないが、夏休み中の高校生の絵日記のような作品として、深沢の「猫は知っていたのかも。」がある。これも、殺人事件でもなく、それが御当地もののお宝探しになっているあたりがなかなかよろしく、絶妙なところで現実性も壊していない。東京の真中みたいなところだが江戸時代からのつながり、町内会の関係などもまだまだあって、というあたりも微妙に面白い。学校を舞台にしていないために、逆に地域というものをあつかってそこの歴史などをおり混ぜて、面白い話に仕上げている。イタバシの「小林少年」のほうも、そうなのだが、これは架空の村を扱っているのに対して、「猫」のほうは、実際の東京の中の話をうまく扱っていると思う。でやっぱり、いつもこっぴどく怒るはずのキヌ婆さんが、そうじゃなかった、ってことで、「あれはキヌ婆さんじゃない。」と思うご近所の話がベースになっているところも良い。実にうまい発想のミステリーだと思う。

この手の話とは若干違うけど、一種のシミュレーションとしての、秋田の「閉鎖のシステム」は、あり得るかもしれない、という範囲で、闇の恐怖を扱っているもので、これもどってことない話のようでなかなか面白いところをつついていると思う。ただ、これが中高生を主人公にした、とかいう他の作品とはかなり違うものになっていることも事実。

あ、書き忘れていたのは、最初の王道ものとしての、舞阪の「御手洗学園」。これ、大人の論理で起こる大人の殺人事件に高校生が巻き込まれ、というもので、しかも、巻き込まれた本人たちは、巻き込まれただけで、被害者も加害者も中高生とはむ関係で、結局、どうやら売れっ子のミステリー作家らしい大学院生の天由美が事件を解決するというもの。高校生たちは、わーとかきゃーとかいいつつ、傍観者に徹している。実に妙。夏緑の「理央」の場合だと理央自身も襲われるし、危ない目に遭遇するんだけど、ここじゃあ、薫子もありすもなんの危険もなく、ただ、みているだけ。そこがいいのかも。ゲームとしての、ミステリーっていう話になるのかな。これも気楽で好き。

えっとこれで全部書いたかな。最後にまとめると、富士見ミステリー文庫には今後もいろいろな作品が出てくるんだろうけれど、富士見ミステリー文庫の目指す、中高生っていうか、ティーネージャーが主人公になったミステリー作品という観点でいうならば、どぎつい殺人事件や、大人の本格派ミステリーのような密室殺人事件とか、そういうものを扱う必要もなく、そこに、わざわざ犯人を中高生にしたり、被害者を中高生にする必要もなく、中学や高校で、あるいはティーネージャーの少年少女が、ごく日常にありそうなところから、ミステリーっていうものを導きだしていくっていう意味では、イタバシの作品、深沢の作品、雑破の作品などが、一番「それらしい」ものなっているじゃないか。扱おうとおもえば、現代的な社会の問題やら、歪み、中高生の抱える悩みなども十分描ける。それを、ことさら自殺とか殺人とかそういう陰惨なものに結びつける必要もあるまい。たんなる悪戯、イヤガラセ程度でも中高生にはとっても精神的にコタえるものなのだから。

まあ、結局のところ、この富士見ミステリー文庫を書いている作家さんたちのおそらく平均年齢と同じか、それよっか多少上の私がいうことだから、実際の読み手であるティーネージャー諸君がどういう反応をしているのかは、またわからない。私が彼らと同じ年齢だったのは、20年以上も前のことだし、私はまだ彼らのような年齢の子供をもつにも至っていない。今の中高生はどうなのか、ってあたりはある意味で想像を絶する。

ま、それはさておき、今回、一つの文庫を全部読むということをやってみたけれど、とくに好きな作家に偏るでもなく、人から面白いと紹介されたわけでもなく、ただ、ひたすら、全部!を読んでみたが、かなり良い経験になった。名作だけを選ぶとか、そういうのではなく、全部について全部やってみるのはなんでも良いことで、逆に名作の良さもわかるってものだ。

最後に一言、、「ちーこファン倶楽部!」でも作ろうかな。


はじめに、その1

いやあ、全部全部全部読んでみると、日本中の殺人事件がみんなみんなじょしこーせーやチューボウによって、解決されているんじゃあないか、っていうくらいにおもっちゃう今日このごろ。まあ、最近あんましテレビとか見ないけど、世の中殺人事件、暴行事件、校内暴力、学校崩壊、いろいろいろいろありますから、そういう中で育ったら、おのずと探偵やりたくなる子供も増えるものなんだろーかー、ってなことを考えつつ、全部読んでみました。これからも引続きっていうつもりでいます。



レビュー

順番は、出版順じゃなくて、番号順ですので、まあ、作家さんごとに並べた感じ。


深沢美潮 "菜子の冒険" 「猫は知っていたのかも。」

うーむ、題名の最後が「。」ってところからしていーよなー。もうこの作品めちゃくちゃ好き!ミステリーっていうと、しかも、富士見だからーっていうか、中高生らしいのが、殺人事件に巻き込まれ、、みたいなのばっかしで、読んでいると日本中の殺人事件が、みな中高生が解決してるんじゃーないかーみたいな気にさせるほど、ってゆーかー、そういうの多いじゃないですか。そこいくと、この本。「あれは、絶対キヌ婆さんじゃない!」っていうあたりから洒落ていて、最後の最後に若干の暴力シーン(笑)があるのですが、それにしても、さわやかな話が多い。ストーリーの展開もよろしく、出てくる女流小説家のお母さんも、なんか、「こどものおもちゃ」みたいなノリで、いけてるし。すごいいいですね。殺人事件もなんにもない。ただ、日常のどってことないことの中に、とってもおかしな話が潜んでいるっていうか。菜子ちゃんには是非是非もっとがんばってもらって、いろいろな事件に首つっこんで欲しいと思うけど、殺人事件とかじゃなくってっていうか。


南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「レクイエムは君の-」

ちょっと、設定ががさついているので、いまいち。がさついているっていうのは、アイドルユニットもの、ってゆーか、そういうのと、学園ものと、かつ館もの、みたいなのを全部くっつけまわして、なんでもありゃいい!みたいな方向に走っている点で、×。

茜ちゃん、もう少し可愛くしてあげてよーと思うんだけど、どうもそれもねー。百円はないでしょ。せめて500円。

ま、どっちにしても、ちょっと現実感なさすぎ。アイドルはあんな暇じゃないと思うしね。もっとすっきりさせると面白いと思うんだけど。話は下に続きます。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「バラードは闇の-」

ストーリー展開についていえば、「レクイエム」のほう、犯人登場のシーンで、こいつ犯人じゃあ、ってわかっちゃうあたりが、どうもイマイチですね。以前「スレイヤーズすぺしゃる」のほうで、最後の最後にしか犯人が登場しないっていう禁じ手をしておいて、作者がつっこみを入れるというのがありましたが、それはさておき、なんか、富士見ミステリーって、そういうわかっちゃう系が多いように思う。そういう意味での、傑作は、やっぱり、谷原秋桜子「天使が開けた密室」でしょうか。こればっかりは、<ぴー、、作者の要望によりカット>という、なかなかすごい捻りでしたけど。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「ララバイは永遠の-」

さてさて、インクィジターとやらの最終回だそうで、完結編。スケールのでかい話が展開しているあたりは、結構面白い。いままでの、暗殺系から、テロ系っていう感じになってきたのも、時代の影響でしょうか?たぶん、後書きのころはニューヨークのテロの後だったし。これから、富士見ミステリー文庫もテロ系増えるかな。

まあ、今回は、スリリングなのと、いろいろな人達がどんどん巻き込まれという感じがわかるし、そして、それが最終的につながっていく先も良いので結構いけていると思います。いままでの三作品の中では、もっとも面白かったと思う。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ"「ラブソングは雪の-」

「東京タブロイド」に続いて、4作品目に突入のシリーズ。

インクィジター編のあとは、アレクセイ編ってことで、はじまりました。うーん、でも、この作品、ラブコメ系の割には、殺人現場がえぐいですね。かなり猟奇的。今回は、なにやらもう二つのストーリーががんがんと進むのですが、騒がしいわりに、いがいとすっとんでいくストーリーです。テンポはよいが、ぐいぐい引き込まれるというよりは、なんつうか、最後はまあ、どうなるんだろーねー、みたいな感覚で読み終わりたくなる。途中でやめる気分にはなりませんが、早いとこ最後までよんじゃおー、っていう気分の作品。

うーん、まあ、基本的には、そういう作品なのかもしれない。そんなに深くもなく、現実性も乏しく。そんなところです。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ SINGLES" GOOD NIGHT DARKNESS

さて、5作目ってところですが、今回は短編集。レイの義理の妹のニコルが夜眠れず、で、かつての事件ファイルを整理する、ということで、その事件ファイルの内容を、というような形。一つ一つの話が短いので、テンポもよく、話は短編に似合った程度の複雑さで、なかなかバランスの良い短編が並んでいる感じ。茜がそれなりに活躍し、それぞれのメンバーもいろいろ活躍して、おもしろいってことで、なんつうか、かなりいい感じの作品集になっています。また、長編も始まるのだろうけれど、この設定そのものからすると、短編のほうが、いいかも、って思えるような感じ。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「エトワールは彼方の-」

うわあ、もう一ヶ月前に読んだのでよく憶えていません、とかいうのも、ちょっとなんですが、ようするに、今度の舞台はヨーロッパですね。 女郎茜が、だんだんと魅力的になってきたようにおもいまして、で、実際、下にあるシングルの2においては、さらにさらに、、。

まあ、それにしても、事件がどんどんふってきて、しかもかなり国際的になってきまして、正直いって、初期のインクィジターがどうのこうの、というときに比べると、遙かに、話がおもしろくなってきていますです。調子でてきた、ってことでしょうか。まあ、今後も、読み続けていきたいと思います。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ SINGLES" SOMEDAY

でもって、シングルってことで、短編集ですが、短編集とはいえ、全体に一つのストーリーが流れていて、それを、深夜番組の毎週毎週の進展に合わせて、だんだんと一つ一つ謎をといて、最後に敵に迫るって、ことになっています。今後、この形式で、がんばるのもおもしろいんじゃあないかと思いますけど、いかがでしょうか。 とりあえず、この作品は調子でてきて、どんどんおもしろくなってきた、っていうことで。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「アンコールは誓いの-」

うーん、茜と一心の関係がびみょーになってきまして、さらにさまざまな人の関係がびみょーに変化しつつある今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。例によって、かなりえぐい系の猟奇的誘拐殺人事件というわけですが、こういうのってば、しずるさんはどう解くのでしょうか。うーん、まざってしまった。まあ、いままで通りプラスαってところですね。おもしろかったです。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「ラプソディーは絆の-」

さて、ちょっとだけ展開を思わせるようになってきたかな。いままで鉄壁のチームワークだった(とはいえないが)のソース&ソーサリーのみなさんがちょっと亀裂。相変わらず、事件のほうは、なかなか派手でありますが、今回の違和感は、やっぱり犯人がちょいと役不足なところでしょうか。うーん、なんだかなー。そこそこ面白く、まあ最後までよんじゃおーという感じではあるんですが、まあまあかなー。天国へのトビラと両方ですが、まあ、ひとつの富士見なミステリーでしょうか。

南房秀久 "ハード・デイズ・ナイツ" 「アンプラグドは幻の-」

またも、かなりえぐい事件の話ではあります。しかし、話そのものは、いままでのシリーズ全体の伏線みたいなものが、序々に明らかに、というほどのこともないのか、そもそも、そういう伏線があったのかどうかはしりませんが。えっと、面白かったです。いろいろな人間模様みたいなのがあんがいちゃんと書いてあって、最後にどうまとまるのか、と思ったけれど、意外ときちんとしたまとまりで。まあ、複雑なストーリーですが、案外と最後には一つの方向でまとまるところが面白かったです。

次回が、このシリーズ最終話とのこと。このシリーズってば、一番古いのかな。富士見ミステリー文庫の中では、最初っからあったシリーズですが、ここでおしまいとのことで。茜がだんだんかわいくなってきましたね。最後はどうなるんでしょう。

南房秀久 "天国?へのトビラ" 「ANGEL」

基本的には、南房作という感じのアクションと美形男性が登場して、あといろいろ。ひょうきんな女性警察官も登場し、というパターン。一応新シリーズではありますが、けど、殺人事件は結構猟奇、話のそこここが、ハード・デイズ・ナイツと関わっているようにも思えます。裏の社会の裏の隠れ家たる表向き豪華なホテルというものを舞台に、そこに飛び込んでしまったふつーーーーの女子高生の悲惨な物語なのかもしれない。まあ、そんなところで、あとは、その設定からだいたい推察できるようなストーリーです。十分におもしろいとおもいます。でもまあまあかな。

南房秀久 "オールルームズロックアウト" 「ANGEL2」

このシリーズ二作目でして、だんだんとヒロインの状況もわかってきたところですが、やっぱり話はハード・デイズ・ナイツの世界観そのままに、っていう要素もあるようですね。警察官共通とか。ホテルがアジトっていう意味では、スニーカーの百鬼夜翔などともからみますが、まあ、南房さんの雰囲気でつっぱしっています。可もなく不可もなく、なところでしょうか。でれば読んでしまう、そういう作品です。


舞阪洸 "御手洗学園高等部実践ミステリー倶楽部"「亜是流城館の殺人」

さくっと面白い作品。なんというべきか、人が死んでいるのに、妙に軽く、かつ、最終的にエンディングがどってことなく終るにも関わらず、なんとも面白い。舞阪作品としては、「火魅子伝」を読んでいるか、そのノリはそのままあるような。トリックとかもよくできているし、でもって、天由実の存在もなかなか面白い。続編やシリーズが出るなら、今後もどんどん読みたいと思う。あんまりシリアスじゃない、てきとーなミステリーを求めるなら、これおすすめ。ただ、中に入っている二つの話が、両方とも、同じような犯人だったりするのがちょっと。

舞阪洸 "御手洗学園高等部実践ミステリー倶楽部"「彫刻の家の殺人」

えっと、倶楽部メンバーの紹介がかなり詳しくされていて、それから、かなり本題に入る前の話が多く、で、事件が始まると、さくっと終る。

まあ、どってことないんですが、前回が、一冊に二話だったのに、今回は一冊で一話で、かつ、600円でかなり長めなので、ちょーっとかったるいようなストーリーですね。トリックも面白いし、また、あとがきにあるように、犯人も犯人として断定されつつも捕まらないあたりは前と同じ。ただ、あそこまで話を長くする必要があったのか、、っていうと疑問。

絵が、八雲氏が入院で、変わってしまいました。うーむ、残念。全体的にみて、前作のほうが面白いって感じ。「ミカン」はどうでもいいけど。


イタバシマサヒロ "小林少年の生活と冒険"「月が射す夏」

うんうん、青春ミステリー。ほろずっぱい青春の味、夏!いかにもいかにも。村の名前もうちょっと凝って欲しかったけど、それはおいといて、一応、殺人事件がおきますし、まあ、ちょっと悲惨なことも入っていますけど、結構良い話ではないかと思います。この作品も結構気に入りました。旅系?うーん、そんなところか。やっぱり、あんまり陰惨な殺人事件云々とかいうのよりは、こういう青春系はいいなーと思う。その意味では、「猫」がやっぱり最高か。

イタバシマサヒロ「七不思議学園の風来坊」

うーん、これシリーズものじゃないのかな。小林少年のほうはどうでもよいから、こっちの砂布金太君のシリーズをもっともっと。チーコには、マジで惚れ込んじゃいましたし。キリコは、まあ、こんなものでしょーか。この作品、いや、すごい面白いっていうか、なんかいいですね。これまた殺人事件らしいものはなにもなく。自殺もなく、でもなんだか、っていうか。ホノボノしているわけでもなく、かなりハードな感じではあるものの、でも、やっぱりいい。

とある中学にやってきた風来坊の転校生と、新聞部のキリコやチーコを巻き込んだ、「傷害事件」っていう感じ。面白い!いやこれは素晴らしい!かも。


高山浩 "Heaven's Game" 「ゲームデザイナーは眠れない」

まあ、超能力が若干はいっている少年が殺人事件に巻き込まれ、そして、その事件を解決する、っていう方向の話。ゲーム屋さんが、ゲームデザイナーの話を書いちゃっていーのかなーというのがあって、なんつうか、私は女優の人生をあつかった映画とか、小説家の人生を扱った小説とか、そういうのって違うよなーといつも思うんですが、これもそのての作品なのか。不自然さはないけど、でも、あの超能力はちょっと違うと思うし、まあ、最後まで読みたくなる程度のできなんだけど、まあまあってところでしょうか。


夏緑 "理央の科学捜査ファイル"「静寂の森の殺人」

はい。ミステリーとしては、なかなか良くできているんじゃないかって思います。非常に面白いし、病室系っていうあたりで、ご本人の経験も入っているのかもしれませんが、私は入院なんて一度もしたことがないので、病室系は想像するっきゃないですね。陰惨な殺人事件だし、ヒロインが、ずたずたにやられちゃうし、かなりチミドロな内容なんですけど、理央ちゃん、すこしは懲りて自重すべきだと思います。「静寂」のほうは、比較的最初のほうに、犯人がわかってしまったわけで、さーて、犯人にどうされるのか、と思ったら、最悪のシナリオの方向に走っていって、結構悲惨。下に続きます。

夏緑 "理央の科学捜査ファイル2"「赤い部屋の殺意」

「赤い」のほうは、やっぱり、結構危ない系統に走りまして、恐い作品ではある。ミステリーとしては、かなりよくレベル。トリックとかに、若干の問題はありますけれど、まあ、良いのでは?超能力の類が出てこないのは良いですねー。私は超能力を出すなら、徹底的にファンタジーになっていたほうが面白いと思うし、こだしにするのは、なんかなーと思うので、出さないなら徹底的に出さないのが良い。超能力少年が出てきているのに、彼の超能力が最後まで冴えないのも良いし、ま、バランスは良いかと。ただ、事件に巻き込まれる巻き込まれ方が、あまりにも、偶然が一致しすぎていて、ちょっとなんだかっていう部分はあります。

夏緑 "理央の科学捜査ファイル3"「そして私が消えていく」

うーん、なかなかいいのですが、、。で、これで完結編ということですが、まあ、理央ちゃんの慢性腎不全は相変わらず治る気配もありませんね。今回の事件、公園の階段のようなところで、よっぱらって倒れて頭打って死んだ男の話と、理央がマネージャーとして参加した、理央の中学の女子陸上部の女子駅伝へむけた練習などが、奇妙なところで関わり合って、そして、最初に死んだ男が、実は、桐生の恋人をひき殺した男だった、というあたりから、錦織警視も登場で、複雑にからみつつ、なかなか複雑な事件として、解決します。またも、理央ちゃん、死の恐怖っていうのもあるし、見せ場もあって、なかなか。ただし、ちょっとストーリーが複雑なわりには、はしょりまくりなところもあって、それから、あいかわらず、警察内部に犯人らしき人物を入れ込むし、まあ、それはそれでいいですが、でもおもしろかったです。1作めと3作めがいいかな。2作めは今一かも。


あざの耕平 「Dクラッカーズ」"接触 -touch"

いや、これ、結構ハードな感じで、いいかも。気に入りましたね。話面倒だけど。一度読んでもなんかわからなくて、二度も読みました。二冊とも。どこまで幻想で、どこまで物理現象なのかちょっとわからないですが、ドラッグ系の話。

高校生の間に広がる、カプセルっていうドラッグが、実は、悪魔召喚のためのクスリで、それで召喚した悪魔をつかって戦う連中のすごいアクションもの、ってところですが、これって、悪魔が見えない(梓以外のカプセル飲まない人)にとっては、むちゃくちゃひょうきんなことなので、たぶん、リナ=インバースは好きじゃないだろうなーって思う。

あざの耕平 「Dクラッカーズ2」 "敵手 pursuer-"

さて、こっちはこっちで、ドラッグで悪魔召喚しているグループの幹部クラス登場で、なかなかすごい話。恐いですねー。一見、おとなしそうな女性がここまで恐いやつだとは、、。 なんとなく、ネタバレだけど、景が追っている悪魔って、「無慈悲の女王」で、それが、梓なんだろーなーって感じですね。たぶん、最終的には。

かなり面白いと思うので、これからも期待したいところです。最後は、梓と景との戦いになるんだろーか?

