課題文n-ro561 Karloは Erikoが日本の女性の名前であることを知りました。

解説
Karloは知りました: Karlo eksciis といいます。sciis は「知りました」ではなく,「知っていました」という意味です。kompreni は havi g^ustan ideon pri io(あることを正しく理解する)という意味ですから,komprenis を使うのはここではよくありません。lerni は akiradi sciojn pri io per sperto(経験によって知識を身につける)という意味ですから, eklernis を使うのはよくありません。

Erikoが日本の女性の名前であることを: ke Eriko estas nomo de japana virino といえばよいでしょう。japana virino の代わりに japanino を使っていうこともできます。la nomo のように冠詞を付けるのはよくありません。ここでは unu el la nomoj de japanaj virinoj(日本の女性の名前のひとつ)という意味であるからです。virina nomo en Japaio は「日本では女性の名前」という意味ですから,ここでも使えますが,*virina nomo de Japanio* はよくありません。ヨーロッパのエスペランチストは,名前をエスペラント化して使う人が多いようで,わたしの文通友だちであったイギリス人の Andrew は Andreo を使っていました。Eriko もそのひとつで,Ericという男性の名前をエスペラント化したものです。

訳例
Karlo eksciis, ke Eriko estas nomo de japana virino.


課題文n-ro562 この花のエスペラント名を知っていますか。

解説
この花のエスペラント名を: la Esperantan nomon de c^i tiu floro といいます。Esperantan は esperantan と書く人もいます。Esperantan nomon には冠詞を付けます。「この花のエスペラント名」というのは,ひとつに限定されるからです。「この花はエスペラントでは何と呼ばれますか」という意味の Kiel nomig^as c^i tiu floro en Esperanto? または Kiel oni nomas c^i tiun flroron en Esperanto? を使っていうこともできます。

知っていますか: C^u vi scias といいます。konas はここではよくありません。知識として知っている,というのは scii で表します。

訳例
C^u vi scias la Esperantan nomon de c^i tiu floro?
C^u vi scias, kiel oni nomas c^i tiun floron en Esperanto?


課題文n-ro563 わたしはハルオがまだ健康を回復していないのではないかと思います。

解説
わたしは...のではないかと思います: mi supozas, ke ... というのがよいでしょう。pensas も使えますが,suspektas はよくありません。suspekti は kredi, sen certa pruvo pri kulpeco au^ malbonintenco de iu (確たる証拠もなく人に犯罪,悪事などの嫌疑をかける)という意味で,日本語の「邪推する」に近い意味を持つ語です。この原義からより広い「確たる証拠もなく...ではないかと思う」という意味で使われることもありますが,英語の suspect などのように,この第一義の意味でしか使わない言語もあるので,この課題文のような文で suspekti を使うと違和感を感じる人がいます。文脈で明らかな場合を除いて,使うのは避けたほうがよいでしょう。これがもし「彼は仮病を使っているのではないかと思います」という文であれば,Mi suspektas, ke li ne estas malsana. のように suspekti を使っていうのがぴったりの表現になります。dubas を使うと「健康を回復していないことを疑う,もう回復しているのではないかと思う」という反対の意味になります。ここでは supozas の代わりに timas を使っていうこともできます。Mi timas, ke ... というとハルオに対する話し手の気遣いを感じさせる表現になります。

ハルオがまだ健康を回復していない: Haruo ankorau^ ne resanig^is といいます。「まだ回復していない」という日本語に引かれて,resanig^as のように -as を使うのは誤りです。resanig^i は点動詞ですから,一回きりの行為について -as が使われることはありません。-as の詳しい用法はここをクリックしてお読みください。「現在の状態を表す動詞の形」というと -as を思い浮かべるでしょうが, -is の形で「〜しています」という現在の状態を表すことがあります。詳しい説明はここをクリックしてお読みください。

訳例
Mi supozas, ke Haruo ankorau^ ne resanig^is.


課題文n-ro564 委員会はまだ始まっていません。

解説
委員会: la komitata kunsido または la komitat-kunsido, la kunsido de la komitato といいます。相手にはどの委員会を指すのか分かっているはずですから,冠詞を付けていいます。la komitato は「委員で構成される組織」のことですが,この課題文の「委員会」は「委員が集まって開かれる会議」のことですから,ここでは上に挙げたようにいわなければなりません。日本語の「委員会」にはふたつの意味があることに注意しましょう。

まだ始まっていません: ankorau^ ne komencig^is または ankorau^ ne malfermig^is あるいは ankorau^ ne estas malfermita などのようにいいます。komencig^as, malfermig^as のように -as を使うのは誤りです。komencig^i, malfermig^i は点動詞ですから,一回きりの行為について -as が使われることはありません。前回(n-ro563)の解説をご覧ください。

訳例
La komitata kunsido ankorau^ ne komencig^is.


