課題文n-ro291 わたしは,あなたと初めて会った場所をおぼえています。

解説
あなたと初めて会った場所を: la lokon(,) kie mi renkontis vin unuafoje。renkontis vin は renkontig^is kun vi や vidis vin としても同じです。前もって場所や時間を決めて会ったのであれば,rendevuis vin または rendevuis kun vi といういい方ができます。(rendevui は rendevui iun, rendevui kun iu とどちらの形でもよいのですが,renkonti は renkonti iun だけで renkonti kun iu とはいわないことに注意してください。)
「初めて」は por la unua fojo, la unuan fojon といういい方もあります。unua foje は1語に書きます。foje は副詞ですから unua が副詞を修飾することはできません。unue は「(同じ人の一連の行為の)いちばん始めに」という意味ですから,ここでは不適当です。komence は「(ある動作,状態の)始めに」という意味ですから,この語も不適当です。
mi renkontis vin unuafoje(あなたと初めて会った) と la lokon(場所を)とは,場所を表す関係副詞 kie を使ってつなぎます。

おぼえています: mi memoras。

訳例
Mi memoras la lokon(,) kie mi renkontis vin unuafoje.
Mi memoras la lokon(,) kie mi vidis vin por la unua fojo.


課題文n-ro292 死海(la Morta Maro)は, 魚のいない湖です。

解説
死海: la Morta Maro と大文字で書きます。la Maro Morta も使われます。

魚のいない湖です: lago(,) kie neniu fis^o vivas。vivas の代わりに estas, log^as, trovig^as, ekzistas も使えますし,neniu fis^o vivas は fis^oj ne vivas(estas, log^as, trovig^as, ekzistas)ということもできます。lago に冠詞を付けるのは,ここではよくありません。「魚のいない湖」はほかにもあるかもしれないからです。初めて話題にするときは,それが唯一無二のものでない限り冠詞を付けません。関係詞で始まる形容詞節で修飾されている名詞に必ず冠詞が付くとは限りません。lago, en kie ... は誤りです。kie, ie, tie, c^ie, nenie には en の意味が含まれているので,これらの語に en は付けません。lago, en kiu ... ということはできます。senfis^a lago という表現も可能です。
La Morta Maro, kie fis^oj ne vivas, estas lago は文法上の誤りはありませんが,「死海は魚がいませんし,湖です」という意味ですから,この課題文と同じではありませんね。lago, kiu ne havas fis^ojn は lago, kiu ne havas en si fis^ojn とするほうがよいでしょう。

訳例
La Morta Maro estas lago(,) kie neniu fis^o vivas.
La Morta Maro estas lago kie fis^oj ne log^as.


課題文n-ro293 わたしは,誰も来ない場所で2週間静養しました。

解説
誰も来ない場所で: en loko, kie neniu vizitis min または en loko, kien neniu venis のようにいうことができます。前者は「誰もわたしを訪ねてこない場所」,後者は「誰も(他地域からそこへ)来ない場所」という意味ですが,どちらも動詞が -is になっていることに注意してください。従属節の時制には「相対時制」と「絶対時制」があります。主節,従属節についての説明は,ここをクリックしてお読みください。名詞節の場合は「相対時制」,それ以外は「絶対時制」です。「相対時制」は主節の「時」を基準にしますが,「絶対時制」は話し手が話している「時」を基準にします。
下記の例文で「仕事をしている」という日本語が,(1)では laboras, (2)では laboris となっているのは,(1)では従属節(ke li laboras)が pensis という主節の動詞の目的語になっている名詞節であり,(2)では従属節(kiu laboris)が lin を修飾する形容詞節であるからです。つまり,(1)は「相対時制」なので,話し手が「思った」時点を基準にしているのに対して,(2)は「絶対時制」なので,話し手が話している時点を基準にしているのです。

(1) Mi pensis, ke li laboras.(わたしは彼が仕事をしていると思いました。)

