<美しすぎるぅ〜!>の巻

ゴンちゃん(以下G)「こんばんわぁ〜。まだまだ暑いですねぇ。」

あき(以下A)「あら、ゴンちゃん、いらっしゃい。本当に暑いわね。はい、おしぼりどうぞ。」

タンちゃん(以下T)「あっ!観に行ってきたんですかぁ〜?俺も行きたかったなぁ〜。」

A「ゴンちゃん、何にしようか?」

G「あっ、すみません。え〜〜とぉ、今日はカシスオレンジを下さい。」

A「あら、珍しいわね、カシスを飲むなんて。」

G「そうなんですよぉ〜。何か今日はそういう気分なんですね。」

T「ところで、面白かったですか?これ。」

G「アキさん、ご覧になりました?これ。」

A「あ〜、<ママがわたしに言ったこと>ね。勿論行ってきたわよ。」

G「で、どうでした?前にアキさんは、どうも鈴木勝秀の演出が合わないみたいな事言ってましたよね。 今回はどうだったんですか?」

A「そうね、本当に合わなかったのよ、今までは。まあ、今回の・・・、はい、お待ちどうさま。 ・・・芝居は、やっと普通に観る事ができたかな?」

G「あ〜、そうですか。実は、僕もですね、合わなかったんですよ、今までは。でも、今日の芝居はまずまずでしたね。」

T「まずまず、って、その程度なの?」

G「いやぁ〜、そんな事はないですけどね。」

T「そりゃ、そうだよね。このキャストだもん。ほっといたってどうにか演ってくれそうじゃない、 この人達だったら。」

A「そおうよね。木内みどり、大竹しのぶ、渡辺えり子、冨田靖子。すご〜〜いキャストよねぇ。 アッシなんか、ギャラを心配しちゃうわよ。だって、円形でしょ。人数入らないしさ。」

G「そうですよね。300人くらいですか?あそこって。」

A「そうね、そのくらいじゃないかしらん。」

T「でもさ、そんな近くで観る事が出来るなんて、観客にとったら美味しいよね。で、どういう話なの?」

G「これですか?まあ、一言で言ってしまうなら、殺人願望家族の話かな?」

T「殺人願望?な〜んか全然分からないんですけど。」

A「まあ、こういう事よ。ひとつの家族があるんだけど、その一人ひとりが、その母親を殺したいと思っているのよ。」

G「最初のシーンで4人がリボンつけて母親を殺そうと話している所は笑っちゃいましたね。」

A「まあ、当然世代が違う訳で、その時代と、その時代に生きている彼女らの現実、悩みをうまく表現していた戯曲だわよ。」

T「でもさ、そんな中で殺人事件がどんどん起こっていくんだよね。どういうのか観たくなってきたぁ。」

G「起こりませんよ、殺人事件なんか。殺そうと思っているだけですよ。でも、現実には殺す場面はないんですよ。」

A「よくあるじゃない。誰かを殺したくなる気持ち。」

T「え〜〜〜!!!あるんだぁ〜。怖い怖い。」

A「えっ???ない?誰でも、そう思った事あると思ってたけど。」

G「ありますよね。まあ、実際には殺さないですよ、勿論。でも、あるなぁ、そんな気持ちになる事は。 まあ、ある、というより、あった、と言った方が正しいんですけどね。」

T「まあ、そんな気持ちを表現している、この4人の女優て、きっと凄かっただろうね。」

G「凄かったですよぉ。やっぱり大竹しのぶはイッちゃってましたけど。凄いですね、彼女って。それに、 渡辺えり子。劇団と私生活を同時に成功させようとしている今の彼女の姿が重なっちゃって。 何か気の毒に思えてきちゃいましたね。」

A「アッシはね、冨田靖子の演技が一番だと思ったのよ。っていうのは、女の子から段々成長していく姿を良く出していたと思うのね。 勿論、大竹しのぶをはじめとして、各々がとっても良かったけど。」

T「じゃあ、アキさんにとっては、ようやく納得出来る鈴木勝秀の演出だったわけなんだ。」

A「それが、そうでもないのよ。まあ、そこそこは納得できたけど。」

G「え〜、何かありました?」

A「いつも思うんだけどね、円形劇場ってさ、円形っていう特長があるわけじゃない。だから、 それを活かさないと。円形なのに、決まった一方に舞台めいた物があるっていうのは、ちょっと。」

G「ああ、あのグランドピアノが置いてあった、あそこですね。」

A「そうそう。それに、あの話はイギリスの話なんだけど、そのイギリスらしさが足りなかった様に思えて仕方なかったのね。 まあ、彼の演出って、そういう所を取っ払ちゃう所から始めているから、今回もそうだったかも知れないけど。」

