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ゲーム版の話も
はじめに
基本的なお話


ゲーム版の話も

さて、lain のゲームも登場して結構な んつうかすごいことになりました。

ゲーム版は、テレビ版とは、かなり違う。まず岩倉玲音ちゃんの顔が違う、、、 いや同じ?えっと、イラストで書かれたところの玲音ちゃんの顔はアニメ版で も共通、とくに、LD/DVDなどのジャケットの絵柄と同じ感じの玲音ちゃんなん だけれど、ゲーム版の中のアニメ部分の玲音が全然違う。目と眉の間が離れて いるので、かなり不気味な顔になっていますね。

ついでに、設定もまるっきり違う。おねえちゃんも出てこないし、ありすたち も登場しません。でも内容はちがっても、伝える世界はかなり同じ。

11歳の岩倉玲音ちゃんは幻聴幻覚になやまされ、心理カウンセリングを受ける。 でそのカウンセラーはアメリカ帰りで新米の柊子。アメリカで日本人の彼氏が いて、その彼氏と同じ日本の橘総合研究所に勤めることになった彼女。そして 始めてのクランケが玲音。で、ゲームのほうは、この柊子と玲音のそれぞれの 日記、そして、カウンセリングの記録や柊子が書いた玲音についてのカルテな どなどをいろいろ読み進めるというものですね。

進んでいくと、だんだん玲音自身が症状が軽くなっていったりする。友達もで きたなんてことが日記に書かれていく。その一方で、カウンセリングをしてい る柊子のほうは、彼氏にふられ、さらに新しくつき合いはじめた年下の男性と の間もうまくいかず、現実世界の中で絶望状態になっていって、カウンセリン グそのものが、どっちがカウンセラーかわかんなくなり、、、、。結局、、。

内容はあっちこっち矛盾だらけ。どの記録も記録した人(日記つけている人) の主観で書かれているわけだから、それぞれが知らないことはたくさんあるし、 そして、玲音がやがてクラッキングができるようになると人の日記やら記録を 読んだり、内容を変更したりできるようになったりする。そんなあたりから、 どんどん最後のほうでは、世界が崩壊して、、。そのあたりの崩壊感ってのは、 最近の「現実崩壊もの」のゲームなどに共通する雰囲気がありますねぇ。ONE あたりの最後の部分もそうです。

内容はかなりエグいですよね。血がどばっと、、。サイコホラーサスペンス。 ううむ、とんでもないゲームが登場したものだと思います。

ゲームも登場してより一層 lain の趣旨っていうか主題っていうかそういうの が分かるような気がする。別に彼女がワイヤードな存在かどうか、そんなに関 係ないです。これからの時代、小さいときから、携帯電話やインターネットな んかを始めて、情報の取得がどんどんできる。情報は溢れているし利用も自由 にできるって状態だと、従来の集団教育とは違ったかたちで、どんどん先に進 んでしまう子供も出てくるでしょう。べつにそれはサヴァン症候群とかそうい うものではなくて、だって、機械操作なんて子供のほうが早く覚えられるだろ うし。一方で、ネットワークで溢れている情報の多くはガセだったり嘘だった り、信頼性の乏しいものも多い。こういう時代になったときに、子供たちは自 分たちにとって都合の良い情報をうまいこと捉えることで、どんどん自分なり の世界観をもっていって、それをどんどん強化する形で情報取得をする。ます ますいろいろな世界観が溢れる。集団で同じ教育を受けている時代とは違う社 会が始まる。

ってまあ、こんな状況は正直いって、普通に義務教育受けて、普通に半分義務 教育に近いような高等教育までうけちゃった世代からすると、結構「わけわか らん」という子供が育っていくんではないかと。だから、ゲームでもアニメで も玲音の学校の話とか、玲音が学校にいかなくなる話とか、そういうのが現実 味がある。このあたり、lain シリーズはかなりうまく描いていると思います。

で、さらにいえば、近代においては、こういう「すごい子供」はすぐに「神童」 とかいわれて、マスコミの注目を集め、、、みたいな流れがあるが、たぶん、 これからの時代は、こういう子供自身、こうして一般の目に触れることを避け て、地下に潜るっていうか、、、。それこそクラッキングの腕を使えば金も儲 かる、食べるに苦労もしない、しかも、その人間が子供であるかどうかもあん まり関係ない。こういう状況になると、人間社会において、「誰の目にも明ら かなコト」というのがどんどん減ってきて、結局、それぞれは自分の世界をもっ て、その世界を共有している人と、共有している部分だけでおつき合いになる。

まあ、そんなあたりの描き方、そしてわざわざ矛盾を多く含んだ記録、日記と いうものを使って、現代社会の根底がどんどん破壊されているところを明確に 描いているのがゲーム版ですね。いやあ、清水香里ちゃん演技うまいうまい。 恐いゲームですよ本当に、、、、、。


はじめに

いやあ、おわっちゃいました。ううむ、ついに、、。 このページ書こうと思った理由は、fj.rec.animation とかでもずいぶん書い たんだけれど、結局、lain の描こうとしているものって、いろいろ自分でも 考えていたことで、以前ホームページにも置いていた小説なんかとも符合する 内容のものなんで、そんで、そういう意味で、なんていうか、ネットワークが 張りめぐらされて、かつ、そこに、難しいハードウェアやソフトウェアの基本 からの原理を知らずして、どんどん使いこなす世代の子供たちが、ネットワー クでどういう行動を起こすのか、そんなあたりを描いているのがやっぱりすご いなと思うわけです。

ストーリーがどうであれ、とにかく、lain という作品を作っている人たちが、 非常にネットワークについて、「詳しい」とか「そういうところでの人の行動 原理を知っているなあ」と思うフシがたくさんあって、そういうのが、普通の ドラマなどでネットワーク関係の話がされていたりするのとは違う。そこいら 辺の濃さが、なんつうか、自分でもそれなりにネットワークに関わっている人 間としては、「よく描いている」って気がするんですよね。

今から10年後ぐらいの時代、そんな時代には、あんな世界があるんではないか。 10年たっても、50年たっても、子供はやっぱり学校にいって、授業を聞いて、 そして、若者の集まるところがあって、不良がいて、、、普通の日常があって、 家族が一緒にくらしていて、という基本は今と変わらない、変わらないけれど、 その基本を支えているものが今とは、っていうか、ネットワークがなかった時 代とは全然違うんだ、というようなことを、非常にうまく描いていると思いま す。

最近になってようやく分かってきたナイツという存在も、lain の友人のアリ スの言葉では、「面白いからとか、お金が儲かるから、とかそういう理由で活 動しているわけではない気がする」っていうあたりで、なんか非常に新しいと 思うわけです。

ネットワークに実際にしょっちゅうアクセスしている私自身としても、なんつ うか、このネットワーク世界での活動は、面白いとか、儲かるとか、そういう 理由ではなくて、やっている気がして。時には、面白くないことも多いし、大 変なことも多いんだけれど、そのなんかネットワークにアクセスしたり、情報 を流してみたり、そういうことをしてしまう。まだ本編では、ナイツの意味、 理由などはほとんど語られていないけれど、そのあたりをうまく描いてくれた らすごいなあと思います。

まあ、全編、非常に抽象的なもので、絵もこれまでのアリガチな絵ではないし、 その意味でも、最高に注目すべきアニメではないかと。しかも、分かる人にし か分からない、そんなものではないかと思います。

いやその、作っている人たちが、やっぱりネットワーク社会自身にかなりどっ ぷりと浸かっている人たちなんだろうと思いますね。そうでなければ、あの感 覚は分からないだろうと。そのあたりが、非常にぐんぐんと分かってくるのが 見ていて楽しい。わからないような表現も、なにか意味があるし、まあ、最後 どうなって終っても良いのですが、、。描き方がうまいなあ。

表現がぞくぞくするくらい怖いです。うまい。このアニメはやっぱりすごいア ニメでしょう。究極の、、、。最終的にどう終るかまだわかりませんが、ネッ トワークで誕生した人格とか、それを実世界に実現するとか、そういうあたり がすごい描き方がうまい。最後まできっちり見てしまいたい。

でもって、最終回は、大方の予想を裏切り、ワイヤードとリアルワールドの融 合のようなエンディングではなく、lain 自らの手でリアルワールドの上位世 界としてのワイヤードを消滅させるわけです。

英利は、自分の思念をプロトコルに潜ませて、ワイヤードの支配者となり、さ らに、リアルワールドも支配しようとした。まさに、神になろうとしたのだっ た。橘総研の男は、リアルワールドとワイヤードとの融合を画策した。そして そのために、lain の存在を抹殺せずに、最後に英利との対決へと持ち込ませた。

けれども、lain が望んだのは、発狂してしまったありすを見て、「全てをも とに戻す」ということだったのですね。英利が妙なことを画策する以前の状態 に戻し、ワイヤードをリアルワールドの上位世界であるとせず、たんなる情報 伝達のためのフィールドにした。けれど、、、。

結局、神様が子供から大人に成長していく話だったような気がしますね。神が、 地上に降りて、そして人間として成長し、やがて自分が本当は神であることを 知る。けれど、そのとき、偽物の神が神になろうとしていた。そして、偽物の 神は神の国から人間の世界を支配しようとしていた。そのために、人間になっ ていた本当の神は大事な人間の友達をたくさん失った。だから、神は自分の神 としての大いなる力を一度だけ使って、偽物の神になろうとした人間が、偽物 の神になってしまう前の状態に戻した。でも、そのときは、神は自分の人間世 界での存在もなかったことになる。けれども神は人間が好きだった、人間世界 での友達が好きだった。だから、ときどき人間の姿を借りて、友達の前に現れ るようになったのだった。

ううむ、やっぱりすっごい名作な気がする。


基本的なお話

ストーリーの解説をことこまかくする気はないんだけれど。

岩倉玲音(いわくられいん)は、東京近辺に住んでいるらしい地味で大人しい 女の子。中学二年生になったところ。高校生の姉がいて、父は、コンピュータ のマニア。母はよくわかんないけれど、どうやら、父親と母親は仲がよいみた い。

ある日、玲音の学校の女の子が渋谷で自殺。でも、自殺したあとで、なぜかそ の子から、クラスメートや同じ学年の女の子たちに電子メールが届くようにな る。そして、その話を聞いた玲音が、あんまり使っていないネットワーク端末 のナビを起動したところ、やっぱりその女の子からのメールが届いていた。彼 女は、実世界(RealWorld)での存在を消して、ネットワーク世界(Weird)での存 在になったのだ、という。そして、そこには神がいると。

その時から、玲音は、父にせがんで、新しいナビを買ってもらい、だんだんと ワイヤードでのハッカーになってくる。そして、それまでの大人しい地味な子 ではなくて、ワイヤードでは、活発で、積極的な女の子になる。が、しかし、 ワイヤードでは、以前から、lain という名の少女が存在し、かなり知られた 存在だった。

玲音は、やがて、とてつもない能力をもつpsyche プロセッサを手に入れたり、 ワイヤードとリアルワールドでの狭間のいろいろな事件を解決したりするよう になる。そんな中で、ワイヤードで非合法活動や情報操作、非合法のシステム を販売したりしているナイツと呼ばれる団体と接触していく。

そうした中で、どんどん玲音を取り巻く生活が破壊されてくるんですね。まず おねえちゃんが、人格崩壊、そして、玲音自身も実生活での玲音とネットワー クを歩き回る玲音との人格分裂のような状況になってくる。両親の様子もおか しくなり、数少ない友達もだんだんと離れていく。さらに、玲音を付け回す妙 な黒服の男たち。

そんな中で、玲音は、ワイヤードにはびこるいろいろな現象を目にして、それ を自分の意志で変えていく、しかし、そこになぜかつきまとう自分でないlain の影。

そして、ついに、玲音は、自分自身を知り始める。家族、友人たちがどんどん 自分から遠ざかるなかで、ネットワークプロトコルに自分の意志を入れた男、 英利と対峙する。彼は、玲音を自分が作ったものだという。そして、彼はワイ ヤードの神だという。そしてその神を信奉するものとして、ナイツがいるのだ という。玲音はやがて、ナイツ全員をあばきだし、そして、橘総研はそれを片 付ける。玲音は本来ワイヤードの中で生まれた伝説の少女。それを現実世界に おくりこんだのは、ワイヤードの存在となった英利だった。玲音の父はそれを 伝えて、去っていく。

そして、ついに、lain は自分の意志で、世界を変え始める。それは、すでに 英利の考えそのものでもなかった。プロトコル7が普及し、人間がデバイスな しで、直接互いに情報交換ができるようになり、その中で、しかし lain は、 自分が REALWORLD において人間として存在していることを認識し始める。そ れは、友人のアリスとの会話において、そして、英利との会話において。。

けれど、lain は、ありすを傷つけてしまう。自分がありすに対して良かれと 思ってしたことが裏目に出て、ありすは、化け物と化した英利の姿を見て、発 狂する。そして、ついに、lain は、全てを最初の状態に戻すことを決意する。 そう、英利が自殺する以前、そして、lain 自身が岩倉玲音になる前の時間以 降の状態に戻したのだった。ちさもそして、ワイヤードへいくために

その時に、彼女は誰の心の中にも自分がいないことを知って哀しむ。人々は、 玲音が存在しないという記憶を持ちながらも、なぜかだれかがいるような気が している。

自問自答し、悩み、そして、lain は、自分が、リアルワールドで出あった友 人たちが好きだったことを、知る。そして、未来を変えようと決心する。そう、 彼女は過去だけでなく未来も変えることができた。そして、大学を卒業するこ ろのありすの前に立つ。彼氏と一緒にいたありすは、見たことのあるような気 がする少女を見つけて、「どっかであったことあったっけ?」と訪ねるが、 lain は、「はじめまして、だよ」と答える。そして、「また、あえるよ、きっ と」といって、二人は分かれる。


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