<良かったね、で終わりたい>の巻

あき(以下A)「いらっしゃ〜い!」

やっちゃん(以下Y)「こんばんは。」

ウッチ(以下U)「こんばんは。」

A「あら、二人で。どっか行って来たの?」

Y「ちょっとそこで会ったのよぉ〜、偶然に。」

A「またまたお得意のはぐらかしね。ははは・・・・・。」

U「映画見に行って来たんすよ。<ブラザーズ・グリム>っていう。」

A「あら、私のマットが出ているやつね。」

Y「ま〜〜っぁ、アキちゃん、あんなのがいいの?」

A「やっちゃんはそう言うけど、外国の俳優で一番お気に入りなのよ、アッシ。」

U「前にも言ってましたよね、アキさん。」

Y「そうだったのね、知らなかったわぁ〜。」

U「で、当然見に行ったんすよね、アキさんは。」

A「勿論よ。公開して直ぐに行ったわよ。まあまあ面白かったわよね。」

Y「グリム童話のいろんなキャラクターが所々に挿入されてたでしょ。あれが面白かったわねえ。」

A「そうね、色々あったわね。テリー・ギリアムだから、もっと変わっているかなって思ったんだけど、意外に普通と言えば普通でね。」

U「分かり易くて良かったすよ、オイラには。」

A「ところで、今日は何にしようか?」

U「あっ、そうか。注文しなきゃね。え〜と、オイラはジントニックにライムで宜しくっす。」

A「あいよっ!」

Y「あたしはねえ、ビールかしら、寒いけど。」

A「は〜い、・・・お待たせしました。」

Y「所でアキちゃんさあ、最近何か見た?映画。何か一度見ちゃうとまた見たくなるのよね。お勧め有るかしら?」

A「アッシね、結構見ているのよ、このところ。今週もさ、台湾で去年すごく入ったっていう話題の映画、<僕の恋、彼の秘密>っていうのに行ったんだけどね。」

U「何ですか?その映画。」

A「さっきも言ったけど、台湾で去年の上半期のベストワンだったのよ、興業成績が。」

Y「あら、そうなのね。アタシ、一昨年に行ったけど、映画は日本と同じでハリウッド映画ばっかりだったわよ、確か。」

A「そうみたいね。この所、日本では日本映画が結構ヒットしているけど、ちょっと前まではハリウッド映画が全盛だったじゃない。台湾でも同じらしいわよ。」

U「でも、あれっすよね。台湾映画って、結構評価が高いんじゃなかたっすか?」

A「そうなのよね、映画としての評価は高いんだけど、自国でヒットしなかったんだって。」

Y「まあ、評価と実績は違うからねえ。で、何だっけ?その映画。」

A「<僕の恋、彼の秘密>よ。」

Y「で、その映画がぶち破ったのね、そのジンクスを。」

A「そうみたいよ。何でも低予算映画だったらしくて。でも、公開したら若い人達が段々押しかける様になったんだって。で、異例のロングランって事になったみたい。」

U「どんな映画っす?」

A「物語りは単純明解よ。田舎育ちの純な少年がインターネットで知り合った台北のハンドルネーム<獣>に会う事も含めて、夏休みに憧れの大都会に行くのよ。そこで夢に出てくる理想の彼と遭遇しちゃってさ、後は分かるわよね。」

U「その恋にまっしぐら、ってな訳っすね。」

Y「あ〜らぁ、そうは行かないんじゃないのぉ〜。色々あるのよ、きっと。じゃなきゃ面白くないじゃないのよぉ〜。」

A「そうよね、流石はやっちゃん。その理想の彼は同じ男と二回は寝ないっていうプレイボーイなのよ。」

U「それじゃアキさんと一緒っすね。」

A「失礼ねえ、ウッチったら。アッシは真面目なのよ、こう見えてても。ねえ、やっちゃん。ははは・・・。」

Y「あら、どうだかねえ。ははは・・・・。」

U「で、その後は?」

A「ところがどっこい、その彼にも人を一晩しか愛せない理由が有ったのよね。」

Y「ほら、みてごらんなさいよぉ〜、色々有るじゃない、やっぱり。」

U「はいはい。やっちゃんが正しいすね。」

A「で、後はご想像にお任せするわね。まあ、本当に単純で明解な話よ。嫌味もないし、ゲイ映画なんだけど、いやらしくもないしね。結構可愛いし、出てる子も。」

U「やっちゃん、見に行きましょうか?」

Y「そうねえ、その内ね。ねえ、アキちゃん、お芝居の方ではお勧めはないのかしら?」

U「お芝居も観てないっすね、そういえば。」

A「そうね、芝居は色々あるわよ。この前、新国立劇場で観た、大竹しのぶの<母・肝っ玉とその子供たち>は今までの演出と違ってナレーターを入れた分、とっても分かりやすくなってたし、大竹しのぶの怪物ぶりも相変わらずだったしね、まあまあ良かったんじゃないかしらん。」