(2) Mi vidis lin, kiu laboris.(わたしは彼が仕事をしているのを見ました。)
(2例ともコンマを付けない人もいます。)

kien neniu vizitis の vizitis は venis としましょう。viziti は他動詞ですから,名詞または代名詞を目的語として取りますが,kien は副詞ですから viziti の目的語になることはできません。
loko に冠詞を付けるのはよくありません。la loko とすると,聞き手が知っている場所を指すことになるからです。
2週間: dum du samajnoj または du semajnojn。por du samajnoj とするのはよくありません。dum, por の使い分けについては,ここをクリックして「期間を表す前置詞 dum, por」をお読みください。du semajnojn は dum du semajnoj, por du semajnoj のどちらの代わりにも使えるので,dum, por に迷ったときは,この形を使えばよいでしょう。

静養しました: ripozis でよいのですが,ripozadis を使っていうこともできます。

訳例
Mi ripozis dum du semajnoj en loko, kie neniu min vizitis.


課題文n-ro294 わたしは,できれば地震のない地域に住みたいと思っています。

解説
できれば: se eble, se eblas, se eblus が使えます。-us は非常に遠慮して控えめにいうときや,事実と反対のことを述べるときに使われますから,もしまったく転居の可能性がない場合には,se eblus を使っていいいますが,転居の必要があって,その転居先が話題になっているときは se eblas を使っていうのがよいでしょう。se eble も se eblas も文中に入れるときは,前後にコンマを付けることが必要です。se estas ebla は se estas eble としましょう。lau^eble は tiom, kiom estas eble(できるだけ)という意味ですから,ここでは不適当です。

参考:
Respondu, se eble, c^iujn demandojn.(できれば,全部の質問にお答えください。)
Respondu lau^eble multajn demandojn.(できるだけ多くの質問にお答えください。)

この文の「できれば」が,どこにかかっているかによって,se eble, se eblas, se eblus の位置が変わります。ここでは「地震のない地域に」という句にかかっていると考えるのがよいので,en regiono ... の前に置くのがよいでしょう。

地震のない地域に: en regiono(,) kie ne okazas tertremo でよいでしょう。ne okazas は「(現在を中心にして)いままでも,これからも起こらない」ことを表すことができます。ne okazos は,「今後は起こらない」という意味ですから,過去に起きたかどうかについては触れていませんが,ここでは使える表現です。ne okazis は「起きなかった」という過去のことだけを述べているので,今後は起きる可能性があることを考えると,ここでは不適当といえるでしょう。neniam は「決して(起き)ない」という強調ですから,ne の代わりにこの語を使っていうことはできます。
en regiono sensisma, en sentertrema regiono, en regiono sen tertremo のようにいってもよいでしょう。tertremo は無冠詞単数を使います。en regiono senokazi tertremon は誤りです。「地震のない地域」を「地震が起こらない地域」といい換えて,tertremo ne okazas(地震が起こらない)を regiono(地域)に付ければよいのですが,場所を表す関係副詞 kie を使って結び付けると,regiono(,) kie tertremo ne okazas となります。日本語では「地震が起こらない」と「地域」とを結び付けるときには「地域」の前に「地震が起こらない」を置くだけでよいのですが,エスペラントでは tertremo ne okazas と regiono を結び付けるには,日本語とは逆の語順で regiono が前に来るだけでなく,kie という接着剤が必要なのです。
「地域」には loko, areo も使えますが,zono はよくないでしょう。zono は地質学上の「層準」や,地理学では気候によって分けられた「帯」に使われる語です。

住みたいと(わたしは)思っています: mi volas log^i または mi deziras log^i を使っていえばよいでしょう。log^i の代わりに vivi を使っていうこともできます。voli, deziri は「〜したいと思う」という意味ですから,mi pensas, ke mi volas log^i のようにはいいません。esperi も使えますが,mi esperas, se eble, ke mi log^u ... の log^u は log^os のほうがよいでしょう。

訳例
Mi volas log^i, se eble, en regiono(,) kie ne okazas tertremo.