あざの耕平 「Dクラッカーズ3」 "祭典 ceremony-"

うーん、いやあ、すごい、おもしろかったぁ!もう、夜中、寝るのも忘れて最後までいっきによんでしまいましたよー。今回は、だんだんと過去の話もでてきて、梓と景との関係も次第にあきらかに、そして、なんといっても、悪魔召還の起源に迫る。

いやあ、すごいな。アクションもなかなかすごい!バイクのチェイス、そして、悪魔戦。そして、パワーアップして、生身で、悪魔にせまる梓もすごいし、もう活躍満載。興奮度は、いままでの、3倍くらいありますね。このシリーズは、ここが山かも。

次回は、さらに過去がわかり、梓も記憶をだんだんとよみがえらせて、きっと、、。やっぱり、彼女が、無慈悲な女王っていうあたりの前回の推測は、半分くらい正しかったように思います。そういうことだったのかー。

あざの耕平 「Dクラッカーズ4」 "決意 resolution-"

きゃー、そうくるかー、最後のほう。うわー、おもしろい!ぎゃー。いいぞ。今回は、前巻の事件の後日談として、病院に入院していた梓が、ふらふらと失踪、そして、どんどん崩壊するセルネット。そして、ついに登場する、セルネットの三人のB。かれらの目的は?そして、、、ってところで、最後はなんとなんと、いままでの敵も味方も、なにもかも、ごっちゃになって、さらに女子家出中学生三人組も登場して、どどどっと、ラストに向かっていく、その直前、っていう感じで終わりましたね。あと、1巻か2巻で完結すると思われますが、うーん、たかが、小さな市の中の高校生、大学生あるいは、若い社会人たちだけの事件とは思えないほどの、なんつうか、スケールのでかさ。いや、実際は、どこぞの暴走族の抗争事件程度の話なんだろうけれど、若干のオカルト性と、そして、ドラッグカルチャーみたいなものをいれて、そして、現代の世相もいれこんで、悲惨な中に、生きる力を感じさせる、やっぱりおもしろいぞ、Dクラッカーズ!っていう気がします。

あざの耕平 「Dクラッカーズ・ショート」 "欠片 -piece-"

どうやら、富士見ファンタジア文庫中の一番の人気シリーズになってしまって、新装版(買ってないけど)まで出たDクラですが、今回は、短編集です。短編集というと、外伝って感じのものが多いですが、これは、外伝ではなくて、結構本編そのもの。いままでのストーリーで語られていなかった部分、あるいは、おや、っと思う部分をまとめて、って感じで、もちろん、たんなる外伝もあるんですが。で、これを読んで、なるほど、とかおもって、とくに、Dクラッカーズ1の内容などは、かなりこれで明確にわかったっていうか、、特に倉沢あたりの話。へー、バールがねー。ってことで、ファン必読の作品です。

あざの耕平 「Dクラッカーズ5」 "乱 -rondo-"

うーん、ついに、謎は全面的に明かされました。カプセルはどうやって作られているのか、その製造過程までもがあきらかになったし、そして、一応の解決編ってことになるんでしょうか。で、これでこのシリーズ終了?って思ったら、あとがき読むと、まだまだ続きます、ってことなので、まだまだ続くのでしょう。だんだんと内容も哲学的になってきて、しかも、いろいろな方向性が出てきました。たんなるジャンキーな話ばっかりではなくなってきたし、うーん、これからある意味では、あり得ることなのかも、っていうか、なんていうか。とにかく、これを読めば、一応、いままでいろいろ謎とおもっていたことが、全部明らかになるので、その意味では、必読の作品。まあ、人気がさらにでそうで。

あざの耕平 「Dクラッカーズ6」 "追憶 -refrain-"

さて、新しいステージが始まったということで、話がいきなり飛びます。が、しかし、案外話は続いていて、で、まだまだ敵は懲りない様子ですね。なんといってもバールが生きているっていうのが一番重大な問題なのかな。もう死んでしまうのかな?

ま、とにかく、あまり今までと違わない形で、話はリスタートという状況で、いきなりピンチです。茜も甲斐も変だし、みなおかしくなってしまった、そして梓もおかしくなってしまった。でも、、、。うーん、まだまだこれから続きそうです。次回はまた派手にやってくれそーな。

あざの耕平 「Dクラッカーズ・ショート2」 "過日 -roots-"

景や梓の子供時代の話と、セルネットの最初の3人のBがチームを組むまでの話などなど過去のいろいろな話をぜーんぶまとめた一冊という意味では、Dクラッカーズサーガというか、その全てをお見せします!みたいな感じです。なんか、次の一冊で完結ということのようですが、是非とも、この話、またいろいろな形で発展させてほしいですが、、。

まあ、比較的短いシリーズとはいえ、非常におもしろくて、がんがん来たんだから、まだまだ先があってもよいように思います。あー、完結編早く読みたい!

あざの耕平 「Dクラッカーズ7-1」 "王国 -the limited world-"

あれから、っていうことで、みんながみんななにもかも忘れていくなかで、がんばっているのは、千絵だけ。もう彼女は、必死で一人で、謎を解こうとしている。梓もしだいに記憶を失い、そして。うーん、なんかクライマックス!って感じになってきましたし、また、千絵の探偵団の二代目もだんだんとしっかりしてきて。最後はマジでどうなるんでしょう!7-2がでたところで、もう一度しっかり書きます!あ、もうすぐですね。

あざの耕平 「Dクラッカーズ7-2」 "王国 -a boy & a girl-"

ええと、このどうやら富士見ミステリー文庫一番人気シリーズもついにこれで終わってしまいました。いや、しかし、おもしろい路線をつついて、おもしろくいったと思います。最後のほうは、これはこれでしかたがないけれど、まあ、有る意味思った通りに終わったというべきでしょうか。ただ、それでも、中にでてくる会話などはあきらかに凝っていて、最後まで楽しめました。うーん、ちょっと終わってしまって悲しいぞ。 千絵ちゃんとかのさらなる活躍、、。どうせなら、別シリーズでも、梓と千絵のコンビによる作品とかでてもよさげですが、、、。


田村純一 "天知未来がいる街1"「愉快な奇術師」

これ、すごいシリアス系で、かなり内容は哲学的とでもいうか、思った以上に内容が深い。純粋なるオカルト系のミステリーホラーではあるが、なかなかどうしてこうして、ストーリーの発展もなかなかすごいし、構成そのものは、いろいろなマルチサイト的な扱いで、かなり内面をえぐるような話になっている。恐い。これからもどんどんシリーズ化を期待したいところ。さあ、これからどんなのが、アルカナ?デルカナ?

田村純一 "天知未来がいる街2"「沈黙の隠者」

こっちのほうは、さらに過去、現在が交錯する短篇の連鎖のような仕組みで、難しいのですが、どうやら、一話一話で、それぞれ違ったタイプの敵とも味方ともつかないアルカナ使いを登場させるようですね。面白い!

田村純一 "天知未来がいる街3"「愚者 - ザ・フール」

いやはや、またもや、、。未来ちゃんが、だんだん魅力的になってきたようにも思いますが、みためオットリ系の犯人っていうのも恐いもので、途中からなんとなくわかるんですが、、、。例によって、どんどん人が死にまして、どんどん死ぬのに、事件が良くわからず、最初のストーリーはいったいなんだろうと思っていると、最後に全部がつながるということで、プロットが複雑な形になっています。

できとしては、今回もなかなかすごくて、このシリーズは、ハードな展開がなかなかいい。今回は、未来ちゃんが、月のアルカナをもぎとられたせいで、だいぶパワーダウンしていますが、これからも、いろいろたいへんなことに関わるんでしょう。それにしても、今月は面白い作品がたくさんあってよかった!


じょうもん弥生 "コスプレ探偵花梨"「助けて!ワトソン君」

いやあ、軽い軽い。かなりファンタジーに近いものの、ファンタジー的な要素はない。オカルトでもない。しかし、ちゅーがくせーが、婦人警官にばけたりなにやら、そろそろ現実性っていう意味では、破綻しそうなところでなんとか踏みとどまる、ってゆーかー。ワトソン君も面白いけど。いまんところ、「助けて!ワトソン君」と「負けるな!ワトソン君」を読んだところ。ストーリーとしては、「負けるな!」のほうが、深い内容で、まあ、若干途中で犯人がわかってはしまったが、軽いノリのわりには、結構事件の内容はエグい。このあたりが、軽さをそのまますっとばす、舞阪洸とは違うところか。ぜひぜひシリーズを読んでいきたい。

で、この一作めは、お姉さんの同級会を発端にした連続殺人事件?のようなもので、その犯人は実は、、イジメが原因で、みたいな話。犯人は一応未成年じゃないけれど、今日的な青少年の歪みを扱っている。

じょうもん弥生 "コスプレ探偵花梨"「負けるな!ワトソン君」

二作めは、これは、話は結構えぐいですねー。花梨もなかなか犯人がわからない。まあ、私は途中でわかっちゃったけど。複雑な家庭事情を背負った少女がレイプされて、という話。恐いです。


藤咲淳一 "Blood The Last Vampire"「闇を誘う血」

まあ、文章の暗さと、最初の雰囲気がなかなかよくて、思春期の少年の心とか、いろいろな面を描こうとしているのかもしれないが、最後はやっぱり変身する吸血鬼系がでてきて、っていう意味では、まあまあかなーと思う。富士見ミステリー文庫とはこの手のものか、と思わせたが、その後、舞阪のや、田村のシリーズを読んで、いけてるじゃん、と思ったわけだから、この作品はやっぱりまあまあでしょう。


水城正太郎 "東京タブロイド" 「新都疾る少年記者」

ちょっとまとまりがなく、コメディ系なのか、マジなのかちょっと怪しい。猟奇王の設定もいまいちよくわからないっていうか。ただ、オカルト系にはしっている割に、なかの事件は「正常な物理学の範囲」で起こる事件として解釈されている点は大好きです。

設定が、昭和29年っていうあたりが、どうも中途半端な感じで、もっと戦後すぐか、あるいは、もうすこし後のほうが、っていう気もしたんだけど、いろいろ事件そのほかの関係からしていくと、かなりよいのかもしれません。

なんとなく、読んでいると、「月光仮面」のような雰囲気が出ているんで、その意味では、作者の時代設定への情熱っていうか、雰囲気作りはまあまあ成功しているんじゃないかって。ただ、女の子たちが、もうすこし活躍して欲しいところ。とくにキザイアとか。ま、これからこれからってところなのかもしれませんが。ま、かなり面白い作品になっていると思いますので、お勧めです。

水城正太郎 "東京タブロイド2" 「白夜に響く黒猫の歌」

いや、これは密室殺人系の話ですね。まあ、いかにもいかにも、な話。

水城正太郎 "東京タブロイド3" 「紅い星より来る使者」

うーむ、前回の「白夜、、、」に比べてはるかによいアクション的な作品だし、また、猟奇王の存在も、独特の感じでよくなったと思います。麻衣子ちゃんの誕生日私と同じだー、なんて。それはよいとして、空飛ぶ円盤事件、そして自分を宇宙人と思う少女、などなど、伏線もよろしい。まあ、雰囲気としては、江戸川乱歩系に結構近い、あるいは、月光仮面というべきか。現代の作家によるミステリー風ってものの中で、今回は、かなり戦後的風景をよく描き出している、なんて評価するのも、戦後だいぶたってから生まれた私だから、しょーもないが。まあ、そんな作品です。たしかに、あの時代に話をもっていくと、それなりに面白い話が書けるのかも。

水城正太郎 "東京タブロイド4" 「黄泉近き神を継ぐ里」

はっきりいって、この作品、どんどんシリーズを追うごとにおもしろくなってきました。今回は扱っている事件が陰惨で、すさまじいものですし、ホラー的にもなかなかすごいものです。主人公たちがよくまあ死ななかったものだと思えるくらい。しかも、アクション的見せ場も非常によくできていて、最後まで飽きさせません。今回からは、タブロイド社の一人一人にスポットを当てるってことで、いままで麻衣子がもっぱら活躍の女性陣ですが、今回はアメリカな金髪魔女のキザイアの話。のーてんきですね。まあ、それはおいといて、なかなかおもしろい展開になってきました。次が楽しみです。

それにしても、このシリーズだけが、四作目一番乗りですね。ものすごいペースで書いているということで大変ですね。

水城正太郎 "東京タブロイド5" 「天空抱く賢者の楽園」

またしても、シリーズ5作目一番乗りなのが、この東京タブロイド。どんどんギャグキャラクターになっていく、猟奇王ですが、今回は、昭奈ちゃんがヒロインってことで、そこに、微妙に麻衣子くんもからんでいます。今回は、あまり猟奇的ではなくて、スプラッター風でもなかったし、で、戦後のあの時代にドイツのV2とにたロケット、、、あ、これはネタばれですかね。っていうことで、まあ、なかなかよくできているとおもいました。ついに飛行機で空中戦までやるあたりが、東京タブロイドの人たちスーパーです。

水城正太郎 "東京タブロイド コレクション" 「新都ゆるがす猟奇な男?」

えっと、なんとか、入手しました。まあ、あそこなら、ってところにいったら、あっさりありまして。この東京タブロイド コレクション、うーん、まあ、小話集って感じですね。一つ一つがギャグになっているってことで、さらに、この短編集を彩るように、短編集専属キャラも登場。世間知らず系お嬢様系警部?っていうのもなんですね。このシリーズ、後になるほど、どんどんおもしろくなってきたので、途中にこのようなお笑い系の短編集が入るのもまたよいです。

水城正太郎 "東京タブロイド6" 「陽炎ゆらめく夏の王国」

さて前回で、外伝風短編集をやってしまったわけですが、今回は、また新しい話っていうのはよいのですが、今回は、まあ、その、猟奇王絡みで、さらに、以前の話のふたご姉妹(宇宙人ってことになっていた)も、猟奇シスターズとして登場するなどして、かなり、かなり、かなり、ギャグ系でした。うーん、まあ、前回のコレクションに継いで、今回も、息抜き系でしょうか。変なキャラクターが多いので、麻衣子あたりがかすんでいる。一応、各キャラクターそれぞれの話を、ってことなんで、前回は、昭奈でしたが、今回は、晶の話。広島出身の彼女は当然原爆ともからんでいて、、。

まあ、いいんじゃあないでしょうか。話としては、おもしろかったし。せっかく編集部のある部屋がつぶれたから、これで完結か、と思ったら、早速建て直すし。

水城正太郎 "東京タブロイド コレクション2" 「白夜に猟奇の花束を?」

またまた短編集ですね。短編集はあんまり猟奇でもなく、また血みどろな話もなく、暗い感じもなく、ようするに、麻衣子ちゃんのおおぼけ、おおばか、さらに、今回は、キザイアのおおぼけもまじってのどんちゃん騒ぎです。もちろん、その裏には、猟奇王が全部登場。そして、コレクションだけの桜小路香澄がまたまたぼけまくり。これまた、あんまり考えずに、たらーっと読める作品です。まあ、本編、そこそこ血みどろですから、コレクションはこれくらい息抜きができてよいかと思いますが。昭奈ちゃんいまいち活躍しませんでした。でも、キザイアががんばったからよっぱらって、だからいいか。

水城正太郎 "東京タブロイド7" 「碧海仰ぐ記述の砦」

あー、ストーリーがおぼろげながらしか思い出せない、、、のですが、まあ、ストーリーはいつもの調子で、展開もまあいつものとおり。落ち着いて読める作品です、ってつまり、このシリーズのいつものとおりの感じ。若干コレクション系のギャグモードが、以前よりは強くなったようにも思いますが。すいません。だいぶ前に読んだので。

水城正太郎 "東京タブロイド8" 「秘境に消えた少年記者」

なんつうか、この水城さんは、すごいペースで書いていますんね。新しいシリーズが始まったのか、とおもいきや、ちゃんとこっちも続けると。で、今回は、ロッジに絡む話で、前作の内容をちょっと忘れてしまったのですが、とにかく、裏の組織の話がいろいろと見えてきたようなところがありまして、まあ、組織がらみのストーリーになってきたと思いますが、こういう場合、おもしろくなる場合と、そうでない場合があって、なんか、いままでのたんなるギャグキャラな猟奇王とのちわばなし的なところのほうがよいようにも思うんですがねー。うーん。まあ、話としては十分なレベルなんですが、シリーズとしては、どうだろう、、、。中盤が結構おもしろくなってきたので、これからさきどうなるか、ちょっと気になるところ。

ところで、怪しげな考古学関係の学会が開かれてというのはよいのですが、そこでOHPを使っているあたり。うーん、実は、OHPが普及し始めたのは、昭和40年代の半ばくらいだと思います。さすがに、PPTと書かれていないのは当然としても、OHP以前は、たぶん、スライドを使ったか、あるいは、参加者になんか配ったのか、そんなところではないでしょうか。以前日本言語学会に出たときは、配っていましたが、それも、コピー機が出回ってからで、ゼロックスが出回ったのは、これまた、昭和40年代初期段階。30年代の学会での発表とかどういう感じだったのか、ちょっと私も想像できないところです。もうこの時代に学会でなんかやっていたっていう人は少ないかも。

まあ、下でぼろくそ書いたフジコはひどいとしても、若い作家が過去を書くときの、難しさってあるんだろうな、って思うし、また、これが歴史が風化していくってことなのかも。私は、昭和30年代末生まれですので。

水城正太郎 "東京タブロイド コレクション" 「紅い猟奇な星の使者」

さて、ついに、少女3人からなる少年猟奇団が登場。実にぐちゃぐちゃですが、このコレクションシリーズは、短編であるが故に、それなりにコンパクトなストーリーで、しかも、ギャグ系で、結構いい線いっています。感動することはないにせよ、閑つぶしにはもってこいの一冊には仕上がっているというか。内容もいろいろあって、それなりに楽しめるようになっています。まあ、こんなものでしょう。

水城正太郎 "東京タブロイド9" 「風雲告げる新都の未来」

さて、「はいぎょーしました。よしなに。」という告知文で始まるこの作品、うーん、結局、いままでの「敵の組織との戦い」っていう意味では終わってしまったんですね。ロッジの正体もわかったことだし。今回の作品でつまんなかったのは、麻衣子ちゃんが結局、普通の変な奴ではなくて、まともに超常現象な人であることが判明してしまったあたりかも。今後、また第二の敵が現れるとかなるんでしょうか。一応、話は面白かったし、最後まで、ぐぐぐっと読んでしまいました。

水城正太郎 "世界の記憶" 「LOST MOMENT」

うぃーん!アクションでしょうかね。大日本帝国が特殊な技術を発達させて、そして、第二次大戦に相当するもので滅びて、そしてしばらくして、科学技術的には現代とにているが、世界の情勢は大きく異なり、かつ日本のもっていた技術が各国のエージェントのもつ特殊技術となり、というような形で進んでいく作品。うーん、まあ東京タブロイドと似た感じがしますが、舞台が主にヨーロッパということですね。先月の作品で、 深見真 "探偵王女フジコ"「ペイガン・ゴッドの白狼」について、その地名とか人名でがんがん批判しましたが、今回の作品、まあ、及第点はつく程度にある程度きっちりやってあって、それほど違和感のないものになっていました。このあたりこだわるのは、実は、以前、アイザック・アシモフの作品で、とんでもねえ名前が出てきて、のけぞったことがある。「ヒドセキ マコヤマ」。うーん、日本人をイメージしたんだろうなぁ、っていうか、どこぞの惑星ハンターで惑星をみっけて、そのまま遭難したかなんかの人で、ちろっと一言出てくるだけですけど、日本人が外国人の名前を想定するときにも、こういうのを勝手に考えちゃっていることが多いだろうと思うし。まあ、このあたり、ミステリー文庫の編集部のほうできちんとやってください。

さて、肝心のお話ですが、まあ、こんなところでしょう。最後はどうなるのか、それなりにわくわくさせたし、登場人物もなかなかキャラが立っているように思いますし。結局のところ、どうやら、スターウォーズな話ですけどね(ちなみに、スターウォーズの最初の三部作のほうは、アイザック・アシモフの"Stars like Dust" のそのまんまパクリなのですが)。今後の展開を見守りませう。

水城正太郎 "時の後継者" 「LOST MOMENT II」

うーん、並行世界っていうか、20世紀以降がちょっとちがうそういう世界でのお話。いろいろ無理な設定は多いですが、アクション的要素は多いし、かなりプロットがよいということでしょうか。この水城さんの作品は、そういうのが多いですね。どうっていうことはないが、最後まで読みたくなるようにできている、っていう感じ。ストーリーはまた進んで、それはそれで、っていう感じでいきます。おもしろかったです。

水城正太郎 「ハーフダラーを探して」

いやその水城作品は、やっぱり安定しているんでしょうかね。非常にテンポがよく、かつストーリーの流れがよくて、最後まで飽きさせず、多少予測されたストーリーを期待させて、それをあまり裏切らず、かといって、予測通りでもなく、というあたりがなかなかよろしいです。新シリーズなのか、それともこれで終わりなのか、新都心のストーリーで、いきなり家をぶっこわされて、どこにどうしたらよいかわからない少女が、父のつて、として知り合った少年とともに、活躍!みたいな。しかも、この少女が、しらない間に、二重スパイ?みたいな。そんなところでしょうか。まあ、多少無理な部分もあるけれど、おおむね超常現象も起こらず、ですね。拍手!


