主節と従属節

文の中に「主語+動詞」の形がふたつ以上あるとき,そのそれぞれを「」といいます。

Li estas c^ino kaj mi estas japano.
という文では li estas c^ino と mi estas japano のふたつの節がありますが,この節はどちらか一方を削除しても文として成立しますね。このような節は等位節といいます。

しかし,
Li venis kvankam li estis tre okupita.
という文では li venis のほうは,これだけでも完結した文として成立しますが,kvankam li estis tre okupita のほうは,これだけでは完結した文ではありませんね。このような場合,li venis のほうを主節と呼び,kvankam li estis tre okupita のほうを従属節と呼びます。

この文は節の順序を逆にして
Kvankam li estis tre okupita, li venis.
とすることもできますが,li venis が主節であることに変わりはありません。



期間を表す前置詞 dum, por

「5分間」を英語では for five minutes といいますが, エスペラントでは for five minutes に当たる表現が dum kvin minutoj と por kvin minutoj の二通りあります。

dum は動作, 状態の継続時間を表し, por は動作によって生じた結果の継続時間を表します。いいかえると, dum は線動詞とともに, por は点動詞とともに使われるということができます。

比較:
Li ekvojag^is por du semajnoj. (彼は2週間の旅行に出かけました。)
Li vojag^is dum du semajnoj. (彼は2週間旅行しました。)
(ekvojag^i は点動詞,vojag^i は線動詞)

線動詞, 点動詞について詳しく知りたい方は, 「
エスペラント初級・中級の作文」(日本エスペラント学会発行, 1,029円)の第6章をご参照ください。


線動詞, 点動詞

エスペラントで正しい文を書くには,
アスペクトについての知識が必要です。
しかし, アスペクトをいくつもの種類に分けて, それぞれについて学ぶことは, 作文する上では必要ありません。

そこで, わたしは動詞をアスペクトによって二つに大別し, それぞれを線動詞, 点動詞と名付けました。

線動詞は動作や状態の継続を表す動詞で, 点動詞は動作や状態の始まり, または終りの瞬間を表したり, frapi(たたく)のように始まりと終りが同時である瞬間的な動作を表す動詞です。ただし, frapiに継続, 反復を示す接尾辞 -ad を付けた frapadi(たたき続ける)は線動詞になります。

例えば, surmeti c^apon(帽子をかぶる)の surmetidemeti la c^apon(帽子を脱ぐ)の demeti点動詞で, porti c^apon(帽子をかぶっている)の porti線動詞です。

英語と同じように, エスペラントでも動詞の大部分は点動詞, 線動詞を形で見分けることはできないので, それぞれの語について意味の上から判断しなければなりません。

エスペラント日本語辞典』(JEI, 2006)と『知っておきたいエスペラントの動詞100』(JEI, 1995)では, すべての動詞に点動詞, 線動詞の表示が付けられています。

動詞の相(アスペクト)

動詞の示す動作の様態は, その動詞が表す意味によって, 瞬間的, 継続的, 反復的などに分けることができますが, これを(アスペクト)といいます。
アスペクトの分類やその名前は文法家によって違うので, 瞬間相, 継続相, 反復相のほかに, 起動相, 完了相などのような名前を見ることもあります。

英語では,アスペクトは副詞(句)や文脈によって示されることが多く, 高校英文法ではアスペクトはほとんど取り上げられません。

例えば, He goes to school every day.の goes は習慣的動作を表しており, アスペクトでいえば反復相ということができますが, 動詞 go反復のアスペクトを持っているのではないことは, いうまでもありません。

では, 英文を書くときアスペクトについての知識がまったく不要かといえば, そうではありません。
I slept until noon. とはいえますが, I slept by noon. とはいえませんし, I'll start by noon. とはいえますが, I'll start until noon. とはいえません。
つまり, until といっしょに使える動詞は継続相(線動詞)でなければならないし, by といっしょに使える動詞は瞬間相(点動詞)でなければならないのです。
否定文では by, until とも継続相の動詞, 瞬間相の動詞のどちらににも使うことができるので, I will not start until noon. のようにいうこともできます。ただし by を使ったときと, until を使ったときとでは暗示される意味が違います。
post kiamと de kiam

post kiam は「〜した後(のあるとき)」を,de kiam は「〜してから(ずっと)」を表します。

比較:
Li malsanig^is post kiam li venis al Japanio.
(彼は日本に来てから[来日した後で]病気になりました。)
Li estas malsana de kiam li venis al Japanio.
(彼は日本に来てから[来日直後から]ずっと病気です。)

