課題文n-ro431 わたしはあなたにこの小説の書評を書いてほしいのです。

解説
わたしはあなたに〜してほしいのです: mi volas, ke vi 〜u または mi deziras, ke vi 〜u と言うのがよいでしょう。ke の前のコンマは置かない人もあります。voli, deziri はどちらも使えます。voli が「意志」に力点を置いた表現であるのに対して,deziri は「気持ち」に力点を置いた表現です。英語では不定詞を使って I want you to 〜 と言うことができますが,エスペラントでは mi volas vin 〜i や mi deziras al vi 〜i のように言うことはできません。ke 以下の動詞は -as や -os でなく,-u を使って言います。mi deziras al vi, ke ... のようには言いません。mi deziras al vi は Mi deziras al vi felic^on.(ご多幸を祈ります)のように,deziri al iu ion の形で使われます。
voli, deziri に比べると,ずっと控えめな表現になりますが,「あなたが〜してくれることを願っている」と言う意味の esperi を使うときは, ke 以下の動詞は -os を使います。

比較:
Mi esperas ke vi respondos al mi baldau^.(お返事を早くくださるよう願っています)
Mi volas ke vi respondu al mi baldau^.(返事を早くいただきたいのです)

この小説の書評を書いて(ほしい): 「この小説の書評を書く」は recenzi c^i tiun romanon(novelon), または verki(skribi) recenzon pri c^i tiu romano(novelo) のように言います。recenzon de と言う表現も寄せられましたが,recenzon pri と言うのが普通です。

参考:
la recenzo de Zamenhof pri tiu libro(その本についてZamenhofが書いた書評)

recenzi は他動詞ですから,recenzi pri c^i tiu romano(novelo) ではなく,recenzi c^i tiun romanon(novelon) としましょう。
上に挙げた「参考」では la recenzo と冠詞を付けましたが,この課題文の verki(skribi) recenzon に冠詞を付けるのはよくありません。vian recenzon もよくありあせん。書評を依頼するときは,単に recenzon と言います。

参考:
Mi tre volus legi vian recenzon.(あなたの書評をぜひ読んでみたいですね)

訳例
Mi volas(,) ke vi recenzu c^i tiun romanon.


課題文n-ro432 あなたはこの詩集について Kamachoが書いた書評を読みましたか。

解説
あなたは読みましたか: c^u vi legis でよいのですが,「もう読みましたか」と言う意味の c^u vi jam legis と言うこともできます。

この詩集について Kamachoが書いた書評を: la recenzon de Kamacho pri c^i tiu poemaro と言うのが簡潔な表現ですが,la recenzon, kiun Kamacho verkis pri c^i tiu poemaro または la recenzon verkitan de Kamacho pri c^i tiu poemaro のように言うこともできます。la recenzon, kiun Kamacho verkis, pri c^i tiu poemaro のように verkis と pri の間にコンマを入れるのは誤りとは言えませんが,このコンマはないほうがよいでしょう。la recenzon pri c^i tiu poemaro, kiun verkis Kamacho や la recenzon pri c^i tiu poemaro verkita de Kamacho は,Kamacho が詩集を書いたことになるので,ここでは誤りです。verkita per Kamacho は誤りです。per は「道具,手段」を表す語で,行為者を表すのは de です。

参考:
bildo pentrita de Masao per peniko(マサオが筆でかいた絵 = bildo kiun Masao pentris per peniko)


この課題文の「書いた」は上に上げた訳のように verki を使って言うほか skribi を使って言うこともできます。

訳例
C^u vi legis la recenzon de Kamacho pri c^i tiu poemaro?
C^u vi legis la recenzon, kiun verkis Kamacho pri c^i tiu poemaro?


課題文n-ro433 わたしはピカソ(Picasso)が鉛筆でかいたハトの絵を持っています。

解説
わたしは持っています: havi, posedi を使って言うことができます。havi は「持っている」を表すいちばん広い意味の語ですが,posedi は特に「専有」の意味合いが強い語ですから,ピカソが描いた絵そのものを持っているのなら,posedi を使って言うしょうが,コピーであれば posedi を使うのは大げさな表現に感じられます。

参考:
Mi ne havas monerojn kun mi.(小銭の持ち合わせがありません。)
Mia amiko posedas vilaon en Karuizawa.(わたしの友だちは軽井沢に別荘を持っています。)