谷原秋桜子 "激アルバイター・美波の事件簿"「天使が開けた密室」

ストーリーの展開と、テンポがなかなかよくて、しかも最後のドンデン返しもふくめて、プロットが非常によくできていると思う。少々無理な設定もあるけれど、全体バランスとしては、よくできているし、なかなか楽しめた。これも、シリーズとして、どんどん読んでいきたい作品ではある。

谷原秋桜子 "激アルバイター・美波の事件簿"「龍の館の秘密」

また怪しげなバイトをするから、ってことで例によって、怪しいバイトでさんざんな目にあう美波ちゃんの物語ですね。今回は、たっているだけで一日2万円?とかいうバイトで、結局、あの以前テレビなどでも取り上げられていた偽の托鉢僧のバイトです。留学生を支援するための、っていうやつでしたっけ?ところがこれがいろいろ妙なことになってつれていかれた館で、起こる事件。ちょっと科学的(理科くらい)。うーん、なんか今一。パターンもできすぎているし。もうすこし違う展開はないものだろうか、っておもっちゃう。


秋口ぎぐる "ショットガン刑事" 「炸裂!リボルバー娘。」

あかん。もうあかん。こりゃだめです。まあ、やりたいことはわかるが、あまりにも支離滅裂。ストーリーがぐちゃぐちゃ。設定が無理すぎ!なんか続編も出そうなんですが、どうなんでしょう?だいたい、イミコの活躍がどうも少ない。もっと彼女ががんがんとリボルバー炸裂させないと、面白くないじゃないのかーっていうか。こればっかりはいただけません。駄作。

秋口ぎぐる "ショットガン刑事" 「強奪!エプロン刑事。」

もーこりゃー、あかんと思ったら、いやあ、秋口さん、今回は、すごいすごい。前作は、設定が、尋常でないだけで、それだけで終ってしまったかの作品でしたが、今回は、設定の尋常でないところをうまくつかって、完全なるファンタジー的な世界を描いています。もう、発狂しているとしか思えない「まるだし刑事」の妹「エプロン刑事」と、そして、前回のしょーもないヒロイン、イミコちゃんとかも今回ばかりは、なかなかすごい感じで活躍。狂言誘拐で、一千万円が、狂言じゃなくなって二千万円。身代金目的の誘拐で、身代金を受け渡す時間が、昼の12時と夜の12時なんていう具合でちぐはぐ、そのちぐはぐから、どんどんおかしな方向に話が進んで、最後は、っていうのも面白い。で、ここまでくると、設定がどーでもよくなって、ストーリーもまあ、なんつうか。アクションも、設定のしょーもなさをうまく使った面白いものになっていました。まあー、ミステリーだと思って読むとしょーもないけどね。

秋口ぎぐる作品は、他に、ファンタジア文庫の粛正プラトニックを二つばかり読みましたが、まあ、なんにせよ、きわめてガサツな作品ばっかりですが、今回のがめちゃくちゃ度で最高によかったと思います。

秋口ぎぐる "ショットガン刑事" 「刑事暗殺。」

うーん、全作ほどのパワーやとんちんかんなところはなくて、でも、やっぱり出だしからして、しょーもないのはしょーもないし、ストーリーも破綻しているようで、でも、実際、今回は、一応、かなりのけが人が出た様子だし、、、。まあ、それはよいとして、粛正プラトニックも読んでいるし、いろいろ秋口作品は読んでみたのですが、比較的バランスよく、とんでもないシリーズとして育って来そうですね。まあ、今回はこんなものでしょうか。

殺人事件が起きます。しかも、刑事が暗殺される。でもって、その犯人は、どうみても、ショットガン刑事だとしか思われない、そこで、窮地に立たされた彼は、イミコに助けを求め?って大丈夫かい?まあ、そういうものです。


雑破業 "なばかり少年探偵団" 「さくらの季節」

いや、ほのぼの系。これまた結構気に入りました。どこがミステリー?って感じもしますが、シリーズ化すれば、それほど違和感ないでしょう。最初のエピソードである「さくらの季節」は、主人公の桃太と転校生のヒロイン真花との出会い。でもって、この真花がなにかすごい謎と秘密が、みたいなミステリーにいくかとおもいきや、、きや、きや、どってことないですね。単なる出会い。「仁義なき選挙戦」では、一変して学級委員選挙の話。あれだけナリモノ入りで登場の、真花が、あんがい脇役になっていて、で、そのまま最後のミステリー突入である「結成!!なばかり少年探偵団」のところも、真花が活躍しないのです。いいけど、でも、全体として、ほのぼの、そして、最後のミステリーはそれなりにミステリーしていて、殺人事件でもなんでもないところがグッド。表現がなかなかよいですね。ポルノ小説の作家さんだそうですが、やっぱりなんていうか、心のきめ細かい表現がうまい!これは是非ともどんどん読んでみよう。

雑破業 "なばかり少年探偵団" 「雨のちカゼ」

今回も最高に仕上がっています。前回も三話構成でしたが、今回も三話構成。第一話は、「たからもの」ってことで、すっかり中年(いや熟年)になってしまった教師が、ちょっと子ども相手に昔の夢の続きを、みたいな話。桃太たちが、宝探しをするというストーリーで考えてみれば、いま30代40代の人達ごろから、子ども時代にタイムカプセルな話がはじまったんだろうな、ってことで、子どものころそういうの埋めっぱなしで、わすれている人も多いかも。そういうのを今の子どもたちに、さがさせる、っていうか。面白い話です。スリルはあんまりだけど。

二つめは、「あおいさんパニック」で、桃太の姉のあおいさんが、自動車免許をようやく取り、そしてでかけたピクニック。 真花も一緒で、茜も一緒とくれば、、、。運転席に座ると人が変わるという人物は私の身近でもいたんですが(現実にどうだかはしらないが)、この葵さんもそういう人らしい。いやなんとも面白い話でした。

最後は、真花と桃太のどってことないアイアイ傘のねた。面白いです。

まあ、どってことないけど、どってことなく、日常をすごす中でのほのぼのストーリーにちょっとだけミステリーな感じをいれつつの、「なばかり少年探偵団」はこれからも、こういうほのぼのでつづけて欲しいと思います。

雑破業 "なばかり少年探偵団" 「消えた短冊」

例によって、三本の短編からなっていますが、今回は、一つめ「消えた短冊」はかなり本格ミステリーモード。そして、二つめの「旧校舎の怪談」は、ホラーミステリーなのかなーと思うと、それなりのギャグ系。最後の「巨乳襲来」は、また例によって、真花と桃太の微妙な心をらしくあつかった作。うーん、私はこの読んでいてほのぼのくるこのシリーズは好きなんですが、あまり売れていない、とかいうので、是非、みなさん、読んでみてください。もっとも、あんまりミステリーしなくてもいいのかも。


立花薫 "極東ジパング探偵録"「ようこそ大旋風ガール!」

はい!駄作!しょーもない駄作。ストーリーに無理があり、設定にも無理があり、表現力最悪、現実性もなければ、面白くもなんともない。最後まで読んではみたが、かなり金捨てた、系統。まあ、安いからいーかー。やっぱりこの人、小説家向いてないんじゃないの、、。続編出ても読む気が起きない。あ、そろそろ出るんですか?続編。

立花薫 "極東ジパング探偵録"「絶対絶命大旋風ガール!」

二作めでました。うーむ、相変わらず、駄作っていうか、まあ、ストーリーそのものは、すこし面白い感じになってきたし、話も発展してきましたが、でも、なんつうか、表現、あるいは、文章の配置、シーンの表現方法っていうのか、それがどうもおかしなリズムなんで、妙ですね。ちょっとじっくり書いたら良いようなシーンをあっさり2行みたいで、しょーもないところで、ぐだぐだ、いや、ぐだぐだ長いところはほとんどないんだけど、映画でいうところの、カット割りみたいなところがどうしてもおかしいから、ばっと話が進みすぎて、でがつんと止まって、っていう繰り返し。なんとも読んでいて心地が悪いっていうか、、、。

よーするに、秘密結社ものですかねー。はあ。ノリとしては、Mission Impossible の古いやつみたいな感じでしょうか。そうはうまくはいかないよー、っていうか、でもってそこそこリアリティを出そうとしているところが、妙。もっとぶっとんだファンタジーにしちゃえばいいのに、そうなっていない。

やっぱりなんか、中途半端な感じ。


新井輝 "DEAR" 「少女がくれた木曜日」

いわゆる、「同じ日を何度も過ごす」系のゲームっぽい話。たまたま死んでしまった少年が、その死んでしまった日を、3回繰り返すうちに、なぜ死んだのか、殺した犯人は誰なのか、っていうのを、といていくうちに、最終的にいままであんまり気にしていなかった女の子と仲良くなっちゃうっていう、ありがちなもの。

うーん、こういうのが許されるなら、いっそのこと、やっぱり、ノベル系ゲームの展開そのものを組み込むようなことも可能なんではないか、っていうか、ならゲームにしちゃえ!みたいな感じもします。これもまたミステリーの一種なのか、、。だったら、やっぱり、ゲームのほうでの、この手の作品のほうが、できが良いと思う。まあ、「まあまあの作品」っていう感じ。

新井輝 "DEAR2" 「あの娘を信じる金曜日」

まあ、基本的には前作と同じで、事件がおこって、死んでしまった主人公が、その事件の起こった日をやり直すことで、事件解決するっていうノベルゲーム的な感じのものです。ただ、やっぱりなんか不自然だなーっていう感じがしますね。ゲームとしてやったら、絶対につまらないゲームになりそうな気がする。すくなくとも、名作ノベル系ゲームほどの面白さはないでしょう。まあ、前作よりは多少よいかも、っていうことで。

新井輝 "DEAR3" 「二人で見つめる土曜日」

えっと本質的には、同じでして、それにしても、よく死ぬ主人公だこと、と思うんですが、今回は、例によって3回繰り返して、の中で、ひねりが2発。一つは、主人公と、もう一人、幼なじみ系の千尋が、一緒にトーカのところに呼び出されること。それから、一回目のプレイの段階で、男女入れ替わりというおかしな現象があること、ですね。それと、とにかく、たくさん人が死ぬ。もう大量に、どんどん死んで、というパターンです。どっか変な感じはしますが。

さて、基本的なストーリーの感じとしては、あの、チュンソフトの名作「かまいたちの夜」の雰囲気そのもので、スキーに出かけた主人公たちが、猛吹雪の中、ペンションに閉じこめられて、その夜、一人一人死んでいく、というパターン。で、実は、っていう感じなんですけど。まあ、落ちは言わないでおきましょう。

ひねりが入ったんで、一作目、二作目に比べると、変化に富んだものになって、まあ、前回までの繰り返しがまたか、と思うようなかったるさはなくなりました。まあ、そこそこいける部類だと思います。

新井輝 "DEAR4" 「貴方に言えない日曜日」

うーん、なんかもうかなり飽きてきたっていうか、話不自然だし。そもそも、殺人事件なんてものを本格的に想定していないのに、かならず三人しなないといけないので、その三人も死ぬのが、なんつうか、事故ってことで、でも犯人がいるっていうか、やりたいことはわかるけど、ふつうあんなんで、殺すかぁ?うーん、なんかやっぱり不自然きわまりないので、これが、次また、「こうしてそのまま月曜日」「やっぱりもどって火曜日」「これで終わりだ水曜日」とかいう形で、なんとなく、あと三作品は出そうですけど、どーなのかなー。うーん、そろそろやめたほうが、、、、。

新井輝 "DEAR Diary1" 「寝起きの悪い定休日」

さて、これまでDEARシリーズについては、つねに、なんだかなー、という感想があったのですが、今回の短編集は、ミステリー要素がほとんどないだけに、逆に、うまい味がでているというか、結局、前回の新井作品は、下の、ROOM No. 1301 ですが、これと同様に、青春の、、みたいな内容を結構それなりにうまくいっている。つまり、青春のどうのこうのというような愛とか、クラスメートとの葛藤とか、そういうのについては、この作者さん、かなりうまい。ところが、その比較的普通の日常に、事件性のあるミステリーを持ち込もうとすると、恋愛シミュレーションゲームのできそこないみたいなそういう作品になってしまうというわけですね。で、しかも、DEARシリーズではかならず、設定上、つまり、トーカが登場するためには、主人公が死なないといけないので、どうってことない恋とかクラスメートとかそういう中に、殺人事件を持ち込む必要がでてくるので、それで無理が来る。だから、トーカが普通に、夜の夢の中くらいにでてくるようにすれば、恋とか、愛とかクラスメートがどうのこうのというようなものにも、かるーくDEARな設定を組み込むこともできるんでは、と思うんですがね。

電撃のほうの、Missing なんかもそうですが、高校生の生活の中に殺人事件をいれようと思うと、高校生のほうにも、かなりすごい特殊な状況設定、つまり、とてつもない性格の主人公とか、むちゃくちゃきつい感じで男勝りな女生徒とか、そういうのをいれないといけない。それなりにおどろおどろしい作品にしないとバランスが悪い。そこを日常にしてやると、うーん、難しい。だから、DEARはこんな感じで、かるくミステリーにしたほうがよいのでは、と思うです。

新井輝 "おとなりさんはアーティスティック!?" 「ROOM NO. 1301」

上で、そろそろやめたほうが、と思ったのですが、新シリーズになってしまいました。うーん。それがね、これまでの、DEAR よりも、なんかいいんですよ。雰囲気がなんかとってもよい。ゲームシナリオならば、自主規制な内容が豊富ですし、これが健全なるティーンズ向けの内容とも思えませんが、まあ、なんか、これまでDEARでは、だせなかった、独特の要素がいろいろ入っています。もっとも、今後どういうストーリーに発展するかわかりません。なんか、多少なりとも、っていうか、DEARとの流れからは予測できないくらいに、おもしろいんじゃあないかと期待させる要素があっちこっちにあります。よくある、存在しないはずの空間にあるマンションの住人になってしまった主人公の男子高校生と、そのおとなりさんである天然系なのかなんだかわからないアートな年上の女性、そして、、。1冊めはまだまだストーリーの始まりの部分ですから、今後どういう形で発展するのかわかりませんが、おもしろいかも、、しれない。

新井輝 "同居人は×××ホリック?" 「ROOM NO. 1301 #2」

さて、このシリーズの二作目ですが、一作目と変わらず、どこがミステリーなのかっていうのがよくわからないながらも、結局、出てくる人たち、とくに、13階の住人がみなミステリアスな人たちなんだな、ということでいいんじゃあないでしょうか。比較的雰囲気としては面白い路線です。富士見ミステリー文庫にあるのがどうかしているのですが、まあ、どっちかっていうと、電撃文庫系なのかと思いますが、まあ、そんなところで。今後、ますます変な人たちが、13階に住み着くことになるんでしょうが、DEAR よりは面白いと思います。新井さんは、こういう作品がうまいのかも。

新井輝 "同居人はロマンティック?" 「ROOM NO. 1301 #3」

読みました。もちろん、これもミステリーではありませんが、帯にあからさまに LOVE とかかかれているなら、まあ、これが本道ってことになるんでは、っていうことで、いいでしょう。あつかっている話はかなりやばい系ではあります。まあ、今の若い人にはどってことないのかもしれませんが、一応、富士見ミステリー全部読んでいる私としては、一番とがってあやしい系かとは思います。結局のところ、これは、13階がどうでもいいことであって、これと同じような状況っていうのは、別に現実的な世界でも起こり得るのであって、そういうことかな。

表現そのもの、若干不自然さはありますが、これもねらっている系統なので、いいでしょう。うーん、これはかなり面白いかもしれません。DEAR と比べて、たしかにテイストは変わっていないが、無理にミステリーにしなければ、こういう調子になる。で、まあ、見ようによっては、出てくる人物がみんなミステリアスというのもあるから、だから、ミステリーだ、というのなら、それでいいかも。

次回は、男装の双子姉妹編らしいので、また、これも13階の住人になるのでしょうか?