Y「アタシちょっと大竹しのぶって苦手なのよね。他にない?」

A「そうね、12月はやっぱりコクーンでやる野田秀樹の<贋作・罪と罰>、パルコでやる三谷幸喜の<12人の優しい日本人>かしらね。」

U「前に演ったっすよね、二つとも。」

A「そうね、両方ともキャストを変えての再演よ。特に野田の方は、中央ステージになるから演出もガラッと変わるはずだし。楽しみだわ。」

Y「<12人の〜>の方もこれから始まるかもしれない陪審員制度を先取りしてて面白そうじゃないのぉ〜、ねえ。」

U「これなんか良さそうじゃないっすか?市原悦子が出るTHEガジラの<ヒカルヒト>。あ〜、これも良さそうっすよ、新宿梁山泊の演る唐十郎が作った<風のほこり>ってやつ。」

Y「どれどれ、あ〜、これね。アキちゃんは今月何か観に行くのかしら?」

A「今月、行くわよ。今言った物の他には、南河内万歳一座の<仮面軍団>。」

U「へんなタイトルっすね。ホラーか何かっすか?」

A「これも再演なんだけど、そうね、もう18年位前になるかしらね。花粉症がすごく話題になった頃よ、確か。その花粉症に悩まされている主人公は、春が嫌いなのよね、花粉症になるから。でも、青春の春には突っ走って行くっていうドラマ。当時、主演の味楽君がとても格好良かったのよ芝居の中で。もう退団しちゃったから居ないんだけどね。」

Y「あら、それは残念ねえ。その子観たかったわねえ。」

U「あれ〜、この人ってアキちゃん知り合いじゃなかったっすか?」

A「えっ?どの人?・・・あ〜、アッちゃんね。そうそう。これもあったんだわ。」

Y「何なの?ああtptね。何々?<アメリカン・バッファロー>。マメットなのね。観たいわね、これ。頼めるの?この芝居は。」

A「大丈夫よ、多分。日にち決めておいてもらえればね。決まったら連絡頂戴。」

Y「多分行くと思うから、連絡するわね、宜しくよぉ〜。」

U「ねえねえ、これなんかも派手で良いんじゃないっすか?」

A「<グランド・ホテル>ね。でもこれは来年よ。」

U「あっ、そうっすね。」

Y「何かやっぱり今年も良かったじゃないの、って終わりたいじゃな〜い。最後に良かったわぁ〜って思える映画やお芝居観ておきたいものぉ。」

U「でも、やっちゃん、こんなに沢山紹介されると迷っちゃいますよ。」

Y「そうねえ。まあ、ゆっくり考えましょうよ、時間はたっぷり有るんだからねえ。」

A「そんな事言ってると、あっという間に終わっちゃうわよ、今年も。でも、解るな、やっちゃんの気持ち。何事も良かったで終わりたいものね。」

Y「そうよぉ〜。良かったで終わりたいじゃないのぉ〜、ねえ、ウッチ。アタシたちも良かったで終われるかしら、ねえ?」

U「勿論じゃないっすか。」

A「はいはい、全く熱いんだから、冬だっていうのに。」

Y「あら、そう?失礼いたしましたわねえ。ははは・・・。」

一同「ははは・・・・・。」

おわり


*登場人物は全て仮名です。
*今回紹介した映画、お芝居は、
 1)<ブラザーズ・グリム> 上映終了
 2)<僕の恋、彼の秘密>  上映中
 3)<母・肝っ玉とその子供たち> 上演終了
 4)NODA・MAP<贋作・罪と罰>
       シアターコクーン 12/6〜1/29
 5)<12人の優しい日本人>
       PARCO劇場 上演中〜12/30
 6)THE・ガジラ<ヒカルヒト>
       本多劇場 上演中〜12/15
 7)新宿梁山泊<風のほこり>
       ザ・スズナリ 12/22〜1/9
 8)南河内万歳一座<仮面軍団>
       シアターグリーン 12/14〜18
 9)tpt<アメリカン・バッファロー>
       ベニサン・ピット 12/22〜1/8
10)<グランド・ホテル>
       東京国際フォーラムホールC 1/6〜24

以上です。みなさんもどうぞ足をお運び下さい。


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