ピカソが鉛筆でかいたハトの絵を: bildon de kolombo desegnitan de Piccaso per krajono と言うことができます。bildon de kolombo, kiun Piccaso desegnis per krajono と言う表現も可能ですが,この kiun が bildo に掛かっているということは文脈の助けによるものです。A de B, kiu(n) ... の形は kiu(n)がAに掛かる場合だけでなく,Bに掛かる場合もあります。その点では,bildon de kolombo desegnitan de Piccaso per krajono は desegnitan が bildon を修飾していることが分かるので,あいまいさがまったくない表現と言えます。この desegnitan を desegnita とした訳がいくつか寄せられましたが,-n が付いていないと直前の kolombo を修飾することになります。日本語で言えば bildon de kolombo desegnitan de Piccaso が「ピカソがかいた」「ハトの絵を」であるのに対して, bildon de kolombo desegnita de Piccaso は「ピカソがかいたハト」「の絵を」と言う不自然な表現になります。
「かく」は,ここでは desegni を使いましたが,verki や krajoni も使えます。pentri は「絵筆で描く」と言う意味ですから,ここではよくありません。なお,bildo は pentraj^o や desegnaj^o を含むだけでなく,写真や映画,ビデオの映像,彫塑も含みます。
bildo に冠詞を付けた訳が多く寄せられましたが,これは誤りです。la bildo, kiun mi sendis al vi hierau^(わたしがきのうあなたに送った絵)のように,聞き手にそれと分かる絵のことを言うときは冠詞を付けますが,この課題文の場合はそうではないので,無冠詞で言わなければなりません。

訳例
Mi havas bildon de kolombo desegnitan de Piccaso per krajono.
Mi havas bildon de kolombo krajonitan de Piccaso.


課題文 n-ro434 これはルノワール(Renoir)が描いた絵です。

解説
これは〜です: c^i tio estas と言えばよいでしょう。絵を手に持っているのではなく,壁に掛かっている場合であれば,指先が触れるくらい近いところにあっても,tio を使って言うほうが自然です。tiu は「人」を指す指示代名詞ですが,「その,あの,この」と言う意味の指示形容詞としても使われるので,tiu の後の名詞を省略して,tiu が指示代名詞のように使われることがあります。io(何か), iu(誰か), kio(何), kiu(誰), nenio(何も---ない), neniu(誰も---ない) などと同じように,tio は「物,事柄」,tiu は「人」と言うように使い分けると単純明快なのですが,民族語の影響もあって,「物」を指して tiu が使われている例は多く見られます。ただし,例えば Kiu estas bildo pentrita de Renoir?(どれがルノワールが描いた絵ですか)と言う kiu を使った質問に対して,「これがルノワールが描いた絵です」と言うときは,c^i tio ではなく c^i tiu または tiu を使って答えます。g^i を tio の代わりに使うのは arkaismo(古風な表現)とされています。

ルノワールが描いた絵: bildo pentrita de Renoir または bildo, kiun pentris Renoir と言うのがよいでしょう。ルノワールは印象派の画家ですから,ルノワールと聞けば油絵を思い浮かべますが,デッサンを指して言うのなら pentrita, pentris の代わりに desegnita, desegnis を使って言います。bildo verkita de Renoir, bildo far Renoir と言う表現も可能です。bildo は冠詞を付けるのはよくありません。la bildo pentrita de Renoir や la bildo kiun pentris Renoir は,聞き手にそれと分かる絵を指します。例えば,その絵のことを話題にしていた場合などですが,そのときの日本語は「これは」でなく「これが」となるでしょう。

この課題文は「この絵はルノワールによって描かれました」と言うようにも表すことができますが,その場合は C^i tiu bildo estis pentrita de Renoir と言うのがよいでしょう。estis pentrita 「描かれた」と言う過去の行為を表しますが,「描かれている」と言う現在の状態を表す estas pentrita を使って言うこともできます。
La artisto de c^i tiu bildo estas Renoir はよくありません。

訳例
C^i tio estas bildo pentrita de Renoir.
C^i tio estas bildo, kiun pentris Renoir.


