ゲーム性とか、ゲームとしての面白さをほとんど取り去ったようなゲームで、 一般的な恋愛シミュレーションやギャルゲー、美少女ゲーを考えた場合、かな り酷いゲームになりそうな気もするんですよね。
ゲームっていうのは、普通、なんか目的があって、目的にむかって戦略立てて、 うまくいくと喜べるようになっているじゃないですか。ところが、このゲーム は、そういう目的をもって、「攻略」というのを考えると、結構素直で、その まま、どんどん進んで、「攻略した通り」に話が進んで望みのエンディングが 見られる仕組みになっています。しかも、更に悪いことに、ゲームの序盤の段 階で、すでに、どのエンディングになるか、概ね決まってしまうので、あとは、 そのエンディングにむかって、やるしかない状況。最初で失敗するともう取り 返しがつかないような感じでもあるわけです。
まあ、それでも、攻略を阻むような感じで、ランダムなイベント発生とかのシ カケもありますが、それも、普通攻略慣れした人にとってはなんでもありませ ん。ちょっと苦労すれば、それも1時間かそこら無駄なことすれば、すんなり エンディングに行く。しかも、ゲームの序盤でもう方向がだいたい決まってい るから、途中は、ただ攻略目的に沿って進めればよいだけです。こんなのは、 最初に1回か2回、ノーマルエンドになれば、だいたい掴めるものです。
毎日の行動を、ADのバイトと喫茶店と大学をほどよく混ぜて、由綺ちゃんの要 求をはいはい聞いて、できるだけ彼女と会いたいという方向で選択肢を選んで いけば、まあたいがい由綺ちゃんエンドにはなる。で、彼女のエンディング方 面にちかくなると、どの日になにをすればよいか、そんなのはすぐにわかりま す。電話で教えてくれたりするし。
毎日の行動を、ADのバイトと喫茶店のバイトにして、理奈ちゃんの要求をはい はいと聞いて、途中で現れる由綺ちゃんには、「ごめんごめん」と謝っていれ ば、理奈ちゃんのエンディングにはたどり着くわけです。
他のエンディングもみんなそうだから、難しいことはなにもない。学園祭イベ ント、クリスマス、年末年始、バレンタイデーの全部について、同じ女の子と のイベントを見るのが、ある程度必須だから、最初の学園祭イベントで一緒に 過ごした女の子がいたら、その子とのエンディングを見るために、全部その女 の子と他のイベントをやるようにするか、ノーマルエンドで、まあ、そこそこ な感じで由綺とつき合いを続けるか、になるだけです。だから、とっても簡単。
ところが、このゲーム、そういう攻略的なプレイすると、とっても心が痛むよ うなストーリーになっているんですね。そういう攻略していることにどんどん 罪悪感がたまってきて、たまらない気持ちで、惨めになります。「今日はこの 子を攻略だ」と思ってはじめる、で、途中の「見たセリフは飛ばす」なんてこ とやって、イベントの摘み食いみたいなことやって、エンディング見ると、脱 力感を感じてしまう。普通の恋愛シミュレーションだと、「Xちゃんとのグッ ドエンド見たい」と思うと、すごい苦労して、難しくて、なんどやっても「やっ ぱり出てこない」とかいって、で見事にそのエンディングに至ると、「ああ、 苦労してよかった。ついにやったぞ!」とか思うわけです。達成感ってやつで すね。で、たとえ恋愛シミュレーションでも恋愛アドベンチャーでもゲームと 呼ぶからには、そういう目的を持つことととその目的達成はゲームというもの の持つ本質ではないかと思うわけです。
でも、このゲームは逆ですね。攻略すれば攻略するほど、最後のエンディング が哀しい、惨め、脱力する。「攻略しなければ良かった。もっと自然に、もっ と普通に、その気分で、プレイすれば、良かった」と思えるような感じになっ ています。攻略モードでやっていると、「こんなことしないなあ」というよう な選択肢を選んでしまう。で、選んで、思った通りに目的を達成すると、「な んか変」というか、そういう気持ちになるようになっています。
