<良いものはまた感動!>の巻

ヨッシー(以下Y)「いらっしゃ〜い!」

菊夫(以下K)「あれ?またあきちゃんいないんですか?」

ジロウ(以下J)「そうなのよ、また遅出らしいわよぉ。ったく、何やってんだか。」

Y「菊夫ちゃんは何にしようか?」

K「そうですね、今月のお勧めドリンクは何でしたっけ?」

Y「今月はね、え〜〜と、<ゴッドマザー>だね。」

K「じゃあ、それ頂きます。」

Y「えっ?!!!え〜と、作り方は、・・・あっ、これか。ヴォッカ45とアマレットが15ね。で、ビルドね。」

K「ヨッシー、大丈夫なの?」

J「本当に大丈夫ですか?」

Y「大丈夫、大丈夫。ちゃんとあきちゃん作り方書いておいてくれたから。ね、出来上がりっと。 はい、菊夫ちゃん、お待たせ。」

K「本当に大丈夫かなぁ〜。・・・うん、美味しいです。ジロウさんもどうですか?ちょっと。」

J「どれどれ。・・・あっ、美味し〜い。もうあきちゃんいらないね、これじゃ。はははは・・。」

あき(以下A)「遅くなっちゃって。」

Y「おかえりなさい。」

A「あら、ジロウちゃんに菊夫ちゃん、いらっしゃい。」

J「まったく良いものだね、重役出勤は。」

A「だって、今週忙しかったからね。お芝居が重なっちゃってて。」

J「ほ〜んと、今週なんか、三度目ですよ、三度目。来ても居やしないんだから。」

Y「まあ、その代わりに僕が入っているじゃないですか。ジロウさん、何時も来てくれるから、 てっきり僕狙いかと思っちゃいましたよ。」

J「正解!な訳ないじゃないのよ。ちょっと、あきちゃん、どうにかしてくれる?この子。」

Y「冗談ですよ、冗談。」

A「どうでもいいけど、ヨッシー、ウーロン茶、大きいグラスで一杯ちょうだい。 もう焦って来たから喉が乾いちゃって。」

J「あら、それじゃ、そのウーロン茶、僕から差し上げてちょうだい。」

A「あら、そうですか?それじゃ、お言葉に甘えて頂きます。」

Y「はい、お待たせしました。」

A「それじゃ、ジロウちゃん、頂きます。」

K「でも、今週3回目だなんて、いったい何を観て来たんです?」

A「まず、ニューヨーク・ハーレムシアターの<ポーギーとべス>でしょ、それから、 南河内万歳一座の番外公演、<青木さん家の奥さんII>、それで、今日は野田秀樹の<赤鬼・ロンドンヴァージョン>。 それに、今度の日曜日は、木内みどり、大竹しのぶ、渡辺えり子、 富田靖子の<ママが私に言ったこと>にも行かなきゃいけないし。」

J「じゃあ、また今度の日曜日、早い時間は居ないのぉ〜?」

A「それは大丈夫。昼の公演だからね。」

K「へ〜、でも、すごくハードスケジュールですよね。疲れないのかな?」

J「この人は、好きな事してるとき、全く疲れないタイプだから、大丈夫なはずよぉ。ね、あきちゃん。」

A「そうね、流石はジロウちゃん。長年知っているだけあって、良くお分かりだ事。と、言いたいんだけどさ、 最近疲れちゃうのよね、寝不足が続くと。」

J「あら、珍しい。昔はそんな事、一言も言わなかったのにねぇ、これもやっぱり歳のせいかしらん。」

A「そうかもね。本当に続くと疲れて来たわね。」

K「ところで、どうだったんです?それぞれのお芝居は。」

J「そうそう。僕も聞きたいですね。」

A「それじゃまず、<ポーギーとべス>からね。」

K「<ポーギーとべス>って、あのガーシュウィンのですよね。サマータイムが入っているやつ。」

J「そうです。菊夫ちゃんも結構知ってらっしゃるじゃないの。僕は前回の来日公演の時に行ったんだけど、 やっぱり良いですよ。今回も良かったんじゃないですか?」

A「そうね、今回、特に感動したのは、照明の美しさとコーラスの素晴らしさかな?」

J「へ〜、照明の美しさね。舞台ではとっても大切な事ですよ、照明は。」

A「本当にそうね。あの夕暮れの感じ、嵐の場面での人々の心情を表している光の色。 今回は本当に感動したわね。それに、コーラス。」

K「さっきも言いましたけど、サマータイムっていう歌はコーラスで歌われるんですか?」

J「あれは、コーラスじゃないですよ。あのオペラに出てくる有名な曲は、ソロか、デュエット。コーラスはないですよね。」

K「じゃあ、コーラスが良いって、あきさんが言いましたけど、そのコーラスは何処に出てくるのですか?」

A「例えば、葬儀のシーンとか、ピクニックのシーンとか、スピリチュアルを聴いているかのようだったわね。 本当に素晴らしかったわよ。」

Y「へ〜、スピリチユアルね。いいよね、ゴスペル。自分も好きだから一度聴いてみたいよね。」

J「あら、気が付かなかった。ヨッシーも何か飲んで下さいね。」

Y「はい、有難うございます。それじゃ、自分はビールを頂きます。」

J「はい、どうぞ。」

K「出演者はどうでした?」

A「アッシ、今回結構好きだったのが、べスを演ってたマルキータ・リスターね。ちょっと下衆(げす)で、 その後の変わった様子。べスってこうだったのかな?って思わせちゃうもの。」