新城カズマ "浪漫探偵・朱月宵三朗" 「屍天使学院は水没せり」

うーん、のっけから感動。感動っていうか、なんていうか、心が動いたなーというか。その雰囲気、その文体、登場人物の言動。ミステリーとしての設定そのものがどうのこうのはよいとして(こっちはあんまりって感じもするが)、時代設定をちゃんと21世紀の今日的としつつ、その中に、明治とも大正とも昭和初期ともつかないなんともいえない世界を演出。いちいちラテン語のルビがふってあるあたりもなかなかすごい。

まあ、はっきりいって、オタクな作品。それもむちゃくちゃ濃いオタク向け。ようするに、ファンタジー系のRPGやったら、それにあきたらず、ついつい中世ヨーロッパの歴史に関する本をだーっと数十冊読んでしまったり、そこに出てきた語彙がラテン語としれば、ラテン語文法の本やら辞書を買い込んだり、そういうことまでやってしまうような人だったら、「をををを!これは!」といいたくなるような内容。ストーリーの進展もテンポがよく、ミステリーな部分もまあなかなか。ファンタジーなのか、現実的な話なのか、そのどっちでもないのか、よくわからない微妙なところをついている、っていうのもグッド。これ、すごいんじゃないのかなー。

新城カズマ "浪漫探偵・朱月宵三朗2" 「無謬邸は暁に消ゆ」

いやあ、二作めはまたもっとすごい。話のテンポもよいし、またレトリックも最高で、さらに宵三郎言うところの「論理的であるかが重要」ななぞめいた事件もこれまたすごい。常識がぶっとんでいる作品ですね。このシリーズを読んだことから、新城カズマ作品は、いろいろ読んでみたんですが、やっぱりこのシリーズがぶっちぎりですばらしい。 前回は、持明院一族の話でして、かなり幻想的なものでしたが、今回は、大覚寺の一族の呪われた罰なき罪という題材でしょうか。

まあ、とにかく、これは、私的には、富士見ミステリー文庫というものの一つの存在意義にもなるような作品であろうと思いますので、是非是非読んでみてください。


マツノダイスケ "エンジェル・ダスト"「天使が降ってきた夏」

うーむ、死後の世界とインターネットがつながっちゃって、という話。ありそうななさそうな、まあ、こういう展開になっていくことは、最初にあんまりわからないし、また、なんか、犯人がだれなのか、結構わかりにくくしているところも結構ミステリー的にはよくできていますけどね。

バーチャルな世界とかそういう意味で、なんつうか、ちょっと違うなーとは思うわけだけど、それに、この作者、ネットワークの仕組みよくわかってないみたいだから、その意味でもちょっとなんだけど、結構面白いっていうか、でも、やっぱり、最後の最後は、ファンタジーだなー。まあ、結構いいとはおもいます。


吉田縁 "月光少女 アンティック・ナナ" 「満月の長い夜」

ファンタジーには違いないのだけど、結構微妙な線をつついている。時代もいろいろふっとび、そして、地方都市での生活の雰囲気も伝えているっていうか、まあ、なかなか凝った作品で、面白いです。

最初は、なんかイマイチな感じで、読む気が起こらなかったのですが、読んでみたら、うーん、結構いいじゃん、って感じ。ようするに、突然手に入ったアンティックドールが、意志をもっていて、しかも、満月の夜になると、少女に変身するっていう設定の上で、その少女に関わったことで、いろいろなミステリーに巻き込まれる主人公の話。事件そのものは、それほどオカルト的でもない、心理物なんだけど、その解決には、どこかオカルト的、幻想的なものが含まれているっていう意味で、微妙な線をつついている作品でしょう。面白いです。


吉村夜「マンイーター」

やりすぎ!まあ、そのー、ちょっとやりすぎだ。スプラッターホラー小説なんだけど、あっこまでやられると、一種のもう「はいはい、どこまでもやってください」という気になって、あとは神経鈍感になるから、最後の大虐殺シーンもどうでもよくなっちゃう。あーゆーときは、「血の匂いが、、」じゃなくて、血の中に、バニラエッセンスでもたらして、ムード作るくらいの恐さがあってもいいんじゃないのかなーとおもっちゃう。そういうほうが恐いでしょ。美意識が感じられないのですねー。くっさーいところで、くっさーい虐殺やらかして、それが恐いとかゆーんじゃなくて。その意味では、やっぱり「ブギーポップは笑わない」の最初のシーンなんて、恐いよねー。それから、マンティコアのお食事シーンはやっぱり美だよねー。そこんところ、この小説、なんも感じさせない汚いの。ヘドがでるような気持ち悪さっていうのも、やっぱり慣れちゃうしね。もっとも、映像で表現したら、、、やっぱりたんなるスプラッターでしょ。やっぱり美が欲しい。


秋田禎信 「閉鎖のシステム」

最後いったいなんだったのか、っていう感じで終る。まっくらなところに閉じ込められた人々が、その闇を恐れて、狂気に走るっていうあたりを、案外あんまり恐怖っぽくなく描いているところが良いのかも。案外おもしろい作品だと思ったけれど、、、最後はどうなったのか、誰か死んだのか?それとも、、。誰が犯人なのか、そういうのがなんかわからない。

結局なんにもなかった事故だったのか、事件だったのか、そういうのを問答しながら最後まで進むストーリー。

ところで、この作家さん、どうやら喫煙しないみたいです。喫煙者なら、真っ暗なところで、かならずライターをつかいますからねー、っていうかそういう発想がかならず起こるものです。。携帯電話の表示パネルのランプよりは明るいと思うし。私なんか、家でブレーカー落したりしたときは、いつも、ライターでなんとかしています。海中電灯ないし。


伊吹秀明「黄金の血脈」

これが、実は、富士見ミステリーで最初に読んだもの。まあ、なかなかそれっぽくて、いかにもな系統で、ありがちで、標準的な作品。トリック云々もまあ、ツキナミってところか。まあ、この作品のレベルが、この程度だったので、富士見ミステリーもそれなりに楽しめるのではないか、と思った程度の作品。エンジェルリンクス書いている人だよね。あっちはあっちで、それなりに面白いけど。


柘植めぐみ "ミステリアス・キャッツ1" 「にゃあ!にゃあ!にゃあ!」

猫耳系少女の話ってあんまし好きじゃあないのですよ。なぜに猫耳?とか思うことが多くて、だから、この小説は、まさか、「富士見ミステリー全部!」とか思わない限りにおいては、絶対に手を出さないものだったはずなんですが、、が、、が、、。

読んでみたら面白かったです。それに、ミステリー的にも十分。かなり軽いノリのようでいて、実際は殺人事件や誘拐事件が起こったり、それを猫たちが解決するっていう話ですが、、、主人公君、人間に戻れるのだろうか、、。最初に出てきた保険所のねーちゃん、また登場して欲しいですね。最初いきなりあれもんで出てきて、そのあとパッタリじゃあ、面白くない。

柘植めぐみ "ミステリアス・キャッツ2" 「みゃお!みゃお!みゃお!」

さて、話そのものは、前回同様、事件が起こって、その事件を、猫になってしまったユーイチが、人間時代の知識を駆使して、解決(するために、手助け)するというもの。今回は、名前を偽っての殺人をした(らしい)女性を追い詰めるというものでした。

トリックもなかなか面白いし、前回同様、猫の視点と、人間の視点の両者が交錯しつつ、ってあたりも面白く、質的にみても、ミステリーとしても、なかなか面白い作品になっています。これからも、このシリーズ続けて欲しいのですが、でも、なんとなく、そろそろユーイチを人間にしてあげたい気もするし、、。

いっそのことどうでしょう、人間に戻ったユーイチが、猫の間の事件を猫であるときの経験をいかして解決するっていうのは。


紙谷龍生 "超探偵ハヤブサ" 「隼は舞い降りた」

うーむ、なんというか、なんともいえない作品ですね。イラストが、「あらいずみるい」さんでしょ。なんとなく、スレイヤーズ入っているって感じがする。ガングロ愛ちゃん、結構かわいいかも。

ミステリー作家が、世界の探偵を一同に集めてパーティ。そこに紛れ込んだ、名探偵の娘と弟子。やがて、世界の探偵たちは、そえぞれが宿敵としていた犯罪者たちと闘うことになる、それも、絶海の孤島で、、。

設定には無理があるけれど、まあ、ジュラシックパークみたいなもんでしょうか。こういうしょーもないミステリーもまたミステリーなのだろうか。っていう感じがする作品。まあ、そこそこ面白いです。あっても良い作品。どっちかっていうとアクションものというべきかな。


村瀬継弥 "着流し探偵事件帖" 「青空の下の密室」

たんたんとした、たんたんとしたたんたんとしたミステリー。焦点がさだまっていないようなところがあるので、たんたんとしているっていうか、テンポは悪くないが、ストーリーがたんたんとたんたんと進む。最初の事件が自殺かぁ。うーむ、なんだかなー。

まあ、第一作めはこんなところなのか、次の作品もたんたんとたんたんと進むものなのか。よくわかりませんが、なんともたんたんとした作品でした。絵の中の美樹ちゃん、かわいいと思うけど。

村瀬継弥 "着流し探偵事件帖" 「白いブランコの鎮魂曲」

うーん、煮え切らない作品だー。ってことで、あいかわらず、描写がたんたんと、たんたんと、たんたんと、たんたんとしたものでした。主人公も煮え切らないし、活躍するべき人間たちも、なんつうか、覇気が感じられないっていうか。

結局のところ、密室殺人とかアリバイがどうのとか、そういう感じのいわゆるミステリーの王道をやろうとしているのはわかるんですが、設定が非常に不自然。だいたいね、壁抜けとかいうのなら、もうすこし狭いいかにも「密室」って感じのところを選ばないかなー。体育館なんつうでっかいのじゃなくて。で、そこで事件が起こる。もうあまりにもみえすいている。じゃあ、そのミステリー的要素っていう意味でおもしろいか、っていうと、最後の画鋲あたりは、ちょっとおもしろいけど、それだけだもんなー。うーん、なんかつかみが足りないし、たんたんとしすぎているし。


吉村夜「真・女神転生」

どこがミステリーなんでせうか?これは、富士見ファンタジア文庫にいれるべきものではないかとおもひますが。近未来もの。核戦争後の世界。悪魔召喚。廃虚となった東京に生きるミナシゴたちの部落。うーむ、なんだかなー。ちょうど、なんつうか、ガルフォースの地球偏だったか、そんな感じ。

これはいくらなんでも、富士見ミステリーにいれるのは強引すぎないか。そういう感じです。吉村夜さんが、ストーリーテラーとして、十分な実力があるのはわかりました。

吉村夜「真・女神転生II」 復活のジン

どこがどうミステリーなのかわからないが、前作に引き続き、です。今回は前作の主人公ジンが、輪廻転生的に天性して、同じ名前の少年の中で、昔の記憶がよみがえり、という作品。ところが、本人、一度死んだものだから、その死の恐怖から、勇気をもって戦えない、っていうあたりで、試練の時を迎える、っていう感じなので、なんとなく、スターウォーズの帝国の逆襲っぽい感じがするんだけど、必死な復活が、話があんまりたんたんとぽんぽん進むので、どうも話簡単すぎな感じがしてしまって。まあ、いいのかな。

吉村夜「真・女神転生if...」 魔界のジン

どこがどうミステリーなのかわからないが、というあたりは前作と同じ。ある意味で最後のほうは、痛快な部分があるんでしょうが、どういうわけか上滑りな印象があって、今回の雰囲気、前作と同じく、なんか話が簡単すぎで、イマイチ。展開はそれなりにおもしろいし、それに、いまどきの高校生の実はたくましくなかなかなところを描いているように見えて、どうも、話がとんとん進みすぎるのがいけないんでしょうか。 いや、それなりに、苦しいシーンとか大変そうなシーンとかそういうのは書かれているのですが、なんだかな。やっぱりミステリーじゃあない。じゃあアクションか?っていうとそうでもない。うーん、難しいですね。イマイチ。

実弥島巧「真・女神転生 NINE」

今回は、ちょっと作家さんが変わって、まあゲームやっていないからよくわかりませんが、こういうのもまたこういうのかな、と思う作品。インターネットが本格的になって、で、当初は、だれもが、サイバースペースがどうの、っていっていて、現実世界よりもサイバースペースが重要になる、とかいう噂もあったけど、現実は、インターネットが携帯にも使えるようになって、メールだなんだ、ってことになると、逆に実世界のほうでの人間の交流が盛んになったわけだから、実世界がてきとーで、サイバースペースでばりばりな人間とかいう話は、今の時代、いまいち受けないかも。たしかに、某ゲームでサイバーな住宅がオークションにかけられる、とかいう時代にはなったものの、でも、それっていっても、実際の住宅の値段よりは、二桁も安いからね。うーん、まあ、ミステリータッチ、という点では、いままでの女神シリーズ(もちろん、この文庫の)中では、一番かも。

吉村夜「真・女神転生 III」 - NOCTURNE

再び、吉村夜作のものですが、うーん、やっぱりこの人の文章、ストーリーをおいかけるためのもの、みたいな感じで、アップテンポでどんどんストーリーが進む。それぞれのシーンの重みがない。「復活のジン」でそれを強く感じたのですが、今回はさらに強くそれを感じてしまいました。もちろん、これはミステリーでもホラーでもなく、たぶん、めがてんなんでしょう。

あざの耕平・甲斐透・吉村夜・五代ゆう "真・女神転生 III- NOCTURNE" 「アンソロジー」

えっと、ゲーム本編おもしろいかも、と思ってみたりしますが、今は閑がないしー。で、まあ、だいたいの雰囲気はわかったので、電撃文庫のほうも見てみるか、っていう気もしますが、アンソロジー、うーん、これって、まあ、富士見ファンタジアな作品なのかも、って思うけど、ようするに、富士見ミステリー文庫とファンタジア文庫の違いは、雰囲気がどれだけ暗いか、なのかもしれませんね。まあ、そんなところです。


大迫純一 "デストラクターXIII 1" 「黒き魔像の契約者」

いや、その、アクションとしてはかなり面白いのかもしれません。最後どうなるか、って結構面白い展開だったし、なかなかいけていると思います。もう一つ捻りが欲しいし、また、秘密兵器そのものは無理があるような気がして。

私はなんだかんだいって、変身ものは、「どういう科学技術があっても不可能」って思うので、そういう意味では、結構点数低いですが、純粋に、変身アクションもの、、っていう観点では、まあいけているということです。

大迫純一 "デストラクターXIII 2" 「白き流聖の追撃者」

あれ、話が終わってしまったではないですか。これで終わりか?なんか、敵が11人だかいるようなことが、一作目にあったので、えんえんと毎回一人二人ずつたおして、少なくとも3話か4話は続くのか、とおもっていたんですが、現れた白き仮面の、っていうのが、なんと、残りを全部倒してくれちゃったんで、主人公たちは、棚ぼた的に、苦労せずして、大団円を迎えました。ただし、ラスボスは、かなりおもしろい展開ではあったんですがね。

うーん、どんなものでしょうか、もう二、三話あっても良さそうに思うんですが、ちょっとあっさり終わってしまいました。今回は、アクション性もちょっと前回ほどではないし、うーん、もうすこし粘ってほしかったです。


ゆうきりん "聖ウィンチェスター学園の魔女たち" 「銀の逢魔ヶ刻探偵団」

あはははは、最後まで読んで、「あー、そういう話なのねー」で面白いですね。最初のほうからすると、どんどんどろどろ、すごい話になりそうで、最後は、「がーん、そういうこと」で終ってしまう、あっけなさ。そのあっけない終りにいくまでの間のいろいろな設定、大げさなふりまわしかた、このあたりは、「バカ系ミステリー」としてはよくできています。

やっぱり、こういう話は、最初のほうで、どんどん「おー、すごいぞー」とか「そうくるかー」とかおもって、どんどん話を発散させつつ、最後にガクッときて、のけぞるのがよいかと思います。三人の少女たち、結構かわいいですしね。


金巻兼一 "硝子ノ音色1" 「蒼い波紋のラプソディ」

また登場の、なんでミステリーなのかわからないシリーズなのかと。今回だけでなくてシリーズで続くそうです。それでも、「なばかり」なんかの場合は一応ミステリーものともよべなくもないものを、短編の中に一話だけ入れているのですが、今回は、うーん、たしかに事件は起こるし、事件は解決するのですが、そうそう、探偵さんが出てこない。たんてーさん。世界としては、やくざさんもいるわ、ストリッパーさんもいるわ、な下町風の中で、高校生なのに毎日酒ばっかりのんで(のまされて)いる少年の話、っていうんでしょうか。音響をつくる仕事(バイトで)をやっている少年で、幼なじみの金髪ハーフの女優志望の少女とかも登場。設定がものすごく私の知らない世界なので、どういう感じなのか今一つかめないっていうか。


六道慧 "風水探偵タケル" 「陰陽のかごめ歌」

風水でいろいろなことをアルバイトとしてやっている大正時代の学生の話で、どうやら探偵しておいつめる敵は、最後には魔物ってことになるらしいのだが、カゴメ歌がどうのこうのっていうのは、たしか邪馬台国論争にからめて本が一冊でていたようだから、それをベースに作った話じゃあないかと思いますが、その元ネタの本は読んでないので、よくわかりません。あっちこっちで、少女たち学生たちが行方不明になるっていう事件で、その行方不明者の干支がどうのこうのというあたりが陰陽道なのでせうか。まあまあの感じかな。

六道慧 "風水探偵タケル" 「水魔の都」

さて、これもシリーズ第二話ってことで、話としては、前回同様。でも、読んでいて、なんかあんまりスムースではない話の展開っていうのがあるんですよねー。もうすこしなんとかならないかって。結局、妖怪的なものがミステリーなんでしょ。だったら、最近私がはまっている、妖魔夜行とかってすごいよくできていることが多いな。

それにしても、歴史上の英雄にして、現皇室の直接の祖先ということになっている(名目上ではあるが)南北朝時代の南朝を鬼の一族として扱うっていうあたりは結構大胆です。南朝方の武将っていうのも、一応、その英雄ばっかりですね。北朝方が一般的には、逆賊とされている。南朝は正当だというのが、足利義満のだした妥協案でこれで、南朝方も一応納得して、旧北朝方に政権を渡して、そこで、南北朝合一っていうことになったんだけど。逆にしたっていうことですかね。大胆。まあ、だんだんと世の中タブーがなくなってきたんだとは思いますけど。

まあ、基本的には、まあ、あんまり期待していなかったんですが、その程度だったように思います。

六道慧 "風水探偵タケル" 「四三の外法」

うーん、なんか、なんだろうなぁ、その作者があんまり消化していない、取材したての知識を組み込んだ感じで、なんかどうもがさつな印象があります。それと、このシリーズ、全体として、最初から風水にからんだ事件っていうのがどうも。

事件が起こるでしょ。で、その事件はタケルは最初から、風水にからんだ超常現象として事件に対処していくわけですね。だから、当然のことながら、敵は悪霊っていうか怨霊っていうか、そういうのでしょ。最初からそうだということにして、最初から。

なんか違うように思う。

事件は、最初っから、そういう超常現象だってことになっていたら、なんかつまらないっていうか。普通の事件のごとくであるのに、風水的意味合いが見えるので、調べてみると、みたいな感じで迫ったほうが、おもしろいんじゃあないですかね。違うかな。

なんか、しばらくお休みだそうですが、うーん、やっぱり人気が今一だったのでしょうか。


冴木忍 「夢幻万華鏡」

うーん、さすが冴木って感じがする作品。まあ、この人、可もなく不可もなくというような作品が多いように思うけれど、事件がまあ複雑で、、。明治時代を舞台にした単発作品かしらん。殺人事件がつぎつぎにおいかぶさってなにがなにやらわからないような状況にまで追い込まれるんだけれど、筋はちゃんとおっかけられるあたりがなかなか絶妙。かなり明治的なものもしっかりやっていて、読んでいると、その時代に入り込むような感じがするあたりもさすが。この冴木忍作品っていえば、富士見ファンタジアのファンタジーが大量にあるんですが、こういう明治期などの時代ものも結構いけるんですね。これはなかなかの傑作。

冴木忍 「夢幻万華鏡2」"うつろふ花蔭"

うーん、いいですね。今度は横浜。さすが冴木忍様。そつなく複雑なストーリーをまとめています。冴木さんてば、女性だったんですね。なんかいままでそうとは思わず。うーん。横浜って昔住んでいたから、それなりに思い入れがあるんで、今回は横浜の明治のころの、っていう、まあ、横浜は明治に生まれ、明治に栄えたところですから、それが独特にいい感じで、この作品にながれています。ミステリー性も十分、時代の雰囲気もすばらしい。そして、登場人物のもつ時代性のようなものも、違和感なくとりこまれていて、本気で、昔にトリップしたような感じになる演出もなかなか。上質です。


霞流一 "フォート探偵団ファイル" 「牙王城の殺劇」

えっと、すいません。読んでいるとき、ちょうどなぜか睡魔がおそってくる時間だったので、何度も途中で寝てしまって、夢と文章とがまざってしまいまして、なんだかまずいなーとおもいつつも、、。

なんか、トリックもすごいような、どうってことないような、物理法則はやぶっていないが、常識がおもいっきりぶっとんでいるのに、ファンタジーになりきっていないし、中途半端で、なんか変です。話のつながり方も、いまいちどうも破綻しているし、あんまりどうなのかな、って漢字の作品。