さらにこのゲームの非情なことは、そういうことに気がつくのは、最初の三回 か四回プレイしたときなんですよ。でも、その時は遅い。すでにいくつかの、 グッドエンドを見ているから、他のエンディングを見たいと思う。しかも、特 定の女の子とのエンディングを見ると、もうCG達成率がその女の子について は100%になっているから、「ああ、この子のエンディングは他にはないん だな」と思う。で、他の子のエンディング見ないと、って思うと、攻略すれば するほど脱力感と惨めさを感じることは分かっているのに、攻略モードでプレ イする。そうして、エンディングを迎えて、ますます脱力感を感じる。
最初からこのことが分かっていれば、もっと自然にゲームができる。攻略モー ドなんて思わずに、いろいろその時その時の気分で、あるいは、ストーリーに 沿った自分の気持ちに素直で、自然なプレイができる。たぶん、それはほとん どの場合、どの女の子とも中途半端なイベントしかおきないで、たぶん、ノー マルエンドで終る。でも、人生本当はそんなものなんだろうと思う。それがこ のゲームの本当の楽しみ方なんだろうと思います。で、そんな感じで、なんど もなんども、いろいろな女の子とのイベントの入口を見て、いろいろ想像して みて、自分なりに考えを膨らませて、いよいよ、ってなったら、たぶん、その ころには、自然にやっても、素直に自分の望んだエンディングが見られるよう になるんだと思います。
ゲーム買った。だから、早く全部やって、みんなに早く攻略情報を教えて、あ るいは、誰かがエンディング見た、だから、できるだけ早くその情報をもらっ て、全部やっちゃおう、とかそういう気持ちになることを拒否するゲーム。あ るいは、そうやればやるほど、哀しくなるゲーム、惨めになるゲーム。ぎらぎ らした攻略モードになっている自分を嘲笑し、その貪欲さをあからさまに感じ させるもの。そして、ますますそんな自分を哀しく思わせるもの。
こういうモノがあるんだなということを感じさせてくれました。だから「すご いゲーム」です。これをリーフさんが狙ってやったのか、それとも、ゲームシ ステムの設計上の問題なのか、シナリオが暴走したのか、それは分かりません。
偶然の産物だとしても、狙ってやったことだとしても、ゲームの本質とはなに か、ということを考えさせてくれるゲーム、いや、映像音響文学ソフトという べきものとして、革命的というか、斬新なものであったと思います。
で、結果としてか、狙った通りなのか、よくあるゲームの遊び方の歪んだあり かた、つまり、ゲームが発売されて、その日のうちに、攻略本が出て、両方買っ て、シナリオを追いかけるとか、友達どうしで、あるいは、ネットを通じて、 自分の達成度を自慢し合うとか、そういうのに対して、それをあざわらうよう なソフトになったということです。ネットワークなんかで、「いまさらXXと いうゲームしてますが、ここが分かりません。」とかいう感じで、ゲームは発 売されたときが旬だとか、そんな感覚を、否定するモノとして登場したものだ と思いますね。ま、ゲームとして見た場合、クソゲーという人もいるかもしれ ない。
文章は、これまでのリーフビジュアルノベルが、高橋龍也さんの脚本のものが 中心で、どっちかっていうと、人生を斜めに見ているというか、まあ、とくに 雫の長瀬君がそういう主人公だったのだけれど、その雰囲気はToHeartにも引 き続いていて、高校生という設定のわりには、妙に大人で、世間を良く知って いるようなところがありました。文章のもつ美しさという面でも、高橋さんの 文章は、非常に文学的で、はっとする表現がたくさんありました。で、そうい う文章だから、逆に、主人公は、そういう、一面ヒネた目で世間を見ているの に、女の子たちとのふれ合いの中で、だんだん純真になっていくようなものが 描かれていたと思います。
今回のWhiteAlbumは逆ですね。文章は、とっても普通。文学性をきどるもので もなく、人生をヒネた目で見たところもなく、真っ正直で、飾るところもない。 実際、そういう主人公だから、優しくて、そして、それが結果として、人に良 かれと思う行動をして、自分とその人と、周囲の人を傷つけたりする。そうい うのを描くためには、高橋さんの文章だとだめなんじゃあないかな。シリーズ 構成、原案をねっておきながら、脚本は原田宇陀児さんが書いたというあたり、 やっぱり狙っていたのかな。