課題文n-ro435 あれが,いまお話したお寺です。

解説
あれが--です: 指示代名詞 tio を使って, tio estas -- と言うのが標準的な言い方です。tiu を使うのは,文脈で何を指しているのかが分かるので,指示形容詞 tiu(あの) の後の名詞が省略されていると言う考え方です。この課題文で言えば,tiu templo estas --(あのお寺が--です)の templo を省略したと考えるのです。
c^i tio を使うのはよくありません。日本語の「あれ」は話し手からも聞き手からも離れているものを指す指示詞ですから,話し手の手もとにある物を指す c^i tio を使って言うのは誤りです。

いまお話したお寺: la templo, pri kiu mi j^us parolis のように言えばよいでしょう。templo は日本語の「寺」だけでなく「神社」なども含むので,「寺」であることを正確に言うには budhisma templo と言わなければなりませんが,ここではすでに話題に取り上げた寺について述べているので,templo だけで十分です。しかし,例えば外国のエスペランチストを案内していて,初めて話題の対象として寺を指しながら「あれはお寺です」と言うときは,budhisma templo と言うのがよいでしょう。「いま」には nun ではなく j^us を使います。直前に話したことを指して日本語では「いま話したこと」と言いますが,エスペラントでは j^us を使って tio, kion mi j^us diris と言います。『エス日辞典』の j^us の項には《日本語では単に「今」 と訳すことも可能だが,いくら近くとも過去のこととして捉えている。現在を指す nun との違いに注意》と言う注意書きがあります。(同じ辞典の nun の項に =j^us と言う記述があるのは誤りです。j^us と nun は交換可能な語ではありません。)

比較
J^us batis la deka.(時計がいま10時を打った。)
Nun batas la deka.(時計がいま10時を打っている。)

parolis の代わりに menciis を使って言うこともできますが,mencii は他動詞ですから,la templo, pri kiu mi j^us menciis ではなく,la templo, kiun mi j^us menciis としましょう。priparoli についても同じことが言えます。rakontis も使えますが,la templo, kiun mi rakontis j^us al vi ではなく, la templo, pri kiu mi j^us rakontis al vi としましょう。rakonti は他動詞として rakonti historion(物語を語る), rakonti fabelon(おとぎ話を語る)などのように言うことはできますが,rakonti templon のように言うことはできません。
la templo, kiu mi nun parolis pri は la templo, pri kiu mi j^us parolis としましょう。英語では関係代名詞の前に付く前置詞を文末に移すことができます(例えば the templi about which ... → the temple which ... about)が,エスペラントではこのような前置詞の移動はできません。
la templo, pri kiu ... の kiu を kio とした訳が数例寄せられましたが,これは誤りです。kio は先行する文全体や,c^io, io, tio を受けるときに使われます。
なお,文法事項を簡潔にまとめた『20のポイントで学ぶ国際語エスペラント入門』は,文法上の疑問が生じたり,知識を確認したいときに手軽に参照できるハンドブックとしても役立つので,お持ちでない方はぜひお手もとに置いてご活用ください。詳しくはここをクリックしてお読みください。

訳例
Tio estas la templo, pri kiu mi j^us parolis.


課題文n-ro436 これはザメンホフ(Zamenhof)が原稿を書いたタイプライターの複製品です。

解説
これは: c^i tio または tio c^i と言えばよいのですが,c^i tiu や tiu c^i を使う人もいますし,tio が使われることもあります。車の運転席に座っていて,目の前の計器類やナビゲーターなどを指すとき,日本語では「これ」と言うのが普通ですが,エスペラントでは c^i tio ではなく,tio を使って言うほうが自然です。c^i tio は手に持っている物や身に付けている物,あるいは足もとに置いてある物を指すときには使われますが,それ以外は,腕を伸ばせば届くほど近いところにあっても,tio を使って言うのがよいでしょう。

ザメンホフが原稿を書いたタイプライター: la skribmas^ino, per kiu Zamenhof skribis manuskriptojn のように言います。「タイプライター」は tajpilo を使って言うこともできます。ザメンホフがタイプライターを何台も持っていたとは思われないので,skribmas^ino, tajpilo には冠詞を付けます。「書いた」に verkis を使うのはよくありません。verki は「(芸術,学問などの作品)を著作する」と言う意味で,verki manuskripton と言うことはできません。日本語でも「原稿を著作する」とは言いませんね。manuskripton は複数形にしましょう。単数形にすると「ある原稿を書いた」と言う意味になるので,ここでは不自然です。「例の原稿を書いた」の言う場合なら,skribis la manuskripton と冠詞付きの単数形を使います。skribmas^ino uzita de Zamenhof の uzita は uzata としましょう