点動詞と -as

-is, -os と違って -as は1回きりの動作を表す点動詞に付くことは, 後述するひとつの場合を除いてはできません。

線動詞 dormi(眠っている) と点動詞 ellitig^i(起床する) を例にとって比べてみましょう。

dormi が1回きりの動作を表す場合
Li dormas ekde la oka. (彼は8時から眠っています)
Li dormis ok horojn lastnokte. (彼は昨夜8時間眠りました)
Li dormos la tutan tagon morgau~. (彼はあすは1日中眠っているでしょう)

ellitig^i が1回きりの動作を表す場合
Li ellitig^is je la sepa c^i-matene. (彼はけさ7時に起床しました)
Li ellitig^os frue morgau~ matene. (彼はあすの朝は早く起床するでしょう)

Li ellitig^as ... という形は1回きりの動作を表すときには使えないので, c^i-matene(けさ), morgau~ matene(あすの朝) のような副詞(句)といっしょに使うことはできません。

下のように習慣を表すときには -as の形が可能です。

Li ellitig^as je la sepa c^iumatene. (彼は毎朝7時に起床します)

もうひとつの例について考察してみましょう。
線動詞 serc^i(探す) と点動詞 trovi(見つける) を例に取ります。

ある人が何かを紛失して, それを探して見つける場面をイメージしてください。
その人に独り言をいわせてみましょう。

探し始める前: Mi serc^os kaj trovos g^in.
探しているとき: Mi serc^as kaj trovos g^in.
見つけたとき: Mi serc^is kaj trovis g^in.

上の文に見るように, serc^i が serc^os, serc^as, serc^is と形を変えているのに対して, trovi は trovos と trovis の形があるだけで, trovas の形がありません。

このように1回きりの動作を表す点動詞には -is か -os しかなく, -as の形はありません。

ただし, 次のような反復を表すときは trovas の形が使われます。

Mi trovas ion novan en mia c^iutaga vivo. (わたしは毎日の生活の中で何か新しいものを見つけます)

1回きりの動作を示す点動詞が -as の形で使われるのは, 言葉とその言葉が表す動作が同時に行われる場合です。

例えば, マジシャンが観客の前でいう台詞(せりふ)

Mi prenas c^i tiun moneron, enmetas g^in en la glason kaj kovras la glason per c^i tiu naztuko. (これなるコインを取りまして,コップの中に入れ,このハンカチをコップにかぶせます)

不定形動詞の形容詞的用法(porが付く場合,付かない場合)

不定形の動詞が名詞, 代名詞の後についてその名詞, 代名詞を修飾するとき, io por mang^i(何か食べるもの) のように por -i の形を取る場合と, la decido fari g^in (それをするという決定)のように por なしの -i の形を取る場合があります。

por -i を英語の to付不定詞, -i を英語の原形不定詞と理解するのは誤りですから, por -i と -i の使い分けは次のことを参考にしてください。

por -i の形で使われるのは:

不定形の動詞の意味上の目的語になっている名詞, 代名詞に付く場合

multo por fari (多くのすること) < fari multon
io por mang^i (何か食べるもの) < mang^i ion


por の付かない形で使われるのは:

直前の名詞の内容を具体的に説明している場合

(1) 不定形の動詞を目的語とする動詞や, 不定形の動詞に修飾される形容詞から作られた抽象名詞につく場合(英語では to付不定詞を使います。)

la decido fari g^in (それをするという決定) < decidi fari g^in
la deziro fari g^in (それをしたい願望) < deziri fari g^in
la permeso fari g^in (それをしてもよいという許可) < permesi fari g^in la kapablo fari g^in (それをする能力) < kapabla fari g^in
la preteco fari g^in (それをする準備) < preta fari g^in
la libereco fari g^in (それをする自由) < libera fari g^in

この種類の抽象名詞には, 上に挙げたもののほかに, よく使われるのには次のようなものがあります。

bezono(必要), devo(義務), eblo(可能性), emo(傾向), espero(希望), fiero(誇り), forto(力), inklino(傾向), intenco(企て), klopodo(努力), komisio(委託), kompetento(適性), konsilo(助言), kurag^o(勇気), neceso(必要性), nepovo(不能), okazo(機会), peno(骨折り,苦労), povo(能力,力), promeso(約束), propono(提案), sopiro(憧れ), volo(意志)