課題文n-ro565 この図書館から借りた本は,又貸ししないでください。

解説
この図書館から借りた本: ここでは「この図書館から借りた本を」という形でla librojn, kiujn vi pruntis el c^i tiu biblioteko または la librojn pruntitajn el c^i tiu biblioteko のようにいうのがよいでしょう。prunti は「貸す,借りる」という両方の意味があるので,[借りる」ことを明示するために deprunti ということも出来ます。借りる本は一冊とは限りませんから,複数形にして冠詞をつけます。無冠詞の複数形にすると,iujn el la pruntitaj libroj(借りた本のうちのどれか[複数]を)という意味になります。上に挙げたように冠詞をつけた複数形にすると,「借りた本はすべて」という意味を伝えます。

又貸ししないでください: Bonvolu ne subpruntedoni al iu ajn などのようにいうのがよいでしょう。vicpruntedoni を使った訳が数例寄せられましたが,この単語はおそらく外国では通じないと思います。ヨーロッパ人のアカデミー会員ふたりに尋ねてみたところ,見たこともない単語で意味が分からないという返事でした。vic- を付けていうのが誤りであるとはいえないにしても,以前から国際的には subpruntedoni が使われていて,vicpruntedoni を使う人はいないようです。「又貸しする」は pruntedoni(prunti) al iu(krompersono)という表現を使っていうこともできます。ne pruntedoni(prunti) al iu は「だれかに貸さない」という意味ですが,ajn を付けて ne pruntedoni(prunti) al iu ajn というと「だれにも貸さない」というように意味を強めます。subluigi は「金を取って又貸しする」という意味ですから,ここでは使えません。

訳例
Bonvolu ne subpruntedoni al iu ajn la librojn, kiujn vi depruntis el c^i tiu biblioteko.


課題文n-ro566 マサオは自分が借りている部屋を友だちに又貸ししています。

解説
マサオは友だちに又貸ししています: Masao subluigis al sia amiko または Masao subludonis al sia amiko といえばよいでしょう。subluigi, subludoni はどちらも点動詞ですから,[〜しています」という現在の状態を表すには -asではなく,estas -inta の形を取りますが,状況によって現在の状態について話していることが明らかな場合には -is で代用されるのが普通です。金を受け取って貸しているということを明示したいときは subpruntedoni ではなく subluigi を使うのがよいでしょう。vicluigis は「自分が借りている建物または住居の一部を又貸しする」という意味ですから,そういう状況でない場合には不適当な表現になります。*subluigadas* のように -ad- を付けて「又貸ししている」という状態の継続を表すことはできません。「友だち」はここではマサオの友だちを指しているので,lia amiko ではなく sia amiko としなければなりません。

自分が借りている部屋を: la c^ambron, kiun li luis のようにいうことができます。luis は luprenis としても同じです。どちらも点動詞ですから,[〜しています」という現在の状態を表すには -asではなく,estas -inta の形を取りますが,-is で代用することができるのは,上で述べた subluigi, subludoni の場合と同じです。c^ambron は無冠詞でも使えますが,その場合には「複数の部屋を借りていて,そのうちの一部屋を」ということを暗示する意味に取るのが普通です。kiun si depruntis の si は誤りで,li としなければなりません。si は主語(ここでは kiun で導かれる形容詞節の主語)になることができません。

訳例
Masao subluigis al sia amiko la c^ambron, kiun li luis.


課題文n-ro567 この図書館の利用者は,一日何人くらいですか。

解説
この課題文は「この図書館は一日に何人が利用しますか」という形でして表現するのがよいのでしょう。「くらい」はここでは訳しません。日本語は尋ねる文では断定的な表現を避けて,「何人くらい」とか「何日くらい」などのようにいうことがよくありますが,エスペラントでは疑問詞に c^irkau^ などを付ける表現はありません。
「利用する」は uzi, utiligi を使っていうことができるほか,viziti を使ってもよいでしょう。いずれも -as の形で使います。
「一日に」は en tago または tage といいます。en unu tago は誤りではありませんが,tago だけで「一日」を表します。unu tagon は iun tagon と同じ意味で、「ある日」という過去または未来のできごとについていうときに使われる表現です。po tago, per tago というのはよくありません。
「何人」は Kiom da homoj または Kiom da personoj といいます。

訳例
Kiom da homoj uzas c^i tiun bibliotekon en tago?