課題文n-ro295 わたしは,わたしたちが初めて会った日を決して忘れないでしょう。

解説
わたしは決して忘れないでしょう: mi neniam forgesos というのがよいでしょう。ne forgesos は「決して...ない」という強い否定の表現を表さないので, neniam forgesos としましょう。tute ne は「まったく...ない」というような意味ですから,ここでは不適当です。「過去,現在,未来を通じて,決して〜しなかった,しない」ことを表すときは neniam を使っていいます。日本語では未来のことについても,「決して忘れません」という現在形でいうことがありますが,そのときもエスペラントでは forgesas ではなく,forgesos を使っていうことに注意してください。forgesi は点動詞なので,「よく忘れる」というように反復される行為以外の一回切りの行為について,現在形を使うことはありません。
下に tute ne が「決して」という意味で使われている例を挙げておきます。

参考:
Li tute ne estas malbona homo.(彼は決して悪人ではありません)

わたしたちが初めて会った日を: la tagon(,) kiam ni unuafoje renkontig^is でよいでしょう。unuafoje は la unuan fojon または por la unua fojo としても同じですし,置く場所はkiam 以下の文中でも文末でもかまいません。「会った」は ni renkontis unu la alian といういい方もありますが,ni renkontis だけでは「わたしたちがほかの誰かと会った」という意味になるのでよくありません。会う場所や日時を決めて会ったのなら rendevuis を使っていうこともできます。interkonatig^is は「知り合いになった」という意味で,必ずしも「会った」ことを表しません。
「初めて」に unue や komence を使うのはよくありません。unue は「(同じ人の一連の行為の)いちばん始めに」という意味で,komence は「(ある動作,状態の)始めに」という意味ですから,ここではどちらも不適当です。「初めて会った日」の「日」には tago を使うのがよいでしょう。dato を使うと何年何月何日という日付を憶えているということだけを指しますが,tago を使うとそのときの感情や会話など,その日の出来事をすべて含めることができます。

訳例
Mi neniam forgesos la tagon(,) kiam ni unuafoje renkontig^is.


課題文n-ro296 どこでもよいから,このテーブルを空いているところに置いてください。

解説
どこでもよいから空いているところに: en iun ajn vakantan lokon または ien ajn, kie trovig^as vaka spaco などのようにいうことができます。ien ajn vakan, ien ajn vakantan などのようにいうことはできません。ie は副詞なので vakan, vakantan などで修飾することができないからです。iu ajn loko, kie estas ne okupita は iun ajn lokon, kiu estas neokupata としましょう。meti とともに使うときは ien ajn としますが,「置く」に starigi を使うのなら ie ajn sur vaka loko といえばよいでしょう。時間について「空いている」という意味の libera は,libera tempo(予定していることがない空いている時間)のように使われますが,空間についても vaka, vakanta, neokupata と同じように使うことができます。ただし libera には「限界のない,広々とした」という意味を含むので,la libera maro, la libera c^ielo の「広々とした」という意味を vaka などで言い換えることはできません。vaka の意味で neuzata を使うことはできますが,al neuzatan lokon は誤りです。al の後に対格(-n)が置かれることはありません。sur ien ajn はよくありません。ie は en iu loko, sur iu loko などの意味ですから,sur を使うのなら sur iun ajn lokon としなければなりません。

置いてください: metu または bonvolu meti といえばよいでしょう。metu は「置きなさい」から「置いてください」までを含む表現で,bonvolu meti はかなり丁寧ないい方になります。

訳例
Metu c^i tiun tablon en iun ajn neokupitan lokon.
Bonvolu meti c^i tiun tablon ien ajn, kie trovig^as vaka spaco.


課題文n-ro297 動物が人間のように話す寓話(ぐうわ)の中では,"g^i" の代わりに "li" や "s^i" がよく使われます。

解説
動物が人間のように話す寓話(ぐうわ)の中では: en fabloj(,) kie bestoj parolas kvazau^ homoj のようにいうことができます。「寓話」には fabeloj(童話)より fabloj(動物を主人公にした教訓的な物語)を使っていうのがよいでしょう。単数形の fablo は「寓話というものはどれを取っても」という意味が強くなりますが,いくつかの寓話を思い浮かべながら話すときは,複数形の fabloj を使っていうでしょう。
「動物」は animaloj でなく,bestoj を使っていいます。animaloj は「植物と対比していう動物」を指すので人間も含みますが,bestoj は「人間以外の動物」を指す語です。
en fabloj(,) kie の kie は en kiuj としても同じです。kvazau^ は kiel を使っていうこともできます。kiel homoj は「人間と同じように」という意味を表し, kvazau^ homoj は「(人間ではないのに)まるで人間であるかのように」という意味を表します。