K「へ〜、そうなんですか。ところで、下衆って何ですか?」

J「あら、菊夫ちゃん、下衆も知らないの?まあ、あんたみたいな者よ。」

A「ちょっと、ジロウちゃん、いじめはいけないわよ。下衆てね、簡単に言ったら、お下品な人の事。あと、 ちょっと足りない人の事を言うのよ。」

K「どうせ僕は足りませんよ。」

Y「何言ってるの。もう大人なんだからさぁ。」

K「そうですね。でも、話していると観てみたくなりますよね。で、もう一つは、なんでしたっけ?」

A「次は南河内万歳一座ね。」

Y「これはアキちゃん好きだよね。結構聞くもん、ここで。」

A「そうなのよ。特に今回は新宿梁山泊の近藤ゆうかがゲスト出演するから観ないわけにいかないじゃない。」

J「あそこの劇団にいる凄い女優、誰でしたっけ?名前が浮かんでこないけど、あの強烈な方。」

A「それさ、鴨鈴女じゃない?」

J「そうそう、鴨鈴女。すごいキャラですよ、彼女は。今回は出てるんですかね。」

A「勿論よ。この<青木さん家の奥さんII>は、<青木さん家の奥さん>の女性版なのよね。それも、 総指揮が鴨鈴女なのよ。」

J「そりゃ凄い舞台になったんじゃありません?面白そうだけど。」

A「そりゃ、もうメチャクチャ面白かったわよ。さっきも言った様に、鴨と近藤、その他に鴨の旦那で、 今回の芝居の演出担当の荒谷清水、それに、重定礼子の4人でおくるアドリブ満載の芝居なんだけど、 4人漫才を観ている様で、本当に面白かったわね。」

K「話は、どんな?」

A「舞台の初日を3日後に控えた劇団から座長が脚本を未完成のままトンズラしちゃったことから、 どうにかして脚本の先を考えて、初日に間に合わせ様とする4人の劇団員の話なのよ。」

J「まあ、そこで、お決まりのドンジャカが始まるってわけね。」

A「そうそう。お決まりのパターンなんだけど、可笑しくて可笑しくて。」

Y「それに比べたら、今日の<赤鬼>はくらかったでしょう。」

K「前に、アキさんの感想聞いた事がありましたよ。確か、その時は、最後の台詞にやられた、 って言ってたような・・・。」

A「そうそう。良く覚えてるわね、菊夫ちゃん。もう8年も前の話になるのよね。本当に、最後の台詞までは、 そう大した芝居じゃないな、って思っていたのよね。あの時のキャストが、野田に段田安則、それに冨田靖子。 それから、名前を忘れちゃったけど、赤鬼役の外国人。凄いキャストだったけど、本当に最後の最後まで、 そんな素晴らしい芝居だと思わなかったのよ。でも、さっき菊夫ちゃんがいった様に、最後の台詞でやられちゃったのよね。」

J「その最後の台詞ってどういうの?」

A「正確じゃ無いかも知れないけど、<そして海の向こうに妹の絶望が沈んでいった。>だったと思うけど。」

Y「今回は、確かロンドンヴァージョンだったよねぇ、そうすると、それは当然英語になってる訳でしょう。 英語ではどう表現されていたのかなぁ?」

A「英語ではね、まあ、多分こう言ってたとお思うのよ。まあ、 聞き取りがちゃんと出来てなかったかも知れないから間違ってたとしてもちょっと許してほしいんだけど。多分ね、 <And beyond the sea,at the very bottom,lies my little sister's heart> だと思うのよね。」

Y「良く聞き取れたね。」

A「だから言ったじゃないのよ。多分て。でもね、今回の<赤鬼〜ロンドンヴァージョン>は、 まるでシェクスピアの芝居を観ているかの様だったわ。」

J「シェクスピアの芝居ね。まあ、イギリスの役者だったらそうなるかもね。」

A「なにか、気品があるっていうか。発音はイギリス発音で本当に良く聞き取れたし、シンプルな舞台美術で、 それがうまいこと芝居に同化しているし。」

K「へ〜。観たくなってきちゃったなぁ。ロンドンヴァージョンって言う事は、他にもあるんですよね。」

A「そうね。今回は、他にタイヴァージョン、そして、日本ヴァージョンと3通り用意されているみたいよ。」

Y「でも、チケット取れないでしょ。」

A「日本ヴァージョンは無理みたいだけど、その他はまだ席があるらしいから、是非行ってみてよ。」

K「でも、言葉がね、苦手だし。特にタイ語なんて、全く分からないからな。」

A「大丈夫よ、イヤホンガイドがあるから。」

K「それだったらいいかも知れませんね。」

A「あら、もう11時過ぎちゃったわ。ごめんね、ヨッシー。さ、交代しましょう。」

Y「は〜い。それじゃ、みなさん交代しま〜す。」

A「はい、改めていらっしゃいませ。で、さっきの続きだけど、・・・・・。」

おわり


*今回紹介したお芝居は、

1)<ポーギーとべス> 公演終了

2)<青木さん家の奥さんII> 公演終了

3)<赤鬼>   シアター・コクーン
      ロンドンヴァージョン  公演終了
      タイ ヴァージョン  9/14〜22
      日本 ヴァージョン  10/2〜20
4)<ママが私に言ったこと> 青山円形劇場
       上演中〜10/3まで

以上です。芸術の秋です。どうぞ足をお運び下さいね。


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