G「はぁ〜、なるほどね。でも、綺麗だったですよね。4人は勿論、照明なんかも。美しくありませんでした?」

A「綺麗だったわね。照明も美しかったし。」

T「美しかったで思い出したんだけど、この前、<赤鬼>のタイヴァージョンに行ってきたのね。それが、本当に美しくて。」

G「<ヤックトゥアデーン>って言うんでしたっけ?タイ語では。」

T「そんな感じ。俺ね、音声ガイド借りたんだけど、ある意味、邪魔だったんだよね。まあ、 無料だったから良かったけど。」

A「アッシも悩んだのよ。タイ語でしょ。解らないもん。でもさ、基本的には話の筋は同じじゃない。それで、 片方が感情のない日本語で、片方がタイ語で、なんてしてると邪魔くさい感じがしたから、結局借りるのやめたんだけど、 それが正解だと思ったわ。」

T「俺もさ、やっぱり借りない方が良かったな、なんて後で思っちゃって。ゴンちゃんは行ったんです?」

G「行きましたよ。で、美しかったですね。アキさんが前にタイヴァージョンは美しいって言ってたから、 ちょっと観たくて。はじめはロンドンヴァージョンと日本ヴァージョンでいいかな、って思ってたんですけど、 タイヴァージョンに行って本当に良かったですね。」

A「アッシ、実は初めてだったのよ、タイヴァージョン。以前来日公演の時は、たったの3日間公演だったから、 日にちが合わなくて行けなかったのね。そしたら、観てきた人がそろって<美しかった!>って言うのよ。 もう悔しくてね。今回は何がなんでも行かなきゃって。」

T「で、やっぱり美しかったでしょ。人が多いじゃない。普通は4人なんだっけ?でも、その多い人が全く邪魔になってないんだよね。 あの動き、会話。もう全体が美しかったよね。」

G「そうですね、波のような動きっていうのかな、あの動きは美しかったよね。それにみんなとっても上手で。」

A「ほんとにね。特にあの女を演った彼女。気性の激しさ、心の優しさ、感情表現の素晴らしさは勿論、 あの立ち姿の美しいことったら。最後のあのシーンなんか、涙ボロボロだったもんね。」

G「鬼の目にも涙ですかぁ〜。」

A「あら、失礼ねぇ。ははは・・・。」

G「タイ語なのに、内容はむしろ日本語よりも解ったような感じがしましたよね。日本ヴァージョンだと4人、 まあ実質的には3人が一人何役もやる訳じゃないですか。それが、タイヴァージョンだと、 人数が多いから一人ひと役でいいんですよね。はっきりしていて本当に解り易かったですね。」

T「俺はさ、あのトンビを演った役者が凄くいいって思ったんだけど、どうだった?」

G「そうですね、彼も、ミズカネを演った彼も良かったし。今回は本当にみんな凄く良かったですよ。 さっきの芝居でもそうだったんですけど、このタイヴァージョンも照明が本当に綺麗で。僕はね、 二階から観ていたから、舞台上に写る光の模様なんかもちゃんと確認できたんですね。で、それが本当に美しかったですよぉ。」

T「それと、さっきもアキさんが言ってたけど、最後のシーンね。村人がひとつの方向から歩いて来るじゃない。 それとは逆方向に、一人で歩いて行くあの女。あのシーンは忘れる事の出来ない美しいシーンだったよね。」

A「あのシーンは本当に素晴らしかったわね。最後に、あの女にだけライトが当たってね。アッシね、もしかすると、 日本のオリジナルヴァージョンより素晴らしいんじゃないかと思っちゃったのよね。初演の時、最後の台詞で <やられた!>って思ったけど、今度のタイヴァージョンは、<やられっぱなし>だったわよ。」

G「で、鬼の目にも涙なんですね。」

ノリちゃん(以下N)「こんばんは。」

A「あら、ノリちゃんいらっしゃ〜い。」

N「何か、随分と盛り上がっているみたいだったじゃないのぉ〜。」

T「今ね、美しかったっていう話をしてたところなんだよね。」

G「そうそう。美しすぎるってね。」

N「あ〜ら、そう。良く言われるのよぉ。アタシの話だったのね。はい、続けてちょうだい。どうしたのよぉ〜。 続けて、続けて。」

一同「え〜〜〜〜っ!!!!」

おわり


*今回紹介したお芝居は、
1)<ママがわたしに言ったこと>
    上演中〜10/3  青山円形劇場
2)<赤鬼〜タイヴァージョン>
    公演終了。
    日本ヴァージョンは10/2〜20まで
    シアター・コクーン

以上です。芸術の秋。どうぞ足をお運び下さい。


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