課題文n-ro568 「あなたはいつごろからここにお住まいですか」「10年くらい前からです」

解説
いつごろからここにお住まいですか: De kiam vi log^as c^i tie? といいます。Kiam vi eklog^is c^i tie?(いつここに住み始めたのですか)といってもよいでしょう。ただし,この質問への答え方は下に述べるように,同じではないので注意してください。De kiam で始まる文では -as形の log^as を使いますが,Kiam で始まる文では -is形の eklog^is を使います。

10年くらい前からです: De kiam で始まる文に答えるときは,De antau^ deko da jaroj または De deko da jaroj という言い方があります。「10年くらい」は c^irkau^ dek jaroj ともいえますが,deko は10前後の数を表す語ですから,deko da jaroj は「10年くらい」を表します。「数十年前から」であれば,De dekoj da jaroj のようにいうことができます。Mi log^as を始めに付けてもよいのですが,会話では省略されるのが普通です。ただし,この省略は口調によってはぶっきらぼうな返事の感じになります。日本語でも丁寧に答える場合には「10年くらい前から住んでいます」といいますから,その場合には Mi log^as de deko da jaroj という言い方になるでしょう。C^irkau^ dek jarojn antau^e はよくありません。この表現は話をしているときを起点として「10年くらい前に」というときの表現ではなく,主節の時を基準にして「その10年くらい前に」という意味を表します。『エスペラント日本語辞典』の見出し語 antau^e のところには,tri tagojn antau^e = antau^ tri tagoj と載っていますが,これは誤りです。

Kiam vi eklog^is ... という質問に答えるときは,Antau^ deko da jaroj または Antau^ c^irkau^ dek jaroj のようにいいます。

訳例
"De kiam vi log^as c^i tie?" "De deko da jaroj."


課題文n-ro569 Mariaはいつから入院しているのですか。

解説
いつから: De kiam といいます。この表現とともに使われるのは線動詞だけですから,点動詞とともに使うことはできません。De kiam vi estas malsana?(あなたはいつから病気なのですか)ということはできますが,点動詞の malsanig^i(病気になる)を使っていえば,De kiam ではなく Kiam を使って,Kiam vi malsanig^is?(あなたはいつ発病したのですか)といわなければなりません。

入院している: estas en hospitalo というのが一般的な言い方ですが,状況によっては hospitalo に冠詞が付きます。都市部ではない地域で病院がひとつしかなく,「病院」といえばといえばその病院を指すという場合,あるいは病院がいくつもある地域でも,会話の相手が Maria の入院しているのがどこの病院であるかを知っている場合です。例えば,相手が C^u vi scias, ke Maria estas en hospitalo? Mi vizitis s^in hierau^.(Maria が入院していることを知っていますか。わたしはきのう見舞いに行ってきました)というのを聞いて,課題文のような質問をするのであれば,en la hospitalo といいます。
「入院している」ではなく,「(いつ)入院したのか」を尋ねる場合は,Kiam Maria enhospitalig^is? といいます。*Kiam Maria enhospitalig^as?* は誤りです。enhospitalig^i は「入院する」という行為を表す点動詞で,「入院している」という状態を表す線動詞ではありません。「入院している」という状態を表す単語はないので,esti en hospitalo といわなければなりません。

訳例
De kiam Maria estas en hospitalo?


課題文n-ro570 マサオは先月十日ほど入院しました。

解説
マサオは入院しました: Masao enhospitalig^is といいます。enhospitalig^is は malsanulejig^is といってもよいのですが,この語が使われているのを見かけたことがありせん。「入院しました」を「入院していました」といいかえれば,Masao estis en hospitalo となります。hospitalo に冠詞を付けるのは,ここではよくありません。

先月十日ほど: 「十日ほど」を表す表現には deko da tagoj または c^iraku dek tagoj がありますが,ここで使われている「十日ほど」は「十日ほどの間」という意味ですから,対格(-n)にするか,または期間を表す前置詞 dum か por を付けなければなりません。dum を使うか por を使うかは,動詞によって決まります。線動詞のときは dum, 点動詞のときは por を使います。

比較:
Mi ekvojag^is por du semajnoj.(わたしは2週間の旅に出かけました)
Mi vojag^is dum du semajnoj.(わたしは2週間,旅行しました)
線動詞,点動詞についての詳しい説明は,ここをクリックしてお読みください。

先月: en la lasta monato または lastamonate のようにいいます。lastmonate は誤りではありませんが,-stm- と子音が続くので,lastamonate というのが普通です。

訳例
Masao enhospitalig^is por deko da tagoj en la lasta monato.
Masao estis en hospitalo dum deko da tagoj en la lasta monato.