(2) (1)でいうような関係以外の場合(英語では to付不定詞を使ったり, of+動名詞の形や for+名詞, 動名詞の形を取ることもあります。)

la dang^ero fali (倒れる危険)
la honoro esti invitita (招待される名誉)
la ideo fari g^in (それをする考え)
la plezuro revidi vin (あなたに再び会う喜び)
la kutimo ellitig^i frue (早起きの習慣)
intrigo semi malpacon inter nacioj (民族間に不和の種をまく陰謀)
rimedo lerni Esperanton (エスペラントを学ぶ手段)

この種類の抽象名詞には, 上に挙げたもののほかに, よく使われるのには次のようなものがあります。

bedau~ro(残念), potenco(権力), projekto(計画), rajto(権利), soifo(渇望), s~anco(機会), tasko(任務), tempo(時), timo(恐れ)

英語では修飾される名詞, 代名詞が不定詞の意味上の主語である場合がありますが, エスペラントでは, このような場合, 関係代名詞を使って表します。

Li estis la unua [homo] kiu atingis la lunon. (He was the first [man] to reach the moon. 彼は月に到着した初めての人です。)
Estis neniu kiu solvis la problemon. (There was nobody to solve the problem. その問題を解いた人はひとりもいませんでした。)

-as が使われる場合

現在継続中の動作, 状態
Li ludas gitaron.(= Li estas ludanta ...) (彼はギターを弾いています)
S^i estas felic^a. (彼女は幸せです)

(注) 1回きりの動作を表す場合 -as を使えない動詞があります。詳しくは
ここをクリックしてください

現在の習慣, 反復
Mi ellitig^as je la sepa matene. (わたしは午前7時に起きます)

(注) 現在の反復的動作ばかりでなく, 人格や技術, 芸などの巧拙, 職業なども表します。
Li tenas sian vorton. (彼は約束を守ります)
S^i nag^as rapide. (彼女は速く泳ぎます)
S^i instruas la anglan lingvon. (彼女は英語を教えています)

時に関係のない真理
Du kaj tri faras kvin. (2足す3は5)
Silento estas konsento.(Proverbo) (沈黙は同意)(ことわざ)

歴史的現在(フィクションを含む)
Cezaro transiras la Rubikonon kaj eniras en Italion. (シーザーはルビコン川を渡って居たイタリアに入ります)

脚本のト書き
Bernardo venas. (バーナード登場)

引用
Paskalo diras ke la homo estas kano pensanta. (パスカルは,人間は考える葦であるといっています)

判決文, 宣言文
Per c^i tio mi deklaras la malfermon de la olimpikaj ludoj. (オリンピック大会の開会を宣言します)

過去から続いていて, 発話の時点以降も継続する動作, 状態
Mi log^as c^i tie dum dek jaroj. (わたしはここに10年間住んでいます)

-is がが使われる場合

過去の動作, 状態
Mi lin vizitis. (わたしは彼を訪ねました。)
Mi estis malfelic^a. (わたしは不しあわせでした。)

過去の習慣, 反復
Li kutime ellitig^is je la sesa. (彼はたいてい6時に起きました。)

過去から続いていて発話の時点で終わる動作, 状態
Mi neniam rimarkis tion g^is nun. (わたしは今までそのことに気づきませんでした。)
Mi atendis vin dum tridek minutoj. (わたしはあたなを30分待ちました。)

過去のある時点を基準にして, そのときまでに完了した動作, 状態(estis -inta[j] の代用)
Kiam li venis hejmen, s^i jam mortis.(= s^i estis mortinta) (彼が帰宅したときには,彼女はすでに亡くなっていました。)
Mi ricevis la libron kiun mi mendis de la librejo.(= mi estis mendinta ...) (わたしは書店に注文してあった本を受け取りました。)

過去のある時点を基準にして, そのとき継続中の動作, 状態(estis -anta[j] の代用)
Kiam mi vizitis lin, li ludis gitaron.(= li estis ludanta ...) (わたしが彼を訪ねたとき,彼はギターを弾いていました。)

現在までに完了した動作の結果が現在に及んでいる状態(estas -inta[j] の代用)
La pluvo c^esis.(= La pluvo estas c^esinta.) (雨は止んでいます。)

現在の状態を表す -is

「現在の状態を表す動詞の形」というと -as を思い浮かべるでしょうが, -is の形で「〜しています」という現在の状態を表すことがあります。

ここでは, 「現在の状態を表す -is」について考察してみましょう。

la pluvo c^esis は,Antau~ ol ni ekiris, la pluvo c^esis. (雨はわたしたちが出かける前に止みました)という文のように「雨は止んだ」という過去のできごとを表す場合もありますが, La pluvo estas c^esinta.(雨は止んでいる)という現在の状態を表す表現の代用として La pluvo c^esis. が使われることがあります。どちらの意味に取るかは文脈によります。