ストーリーとしては、超常現象を研究するクラブの活動と、妙な窃盗事件のようなものがからみあって、っていっても、まともな弁護士さんが子供相手にあーなるものでもないし。なんだかなー、って感じ。で、あとはひたすら、ワニ、ワニ、ワニ、ワニ、ワニ。そんだけです。


深見真 "ブロークン・フィスト"「戦う少女と残酷な少年」

富士見ミステリー大賞!って作品なで、どうなのだろうと読んでみたわけです。富士見ファンタジアでも、電撃でも、大賞作品は、一般におもしろいってことがあるんで、実際によんでみますと、、、おもしろい。おもしろいです。はい。汗臭い女の子たちの話ですが、おもしろいです。

まあ、で、活躍するのは、実際には、少女のほうじゃあなくて、残酷な少年のほうなのかもしれませんが、ミステリー的にもよくできているし、また、アクションもすごいという、まあ、その大賞をとった理由そのものが感想っていうのもなんですが。

ただ、犯人は、なんとなくわかっちゃうのですね。あー、そー、かー、みたいな感じで。それがわからないともう少しおもしろいのですが。でも、まあ、よく書いてあると思う。まだまだ、全体のなめらかさがないし、がさがさしています。秋口ぎぐる作品のように、がさがさ、ごきごきというストーリー展開を売りにするようなわけでもなさそうなので、その意味では、もうすこし、なめらかなストーリー展開があってよいのかも。表現の問題かも。まあ、今後、どんな作品が出てくるのかなーとちょっと楽しみかもしれませんが、ただ、私の趣味系ではないと思うし。

深見真 "ブロークン・フィスト2"「傷だらけの遠い明日」

はい。新人作家さんの二作め、ってどういう具合?ってことなんですが、かなり質の高い作品ではないかと思います。まあ、設定やら事件の内容そのものは、ちょっとなんですが、まあ、でも、ミステリー的な部分も、そしてアクション部分も、なかなかよくできていて、謎もまた謎ってことで、おもしろい。で、例によって、二作目に入ると、敵するものの組織が見えてくると同時に、主人公っていうか、発狂するヒーローの過去も語られ、、。パターンはいつも通りです。戦国時代が現代によみがえったかのような、いろいろな古武術の流派が、いまだに隠れて、うーん、そういうものなのかぁ?とはいえ、そのあたりも、さりげないところが、グッド。よくできているんじゃないでしょうか。二作目としては、佳作の部類です。

深見真 "ブロークン・フィスト3"「風に躍る宿命の調べ」

富士見ミステリーの大賞受賞の作家さんの三冊目です。うーん、ますますすごい格闘技技が出てくると同時に、これまで、一応の普通の女の子の枠の中に入っていた主人公の明楽が、どんどん超人になりつつあり、また、物理法則もだんだんと壊れつつある、なんつうか、かなりファンタジー的になってきましたです。格闘もの、といいつつ、その基本は、密室殺人、というあたり、そして、そこに格闘のすごい技が絡むという基本スタンスは変わっていませんが、うーん、でも、あんまりそのすごい格闘技だけで、事件が、っていうのはなんだかなーと思うけれど、まあ、ここらで、一つ、ちょっと発展があれば、と思うんですけどねー。次作に期待かな。

深見真 "探偵王女フジコ"「ペイガン・ゴッドの白狼」

さて、まずは、がんがん批判モード!この作品、これまで高校生の格闘もの、っていうジャンルで進んできた深見作品が、がらっとかわって、格闘美王女探偵?っていうジャンルで、しかも、架空とはいえ、東ヨーロッパの王国の、って話になっていて、その格闘美王女探偵が、田舎育ちの眼鏡っ娘と探偵事務所ひらいていて、という作品でして、うん、まあ、その設定にとやかくいうつもりはないし、ストーリーは随所で破綻しているとはいえ、まあいいでしょう。その破綻については後で書きますが、、。

しかーし、とにかく、東ヨーロッパっていうのがなんなのか?ってことです。たしかに、東ヨーロッパは、日本人にとっては、なじみのある西ヨーロッパとは違って、魔法とか魔術とかそういうのがうようよしているイメージはある。吸血鬼といえば、ルーマニアとか、あのあたりだし、とにかく、怪しい話が多いのですから、東ヨーロッパを舞台にっていうのは、まあ、いいが、だったら、もうすこし設定を東ヨーロッパらしくせい!

まず、東ヨーロッパとは、っていうと、基本的には、民族としては、スラブ系、あるいは、ルーマニア人やモルだビア人(ほとんど一緒だが)などのダコ・ロマン人系、つまり、ローマ時代のダキア地方の人々で、一応、ラテン語の方言の発達した言語をしゃべっているような人々、それと、アジア系のマジャール人が中心となって本来のヨーロッパ系ではないといわれるハンガリー人(もともとハンガリーのハンとはローマ時代末にやってきたフン族のことで、その人々の地域という意味だが、マジャール人そのものとの関係はあんまりないので)、それと、ギリシア系住民や、そういう人たちの多く住むのが、東ヨーロッパです。ところが、東ヨーロッパは、近代にはいってからは、ドイツ系の影響をかなりうけたこともあって、ドイツ系の人々が住む都市などもかなりあり、実際、そういう意味で、ポーランドやロシアの中にも、あるいはウクライナとかそういうところにも、ドイツ系の人々の住む、小国を想定するのも可能なので、無難なところでは登場人物の名前や地名などを、ドイツ系にするなんていうのがよいわけで、そうじゃあなかったら、がんばってスラブ系の名前にして、っていうのがあると思います。で、そもそもヨーロッパ人の名前っていうのは、基本的にキリスト教系の本来ユダヤ人の名前であるものが、それぞれ各言語で変化した、ピーター(英語の場合。ドイツ系なら、ペーター、フランス系なら、ピエール、イタリア系ならピエロ、あるいはピエトロと、変化する)とか、メアリー(英語の場合。ドイツ系ならマリア、フランス系ならマリーとか)とかの名前の他、本来のヨーロッパ人の名前、たとえば、古代のマケドニア王国の王子から大王と呼ばれたアレクサンドロス(ギリシア語の場合。英語では、アレグザンダー、フランス語ならアレクサンドル、イタリア語ならアレッサンドロ、インドやペルシアでは、イスカンドル)みたいな名前とかで、この名前は、ギリシア語のALEX- (LEXが光のような意味で)-andros(男という意味)から、光男さんってな名前だったりしますが、それはさておき、そういう分解できるような名前がありますし、ほかにもたくさんありますが、そういうのしかない。で、それぞれの名前は、対応関係があって、ロシアの女帝エカチェリーナは、そもそもドイツ人ですが、彼女のドイツ人としての名前は、カタリーナであり、英語の歴史の教科書では、キャサリンとかかれ、フランス語ではカトリーヌと書かれるような関係。あるいは、ロシア人のミハイルは、ドイツではミヒャエルであり、フランスではミッシェルになり、イギリスやアメリカでは、マイケルになるというようなものがあります。

で、この作品に出てくる、アレクサンドなどというサンドイッチの一種みたいな名前はあり得ませんし、また、探偵助手のジェシカと言う名前は、本来のヨーロッパ人の名前としてはありえず、シェークスピア作品にのみ登場するシェークスピアの作った独自の名前ですから、イギリス人の中には多少いる名前(もちろんアメリカ人にも)ですが、ほかのヨーロッパではまずあり得ない名前です。

つうわけで、道の名前がハミルトンストリートも、英語ばりばりで、なにもかも、英語ばりばりか、あるいはあやしいあり得ない名前ばっかりだと、東ヨーロッパという雰囲気はみじんもなく、どこぞアメリカの?あるいはイギリスの?みたいな感じがするわけです。それだけで、完全に東ヨーロッパっていう雰囲気ぶちこわしで、かなり読む気がうせます。だから、ふつーのファンタジーにしておけばよいのに、って思うわけです。そこいくと、年見悟氏のファンタジア文庫の「アンジュガルディアン」なんかだと、設定がうーん、完璧に近代初期のフランスじゃん!って感じがする。そこにのめり込める。せめて、道の名前が、ペーターストラッセとかのドイツ語になっているとか、町の名前が、なんちゃらブルグとかベルグとかや、あるいはスラブ風に、なんちゃらグラードみたいになっていたりすると、雰囲気でるんだけど。

まあ、多少日本人の格闘家などを出したいという感じからしますと、東ヨーロッパという設定にしたければ、オーストリア・ハンガリー帝国系の小公国を舞台にして、住民はドイツ系で、日本とも関係があり、っていうと、なにやらクーデンホーフ・カレルギーじゃあありませんが、いけると思うんですね。いまでも、リヒテンシュタインみたいな国はありますし。

つうことで、設定やりなおして、もっとらしい雰囲気ただよわせてほしい!あとはまあとくにいうことは、、ってば、えっと、無線機。今の携帯がどこでも通じるのは、中継器があるから。クルマで何時間も移動するような先で無線機が通じるには、中継器がないと、猫が電子レンジにはいったみたいにゆだってしまいます。本当にあったまっちゃう。

うーん、やっぱり、ルーク&レイリアみたく、ファンタジーにすれば無理なくていいんじゃあないかと思うんだが。まあ、ファンタジーなんだけど。

ストーリーなどは、そこそこおもしろい設定になっていると思うし、まあ、いいでしょう。メインの主人公の名前は変更できなくても、次回作品からは、固有名詞、もっとまじめに考えること。

で、しょーじき、富士見ミステリー文庫の編集部に、こういう固有名詞のサポートのための史料とか、そういうのをあつめておくとのちのちらしい作品が出てくるようになると思うんですよ。山川の歴史年表くらいでいいんだし。

深見真 "探偵王女フジコ2"「バトル・オブ・銃器城」

はい。まあ、ミステリーとしても、うーん、なんだかな、という感じで、アクションなら肉弾系アクションなのかとおもいきや、今度は、ピストルばんばんで、まあそれはいいですが、うーん、まあ、前回書いた問題は、まだそのままで、ますます、イギリスな名前の人ばっかり。なんか、違うと思うな。うーん。まあ、いいけど。

名前について、最低限、山川の歴史年表くらい、ということを書きましたが、もっとそれ以前に、たとえば、キャロラインなんていう名前をみたら、どうなるかっていうあたり、そのあたりを考えてほしいですね。これをカロリーナとか、そういうのにすると、ぜんぜんイメージ違うんだけど。i の長い発音を、[ai] で発音するのは、英語だけ、といっていいわけで、そういうのを、他のヨーロッパで持ち込むないって思うんです。

で、もし、全部英語でやるなら、それはそれでいいのです。ロシアの女帝を、キャサリン女帝といってしまうようなものもあり得る。英語の書籍ではそういう変換をしてしまうから、ドイツ人のミヒャエルなら、マイケルにしてしまうわけだし、ロベルトなら、ロバートにしてしまう、とかいうようなそういう変換で、全部英語式にするなら、それはそれで統一すればよろしい。通りの名前もなにもかも、そうやれば、それでいいのですが、まざっていたら、なんだかわからないじゃあないですか。たんなるでたらめの小説になってしまう。水城氏の作品の中にOHPが登場するのも変だけど、これはまあ、多少の時代錯誤みたいなもので済みますが、うーん、こっちはしゃれになりません。

いや、実際のところ、多くの若い作家さんの作品を読んでいて、いつも、その時代設定とか時代背景とかの把握と、すくなくとも、ある程度の知識をもった読者に対しても、十分な説得力のある設定をやっている作家さんが多いので、結構すごいと思うんですよ。私なんか、邪馬台国な小説書こうと思って、その時代の考古学の成果とか、いろいろ知っているし、本も大量に読んだけど、でも、その時代らしさの演出のための小道具の使い方全然わからないし、また、その時代の中国のことなんかももっと深く勉強しなくちゃいけないな、と思うことも多いのですが、こういうのをかなりみなさんきちんとやっていると思うし、そういうことができるのが、プロの作家だと思います。それができないなら、完全なファンタジーでそれこそ完全にオリジナルの世界を作ればいいと思う。スレイヤーズなんてそれで成功していると思うし。

でもねー、深見さん、ちょっとやっぱり勉強たりないと思う。格闘と銃器の知識はあるんだろうから、それ以外のところで、もっと勉強しないと、やっぱりプロの作家としてはちょいといただけない、以前の問題かも。だって、ほとんどの人、その作品の中の時代設定とか、そういうのについて、必死で取材とかするんだし、そういう要素をいれてほしい。とりあえず、このフジコシリーズは、いったんやめて、もう一度やりなおしたほうが、よいのではないかと思えるくらいです。

深見真 「パズルアウト」

今回の深見作品は、現代ものでファンタジックな設定による、ということで、特殊能力をもつ少年にして、特殊な資格をもつという主人公と、その周囲にいるちょっと精神的に病んだ少女が、心理的な敵と戦うというようなもので、結局、深見作品は最後は格闘ものになるんですが、格闘も心理的格闘を扱おうとして、ビジュアルな心理的な戦いの姿を見せるというあたりでしょうか。まあ、この種の作品はいろいろあるけど、今回はまあ設定そのものは冒険していないので、あまりほころびもなく、まあうまい感じでけっこういけていると思います。ミステリー性もかなりあるし。うん。これでいいんです。下手にフジコシリーズ続けるよりはこのほうがいいと思います。心理学の設定は「勉強しましたが、まだこなれていません」モードなのはまあしかたがないでしょう。ただ、こういうお勉強のこなれていない状態っていうのが見えないようにするのが、やっぱりプロの作家じゃあないかと思いますね。


早見祐司 "Mr. サイレント"「仮想世界の優しい奇跡」

ふむ、早見さんがどういう作品をかくのかなーと思ったのですが、なるほど、そうきましたかぁ、という感じの作品。幻想小説系を主に目指している早見さんですが、今回は、なんともミステリィな作品というか、とりたてて大きな事件もなく、なんですが、、、。耳は聞こえるが、言葉がしゃべれない少年と、その少年のいちおー「介護」をするような立場の合コン好きな少女が、インターネットとか、いろいろな絡みで、事件を解決するというもの。短編集のようになっているので、今回は三話。まだ正体は不明で、どういう展開になるのか、ちょっとわかりませんが、、、。

早見祐司 "Mr. サイレント2"「自立世界の愛しい未来」

さて、上に書いたように、あまり印象なさげで、どってことない作品というと失礼かもしれませんが、まあ、普通の作品で、ちょっとおもしろいところに目をつけた、という感じだったんですが、二作目も、そういう意味では地味なんですが、でも、なんか独特にいいぞ、っていう感じ。今回も三話構成。深刻なのは、一話だけかとおもいきや、二話もそれなりに深刻で。で、二話、三話については、ある程度最後にどんでん返しが来るあたりもちゃんと押さえています。うーん、目の付け所が地味だけど、ちょっといい感じな作品になりそうです。やっぱり早見さんのテイストかもしれない。

早見祐司 "Mr. サイレント3"「夢現世界の熱い予感」

えっと、今回は短編じゃあなくて、本編一本だけ。なのですが、実際のところには、二つ以上、いや、三つか四つの話が一本の話の中にまざっていまして、ミステリー的には、それらのからみで複雑なようで、実はストーリーとしては、油と水をまぜたみたいで、互いの事件がからむこともなく、、、。で、ちょっとなんだかなーという要素があるんですが、まあ、このシリーズはこういう調子なんでしょう。全体をとおした流れのような裏の世界の話も見え隠れしてきました。今後どうなるのかな。

早見祐司 "Mr. サイレント4"「心像世界の幸せな景色」

今回は、三話構成。それぞれが、これまでの路線で、まあ、そつなくまとまっている感じです。中で、小説家の人に語らせている内容は同感。小説はいかにきちんとしているべきか、ファンタジーだって、デタラメの設定じゃああかん、というあたりは全く同感。同感ですぞ、、。っていう意味では、早見氏の作品もちゃんとそこはまもっていると思います。不自然な点がないわけではないが。なんか、例のオダギリジョー似の、っていうへんなのによる裏の話が流れているようですが、それ、なくてもこのままほのぼのと進むっていうのでよさげな気もしますが、シリーズっていうのはそういうわけにはいかないのでしょうか。

早見祐司 "Mr. サイレント5"「愛情世界の聖なる希望」

さて、なんと、このシリーズ最終巻だったそうです。知らなかった。で、目次的には、四話形式。で、最初はちょっと知り合った女子高生の飼っている犬にまつわる話で、次は、真理香の過去の先輩との淡い初恋の話、ときて、最後はいきなりいままでの話の総括と言う感じですね。で、前編後編で二話。まあ、本編として基本的にはこの最後の二話で終わりということになるんですが、うーん、あっけないかも。まあ、本当に悪いやつはここまであからさまに悪いことはしないものだ、っていうのがあったから、米国のウォーターゲート事件はとっても驚いたのだが、、あ、古い話ですね。今回も、化学メーカー大手の社長が実は黒幕、っていう話なんで。まあ、たんたんときたこのシリーズの終わりかたとしては、かなりすごかったかも。最後はおお、という感じで終わりましたが、これもまた、このシリーズとしては、自然かな。まとにかく、早見氏らしい作品。次はもうすこし幻想的な方向でやっていただきたいかも、、。


三田誠 「アンダーヘヴン -Ryo-」"翼の境界線"

未来というべきか、地上が荒廃して、地下に人が住むようになった時代の少年の活躍っていうのでしょうか。孤児の少年が、、っていうありがちな設定なんですが、その、いわゆるアイザック・アシモフのロボットシリーズでは、ロボット三原則っていうのがありまして、今回は、天使三原則なんていうのが出てきます。こういうなんつうか、原則が確定しているという制約の中で、ミステリーっていうのは、なんつうかどうなんでしょうねぇ?わかりませんが、ストーリーとしてはまあおもしろかったと思います。


太田忠司 「レンテンローズ」

事件はふつうに起こって、そして、その事件のあと、事件がどういういきさつで起こったのか、そして、だれがその犯人なのか、を次第に解いていき、やがて、その事件の結果となった世界に、一つの解決をもたらす、というのが基本的なスタンスですかね。そこで、事件の被害者あるいは巻き込まれた人間は、事件が起こっていく過程の中で、レンテンローズという名前の花屋と関わりをもつ。そこには、人語をはなすオウムがいて、気さくな花屋の主人がいて、そこで、お茶をごちそうになる。やがて、全部の事件が終わって、謎だだらけの中で、その花屋とかかわった主人公は、事件の謎にせまり、そして、登場した正体不明の人物によって、世の中が正される、というわけです。最後の部分は、超自然的な話になりますが、そこにいたるまでの謎解きなどの部分には、超自然な要素はほとんどなく、ミステリーになっています。おもしろいけど、ちょっとインパクトに欠けるかも。

太田忠司 "レンテンローズ" 「笑う月」

うーん、なるほど。ミステリーですね。たしかに。前回のほうがよりファンタジー性がありましたが、今回は最後の最後まで普通のミステリーでした。じめじめさは、かなりきていますが、乙一作品ほどすごいわけではないけれど、常識的な範囲では、かなりすごいっていうか。で、レンテンローズとしての二人の活躍は、まあ、その、もうすこし本編にかかわってもよさげですけど。まあいいか。今後も期待します。

太田忠司 "レンテンローズ" 「囁く百合」

今回は、裏の二人の主人公の本来の姿というものを見せているのがおもしろいです。まあ、これはなくてもよろしいのですが。

今回は、最後の最後にどんでんがえしもあって、ミステリー性もかなりすごい。さすがベテランの作家さんは奥が深いっていうか。いわゆる自警団のような青年たちの活躍と、その裏の姿と、内部のどろどろと、そういうことでしょうか。いい線ついています。