"g^i" の代わりに: anstatau^ "g^i" といいます。anstatau^ は前置詞ですから -n の付かない語の前に置かれますが,次のような場合には意味が誤解されないように anstatau^ を接続詞的に使って anstatau^ -n の形で使われます。

参考:
Marko batis Petron anstatau^ Pau^lon. = Marko batis Petron anstatau^ bati Pau^lon.
マルコはパウロを打つ代わりにペトロを打った。
Marko batis Petron anstatau^ Pau^lo.
マルコはパウロの代わりに(パウロの代理として)ペトロを打った。

"li" や "s^i" がよく使われます: "li" au^ "s^i" estas ofte uzata というのがよいでしょう。au^ のところに kaj を使うのはよくありません。日本語の「や」は「と」という意味と「または」という意味がありますが,ここでは「または」という意味で使われています。kaj を使うと g^i という1語の代わりに li と s^i の2語を使うという意味になります。

参考:
En la kunsido c^eestos Akio au^ Haruo anstatau^ Masao.(その会議にはマサオの代わりにアキオかハルオが出席します。[アキオかハルオのどちらかがひとり出席])
En la kunsido c^eestos Akio kaj Haruo anstatau^ Masao.(その会議にはマサオの代わりにアキオとハルオが出席します。[アキオとハルオのふたりが出席])

"li" au^ "s^i" は単数扱いなので,estas uzataj でなく,estas uzata で受けます。

訳例
En fabloj, kie bestoj parolas kvazau^ homoj, "li" au^ "s^i" estas ofte uzata anstatau^ "g^i".


課題文n-ro298 砂漠は植物が極めて少ししか生えていない土地です。

解説
砂漠: 無冠詞の dezerto でよいのですが,la dezerto と冠詞を付けていうと「砂漠というものは」という少し形式ばった感じの表現になります。ただし,この課題文は「砂漠」の定義としては不正確で,朝霧さんから「実際に砂漠かどうかを決するのは植物の多さではなく,雨量(年間降水量)です」というご指摘がありました。エスペラントの辞書で dezerto をどのように定義しているかを調べてみましたが,始めのふたつは正確な定義とはいえないようですね。

VORTARO DE ESPERANTO(1922): Loko, lando sen vegetaj^oj kaj log^antoj(植物がなく住民がいない土地)
PLENA VORTARO DE ESPERANTO(1960): Regiono en kiu tute mankas vegetaj^oj kaj log^antoj(植物がまったくなく,住民がまったくいない地域)
La Nova PLENA ILUSTRITA VORTARO DE ESPERANTO(2002): Regiono, karakterizata de preskau^ absoluta sekeco, tre malabunda vegetaj^aro kaj tre maldensa log^antaro de nomadoj(まったく水分がないといってよいくらいの乾燥と,非常に乏しい植物や極めてまばらにしか見られない遊牧民によって特徴づけられている地域)

植物が極めて少ししか生えていない: kreskas tre malabunda vegetaj^aro, kreskas tre malmulte da vegetaloj, vegetaj^oj kreskas tre malabunde, kreskas nur ekstreme malmultaj plantoj などの訳が寄せられましたが,いずれも使える表現です。ekstreme malmultaj plantoj nur kreskas は nur を ekstreme の前に移しましょう。nur kreskas とすると nur が kreskas を修飾して,「生えるだけです」という意味になりますが,nur ekstreme malmultaj plantoj kreskas あるいは kreskas nur ekstreme malmultaj plantoj とすると,「極めて少ない植物だけしか生えません」となって,課題文の意味と同じになります。

土地: regiono, loko, tero が使えます。いずれもここでは無冠詞で使いますが,parto de tero を使うときは parto de la tero と tero に冠詞をつけましょう。tereno は「人が何かの用地として使う土地」を指して使われるのが普通ですから,ここでは不適当です。

訳例
Dezerto estas regiono kie kreskas tre malabunda vegetaj^aro.


課題文n-ro299 わたしが生まれた家は,このあたりに建っていました。

解説
わたしが生まれた家: la domo, kie mi naskig^is または la domo, en kiu mi naskig^is のようにいうことができます。「わたしが生まれた家」は特定されているので冠詞を付けます。kie の代わりに en kiu を使っても同じです。mia naskdomo, mia naskig^domo も使えます。

このあたりに: c^irkau^ c^i tiu loko, c^irkau^ c^i tie, najbare de c^i tie, en c^i tiu c^irkau^o, proksime de c^i tie, apud c^i tiu loko などの訳が寄せられましたが,これらの訳は「このあたりに」という表現に正確には対応していません。ある場所を指しながら「このあたりに」というときは,指し示した場所とその周りを指す表現ですが,上に挙げた訳はいずれも指し示した場所の周辺部を指す表現であって,指し示した場所は含んでいません。日常会話の話題としては不正確な表現でもあまり問題が起きることはないでしょうが,例えば犯罪捜査の証言で,不審な人物が立っていた場所を示す場合などでは,不正確で不適当な表現ということができます。それに「このあたりに」という表現は,話し手が「確かここだと思うが確言する自信はない」という場合にも使われますが,その場合に上に挙げた表現を使うと,話し手がおそらくここであると思う,まさにその場所を除外して,その周りの場所を指すという,とんでもない誤った情報を聞き手に伝えることになります。「このあたりに」に正確に対応する表現は,指し示した場所を含む ie en c^i tiu loko です。

建っていました: staris を使っていうのがよいでしょう。estis staranta は「(動くものが)動かないで,じっと立っていた」という意味に使うのが普通なので,建物について使うのはよくありません。konstrui は「建造する,建築する,建てる」という意味なので,estis konstruita は「建てられた」という行為に重点を置いた表現になります。「建っていた」という状態を表すには staris を使いましょう。estis konstruata は「建築中であった」という意味ですから,ここでは使うことができません。

参考:
Mia domo estis konstruata, kiam via domo estis konstruita.(あなたの家が建てられたとき,わたしの家は建築中でした。)

下の訳例のふたつのコンマは付けない人もありますが,kie の前だけ付けて naskig^is の後には付けないのはよくありませんから,付けるなら両方とも付けましょう。

訳例
La domo, kie mi naskig^is, staris ie en c^i tiu loko.


課題文n-ro300 マサオは両親が住んでいる札幌に引越しました。

解説
両親が住んでいる札幌: Sapporo, kie log^as liaj gepatroj と言うのがよいでしょう。外国人に対しては la urbo Sapporo と言うほうが親切です。注意しなければならないのは,kie の前にコンマを付けることです。固有名詞の後に関係詞を付けるときはコンマを付けることが必要です。コンマを付けずに Sapporo kie log^as liaj gepatroj と言うと,「彼の両親が住んでいる札幌」のほかに「彼の両親が住んでいない札幌」が存在する意味に取ることができます。実用上はそのような誤解を生じることはないでしょうが,コンマなしの形は読む人に奇異な感じを与えるのは間違いありません。la urbo kie log^as liaj gepatroj(彼の両親が住んでいるその都市)というときに,kie の前にコンマを付けなくてもよいのは,「彼の両親が住んでいない都市」もあるからです。
liaj gepatroj を siaj gepatroj とするのは誤りです。この文の主語は Masao ですが,kie で始まるの中では gepatroj が主語で,liaj はその主語を修飾しています。再帰代名詞 si は主語になることはできませんし,sia(j) は主語を修飾することはできません。ただし,Si estas refleksiva pronomo(siは再帰代名詞です)という文や,C^io sia estas plej c^arma(自分のものはすべて美しい)という表現は可能です。この sia は propra(自分の)という意味で,再帰的用法ではありません。la gepatroj は liaj gepatroj としましょう。理論上は冠詞を使っても誤りではありませんが,このような場合は liaj を使うのが普通です。
log^as を log^is にすると,「(彼の両親が)住んでいた」という意味になって,話している時点では住んでいないことになります。

に引越しました: translog^ig^is al と言うのがよいでしょう。translog^ig^is en とすると,「(ほかの都市からではなく札幌)の中で引越した」という意味になるので,ここでは不適当です。movig^i を「引っ越す」の意味に使うのはよくありません。英語の move には s^ang^i sian log^ejon という意味がありますが,エスペラントの movig^i にはそのような意味はありません。

訳例
Masao translog^ig^is al Sapporo, kie log^as liaj gepatroj.