音楽は、やっぱり綺麗ですね。雰囲気がとてもよくて、とくに、理奈ちゃんの 登場のときの音楽、画面の中の絵と一緒になって、本当にはやなかなものになっ ています。それぞれの女の子の雰囲気を非常に捕らえた音楽になっています。 ヒロイン森川由綺の唱うオープニングの歌、そして、ライバル緒方理奈の唱う 挿入歌、エンディングのAKKOさんの歌。どれもなかなか良いメロディとオ リジナリティを感じさせます。唱っている人はそれぞれ違うわけですが(たぶ ん)、一番うまいのは、やっぱりAKKOさんかな。ちょっと森川由綺(仮名) さんは、もう一歩って感じはします。
映像は、画面構成が良く、今回は、いままでのリーフビジュアルノベルでは、 複数の人が話をするシーンでは、画面に二人程度登場するのがよくありました が、今回は、違います。一人だけ。画面がかぱかぱ変わるのがちょっと煩わし い気もしますが、表情とか、画面構成の上では、非常によくできています。さ らに、背景の絵のカラーリングが良いので、初めての256色のToHeartと比べて、 今回はずいぶん洗練されたなと思います。っていうか、なんだかんだいって、 ToHeartのときは、雫、痕以来の、暗い背景画面が多様されていましたが、今 回は明るいものが多く、花やかです。Hシーンでは、やっぱり理奈ちゃんのシー ンが画面構成として、非常に良いですね。配色も素晴らしく、ライトを落した 暗めであるのに、きらめく感じがする映像でした。で、全体に明るい絵で、花 やかであるにも関わらず、けっしてきゃぴきゃぴした軽い感じはしません。優 美な感じ。
ということで、このゲーム、映像、音響、文章すべてがまっちして素晴らしい 演出になっていると思います。
恋愛のパターンというものには、ふざけた要素が一切なく、恋人がいるけれど、 どうしても憧れてしまう先輩との恋(美咲さんシナリオ)、恋人がいるけれど、 そこに、恋も愛も予感させずにすんなり入ってくる幼馴染み(はるかシナリオ)、 恋人のライバルとして登場し、恋人どうしの縁をとり持とうとする少女がやが て恋と自分に目覚める話(理奈シナリオ)、こどもっぽくからかう相手であり 先生でもあった主人公がだんだん大切な人に思えてくるシナリオ(マナちゃん シナリオ)、契約としてゲームとして愛する人のために体を提供するとしなが ら、自分自身が恋に落ちるようで、最後に身を引くというシナリオ(弥生さん シナリオ)。そして、最後まで愛は勝つ!で踏ん張るシナリオ(由綺シナリオ)。 それぞれの女の子つ悩みを主人公が解決することで、っていうようなありがち 系のものではなくて、やはりストーリーのラインがいろいろと分散していて、 楽しめるものでした。
まあ、ゲームシステム自体が、ちょっと辛いところがあるのと、実際にバグも あるようで、もうちょっと完成させて出して欲しかったとは思いますけれど。
今回、ネットとかでも、あんまりオタケビのようなものはなくて、しっとりと、 「ああ、美咲さんいいかなあ」とか「あんがい弥生さんエンドでグッときまし た。」みたいな静かな感想が多いですよね。
さて私としては、ToHeart で初めておめみえって感じのらー・YOUさんのキャ ラクターデザインの志保萌え!だったので(なんでそうなったか自分でも不明)、 今回ほぼ全部らー・YOUさんがキャラデザってことで、結構期待があったわ けです。で、最初ゲームやったら、「あれ、みんな同じ顔みたい」って思った んですね。ところが、進めていくと、だんだんキャラの表情が豊に感じられて、 でもって、なんとなく、やっぱり由綺ちゃん、マナちゃんいいなあとか思うま でになったというか。由綺ちゃんの表情はやっぱりいいです。みるとキュンと きますね。またツボをおさえていて、キュンとなるシーンに必ず登場します。
ゲーム屋には、由綺ちゃんポップが置いてあって、今度いったら、絶対もらい
たいので交渉しようとおもいます。
#もう遅いかなあ。
つうことで、私は、由綺ちゃん、マナちゃんのイトコどうし萌え!
ところで、リーフビジュアルノベル以降、毎回毎回人気が出る、「ふきふきキャ ラ」はどうでしょう?