日昌晶 "レブリガン・ド・レコール" 「今宵、すべての悪党たちに」

またまた新シリーズ。うーん、まあその、よくある少年探偵団ものなのか。フランス語が隋書にちりばめられていますが、それはそれとして。お宝探しっていうあたりは、どうも、「菜子シリーズ」のような要素があって、そういうものなのかもしれませんが、うーん、ちょっと全体にプロットががさつ。まとまりがないですね。ファンタジーではない現実的なものなんですが、それにしては。最後もよくわからないし。うーん、やっぱり今一かな。よくもわるくも、富士見ミステリー文庫的通常の作品って感じがします。


桜庭一樹 "B-EDGE AGE" 「獅子たちはアリスの庭で」

天才少年が学校では居眠りばかりで、テストの点はいつも赤点よりも一点だけ多い、ってなんだかよくわかりませんが、日本では普通の高校生、でも、本当は、アメリカで大学をでて、FBI に在籍していたこともあって、そして、特別弁護士の資格をもつ、っていう主人公が、幼なじみの少女の友達の兄が犯人にされてしまった殺人事件の裁判における弁護士をする、という設定。幼なじみとは、実は日本において一つの事件があって、それで彼は、アメリカでがんばったのだが、、、。

日本って陪審員制度はないから、まあ、設定からしてファンタジーではあるんですが、基本的には、超常現象を含まない系統で、一部、Dクラッカーズのような雰囲気(って、幼なじみの王女様騎士ごっことか)も多少あったりして、で、これまたどうやらロック歌手だった人が探偵をしているとか、まあ、無理な設定はいろいろあるけれど、一応、超常現象のないもの。で、ストーリーはまあ、そのそれなりに、なんだけれど、多少の中だるみな感じがするのと、ミステリーが解かれていく過程で、なんか敵のようななんていうか、羊たちの沈黙のレスターみたいなのが出てくるあたりがちょっと興ざめ的。うーん、なんか富士見ミステリー文庫の原点的で、「黄金の血脈」あたりと通じるような。まあ、標準的作品というべきかな。

桜庭一樹 "B-EDGE AGE" 「獅子たちノアの方舟で」

えっと、あ、これって平行世界な話だったんですね。いわばファンタジー。太平洋戦争後、日本がアメリカの統治のまま、米国51番目の州のような状態から、独立したのが、20世紀終わって?みたいなことだった、ってことがわかりました。で、だから、アメリカの法律がそのまま日本で有効なんだ、ってこと。で、そういう中で、本来は国際弁護士な主人公が、日本では高校生で、しかも、、、。ミステリー、サスペンスものとしては、今回の作品、前回よりは良くできていると思います。

でも、ファンタジーとして考えると、設定には大きな無理が潜んでいる?っていうか。まあ、二作め、だんだんよくなってきた、と思いますし。トリックとかもふくめて。でもって、ところで、水人格?とかいう病気は本当にあるんでしょうか?あったらおもしろい。うーん。

桜庭一樹 「GOSICK」

えっと、設定としては架空のヨーロッパの国の学校で、図書室に妙な女の子がいて、、。ところで、どう考えても、ヴィクトリカは女性の名前ですが、、、。a で終わる名前で、男性っていうのは、たぶん、特殊な言語でないとあり得ないと思いますし。そこらで、どうも納得できないのですが、このあたり、編集さんもう少ししっかりやってください。ヴィクトリオなら、まちがいなく男性です。ヴィクトリコなんて言う名前でもいいですが、これはあり得ない名前では。ヨーロッパの多くでは、名前は自由ではないのであって、日本では、漢字でかければ、「悪魔」みたいな親がしょうもないこといわない限りは、まあ普通はだいじょうぶですが、フランスあたりだと、フランスの歴史上の人物の名前と、聖人の名前(のフランス語での綴りと発音)という決まりがあるので、そういうのじゃあないと普通は却下です。とくにこの物語の設定となっている地域だと、うーん、どうだか。スイス・フランス国境ってば海ってあります?どこの海でしょう?まあ、すべて架空といえばそれでよいのですが。なんだかなー。

まあ、ストーリーそのものは普通でしょうか。今回の新刊の中では唯一この作品は、超常現象の要素が薄いのですね。それはそれでよいのかも。おどろおどろしく、妙なことをいっておいて、超常現象っぽい話にしつつ、実は違うっていうあたりはおもしろいかも。

でね、提案ですけど、フジコもそうだし、これもそうですが、ヨーロッパの架空の国とかいうのなら、富士見ミステリー文庫の中で、一つ共通の国とか作ったらどうでしょう?東欧あたりで、で、そのあたりの人たちの言語はたとえば、ルーマニア語に似た言葉で、とかにすれば、ラテン系ふうの名前で、それなりにひねりも利きます。で、その国の、舞台としては、18世紀から20世紀初頭くらいまでの歴史を一応簡単につくっておいて、で、その中に、ちょっとヨーロッパがかった話をいれこむ要素を作っておくと。そうすると、作家さんたちがあまり悩まずにきまった設定にちょっとひねりを加えて、つぎつぎとストーリーが作れるとか。まあ、多くの作家さんが、現代のちょっとかわった学園を舞台に、少年少女の話をいれているわけですから、そういう感じでやったらどうでしょうかね。

桜庭一樹 「GOSICK II」 "その罪は名もなき"

はい。今月(2004年5月)の作品は、どれも、みな小説としてよくできていた、という印象ですが、これもそうで、GOSICKの一作目よりは遙かによいです。舞台設定として、第一次世界大戦の後、みたいなものが、今回は活かされていて、それこそ現代でもリヒテンシュタインとか、そういう旧オーストリア・ハンガリー帝国の一諸侯だったようなものが国になっていたりしますので、森の奥に案外落ち武者の部落みたいなものがある、っていうのは、ありえなくもない。現代だったら無理かもしれないけれど。ヨーロッパじゃあないですが、たとえば、中国から中央アジアで大活躍だった隊商の民族、ソグド人なんて、中国では、唐の時代反乱を起こした安禄山もその一派とされるけれど、つい20年くらい前だったか、当時ソ連のタジク共和国(現在はタジキスタンかな)の山奥で、現在はヤグノブ人として暮らしていた、という話がありました。世界史の中では、すごい有名な民族だし、独自の文字をもち、しかもそれが、後の東アジアの文字にも影響を与えた(モンゴル文字や満州文字)というようなこともあって文化を伝えた民族でしたけれど、今じゃあ文字もなく、ひっそりとということだったから、まあ、この中にあるようなセイルーンなんていうのも、これは違うと思うけど、あるかもしれません。さて、犯人役のハーマイニアってば、ハリー・ポッターに登場のヒロインのハーマイオーニーを思わせる名前ですが、もちろん、このような名前はヨーロッパではあり得ません。ハーマイオニーは、ギリシア神話でヘルミオーネー(Hermione) ですね。Hermiときて、ハーマイとくるのは、英語くらいのもので、むりやり、ニアっとさせて女性名詞ふうにしていますが、まずあり得ない名前でしょう。かといって、hamainia とかいう綴りだと、フランス語なら、「アメニア」、ドイツ語だと、かろうじて、ハマイニアになるかもしれませんが、こういう綴りは普通安定していないので無理です。ヨーロッパ人の名前は何度もかいたように、基本的には、ギリシア・ローマの神話の神様、キリスト教関係でヘブライ人の名前、それ以外の各民族固有のものがいくらか、という具合にきまっています。一覧を用意して、ありそうな名前を用意しておくと、こういう小説では便利でしょう。

桜庭一樹 「GOSICK III」 "青い薔薇の下で"

今回は、ヴィクトリカが風邪でおねんね。あとは電話で事件の解決に当たるっていうか。だんだんと本格的になってきて、さらに、今回は出てくる登場人物の名前も基本的にフランス式で統一されていて、さらに、ロシア人はロシア人らしく、ってことで、合格。ストーリーも特別に破綻がなく、ただ、アナスタシアがどうやって逃げてきたか、そこがちょっと問題なのと、なぜ、そのときに馬車に乗っていたのかが疑問ですが、まあ、ほかは、列車の旅の時間感覚がわかんない以外は。うーん、なんか列車ってば、新幹線みたいに早そうな感じなのが、ちょっと。

あの時代のヨーロッパならありそうな、ミステリーってことで、まあ、最初からほとんど事件は解決しているわけですが、面白かったです。今回のが一番よかった。

桜庭一樹 「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」

かなりイタイ系統ですし、まあ、若干なんつうか今の世相を表したというか、ありそうな話ですかね。虐待された少女の物語なんでしょうか。かなり暗黒系でしょうね。でも、虐待されている少女の健気さと、それの反動としてのぶっとんだところ、これがなんか非常に痛さを増強する感じがありました。最後は結局そうなっちゃうのかね、っていう感じで終わります。まあ、最初から予告された終わり方なんだけれど。もう少し救いのある作品であってほしかったが、世の中そうばっかりじゃないのかもね。


西奥隆起 "ちけっと・2・らいど" 「カシオペアは北天に輝く」

鉄道マニア向け作品。私はそういう系統ではないので、よくわかりませんが、かなりこゆい系統のようですが。でも、夜行列車、それも豪華列車で起こる殺人事件とか、その殺人事件の犯人は、鉄道にのっていないはずで、で、犯人はどうやって他の交通機関をつかってのりついで、犯行現場(列車の客室)にいけたのか、なんていう系統のミステリーは、?曜サスペンス劇場などとかそういう感じのテレビドラマなど(いまだにビデオでないような映像のやつ)によくあるパターンですね。前にのったはずが、到着してみると、後ろのほうの客車にいた。途中で車両が前後いれかわったらしい、とかそういうのをミステリーとして使うわけです。

で、今回は、高校生のご近所どうしのペア(男女だよ)が、福引きであてた北海道への豪華鉄道旅行ってやつで、その列車の中で殺人事件が起こり、さて犯人は、ってことなんですが、犯人が登場したとたんに、「あ、これがきっと犯人ね」とか「やっぱり犯人しているから、気前がいいのかな」とか、結構わかってしまうところがちょっと。トリックそのものも、そこそこ凝っているし、レベルとしてはよいのですが、ちょっと犯人がいかにもいかにもな感じで登場してしまい、他の「犯人かもしんないやつ」を犯人らしくするところが、弱い感じかな。ま、しかし、本格的なミステリーもの、っていう点では、富士見ミステリーの原点ともいえる作品ですね。


雅孝司 "注文の多いパズル" 「夏の雪に説けたパスワード」

さて、文中の随所になにやらパズルっていうかクイズがちりばめられていて、よくわからないし、主人公の男女四人組の高校生が、ミステリー系サークルにいるはずなのに、筋肉系とか妙だし、なんか設定いまいち無理がありそうで、しかも、事件そのものは、殺人事件とかいうよりは、ちょっとあやしいアイドル芸能界ネタ、みたいな感じで、それはそれでよいとして。はい。結構このあっさり系、好きです。ちょっと非常識な設定が多いですが、まあ、こんなものでしょう。これも超常現象などなく、きわめて、科学的に、、って感じの作品。今後この調子で続くなら、それなりにおもしろい作品になるんじゃあないでしょうか。


伊藤響太郎 "フォルクローロの記憶" 「あの空に届いた約束」

うーん、わかりません。なんかとってもご都合主義な設定があって、事件が複雑に絡んでいるのはよいとしても、その絡み方がとってつけたような、ってゆーかー。うーん、本当のところ、なにを描きたいのか、おもしろくしたいのか、設定の奇抜さ?だったらもっとやりようもあるのに。

けっしてつまらない作品ではないのですが、なんか、ミステリーものって、こういうのばっかり、美人姉妹が登場して、その二人が探偵役の少年と一緒になって謎をとくうちに、実はその美人姉妹も事件に関わっていて、っぽい話って多いです。もうすこしその、いっぱつつきぬけたところないかな、って思う作品でした。


真坂たま "今夜だけ退魔少女" 「あたしの中の王子様」

えっと、まあ、これまたよくある設定の、数千年も昔から、特定の秘術を継承してきた、秘密の家柄の子女が、この家族のことを承知し、利用している政府機関と一緒に、超自然的な事件に対処し、、。

まあ、そういう設定はまあそういうものでして、で、主人公は女の子です。

短編集になっていて、最初の話で、主人公の中に、平将門が住み着いて?はあぁ?で、すごい力を発揮するようになる。で、第二話は、幽霊な話。そして、第三話は、携帯電話で悪意が連鎖する話?まあ、日常の中に潜みそうな超常現象のようななんていうか、そういうものですね。

軽いノリで、軽く軽くで、どうっていうことのないストーリーというと、やっぱり、ゆうきりんあたりの、作品のほうがどってことなくていいと思います。

正直なところ、富士見ミステリー、作品の頭数のために、いろいろな人に作品を書かせているのはよいのですが、パターンが固定化してきちゃったように思えるのですが。


年見悟 "カフェ <白銀館>物語 一" 「危険な魅惑のアロマ」

さて、年見悟といえば、富士見ファンタジア文庫の「アンジュ・ガルディアン」シリーズがありまして、一応、二つとも読んでいましたが、まだ、論評は書いていませんですね。革命よりもだいぶ前のパリってことでしたが、こっちのほうは、明治の初期。日本人がコーヒーを飲み始めたころのコーヒー屋、喫茶店を舞台にしたシリーズってことになります。で、喫茶店で?ってことなんですが、喫茶店っていうのは、私からいわせれば、かなり文化的に重要なものだと思います。はい。パリのカフェ、フランスのカフェはそういう雰囲気があるし、ドイツに行けば、ビールを飲むバーですかね。イタリアだと?アメリカだとファーストフード(サンドウィッチ、ハンバーガー)。イギリスはもちろんパブ。で、そういう意味では、日本は喫茶店。日本の喫茶店がどうしていまのようなものになったか、っていうのは、おそらく明治時代からのなんかそういうのがあって、さらに、それも、江戸時代の茶店などの伝統もからんで、ってことなのかもしれませんが、そういう文化ができる時代の話で、しかも、日本のコーヒー文化ってば、茶道ともからんで、妙な具合になっているでしょ?そのうち、最近すっかり受け入れられたエスプレッソなども、茶道的要素を持ち始めるんじゃあないか、とか思ったりしますが、そういうものです。で、しかも、このミステリーは、コーヒーが話題の中心にある。

時代背景などの部分は、比較的しっかりやられていて、冴木忍 「夢幻万華鏡」などとならんで、時代をしっかり感じさせてくれます(まるで現代みたいな作品が多い中ではまじめな作品です)。ストーリーそのものについては、なんつうか、わかるわかる、っていう感じがあって。まあ、もうすこし詰めがありそうかともおもいますが。とにかく、この、年見氏の作品は、アンジュ・ガルディアンもふくめて、非常にまじめな話が多いですね。まあ、とりあえず、かなりいいせんじゃあないでしょうか。


葉山透 "ルーク&レイリア" 「金の瞳の女神」

えっと、ストーリーは完全なるファンタジー世界だ!ってことで、時代はたぶん、中世風で、ヨーロッパだかなんだかわからないようなそういう設定で、聞いたこともない宗教が登場し、そして、そこで殺人事件が起こる。いわゆる他の作品ではトレジャーハンターとかそういう名で呼ばれるとか、あるいはインディ・ジョーンズみたいな考古学者か、ようするに冒険しながら古代遺跡のお宝を探すようなことを、ついついこれまでしてきた、っていう主人公が、堅気な大工見習いをしていて、そして、その地域をおさめる宗教を象徴するような大きな建築物の修復工事にあたっている、でそこで事件があって、そこに美人が現れて、、、。

でもって、そこから殺人事件が、密室、、。とここまで読んでも気がつかなかったのですが、あとがきのあとの解説を読んで、「そーいえば、そーだった」というのが、実はこの作品、魔法とかそういう超常現象が全く出てこない。主人公のルークはたしかにかなりアクション的な行動ですごいのだし、レイリアも美人だし、ルークの妹(病気らしいが)もかわいいし、っていうあたりは、いかにもいかにも、なのに、でも、ふつーの力しかない。手から炎が出たりそういうのもない。

まあ、ファンタジー系でミステリーっていうと、たしかに難しくて、どこまで魔法が可能で、どこから魔法が不可能か、を明確にしておかないと、事件を起こす犯人も、とんでもない魔法で、犯人不明みたいな事件を起こせるし、またその事件を解決する探偵さんも(そういうのが出てくるとして)、いきなり占いだか魔術だかで、「犯人はだれか、わかりました」とか論理を飛躍して解決しちゃったりしたら、それっきりでおもしろくないので、だから、ファンタジーなミステリーって難しいと思うですが、そういう中で、こういう全く魔法の無いファンタジーっていうのも、なんともいえませんね。

なかなかおもしろいところをついてきた作品で、早くも11月中に第二作が出るそうですので、期待したいと思いますね。

あ、そうそう、そういえば、宗教的な建築物っていえば、以前、ドイツのケルンの大聖堂に入ったときに、あの中の白い天井の高さと、広い天井による音響効果だかなんだかわかりませんが、精神的にトリップしちゃうような幻想を憶えました。宗教建築物ってば、やっぱり、そういう幻想的な雰囲気を醸し出そうとする、意図があって作られているんでしょうね。なんか、荘厳な気持ちになるっていうか、そういうのがあります。

まあ、いまでも、商品の販売促進のためのCMでも、キャンペーンでも、なんでもかんでも、いろいろな心理学とかそういう手法をつかいまくって、ものが売れるように、っていう感じで熾烈な努力と競争が、っていうのはあるんで、以前から人間似たようなものでしょうが、いまは、まあ、多少なりとも、そういうことにめざとい人間であれば、「ははは、またあのCMにのせられちゃった」みたいな感覚でいられますが、一般人の圧倒的に知識水準が圧倒的に低かった中世のころなんて、建築家が凝りまくって、心理効果をねらって作ったような大聖堂の類に、なんか幻想を本気で感じちゃって、そこに、神を見たり、なんてことがあったんでしょう。蛇足でした。

葉山透 "ルーク&レイリア2" 「アルテナの少女」

で、二ヶ月連続で登場。ファンタジー世界における、魔法もなにもない話、ってことで、そこでの宗教とか、そういうのをあつかっている、で、そこに事件が。うーん、ちょっと事件そのものには、無理があるように思うけど、まあ、その独自の世界としては、おもしろいと思います、っていうか、読んで1ヶ月以上たっているので、ちょっと思い出しながら、書いているところです。まあ、この作品、まだまだ続くのではないでしょうか。さーて、どこで魔法が出てくるかなぁ?