"C^u pluvas?" (雨降っていますか。)
"Ne. La pluvo c^esis." (いや, 止んでいます。)

以下, 「-is が現在の状態を表している場合」のいくつかの例文を見てみましょう。

Li perdis la memfidon pri sia kapablo.
(彼は自分の能力に自信をなくしています。)

La farbo ankorau~ ne sekig^is.
(ペンキはまだ乾いていません。)

"Vidvino" estas virino kiu ne edzinig^is post la morto de sia edzo.
(「未亡人」とは夫の死後, 結婚していない女性のことです。)

Mi ankorau~ ne ricevis respondon de s^i.
(わたしはまだ彼女から返事を受け取っていません。)

Li tute ne s^ang^ig^is.
(彼は少しも変っていません。)

エスペラントで文を書くとき, 「〜しています」, 「〜していません」という「日本語の現在形」にひかれて, -as や ne -as を使っていうと誤りになる場合があることが分かっていただけたでしょうか。

特に否定文の場合は「要注意」です。

「宿題を終わりました」という肯定文を Mi finas mian hejmtaskon. と書く人はいませんが, 「まだ宿題を終わっていません」という否定文になると, 「終わっていません」という日本語の形にひかれて Mi ankorau~ ne finas mian hejmtaskon. と訳す人があります。もちろん, この文は Mi ankorau~ ne finis mian hejmtaskon.と訳さなければなりません。

fini は点動詞ですから1回きりの動作についていうときには -as の形をとることはありません。(詳しくは
ここをクリックしてください。)

(-is についての詳しいことは,ここをクリックしてください。)

関係詞 kiu の用法

まず次の文を見てください。

(1) Tiu estas la knabo. Li verkis c^i tiun poemon.
あれがその少年です。彼がこの詩を書きました。

このふたつの文を関係詞 kiu を使って,ひとつの文にすると次のようになります。

(2) Tiu estas la knabo, kiu verkis c^i tiun poemon.
あれがこの詩を書いた少年です。

(1)と(2)の文を比べてみると,(1)の文の Li が(2)の文では kiu になって,knabo に付いていますね。(2)の文の kiu verkis c^i tiun poemon は knabo に付いて形容詞のような働きをしているので「形容詞節」と呼ばれます。(「節」についての説明は,ここを
クリックしてください。)
この「形容詞節」という用語は,以下の説明にも出てくるので,よく理解して覚えておいてください。

(1)の文では knabo が文末にありますが,次のように knabo が文中にある場合でも同じです。

(3) La knabo estas mia frato. Li verkis c^i tiun poemon.
その少年はわたしの弟です。彼はこの詩を書きました。

(4) La knabo, kiu verkis c^i tiun poemon, estas mia frato.
この詩を書いた少年は,わたしの弟です。

kiu に修飾される語(上の例では knabo)を「先行詞」と呼びます。英語では先行詞によって関係代名詞が who や which,that を区別して使いますが,エスペラントでは先行詞が人でも物でも区別しないで kiu を使います。

関係詞 kiun の用法

kiu の用法で述べたのは,関係詞が形容詞節の中で主語の働きをしている場合ですが,関係詞が形容詞節の中で目的語の働きをしている場合には,kiun を使います。

(5) Tiu estas la knabo. Anna lin amas.
あれがその少年です。アンナが彼を愛しています。

(6) Tiu estas la knabo, kiun Anna amas.
あれがアンナが愛している少年です。


関係詞 kio の用法

(1) 先行詞が c^io, io, tio,nenio のとき

Li kontrau~is c^ion kion mi diris. (彼はわたしが言ったことすべてに反対しました。)

S^i komprenis tion kion mi diris. (彼女はわたしが言ったことを理解しました。)

(注) tion は省略されることがあるので, 上の文は次のようにいっても同じです。

S^i komprenis kion mi diris.

下の文にある tio kion li faris por mi の tio は主格,kion は対格(目的格)なので,この tio は省略できません。。

Mi dankis lin pro tio kion li faris por mi. (わたしは彼がわたしのためにしてくれたことに対して感謝の意を表わしました。)
(kio の前にコンマを置く人と置かない人があります。どちらでも結構です。)

(2) 先行する節の内容を受ける場合

Mi provis levi la s^tonon, kion mi trovis neebla. (わたしはその石を持ち上げようとしましたが,できないことがわかりました。)
(kio の前にコンマを置きます。)

受け身

受け身は esti と分詞形容詞の受動形を使って表します。

英語では「〜される」という動作と「〜されている」という状態を形態的に区別しないで, どちらも「be + 過去分詞」で表しますが, エスペラントではこれを区別して「〜される」を esti + -ita, 「〜されている」を esti + -ataで表します。

比較: その手紙はAnnaによって書かれました。
------ La letero estis skribita de Anna.
------ The letter was written by Anna.