雫のさおりん、電波でびりびりになって、主人公がタオルでごしごしふくとい う、初代ふきふきキャラです。スポーツ少女の根性ありーの、とってもコミカ ルでかつ怖いものは嫌いっていうなかなかたったキャラでした。結局超人気キャ ラになり、結果「さおりんといっしょ!」というアミューズメントCDになり ました。
次の二代目ふきふきキャラは、痕の楓ちゃん。人気イマイチで、お姉さんの千 鶴さんに負けましたが、それでも、おかっぱアヤナミ超能力で人気。でも、ア ミューズメントCDは、妹の初音ちゃんに名前をゆずり、「初音のないしょ!」 になりましたね。
三代目ふきふきキャラは、なんと人間じゃあないホームメードアンドロイドロ ボットのHMX-12型マルチ。幼い感じと、必死にがんばって人間の喜ぶ姿を見る と嬉しい、自分はなでなでされると嬉しい、そんな健気な彼女には、涙を流し て、絶叫する人続出。で、WhiteAlbumが発売されたので、次のアミューズメン トCDは、「マルチのよいしょ!」で決まり(だと思う)。
さて、今回のWhiteAlbum、ふきふきキャラはやっぱりちゃんと存在しました。 一番幼い系統のワガママ、ムラ気で、主人公を召使扱いするというマナちゃん。 まあ、シナリオ的には、結構単純で、最後にとってもしゃんとした大人っぽい 判断をする彼女。人気はどれほどか?WEBページのBBSなんか見ると、マナちゃ んがイイという人も多いようで、結構人気でるんでは?ちょっと最後のほうで、 由綺ちゃんが登場して主人公の心を痛めるあたりで、由綺ちゃんキュンになる のが問題ですね。さて、アミューズメントCDの名前は、「マナちゃんだって いいでしょ!」で決まり(だと思う)
と思ってキマリとおもったら、今回のWhiteAlbum では、もう一人のふきふき キャラが、、。それは、あの弥生さん。まあ、どうやら自分でふきふきしてい るようなんで、ちょっち違うかな。弥生さんの名前でアミューズメントCDな ら、「弥生は自分でふきましょ!」(爆!)。
たとえば、由綺ちゃん、「わたしだって、アイドルとしてビッグになったから、 あんなどってことない高校時代以来の彼氏とつき合っているっていうのもなん だしぃ、まあ、それでも彼の気持ちがすごいっていうなら別だけど、、」みた いなことをいったとして、って考えると、どうもそういうふうじゃあないんだ よなあ。で、美咲さんはやっぱり違うよなあ、と思うし。マナちゃん仕組んだ とも思えないし。弥生さんは実際仕組んでいるけれど、最後は由綺と主人公の 仲を割いたわけじゃあないし。理奈ちゃんも違うと思うし、、。
ってことで、黒幕は、はるか、ってことにしましょう。スポーツアヤナミ幼馴
染みぼくキャラという、一般ギャルゲーでは絶対に食い合わせが悪いようなジャ
ンルのキャラをとことん合体させた、謎のキャラ「はるか」。そう、はるかは
幼馴染みを利用し、アヤナミを利用し、ぼくキャラとしての男的雰囲気、そし
てスポ根ベースのお涙頂戴シナリオで、主人公をしとめた、、ということ。し
かも、はるかは、明らかに美咲さんシナリオでも裏で働いており、また、他の
シナリオでも、なにかと、「のほほーん」と登場しては主人公の動向をうかがっ
ているようなので、やっぱり彼女が裏の仕掛人だったということではないかと、、。
#あ、はるか萌えの人、石投げないで、、。
エンディングを見た順番です。
そんなときに、二人の前に現れる由綺。優しく、なにも知らない由綺。由綺の 知らないところで、理奈と主人公はだんだんと心を通わせていく。
理奈にとって、冒険。今の自分を捨てて、ライバルであり友人である由綺から 彼氏をとること。でも、それは理奈が悪い人だからじゃなくて、どうにもなら ない気持ち。自分が兄の飼う小鳥でなくて、自分でありたい、自分に素直にな りたいと思うから。
由綺と理奈は最後に対峙し、ついに、自分たちの本当の気持ちを互いにぶつけ て、感情をあらわに吐露する。対決。それを陰から見て、なにもできない主人 公。
そして、ついに、アイドルであることを辞める理奈。由綺は、自分の気持ちが どうであっても、そこまでする理奈には、もうなにもいえない、そこまでする 理奈から彼氏を奪い返すことはできないと思う。
こうして、理奈は初めて解放されて普通の人になる。そして、主人公とともに 解放された日々を送り始める。でも、その最後のエンディングは、少しだけ、 不安も感じさせる形で終る、のかな。
私にとっては、このゲームで最初に迎えたグッドエンドだったわけですが、な かなかダイナミックに人の心の移り変わりを描いているような気がします。そ して、なんといっても、一番花のあるシナリオでやっていて、とっても花やか な感じがしました。
最初はしょうがないと思っている主人公。教える必要もないくらい勉強もでき るマナちゃんに、なんで自分が家庭教師としているんだろう、なんていう疑問 ももちながら、次第に教え子として見ているうちに、彼女の心が分かってくる。 そして、マナちゃん自身が、だんだんと家庭教師である主人公と会うのが楽し みな気もちになってくる。主人公は自分にとって大切な彼女がいるのに、マナ ちゃんを大切にしたいと思う。でも、本当は、自分がマナちゃんを家にしばり つけておくための、監視役であることにも気がつく。マナちゃんは、監視役で ある主人公が、やがて一番自分にとって大切な人かもしれないと思い始める。 そして、マナちゃんと主人公があいついで風邪をひき、互いにしかたないとお もいながら、その看病をする。こうして、よくわからないうちに、互いに気持 ちが通じる相手だということに気がつく。
受験。面接試験、それにつき合って、そして、ついに、合格発表の日、マナちゃ んは、実は主人公の彼女のイトコであることを知る。マナちゃんがときどきいっ ていた、才能のあるイトコとは自分の彼女だった。そして、マナちゃんもイト コの彼氏が主人公であることをしる。
そして、三人が顔を合わせたときに、主人公はついに、マナちゃんに走る。ど うにもならない気持ちで。そして主人公はマナちゃんと結ばれる。
マナちゃんは大学に合格するけれど、合格するということは、家庭教師がいら ないということ。自分の尊敬するイトコの由綺から彼氏を奪うことはできない、 と思い、自ら身を引くマナちゃん。あんなに我儘だったマナちゃん。でも、今 のままでは、由綺から彼氏を奪うことはできないと。
そんなことも知っていて、主人公にマナちゃんのことを話す由綺。まだ二人は 恋人どうしだった。
ってことで、私が二度目に見たこのシナリオは、一番コミカルで楽しいもので したが、その裏側の心というものをうまく描いているものでした。主人公の気 持ちがどんどんマナちゃんを大切だと思う方向にながれていくときに、いつも 笑顔で現れる由綺に対して、本当に心が痛くなりました。
はるかが尊敬していて、大好きだった兄と同じようなことをいう主人公。そう して、もしかしたら、自分は主人公を好きかもしれないと思い始めるはるか。 でも、それは兄に対する気持ちを主人公に対して持ち始めたに過ぎないと思っ て、相変わらず、ただの友達でいようとするはるか。主人公も、やっぱりはる かは友達にすぎないと思おうとする。そのうち、その気持ちは、男であり女で ある気持ちにならないまま、二人は、やはり男であり、女であることに気がつ く。
風がながれるように、自然なまま、そして主人公には別に恋人がいるってこと も知りながら、互いに惹かれていく二人。
さらっとしていて、起伏もなにもないシナリオでした。でも、こういうのって あるかもしれないと思います。主人公にとって、由綺はやっぱり互いに意識す る恋人どうし。そういう中に、すんなりと入ってくるのは、やっぱり互いが意 識していないからだってこと。そんな感じかな。
信じ合うことが辛くても、でも、疑っては行けない。逃げても行けない。なに があっても、どんなに疑う気持ちが湧いてきても、疑ってはいけない。最後ま で信じるのだ、、という形で、とにかく、つっぱしるそういうシナリオですね。
まあ、このときは攻略モードでしたから、とにかく、なにがあっても、由綺を 信じるのだ、と思いながらプレイしていましたが、本当に人間そこまで思うの かな、というところもあって。
でも、エンディングは良かったな。美しいエンディングですね。二人を引き割 こうとするあらゆる障壁を乗り越え、最後まで信じていたから、信じあってき たから、互いに恕しあい、そして、結ばれるエンディング。とっても美しいエ ンディングだったと思います。
さて、このゲームでは、グッドエンドにならないときは、ノーマルエンドにな ります。ノーマルエンドでも、結局、由綺と主人公は恋人どうしのまま、最後 に二人で手をとりあって、な関係が続くわけです。
で、いろいろ考えると、なんか、ノーマルエンドが一番、だれにとっても幸せ なエンディングなんじゃあないかなと思うような気がしてきます。
もっともっと、普通、こんなことしないよな、という選択肢を選んでしまう。 攻略のため、攻略のため、と思って、こんなことしたら、普通傷つけるよな、 とかおもいながら、攻略、攻略、ってやっていると、なんかとっても惨めに感 じるようなシナリオだったと思います。
たぶん、このシナリオが一番、内容が濃いのかな、ヒロインの由綺シナリオ以 上に。他の人たちよりも年上で、先輩という立場。強く、そして、しっかりし なければと、そう思う美咲さん。でも、人間強くはない。主人公は、そんな美 咲さんに余計に憧れてしまうようなところ。自分の恋人、由綺ちゃんがいて、 あんまり会えなくて、でも、それで寂しいからっていう理由で、美咲さんに手 を出したとかそういうんじゃあないんだと思う。主人公の弱さと優しさの結果 なんだけれど、あるとき、どうにもならない自分がいて。
さて、そんなときに、攻略、攻略、と思っているプレイヤーは、とっても惨め になる。もっと、主人公の気持ちや回りの人の気持ち、そんなのを見たほうが 良い。もっと自然に、そして、強く、理性をもって、そんな風にプレイしなけ れば、と思わせる。ゲームやっていた多くの人は、最初に美咲さんエンドを迎 えた人多かったみたいだけれど、最初のころに、ゲームのこと知らないときに、 美咲さんが素敵だと思って、いくと、すごい重いエンディングを迎えることに なりますね。そこでこのゲームはそうやってやったら行けないと気がついて、 もっと自然に、自然に、と思わなければ。
そういう場所に、主人公と美咲さんの気持ちを知って、普段からぼーっとして いるはるかが登場して、そして彰が登場して、さらに攻略モードのプレイヤー を惨めな気持ちにさせて、泣きたくなるような気持ちにさせる。
攻略しようと思えば、簡単です。選択肢も攻略を意識して一番まともで、あり がちなものを選べば、彼女とのエンディングにはいくでしょう。美咲さんの気 持ちも、回りの気持ちも、主人公の気持ちも無視して、一番しつこく、一番貪 欲な選択肢を選べば、攻略はどんどん進むでしょう。でも、そうしていると一 番、心が痛む。裏がぜんぜんない。ひっかけもなにもない。だから余計、心が 痛む。 よくできていました。もっと早くこのシナリオをやりたかった。
弥生さんシナリオはある意味でよくできていて、大人としての彼女の理性、自 制心と主人公の心がドライブされるあたり、そしてやっぱり最後の最後に弥生 さんは自分の心を見せるあたり。そして、このシナリオは、決して由綺を傷つ けないように、傷つけないようにという方向でやっているあたり、なかなか良 いと思います。互いに本心を偽るゲーム。そしてどれが本心か分からないゲー ム。そんな中で、結局、だれもが互いの関係を大事にするために、ときには嘘 をつき、ときには、心を痛めながらも、最後は、本来の姿に戻り、全ては記憶 の中に溶けていくというような内容なんですね。まあ、あんまり由綺も出てこ ないし、由綺との関係も壊さないことが前提の契約の恋愛をテーマにしている というあたりが、なんともいえません。だから、そんなに心をいためなくても 良いとおもったのだけれど、たんに、これまでやったシナリオでもう慣れちゃっ たせいなのかな。
由綺シナリオとの分岐は非常に小さいので、由綺狙いでプレイしても、12月 後半で、弥生シナリオ方面にいってしまって、由綺エンドにならない仕組みに なっていますね。ただ、弥生シナリオをエンディングに持っていくのは結構苦 労します。ただ、やりようによってはセーブロードの繰り返しなんかしなくて も一発でいくことがわかりました。
どうやらバグも入っているようですので、リーフのサポートに症状を連絡して おきました。もし、このシナリオがどうしても攻略できない人がいたら、とり あえず、しおりを初期化することのようです(バックアップはとっておいたほ うが、、)。