こういうのが出て来ちゃうと、次は、たとえば、昆虫が支配する惑星の上で、その知的昆虫たちの中で起こるミステリーなんていうのもあり得るのかも、、。もし、これをヒントに作品書く人がいたら、そのときはご一報を。

葉山透 "ルーク&レイリア3" 「ネフィムの魔海」

うーん、この人もピッチ速いですね。すでに三冊目。で、相変わらずの魔法の出てこないファンタジー、ってことで、異色作品です。ストーリーはかなりおもしろくできているし、十分な仕上がりですので、おすすめできます。

さて、今回は、その魔法のないファンタジーとはどういう特徴があり、どういう利点があって、どういうものなのか、っていうあたりを考察してみようと思うのです。

まず、架空世界にしてしまう利点とはなにか、というとですね、たぶん、面倒な時代考証の類がいらないってことですね。この作品では、たぶん、類似しそうなのは、中世ヨーロッパとか、あるいはアラビアンナイトの時代の中近東みたいなものがふさわしいかと思いますが、そういうところを舞台に作品を書こうと思えば、当然のことながら、それなりに、いくらフィクションでも、それなりに、っていうか、そういう時代考証なりが必要。で、じゃあちゃんと時代考証とかして、リアリティのある作品ができたからっていって、それがそのままストーリーのおもしろさにつながるわけではない。じゃあ、架空の世界のファンタジーにしてしまおう、ってことになりますが、なのに、そこに魔法が出てこないのは?っていうと、それがそのミステリーの基盤としては重要ですね。

ミステリーであるなら、トリックとか、いろいろなものがある。ところが、魔法があると、その魔法のパワーをどうするかで、探偵さんが出てきて、占いでいきなり犯人を当ててしまう、謎を解いてしまう、っていうのがあるとおもしろくないので、そこで、ファンタジー系のミステリーというのは、魔法の制約みたいなのをいれて、そういうおもしろくない要素を取り除こうとしていますが、なかなかそうは簡単ではない。 そこで、魔法のないファンタジーにすれば、そのあたりが簡単にうまいこといく。 さらに、今回の作品のように、いろいろいな妙な動物を登場させることで、トリックも幅が増える。

まあ、ある意味でいえば、そもそもファンタジー色の強い富士見ミステリー文庫にあって、一番それらしい舞台設定の方法なのかもしれない、って思うです。


樹川さとみ 「ブラインド・エスケープ」

新しいシリーズなのか、っていうと、どうも単発らしい。理不尽なストーリーってあっちこっちにあって、なんだかわからないけど、どんどんおかしな方向に展開して、あれよあれよというまに、どんどん危機にはまっていって、最後にどうなることやら、っていうようなストーリーで、この話自体は、っていうと、お嬢様学校に通う女子高生が、いきなり同じ年頃の少年(結構不良っぽい)にいきなり誘拐されて、しかし、彼自身が、実際には、悪いやつから追われていて、しかもそれが、命をかけたゲームで、で、そのうちに、その二人が逃げるのを支援する盗聴オタクの男も現れて、実はこの死のゲームの黒幕は、日本の政治家とのからみで恨みがあって、、みたいで、話のプロットはおもしろいし、要所要所もよくできていて、なかなか楽しめる作品でした。だから、おもしろいです。

が、しかし、一方で、シーンとシーンとのつなぎが、ちょっとまだるっこしいというか、テンポが悪いっていうか、いまいちつながりが不自然っていうか、もっとスリルが楽しめるような展開もあるんじゃあないかって思えるところが、ちょっと減点。まあ、かなりおもしろいんですけど、ちょっとそれが惜しい!


時海結以 「業多姫」 -壱之帖

またもや富士見ミステリー文庫の準入選だかの新人さんの作品。戦国時代というよりも、その直前、応仁の乱の後くらいのいままであんまり話題にならなかった時代のそういう時代を舞台にしたジャポネスクファンタジーでしょうか。魔法は登場、っていうか、千里眼とか、さらには人を突き飛ばすとか、そういう「超常現象的力」はありまして、でもって、この作家さんの本職が考古学、歴史学系らしいので、どうもかなりその本職系の話もまざっているようで、本格的?ということなんですが、うーん、ちょっと話が面倒。いま一つうーん、って感じがするんですけどね。なんかこうもうすこし、、。うーん、、。まあ、そこそこおもしろい作品だとは思うんですが。

時海結以 「業多姫」 - 弐之帖

あー、いや、うーん、おもしろいです。最初、なんかかったるいかなーと思ったんですが、でも、最後のほうになると、どうなるどうなる、という感じで読みすすめましたが、ところが、最後の謎解きにになると、またなんかトリックとかそういうのが別にここまでなくても、、と思わせるような。設定が過剰なんでしょうかね。アクション系でやるなら、それだけを中心にしたほうがよく、なんかとってつけたようなミステリーが余計なのでは、と思ってしまう。十分おもしろいとは思いますが。

時海結以 「業多姫」 - 参之帖

さて、だんだんこの作品もらしくなってきたかな、って思うところがあって、時は戦国時代なのに、そこに違和感なく(結構違和感あるけど)心理学のご講義がはいっていて、しかも、それをするのが、14,5の少女っていうあたりもなんですが。このシリーズの難点といえば、やっぱり、ミステリー的な謎解きが、かなり込み入っているのに、そこに、派手なアクションが入り、そのバランスが悪いこと。アクションとアクションの合間、合間に、ミステリーの謎解き、今回は、お宝探しの暗号解きですが、それが入る。アクションしていてへとへとなんだと思える主人公がなぜかふかーい思考状態にはいって、考える考える瞑想する瞑想する、っていうのがあって、もちろん、読んでいるほうも、アクションで、「さてどうなる、こうなるんかな?」と思っていると、そこで、謎解きが入る。このあたりで、なんか、げとげとしてしまうのです。そういう意味で、同じようなパターンをギャグ込みでやっているのが、スレイヤーズすぺしゃるの一連のミステリー系作品。やっぱりあっちはすごいわな。神坂氏の隠れたパワーってところでしょうか。うーん。戦国時代ミステリーってことにするなら、いっそ、せいぜい忍法うんたら、くらいの超能力にしておいて、ミステリーに特化すれば、もっといいのに、そこに、鳴のもつハイパーパワーが出てきて、それもなんだか変だし。バランスが、、。

時海結以 「業多姫」 - 四之帖

この作品も案外進んで四作め。次第に、ミステリー的要素がなくなりつつあり、たんなる戦国時代ファンタジーになりつつあるものの、歴史の専門家さんだけあって、記述はそれなりにおもしろいし、、です。今回は、主人公の二人、せっかくつかんだ、平穏な生活なのに、「過去をたちきるために」といって、また飛び出て、そして、それぞれの過去の地へ。まあ、こうなれば、いろいろなことが起こるのも当然で、事実いろいろ起こりますが。で、今回はミステリーがぐーっっと圧縮されて、暗号もの。たいしたことではないのですが(あまりまじに解く気になりませんでしたが)、とりあえず、ストーリー展開をあまりこわさぬような感じで、そこはかとなくミステリーなにほひ、でおわっています。ストーリーとしては、なんともうまいこと、一方通行、送信のみと受信のみの携帯電話がうまいこといっていますね。今回の路線はいいと思います。

時海結以 「業多姫」 - いろどりつづり

ラブラブすぎぃ!っていうのが、あとがきにもあるんですけど、マジで読んでいて、恥ずかしくなるラブラブ度の作品ですね。しかも、いままでは、一冊につき、一つのストーリーですから、一つのラブラブなんですが、今回は、短編集なので、七話もあって、七話全部がラブラブなので、たまりません。もうちょっとなんとかならんかと思う、作品です。うーん、せっかくその、あるていど専門家さんらしいので、もうちょっとその書きようがありそうにおもうんすけど。

というわけで、まったくもって、らぶらぶの範囲外にいちゃうと、読んでいるのが、結構つらいです。はい。では。

時海結以 「業多姫」 - 伍之帖

うーん、なんか話が大きくなっているんだか、小さくなっているんだか、今回は、ミステリー的要素がかなり少なくなっていて、いままでの、とってつけたような謎解きがあまりありません。まあ、ないことはないんだが、、。この作品も、ひとつしきり直しで、たぶん、次巻で、一応の収束となるんでは、と思いますが、うーん、どうなんだろ。まあ、悪くないか。

時海結以 「業多姫」 - 六之帖

さて、読み終わりました。どっと読んでしまいました。面白い。けれども、なんか、話が見えにくい。うーん、なんか、頭がさえまくっているときに読むならいいけれど、そうでないときだと、ストーリーを読みとるのがなかなか難しい。なんか、すごいスローなペースのラブラブ系な話になったとたんに、二人が檻に入れられてとか、鎖でつるされてとか、そういういきなりなシーンが多いのと、それと、すごい危機なのに、いきなり味方が現れて、助かったり、不自然なつながりが多いせいかも。

ま、とにかく、これが最終話で、一応完結なんですが、なんかよくわからないけれど、最終話になって、いきなりラスボスの裏にさらにラスボスが、という展開で、ちょっとなんか展開が不自然とはいわないが、そこまでやらんでも、、、。

もっとも、最後は、もうちょっとひっぱってもいいかも、って思うんですけれどね。あとは、うーん、やっぱり超能力とかが主題であるから、ミステリー要素は難しい。もっとも、この富士見ミステリー文庫そのものが、もうミステリーとはいえなくなってしまったから、どーでもいいかぁ。

ってわけで、一応、いろいろあったけれど、結構、先まで読みたくなるような構成だったので、まあ、ちゃんとここまで続きましたということで、完結です。


師走トオル "逆転のトリックスター" 「タクティカル・ジャッジメント」

これまた、準入選だかなんだかの新人さんの作品。例によって、桜庭一樹のシリーズと同じく、日本に陪審員制度があったなら、、の架空の状況における裁判もの。いや、この作品読んでいて思ったのは、日本の裁判ものの作品がイマイチなのは、結局、この陪審員制度がないから、かもしれませんね。だからファンタジーっていうか、現実とは違う設定としての、日本における陪審員制度があったら、もっといろいろなおもしろい作品が出てくるのかも、っていうか。

場所を裁判の現場としているのに、いろいろとミステリーがあって、そうとういけているんではないか、と思います。いまいち被告人の雰囲気がよくわからないのですけどね。まあ、なかなかハードな作品。あと、あの皐月とかいうちゅうぼうの存在意義がよくわからない。今後活躍を予定しているんだろうか?

師走トオル "きまぐれのサスペクト!" 「タクティカル・ジャッジメント」

さて、二作め。あとがきによると、まだ会社員かなにかをなさっている作家さんのようでして、有給休暇つかって小説を書かれているようです。

さて、今回の作品、うーん、なかなかいい。最初に一つめの事件があっさりおわって、そして、そのあとに本題の作品が、という方向がなかなかつかみとしてはよいし、そして、さらに、その展開も、おおむね予想させるものではあっても、随所に細かい技が光る、っていうか、そういう感じがあります。もちろん、事件そのものは、ちょっとだけなんか、単純すぎるっていうか、うーん、難しいところですが。まあ、陪審員制度ができて、そして、そこにこういう弁護士が登場したら、それはそれでこういうことがあるのかも、っていうあたりでなかなか話はおもしろいです。ま、3作めも期待しましょう。

師走トオル "いやがらせのリベンジ" 「タクティカル・ジャッジメント」

おもしろかったです。作家に専念のために、会社やめました、とのことですが、かなりよい作品だしていますから、2年くらいはやっていけるのではないでしょうか。話が二点三点するあたりもおもしろい。ところで、ほとんど登場する意味のないような皐月と言う少女も、今回は、ちょっとだけ活躍しておりまして、もっとも、最後のオチの部分だけなんですが。法廷ものを、ずいぶんとおもしろくしました。いやあ、なかなかとんでもない作品です。今後がさらに期待できます。

師走トオル "ろくでなしのリアクション" 「タクティカル・ジャッジメント」

さて、「がらくたのフロンティア」がでたので、こっちはおしまいかと思ったら、ちゃんとでました。今回の作品も、例によって、結構それなりにまとまっていて、しかも、また新しい敵(っていっても、検察官だから、、)が登場。展開もいままでどおりですが、まあ、ミステリー作品としては、結構いい感じです。新しい分野を作ったな、っていうか。ただし、もうすこし新しい展開もほしいですよ。

でもって、相変わらず、なんで登場するかわからないのが皐月なる中学生だっけ。たぶん、富士見ミステリー文庫のヤングミステリー大賞に応募するのに、どうしても、ティーネージャーが必要だったので、入れたんじゃあないかと思われますが、いかがでしょうか。まあ、次の展開よろしくってところです。

師走トオル "紅の超新星、降臨!" 「タクティカル・ジャッジメントSS」

タクティカルジャッジメントの短編集ということでぇ、、、。

いやあ、案外面白い。皐月なる少女が、これまでタクティカルジャッジメント本編において、みょーに浮いていると思ったけれど、とってつけたような、っていう感じで、まあその謎が明らかになったというのが、この作品ですね。つまり、そもそも富士見ミステリーのミステリー大賞応募時には全く影も形もなかった皐月君が、いろいろな要望に基づいて突然登場、そして、っていうところの後付の理由がこの短編集ってことになりますか。で、この短編集からしてようやく師走氏は、この少女の扱いにもなれて、非常に自然な形で作品に登場すると。まあ、いまどきの毛沢東思想ばりばりの少女っていうのも、とっても奇抜ではありますが、でもまあなかなかさまになってきたようです。この短編集は、正直面白かった。うん、なかなか。この路線がよいのでは、っていうか。

師走トオル "湯けむりのデスティニー!邂逅編" 「タクティカル・ジャッジメント」

ええと、うん、自殺か他殺か?山鹿探偵事務所のいつものメンツが、近所の福引きで温泉ツアーをあてて、いってみたら、山鹿の学生時代の悪友が、美人の妻とともに親バカになっていて、厳つい顔で赤ちゃん言葉で赤ちゃんをあやすところに背筋がぞっとする、というあたりはなかなか快調な出だしです。で、一緒にとまっていた温泉宿で、老女の首吊り死体が、果たして、自殺なのか、自殺にみせかけた他殺なのか、酔った勢いで他殺と判定した、山鹿の悪友の監察医、しかし、、、ってことで、一応、浴衣姿で、容疑者の弁護人を引き受けた山鹿が、なんとか事件を解決に導くと、、、。つづく、、ええ?続く?次回は年内に、まあいいでしょう、ということで、まだ事件は完全には終わらない、っていうことです。

師走トオル 「がらくたのフロンティア」

これまで、裁判ものでかなりおもしろいものを書いていらした師走さんの作品ですが、今回は、かなりそのミステリーっていうよりは、ファンタジーですね。しかも、アクションもあるような。しかも戦争もの。異界ものではなく、まあ、未来の荒廃した地球が舞台なんでしょうか。今回は、どっちかというと今後の作品へのエピローグですので、なんともいえませんが、うーん、難しいところですね。ここからおもしろい話っていうと、下手をすると、ガルディーンのやきなおしみたいなことになるのかもしれないし。わからないけど。まあ、そんなところで、また裁判ものを書いていただきたいところ。

師走トオル 「がらくたのフロンティア2」

さて、二作目。二作目のわりには、謎な内容がかなり出てきたあたり。このシリーズ、どうやら、3作品か4作品で終わってしまうのではないか、と思わせますが、なんか、宇宙人が出てきて終わるのは、なんだかなーと思わせます。うーん。どうなんだろう。ストーリーとしては、結構それなりによくできていると思うし、でも、ひねりがないかな。もう一歩。うーん、一作目は、今月の他の作品の一作目よりはよかっただけに、ちょっと惜しい。


上田志岐 「ぐるぐる渦巻きの名探偵」

うーん、おしい!あと一歩!っていう作品。この種の作品としては、新城カズマの朱月宵三郎シリーズがあるじゃあないか、というか。

いや、かなりおもしろい作品ではあるんですよ。ただ、最後のミステリーの謎があまりにも単純。それに、白昼どうどうと、交差点で人殺し?みたいなのもなんでそれがあっさりうまくいくのか不明。だから、設定よし、キャラクター設定よし、いろいろいいところは多いし、なかなかなんだけど、詰めとしての、ミステリーのあり方、そこにもう一歩な感じがして惜しい!

あとがきにもある、「名探偵がいるから、犯罪がおこる」という発想はそれはそれでよいのではないかと思いますが、そういう意味では、古典の中の古典、シャーロック・ホームズにも、ないかな。すくなくとも、ルパンシリーズ(モーリス ルブランのもとの作品だよ。三世じゃあなくて)にはホームズとの対決もある。

まあ、とにかく、結構楽しくよめました。あと一歩!っていう惜しさはあるけれど、富士見ミステリー文庫の中ではなかなかな作品では、と思います。

上田志岐 「ぐるぐる渦巻きの名探偵2」 "逆しまの塔とメイ探偵"

えっと、はい。やっぱり印象としては、上の一作めと同じです。かなりおもしろいところをついている、のだけど、ミステリー的な意味での謎の部分、そして解決するところで、なんかひとつひねりがない、、。設定も異常、登場人物も変、いろいろ変ですが、そのわりにふつうの作品なのではないでしょうか?うーん。

上田志岐 「ぐるぐる渦巻きの名探偵3」 "カレイドスコープ・エスケープ"

今回はわりとまともにうまくできているように思いますが、でも、やっぱりまだあと一歩な感じはしなくもないけど。よくある学園祭ネタですね。missing なんかと近いみたいな感じもしますが、さらに、子供っぽい上級生の問題。うーん、やっぱり現実的ではないところがあるように思います。そもそもがファンタジーだから、ファンタジーでいいんですけど、ファンタジーと現実的な現実を織り交ぜた作品っていう意味では、まだ、技巧的にいまいちな感じ。でも、今回はおもしろいっていう感じになってきました。

上田志岐 「イレギュラーパラダイス」 "赤い童話のワールドエンド"

こればっかりはなんか途中で読むのやめようかと思った。うーん、まあ、よくわからないことばっかりで、理不尽な設定と理不尽で意味不明なストーリー展開と、で、そういうのでも、ぐいぐいとどわーっといくような話なら、それはそれでよいのですが、上田さんの作品ってば、結局どっかで、ちんまりまとまるようなところがあって、今回もちんまりしているように思います。なんとかならないかな。ぐるぐるで、もっとがんばってほしいです。

上田志岐 「イレギュラーパラダイス2」 "青い王女のエスケープホリデー"

ふむ、うーん、一作目よりかなり良くなったというか、まあ、一作めでおおむねこういうもんかと思っていたので、その受け入れ態勢ができていたから、二作目は思ったよりよく、っていう感じに思えたのかも。まあ、プロットも、ストーリーともに最後のほうはわかってしまったのですけれど、でも、「きっとこうなるよなー、でもどういうふうにそこまでもっていくかなー」が結構気になって、最後まで読んでしまいました。ということで、結局は上田作品のままなんだけれど、発想、ストーリーはさておいて、小説的によくできていたと思うので、まあ、かなりプロっぽくなってきたかも、と思える作品でした。


結城貴夜 「ホーム・チェリー・ホーム」

えっとありがちな、妙な同居人と一緒に住んでいる、本当は一人暮らしなはずの女の子が、実は、という設定でして、妖怪さんとなかよく暮らす少女とその少女の周りで起こる事件、っていう話です。学園もの、ってことで、ミステリー性も十分。そして、妖怪さんたちも、まわりにいるだけで、実際の事件は、もっと別の形で解決するような感じなのもまあいいでしょう。ほんわかミステリーとはそのもの。こういう作品はあってよいと思います。こればっかり読むのもなんですが、、、。


枯野瑛 「魔法使いに大切なこと1」 "夏と空と少女の思い出"

これまた、ほんわかな作品。これ、アニメなんですか?アニメ最近ぜんぜん見てないからわかりませんが、でも、みずみずしい感じで少女の思いのようなものをうまくつたえているような、、。うーん、まあでもステレオタイプな少女の心って感じもしなくもない。今後また続くんでしょうか。

枯野瑛 「魔法使いに大切なこと2」 "真冬の夢の静寂に"

第二段ですね。これは、もう出ないのかと思っていましたが、案外すばやく、二つめが出ました。東北弁系かわいい魔法しょーじょ、というと、もうちょっとすごみのきいた、天知未来シリーズなんかと近い感じがしますけど、未来ちゃんに比べると、自制心が強いのか、あまり方言がでてきませんです。今回の作品は、目覚めって言う感じがするんですが、ただ、一つ言えるのは、希未という少女はなぜ戻ってきたのか、どうして、この時期にもどってきたのか、そのあたり、そこがどうもいまいちぱっとしないところで、なんか、最後までふにゃっていう印象があったんですけど、まあ、いいでしょう。1作目と雰囲気変わらず、でも、ちょっぴり背景が見えるようにっていうことでしょうか。原作アニメしらないので、まあ、この程度です。

枯野瑛 「魔法使いに大切なこと3」 "夢色に染まる秋天の下で"