----- マサオはAnnaに愛されていました。
------ Masao estis amata de Anna.
------ Masao was loved by Anna.

上の文で英語ではどちらも"was + 過去分詞"になっているいるところが, エスペラントでは"estis -ita" と "estis -ata" になっていることに注意してください。

esti -ata は次の場合に使われます。

1 状態の継続を表す場合
S^i estas amata de c^iuj. (彼女はみんなに愛されています)
S^i estis amata de c^iuj. (彼女はみんなに愛されていました)


2 動作の反復を表す場合
La c^ambro estas purigata c^iutage. (部屋は毎日掃除されます)
La c^ambro estis purigata c^iutage. (部屋は毎日掃除されていました)

3 動作の継続を表す場合
La c^ambro nun estas purigata. (部屋はいま掃除されています)
La c^ambro tiam estis purigata. (部屋はそのとき掃除されていました)


esti -ita は次の場合に使われます。

1 動作の完了を表す場合
La c^ambro estis purigita hierau~. (部屋はきのう掃除されました)

2 動作の結果である状態を表す場合
La c^ambro estas purigita. (部屋は掃除されています= 掃除してあります)
La c^ambro estis purigita. (部屋は掃除されていました= 掃除してありました)

注)La c^ambro estis purigita. は「部屋は掃除されました」という動作の完了と「部屋は掃除されていました」という状態を表すことができるので,どちらの意味にとるかは文脈によります。

例えば,Kiam mi eniris en la c^ambron, g^i estis purigita という文は「わたしがその部屋に入ったとき,部屋は掃除されました」という意味ではなく,「わたしがその部屋に入ったとき,部屋は掃除してありました」という意味にとるほうが自然ですね。

しかし,文によってはどちらの意味にとるのか迷う場合もあります。
例えば,Kiam mi venis al la domo, la pordo estis malfermita は「わたしがその家に着いたときに入り口が開かれました(着いたときに誰かが開いた)」という意味と,「わたしがその家に着いたときは入り口が開かれていました(着いたときにはもう開いていた)」という意味のどちらにもとれますね。そこで,「もう開いていた」という状態を表すときは estis の代わりに statis を使って,Kiam mi venis al la domo, la pordo statis malfermita と表現することができます。

再帰代名詞 si, sia の用法

再帰代名詞 si, sia の用法には,次の二つがあります。

1.主語に呼応する場合
* Li lavis sin per sapo.(彼は石鹸でからだを洗いました。)
* Li diras ke c^iu amas sin.(彼は誰でも自分を愛しているといいます。)

2. いちばん近くにある動作の主語に呼応する場合
 主語が明示されていない場合があります。
* Li petis s^in alporti unu el siaj fotoj.(彼は彼女に彼女の写真を持ってくるように頼みました。) (alporti するのは s^i なので,siaj fotoj は彼女の写真)
* Masao sidig^is sur la seg^o prezentita al li.(マサオは勧められた椅子に座りました。) (prezenti したのはマサオではなく,別の人なので li)
* La knabino petis sian patrinon vesti s^in pli bele.(少女は自分にもっときれいな服を着せてほしと母親に頼みました。) (vesti は「着せる」という他動詞)
* La knabino petis sian patrinon vesti sin pli bele.( 少女はお母さんがもっときれいな服を着てほしと母親に頼みました。) (vesti するのは母親)
* S^i ekvidis viron starantan antau^ s^i.(彼女は自分の前に立っている男の人を見ました。) (stari しているのは彼女ではないので antau^ s^i。viron starantan を viron kiu staras と書き換えてみると分かりやすい。)
* Anna diris ke Petro venos kun s^iaj amikoj.(AnnaはPetroがAnnaの友だちといっしょに来るといいました。)
* Anna diris ke Petro venos kun siaj amikoj.( AnnaはPetroがPetroの友だちといっしょに来るといいました。)
* Lia patrino plendas ke s^iaj filinoj faras c^ion por si mem, sed nenion por s^i.(彼の母親は娘たちが自分たちのことばかりして,母親のことはなにもしてくれないと不平をいっています。)