参考:
skribmas^ino uzata frue en la 20-a jarcento(20世紀初期に使われていたタイプライター)
en la dau^ro de dek tagoj estis uzata tre multe da vino(Neh^emja 5:18)
十日ごとにたくさんのぶどう酒を備えた(ネヘミヤ記 5:18 訳文は日本聖書協会による)

の複製品です: estas reproduktaj^o de や estas kopio de のように言えばよいでしょう。reproduktaj^o の意味で reprodukto が使われている例を見ることがありますが,reprodukto は reproduktado(複製すると言う行為)の意味に使い,複製品の意味には reproduktaj^o を使うのがよいでしょう。repliko の本来の意味は「オリジナルの製作者自身によって作られたコピー」を指すのですが,意味の範囲が広がって「美術作品の複製品」を指す意味でも使われるようになり,さらに英語,フランス語などヨーロッパの言語の影響で,あらゆる品物の複製品を指して使う人もあります。この最後の意味はPIVには載っていませんし,『エス日辞典』にも載っていません。
reproduktaj^o, kopio は無冠詞にしましょう。冠詞を付けるのは,聞き手の知っている複製品を指すときです。

訳例
C^i tio estas reproduktaj^o de la skribmas^ino, per kiu Zamenhof skribis manuskriptojn.


課題文n-ro437 マサオは,祖父が有名な小説家であるロシア人と友だちです。

解説
祖父が有名な小説家であるロシア人: ruso, kies avo estas fama romanisto と言えばよいでしょう。「有名な」は konata や fame konata を使って言うこともできます。romanisto は romanverkisto と同じ意味で,verkisto de romanoj(長編小説を書く作家)と言う意味です。noveliso は「短編小説を書く作家」を指して使われます。ruso, fama romanisto(novelisto)は,無冠詞で使います。「ロシア人」をスラブ民族の一員としてではなく,ロシアの公民権を持つ人(あらゆる人種の人を含みます)を指すときは,rusiano, rusujano, ruslandano を使って言います。ただ,日常会話では civitano de Rusio の意味で ruso が使われるのは珍しくありません。。

と友だちです:「の友だちです」と言い換えて estas amiko de と言うことができます。amiko は無冠詞にします。amikas kun または estas en amikaj rilatoj kun のように言うこともできます。
この文は「祖父が有名な小説家であるロシア人の友だちを持っている」と言う意味の havas rusan amikon, kies avo estas fama romanisto を使って言うこともできます。

訳例
Masao estas amiko de ruso, kies avo estas fama romanisto.
Masao havas rusan amikon, kies avo estas fama romanisto.


課題文n-ro438 アキオはこの前の土曜日に,子どものころ住んでいた村を訪ねました。

解説
この前の土曜日に: en la lasta sabato, la lastan sabaton, lastasabate と言えばよいでしょう。lasta の前には冠詞を付けます。lasta sabate はよくありません。lasta は形容詞ですから,sabate と言う副詞を修飾することはできません。lastasabate の lasta- を lasta sabato の lasta のように発音するのはよくないので,気をつけてください。lasta sabato の lasta の la- は sabato の -ba- と同じ強さで発音されますが,lastasabate の last- はアクセントを置かないで発音するか,またはアクセントを置いても sabate の -ba- よりも弱いアクセント(第二アクセント)になると言う違いがあります。

子どものころ住んでいた村を: la vilag^on, kie li log^is en sia infaneco のように言えますが,log^is は vivis(暮らしていた)を使って言うこともできますし,「子どものころ」には knabeco, infanag^o, infana tempo なども使えます。いずれも sia を付けましょう。lia を付けるのは誤りです。「子どものころを過ごした」と言う意味の pasigis siajn infanajn jarojn と言うこともできます。tago や jaro を使うときは複数形になることに注意してください。vilag^o には冠詞を付けます。「子どものころ住んでいた村」がひとつでない場合には,unu el la vilagoj kie li log^is en sia infaneco(子どものころ住んでいた村のひとつ)と言えますが,無冠詞単数の vilag^on, kie li log^is ... は不自然です。la vilag^on, kien log^is の kien log^is は kie li log^is としなければなりません。kie の代わりに en kiu は使えますが,en kie は誤りです。

訪ねました: vizitis を使って言いましょう。viziti は他動詞ですから,vizitis al のようには言いません。

訳例
En la lasta sabato Akio vizitis la vilag^on, kie li log^is en sia infaneco.


課題文n-ro439 あなたがその鍵を取り出した箱は,どこにありますか。

解説
あなたがその鍵を取り出した箱: la kesto, el kiu vi prenis la s^losilon のように言うことができます。「箱」は kesto または skatolo が使えます。kesto はふつう四角い蓋付きのものを指し,skatolo は四角だけでなく,円筒形などを含むさまざまな形をしている蓋付きの容器を指して使われます。「あなたがその鍵を取り出した」と「箱」をつなぐには関係詞 kiu を使いますが,ここでは el kiu の形を取ります。関係詞についての理解が十分でない方のために,簡単に解説しておきます。

日本語では「あなたがその鍵を取り出した」を「箱」の前に付けるだけでよいのですが,エスペラントでは vi prenis la s^losilon と la kesto をつなぐには,関係詞 kiu を入れなければなりません。つまり,関係詞 kiu は vi prenis la s^losilon(あなたがその鍵を取り出した)を kesto(箱)にくっつける接着剤のような役割りを果たします。(関係詞は kiu だけではありませんが,ここでは kiu について説明します。)
日本語では「あなたがその鍵を取り出した」を「箱」の前に置くだけで接着剤は必要ではありませんが,エスペラントでは la kesto と言ってから接着剤で vi prenis la s^losilon をくっつけます。ここでは kiu でなく el kiu となるのは,次のように考えてください。

上に挙げた la kesto, el kiu vi prenis la s^losilon は,「箱」(la kesto )と「あなたがそれ(箱)から鍵をとりだした」(vi prenis la s^losilon el g^i)をひとつにした表現ですが,人称代名詞の g^i のままでは kesto にくっつけることができないので,この g^i を関係詞 kiu に置き換えて vi prenis la s^losilon el kiu として,この el kiu を kesto に直接くっつけるために語順を変えて el kiu vi prenis la s^losilon としてから,kesto の後に置くと,la kesto, el kiu vi prenis la s^losilon と言う表現ができあがります。
「取り出す」には elpreni も使えますが,eltiri や elmeti を使うのはよくありません。eltiri は「引き出す」,elmeti は「見せる,陳列する」と言う意味で,いずれもここでは不適当です。『日エス』の見出し語「取り出す」には elpreni と elmeti が出ていますが,この elmeti は誤りです。
el kio のように kio を使うのは誤りです。kio は先行詞(関係詞がかかる語)が c^io, io, nenio, tio であるときや,先行する節(主語+動詞)全体を受けるときに使われますが,そのほかの場合には kiu(複数形は kiuj)が使われます。

参考:
Rakontu c^ion, kion vi vidis.(あなたが見たことをすべて話してください。)
Masao sukcesis en la ekzameno, kio g^ojigis liajn gepatrojn.(マサオはその試験に合格しましたが,そのことは彼の両親を喜ばせました。)

どこにありますか: kie estas または kie trovig^as や kie kus^as を使って言うことができます。

訳例
Kie estas la kesto, el kiu vi prenis la s^losilon.


課題文n-ro440 あなたがあの指輪を入れた箱はどれですか。

解説
あなたがあの指輪を入れた箱: la kesto, en kiun vi metis la ringon と言えばよいでしょう。「箱」には skatolo も使えますし,metis は enmetis としても同じです。la kesto(skatolo), en kiu vi metis ... とした訳が応募の半数近くを占めましたが,この kiu は kiun としなければなりません。「物を〜の中へ入れる」は meti (enmeti) ion en 〜n と言います。en の後に主格(-nの付いていない形)を置くと,「〜の中へ」ではなく「〜の中で」と言う意味になります。

比較:
Mi metis pomojn en la korbon.(わたしはかごの中へリンゴを入れました。)
La pomoj kus^as en la korbo.(リンゴはかごの中に入っています。)

la kesto(skatolo), en kiun vi metis(enmetis) ... の en kiun は kien としても同じです。
「指輪」は ringo または fingroringo ですが,ここでは「あの指輪」と言う聞き手に分かっている物を指しているのですから,ringo だけで十分です。

どれですか: Kiu estas ...? と言います。この Kiu は複数形(Kiuj)になることもあります。

参考:
Kiuj estas viaj s^uoj?(あなたの靴はどれですか。)

この課題文は下の訳例に挙げてあるように,「あなたはどの箱にあの指輪を入れたのですか」と言う問いかけにすると,簡潔な表現になります。 

訳例
En kiun keston vi metis la ringon?
Kiu estas la kesto, en kiun vi metis la ringon?