今回でおしまいなんですね。魔法士の免許を取ることができたユメが、夏休み中の東京での研修を終えて、また、田舎の遠野に戻ってきた、で、彼女にほのかな気持ちをもっている同級生もからんで。不思議な願いを叶えるお地蔵さんの話と、それにからんでいる少年の話。それを解決してしまうユメ。うーん、ふわふわっとなにげなく、いい感じで、一応の結末だったんでしょうか。まあ、そんな感じです。それほど興味ある分野でもなかった作品なんだけど、ほんわか、ふんわりなムードは結構好きでした。


一条理希  "ブルー・ムーンにくちづけを"「怪盗紳士は夜、微少う」

一条理希っていうと、「鬼童来訪」を読んだことがあって、十二国記をジャポネスクにしたようなどくとくのファンタジーでしたけど、あれ、それなりにすごい雰囲気で、おもしろかったんですけど、でも、今回、いわゆるじょしこーせーが主人公の話なんで、どーかなーと思ったら、なんか結構おもしろくて、で、さらに設定もまだまだ深いものがかくされている感じで、ついつい最後まで、いっきによんでしまいました。まあ、スーパーマンが出てくる段階で十分ファンタジーですが、でも、それをうまいことつかって、おもしろくしているような感じ。いけていると思います。今後の展開どうなるんでしょう。

一条理希  "ブルー・ムーンにくちづけを"「休日王子は夢に舞う」

今回は、駄作の一種でしょうか。はい。はっきりいって。設定などもふくめて、ギャグに走りすぎているし、また、いくらなんでも、こんな王国は存在しないという感じのするものだし。とってつけたような、ストーリーに都合のよい設定をならべて、いかにもな、登場人物を出して。うーん、なんだかなー。もうすこし、練ったほうがよかったように思います。一条氏らしからぬ、という感じがしました。


上遠野耕平  "The Eccentric Dead In White Sickroom"「しずるさんと偏屈な死者たち」

さて、もう、超活躍中の上遠野作品が、ミステリー文庫でも登場っていうことで、それなりに期待して読みました。うーん、そういう作品ですか。基本的にブギーポップもまたどっちかっていうとミステリー的な要素が強い作品だし、また、事件シリーズなどはもろにミステリーですが、今回は、ファンタジー、オカルトの要素なしにして、純粋なホラー系をからめたミステリー作品ってことでしょうか。レベルとしては、上遠野作品の中の平均レベルは維持しているかな、ってところ。それぞれのエンディングもそれなりにうまくはずしているし、でも、もっとすごいのも期待できそうな、そんな感じも十分しますです。実は、しずるさんもさることながら、よーちゃん自体もかなり正体不明な少女でして、そのあたり今後発展していかないでいいですから、しずるさんもよーちゃんも正体不明のままで先に進めてください。

ちなみに、英語題名、The Eccentric Dead In White Sickroom っていうのは、英語的には、White Sickroom の前に、The がつきそうですし、そのあたりどうなんでしょう。最初の単語も複数かな。


甲斐透(影崎由那原作) 「かりん増血記1」

原作のほうのコミックは知りませんので、小説だけで考えると、いい線ついているんじゃあないでしょうか。設定としての「増血鬼」っていうのはおもしろいですね。まあ、そのかりんちゃんのドジな日常っていうのが基本となるのでしょうが、よくある魔女っこもののとくにドジなやつ系の話としては設定は斬新。で、ストーリーは、っていうと、結構血みどろですが、ユーモアがなかなかよろしい。でもちょっとだけ怖い。まあ、富士見ミステリー文庫としては、よいのでは、と思います。これからもがんばってください。

甲斐透(影崎由那原作) 「かりん増血記2」

そういえば、たしかに今でも、日本においてキリスト教関係者はいるし、修道院もあるんだけど、でも、どうでしょう?中学生とか高校生からもういきなり、っていうのはありなのか、、、。まあ、あるのかもしれませんですね。美少女修道尼さんが登場しまして、相変わらずです。原作しらないのでなんですが、けっこういけていると思います。まあ、読んで感動とかそういうわけじゃあないんですけど、、。今回の作品もですが、いまいち、かりん本人の増血な要素がないんですね。せっかく妙な設定なので、もうすこしその方面で面白い展開もありそうです。ところで、かりんが戻す血液ってば、血液型なに?まざると、凝集とかして、やばいんじゃあないかな。

甲斐透(影崎由那原作) 「かりん増血記3」

うん、新機軸とはいえないけれど、よくあるような、その無人島系の話ですね。無人島の館もの、っていうのがあるわけで、大富豪が無人島にいろいろな人を招待して、そして、パーティとかやっていると、そこで事件が起こる、というパターンです。最終的にはあまり深刻なものでもないんですが、結構深刻で怖そうな感じにもっていくあたりはそれなりに面白いし、かといって、ギャグ系も残していて、バランスとしてはよろしいです。最終的には多重人格の話になるわけですが、そのあたりもちゃんと最新の学術的なものを反映させているので、合格点。このシリーズはどっていうことないけれど、それなりに結構ちゃんとしたストーリーになっていて、きちんとできているように思います。


野梨原花南 「マルタ・サギーは探偵ですか」

すみません。わかりませんでした。なんだかなんだかなんなんだろうというか。私がカードゲームやらないせいでしょうか?とにかくわからないのでコメントのしようがありません。うーん、困った。もう一度読むか。

野梨原花南 「マルタ・サギーは探偵ですか」"a collection ofs.

今回は、多少話が見えました。そういうことだったんですが。まあ、今回の雰囲気では、発想がなかなか飛んでいて、すごいかも、と思える部分がありました。まあなじめませんが、こういう作品もありだと思います。いいんじゃあないでしょうか。まあ、題名に対する答えは、「探偵じゃあありません」かも。


田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ」

さて、ミステリー文庫の大賞!ということで、たしかにおもしろいです。文体、設定、まあ、設定上いろいろ無理っぽいところもありますが、たとえば19歳の大学生ってばありだっけ?とか。たしか、653だか、そんなシステムなので、通常は帝大入学といえば、二十歳過ぎでは、と思うけど(えっと、こういう便利なページがあります。で、中学を4年で卒業できれば、19歳で入学もあったけれど、高校入試は大変で浪人もたくさんでたわけで、で、まあよほどの秀才でないと、19歳入学もありえないし、まして、18歳入学は普通は不可能だと思うが、、、で、普通、旧制高校に入った段階で超エリートであって、帝大なんぞは、実質、幹部官僚候補そのものだったとゆーか。)、それはおいといて、あと、いきなり書生になるとかいうあたりもちょっと唐突ですが、まあそれはいいでしょう。ミステリーとしては、それなりに先も読める程度だったし、犯人は登場とどうじにだいたいわかるっていうあたりからして、多少おもしろくないので、人物の設定、プロットという意味では、まあ、イマイチ。ただ、結構おもしろいぞ、という感じで、なかなかいけると思います。文字は、あっちこっち新字と旧字がまざっているので、そのあたりは直したほうがよいかも。まあ、それにしても、今後、どういう展開なのか、ちょっと楽しみですが、ただ、文体のほうは、もうすこしすると飽きるかも。

田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ」 其貳

うーん、よくある「結構いいめの作品の二作目」っていうところでしょうか。なぜか、富士見ミステリー文庫で、「二作目は、密室殺人の館もの」っていうのが多いんですが、そのくちですね。最終的な事件の真相は、前作よりはずっと気のきいたもので、うん、まあ、これなら納得というところですね。実際の時代考証はどうもかなり怪しいようですが、しかし、文体、口調、そのほかもろもろが雰囲気を作っているので、なんかいいかげんなことを書いているのかもしれないけれど、なんとなく明治な感じがするのもまた事実。はてさてどうなっちまうんでしょうか、骸骨先生。其参も請うご期待!

田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ」 其参

なるほどね、ってことで、最後に殺人事件が、、、。でもまあ、今回は特別に不自然さもなく、案外よくまとまっていた話でした。ミステリーとしても、いろいろな要素があり、かつひっかけ的なものもあるし。なんか、全体に調子が出てきたように思います。うん。この調子であと3作くらいいけば、かなり定着してくるんでは、と思います。時代考証も以前よりはできているし、きちんとしてきました。


岡村流生 「黒と白のデュエット」

最近、なんとなく、こういう強気系でオカルトで、異常な先輩(女生徒)というパターンが多いような気もしますね。で、このストーリー一つやっぱりなんとかならないかと思うのは、事件が学校の外で起こるってことで、なんかこれって違うような気がする。うーん、感覚の違いかな。というわけで、この作品、やっぱり大賞とは違うな、という感想でした。

岡村流生 「黒と白のデュエット」 Op. 2

ようするに、カルト的な宗教の話と、最近流行のネットで自殺志願者をつのって、一緒に自殺しましょう、という話をからめて、そこに、魔術儀式。うーん、まあ、話としては、それなりにできているんですが、ちょっとなんかいろいろな要素を、ごちゃごちゃくっつけてみました、っていう感じがあって、さらにいえば、水冬先輩の異常な貧乏さもちょっとやりすぎだし、まあいいけど、、。うーん。

岡村流生 「ハイスクールミッション」 "トキメキのチャンスは一度だけ"

よくある入学してみたら、変な学校だった系ストーリー。幼なじみで一応「彼氏」がいる学校に入学してみたら、入学式初日からドジふんで遅刻しそう、とかいうお約束がでてきますが、実はその前のプロローグからしてかなり意味深系。ま、よくありそうなストーリーですね。一応、面白いんだけど、なんか、ストーリー展開はさておいて、シーンの作り方がどうも雑で、ストーリーを追いかけるのがちょっとややっこしいときがありまして、まあ、たあいのない話なんですが、そんなところです。
名島ちはや 「仮面は夜に踊る」

「ぼくらは少年探偵団」な作品でした。うーん、たしかに、昔子供向け版で、江戸川乱歩を読みましたが、あのおどろおどろしい少年小説的要素ふんだんで、ミステリーなんかいな?と思わせるもの、亜流にしても、ドイルとかとはぜんぜん雰囲気違うみたいな、そんな雰囲気はそれなりにでていますね。いうなれば、刑事コロンボに対する、月光仮面みたいな違い、和風の本来のミステリーとは、やっぱり月光仮面みたいなおどろおろどろしい感じで、裏に、ショッカーがいて、というのが筋なのかもしれません。というような作品ですかね。それだけです。プロットそのほか、多少破綻しています。


壱乗寺かるた 「さようならトロイメライ」

うん、これまた、おかしな強気なお嬢様な先輩じゃあないけれどな女子高生がでてきて、ちょっとだけ超能力な主人公と、、。よくわかりませんが、異常な学校に拉致された少年の、ってことですね。おもしろいかというと、まあまあかな。やっぱり大賞ではなかったという感じがします。

壱乗寺かるた 「さようならトロイメライ2」 "かんむり座の約束"

なるほど、こうなってくるわけですね。ネタがばれた1でおしまいかと思ったら、一応、同じ舞台設定のままで発展型があったということです。で、全体は、ちゃんとできていたようで、小説として完成度が高くなっていました。この作品も一応最後まで読もうと思わせたので、一作目よりははるかによくなっていた、と思わせるそんな感じ。

壱乗寺かるた 「さようならトロイメライ3」 "幻想リプレイ"

話は、ありがちなんだけれど、登場人物がどうもいまいちつかめなくなってきました。なんかいろいろ出てくるし。よくある学園祭の演劇部の舞台で、なにやらトリックがあって、それで、いろいろと事件が起こるっていうパターンの話ですね。でまあ、この作品、それほどどってことないけれど、案外、話のテンポがよくて、それに、なんか、表現、描写がなかなか軽快なので、今回も、いっきに読んでしまいました。その程度です。


加門七海 「呪いの血脈」

これ、なんか富士見ミステリーにしては、内容が大人っぽいという意味で、アダルトな感じがしました。主人公も、大学卒業レベル、あるいは社会人ですから。で、結局あとがき見たら、もともと単行本ででていた作品なんですね。つまり本格ミステリー。内容的には、かなりおもしろいって感じで、最後まで読み進めました。どこまでが超常現象で、どこまでが日常か、というのが難しいのですが、ある意味で、超常現象なしの作品ともいえるし、実際は超常現象がある作品ともいえるのですが、まあ、その狭間の微妙なところをついていて、そして、ストーリーの展開も、かなり複雑にして、展開が予測しにくくなっていました。次があるのかどうかわかりませんが、主人公だれなんでしょう。大人向けっぽいなかにある程度の青春ものっぽい要素もあるけど、うーん、まあ、富士見ミステリー文庫の一つの方向性の模索というような感じでしょうか。この手の作品もふやしていくとおもしろいですね。とすると、次は乙一あたりでしょうか。


中島望 「人形はひとりぼっち」

設定はかなり無理がありそうで、今の人権拡張主義の世の中からすれば、それこそ、人権を、大型類人猿(チンパンジーとかゴリラとかオランウータンとか)や、さらには、霊長類全般にまで広げようか、っていう勢いですから、人工子宮から生まれようが、人間であれば人権は当然ということだと思うのですが、、、。 つまり、クローン人間の話ですね。クローン人間の人権とかいうのはたしかに難しい話で、クローン人間を作る際のもっとも大きな利用価値は、臓器移植にからむことであると思いますので、その際、人間として生きたわけではなく、臓器のみを取り出すためにつくったクローン人間に人権があるかないかとかいうのが、もっとも大きな課題になりそうです。が、一方で、人間的に育っているクローンに人権を持たせないというのは、かなり無理ではあります。どちらかというと、クローン人間よりは、ブレードランナーのレプリカントに近い概念が付与されたのが、この作品での人形と呼ばれる存在ではないかと。一応、ストーリーの展開の中で、主人公もまたクローンである可能性なのか、あるいはクローンと関わりがある可能性が示唆されていて、その部分は、ほとんど解決もなにもしていませんから、次の作品に、ってことになりそうです。

最後の「なぜ、クローンであることがばれるのか」というあたりは、実にショッキングな内容で、ネタばれがあるのでかきませんが、うーん、そうかもしれないと思わせるだけのなかなかな。途中で、非常に猟奇的ですごい話がでてきますが、たしかに人間あそこまでいっちゃうかも、っていうのと、この猟奇的なものが、それなりに意味がある形で、特にあとのほうのストーリーと絡むので、たんにセンセーショナルな形で入れているのではないということがわかったので、いいんじゃあないでしょうか。非常に、きっちり書かれています。作品としてはかなり評価高いですが、一方で、やっぱり設定は無理があると思います。

で、人間のクローンですが、人間ほどの複雑なものである場合、クローンの受精卵を作って、9ヶ月で、大人の体型にまで育てたとしても、頭がおいつかないので、幼児なみの知能すらない、という可能性が高い。つまり、この作品の中のような人形としてのクローンでとくに、いわゆる風俗業向け人形みたいなものを考えるならば、かなり先のほうの、技術が必要で、記憶のコピー技術とかですね、まだまだ、今では予測もできない技術的要素がありそうなんで、できるとしても、まあ30年くらいは先になりそうです。とすると、そういう時代は、また状況が今と違うかもしれないので、だったら、やっぱりこのような設定もあり得るのかも、、、。わかんないや。


大倉らいた "リリカルレストラン" 「あした天使の翼をかりて.....」

大倉らいたさんといえば、ゲーム系の小説などでいろいろな方だと存じておりましたが、この作品、まあ、設定に無理はあるんですけれど、いちおうらしいというか。うーん、ただ、らしくないかも。主人公のミステリー好きで、かつ古い家が好きで、でもって、とかいろいろな要素がかなりごっちゃになっている感じがする。全体として、結局、二話構成になっているんですけれど、どこまでが現実でどれくらい超常現象なのかが怪しいところ。うーん。
イセカタワキカツ 「式神宅配便の二宮少年」

うーん、シュールな話でした。これが富士見ミステリー文庫から登場したのもとってもミステリーですが、それがミステリーだから富士見ミステリー文庫に在るんだというこじつけからしてミステリー。まず私では思いつかない発想からなっている作品でしょうか。うーん、でまあこういう発想だと、続編は書きやすいでしょうね。うーん、よくわからないが。夜、実際に走って、そしてものを運ぶ運び屋。実際には運ぶものを式神として手足をはやして、一緒に走る。で、その見習いの運び屋が二宮少年で、彼の仕事をじゃまするやつ、助けるやつ、いろいろ。よくわからないけれど、面白かったです。


ヤマグチノボル 「描きかけのラブレター」

うーん、もちろん、ミステリーではありませんね。よくある青春ものなんでしょうか。高校時代に知り合った男女が、やがて結ばれていくところまで、、。彼女のほうの性格がかなり特殊なところがあって、それがまあなんとも。よくある系統の話です。まあ、高校時代ってばこういう感じなんだろうな、、。だからどうした、とはいいませんが、うーん、富士見ミステリー文庫はどうなるんでしょう。結局、富士見ファンタジア文庫が超絶的にファンタジー路線で、架空世界の架空物語が主流、スニーカーがちょっとSF系となると、なんでもない青春小説は?ここにくるんですかね。電撃文庫みたいななんでもありにすればいいのに。


小林めぐみ 「食卓にビールを」

女子高生にして妻で、作家という主人公が、旦那さんにビールをせがむ話です。で、なにげない行動が、実は裏では、宇宙人の地球侵略を阻んでいるのか、そのあたりもよくわからないけれど、これまたミステリーではありませんね。さらっと面白かったです。そんだけ。

ところで、女子高生であれば、主人公は未成年ですね。だからビールというのはまずいんでは、と思うわけですが。でもって、一般にアダルトゲームなどでは、女子校生としていたり、学校の名前を「学園」とすることで、高校生ではない、ということにして、エッチなシーンなどを加えてみたり、また、兄、妹の関係もまずいので、かならず、義妹ということになっているとか、細かいところがあります。

つまり、ゲームの世界では、非合法なことをする登場人物が出てこないっていうことになっているのですが、よくよく考えてみると、ミステリーはそもそも殺人事件とかもふくめて、犯人は普通非合法なことをするのです。非合法なことを描いてはいけない、とすると、かなり不都合が起こる。そこからなし崩しに、非合法なことを描いてもよい、とすれば、高校生がビールを飲もうが、兄妹でなにがあろうが、かまわないのかも。

小林めぐみ 「食卓にビールを2」

相変わらずなんだかなんだか、よくわからない話ですが、まあ、こういうのもありかな。テンポはよいし、ストーリーはめちゃくちゃですが、それはそれでこの作品の持ち味だし、特に深く読む必要もないくらい、たいがいの事件がさらっと終わるけれど、最後までスネークマスターがよくわからなかった。うーむ、その程度の感想でいいんでしょうか。まあ、私的には、このような小説は嫌いではありませんです。


川上亮 「僕らAI」

ネタばらしにならないようにするならば、うーん、父が死んで姉と妹と自分(男)で、三人で暮らしている主人公がいて、そこに、なんか妹が変とか、姉が変とかそういう非日常が起こり始め、なにやらその非日常について妹がやたら詳しい。そして、やがて、どうやら、人格がスイッチしているらしく、しかも、スイッチした人格は自分のことを「お父様」といってなつく。それがときに妹の姿のままだったり、姉のままだったり、そして、どうやら自分もそうなっているらしい。妹はその理由を知っていて、やがて、三人は、とある廃棄された研究所へと向かう、そして、、。

なんか、この話自体よりも、あとがきが面白かった。妹があまりにも突然知りすぎているのがなんかちょっと。不思議かな。もうすこしちょっとずつ話がわかるような構成になっていたほうがいいのかも、とおもいつつ。超常現象系ですが、まあ、SFでしょう。そんなところです。


Last modified: Sat Dec 11 22:20:15 JST 2004

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわり