<がっかり、ビックリ!>の巻

サッちゃん(以下S)「アキちゃん、お代わりちょうだ〜い。」

あき(以下A)「あいよっ!同じで?」

S「そうね、気分良いからお勧めドリンクにしちゃおうかしらぁ〜。 ねえ、美味しいのかしらね、それって。」

A「結構イケルわよ。ちょっと強いけど、サッちゃんだったら大丈夫よ。 甘いの平気でしょ?」

S「あたし両刀だから大丈夫よ、うふっ。・・・・冗談よぉ〜。だけどさぁ、 今流れている音楽さぁあ、綺麗ね。」

A「ねえ、素敵でしょ。<ジキルとハイド>っていうブロードウェイのミュージカルの曲なのよね。 もう綺麗な曲でいっぱいなのよ。」

S「あれ〜?どこかで観たわね、そのタイトル。あら、これじゃない。ねえ、これでしょ。」

A「そうそう。これはね、韓国からの来日ミュージカルなのよ。」

S「へ〜、韓国からなんだぁ〜。ふ〜ん。」

A「はい、お待たせしました。」

S「あら〜、綺麗、綺麗。もう色だけで酔っちゃいそうだわ〜。あらぁ〜〜〜!これ、 桜の花が入ってるの?やぁ〜〜〜、益々オシャレね。」

A「綺麗でしょ。結構評判良くてね、来月もこの桜のリキュールを使って何か作ろうと思っているのよね。」

S「うっわ〜〜〜!キツ〜イ。でも美味しいわ。」

A「良かった。来月は、もう少し軽めのカクテルにするつもりよ。」

S「あら、それじゃあ来月も楽しみだわね。ところでさあ、アキちゃんは当然見たと思うけど、 この前BSで放送された<アカデミー賞>見た?」

A「勿論、見たわよ。」

S「ねえ、あたしさぁ、最初から見てたんだけど、授賞式が始まるまでが長くて長くて。で、 やっと始まったと思ったら、あっという間でしょ。何だか、こんなものなのかな?って見てたんだけど、どうなの?」

A「あの放送はひどかったわね。スターを見たい気持ちはすごく分かるんだけど、あの編集はひど過ぎたわよ。」

S「そうでしょ〜。あんなものじゃないわよねぇ〜。何時も、 アキちゃんがアカデミー賞はショーとしてすごく素敵だって言ってたから、今年の放送を見て、え〜、 こんなものなのかな?って、ちょっと疑問に思っていたのよねぇ。やっぱり違うんだぁ。そうよね、 あんな短い時間で終わるわけないものねぇ。」

A「本当にひどい放送だったわね。アカデミー賞の良い場面をカットしちゃってさ。」

S「良い場面て?」

A「色々あるんだけど、視覚効果賞とか、音響効果賞とかね。」

S「へ〜、結構面白いんだ。」

A「そうよ。例えば、音響効果賞なんてさ、映画のワンシーンに、その映画と違う音をハメちゃったりするのね。 技術の見せ所よね。本当に面白いだけじゃなくて素晴らしいから拍手も沢山なのよ。」

S「あら、面白そうねぇ。例えばどんなのがあったの?」

A「そうね、アッシが今までで一番笑ったのが、<サウンド・オブ・ミュージック>のシーンなのね。ほら、 マリアがさ、丘の上で歌ってるじゃない。で、修道院の鐘が鳴って、頭を抱えてあわてて修道院に帰ろうとする場面。 あの場面に機銃掃射の音を当てはめるのよ。ちょっと想像してみて。」

S「面白〜い。分かる、分かるわぁ〜。」

A「ね。でもさ、アッシが今回の放送で一番がっかりしたのが、 一年間で亡くなった映画人を偲ぶコーナーがカットされたことかしらね。」

S「へ〜、そういうコーナーもあるんだぁ。でも、大切よね、亡くなった人を偲ぶって。」

A「でしょ。今のスターのインタビューを長々放送するのもいいけど、 今まで映画を作ってきたスタッフや俳優たちをもっと大切にしてもらいたかったわね。去年は放送されたのにね。 今年編集したスタッフは誰だぁ〜!って叫びたくなっちゃったわよ。」

キー子(以下K)「こんばんは。」

A「あら、キー子、いらっしゃい。」

K「昼間はあんなに暖かだったのにね。夜はやっぱりまだちょっと寒いですよね。」

A「本当ね。はい、オシボリ。」

K「え〜と、ウーロン割りお願いします。」

A「あいよっ!」

K「あれ、これ<ジキルとハイド>じゃありません?今、観てきた帰りなんですよ。」

S 「さっきアキちゃんとその話してたのよ、いい音楽だってね。」

K「音楽も良いですけど、舞台も良いですよね、アキさん。」

A「そうね。アッシ初日に行ったんだけど、もうその実力に圧倒されっぱなしでさ。」

S「そんなに良かったんだ。あらぁ〜、観たかったわぁ、あたしも。何時までぇ〜?」

K「残念でしたね。今日が楽日だったんですよぉ。」

S「あら、そうなのぉ〜、残念!!ちょっとどう良かったのか教えてくれない?キー子さあ。」

K「最初はね、音楽が始まった瞬間、大丈夫かな?この指揮者って思ったんですよ。」

A「キー子もそうなんだ。アッシもやっぱり女性の指揮者だから少し弱いかなって思っていたんだけどね。」

K「それが段々良くなってきて。」

S「あら、それって良いパターンじゃない。オケは良かったのは分かったけど、 肝心の歌の方はどうだったのよぉ〜。」

K「もう素晴らしかったですよねぇ、アキさん。」

A「本当ね。歌だけじゃなくて舞台美術にも圧倒されたわよ、本当に。アッシ、 ブロードウェイと東京の初演でも観ているでしょ、だから、とっても期待してたんだけど、 完全に東京版は負けたと思ったわね。」

S「それじゃ、トリノオリンピックのショート・トラックや、 フィギュアスケートの世界ジュニア選手権と同じねぇ。」

A「あら、ホントだ。まあ、韓国は、色々な物に手を出さないで、 選んだ物を確実に伸ばしていくっていう国なのかも知れないわね。」

K「そうかもしれませんね。ジキルとハイドを演じたチョ・スンウは<マラソン> っていう映画で日本でも知っている人が多いと思うんですけど、この人、こんなに歌えるの?って、 ただただ驚きで。だってねえ、日本の鹿賀丈史さんは、・・・どうだったんですかね。」

A「そうね。新聞の批評なんかでは、初演から再演を重ねるにしたがって、最高の出来になってきた、 な〜んて書いているけど、まあ、ちょっと悪いけど月と何とかの違い、みたいな感じよ。」

K「僕は日本のキャストを観ていないんで何とも言えないんですけどね、でも、良いですよね、 このキャスト。アキさんはどっちので観たんですか?」

S「何よ、どっちのって。」

A「ダブルキャストだったのよ。」

S「あ〜、そういう事ね。」

A「アッシは初日だったから、ジキルとハイドをチョ・スンウ、エマがイ・へギョン、 ルーシーがキム・ソニョンだったかな?」

K「じゃあ僕と同じですね。そうですよね、アキさんが初日、僕が楽日ですものね。まあ、 Aキャストが来るのも当然といえば当然ですよね。」

A「でもさ、エマは同じ人だけど、あとの二人も観てみたかったっていう気がしない?だってさ、 ジキルとハイドのリュ・ジョンハンて韓国では結構前からミュージカルの世界で主役ばかり演じているみたいだしね。 <オペラ座の怪人><王様と私><ウェスト・サイド・ストーリー>などなどね。 ルーシーのイ・ヨンミだって<シカゴ><レント><へドウィク・アンド・アグリー・インチズ> なんかに出ていたみたいだし。」

S「それって凄いじゃない。誰だっけ?ほら、あの人よ、あの〜・・・。」

K「とうとう始まっちゃいましたぁ〜?さっチャンさん。」

S「なによ、キー子、ボケが始まったっていうの?まあ、失礼ね、この子ったら。でも、 可愛いから許しちゃうわ、ははは・・・。あっ、そうよ、ほら、市村正親みたいよね。色々主役やってねえ。」

A「まあ、市村さんが演ったらどうなってたかは分からないけど、主役級は本当に素晴らしかったわよ。 何回言っても言い足りないって感じよね。」

K「っていう事は、ちょっと不満の部分もあったんですか?」

A「そうね。不満なんておこがましいんだけど、女性のアンサンブルが弱かったと思うのね。 あの中に確実にフラットの人がいて、それが目立っちゃったのね。」

S「何なの?フラットの人って。」

K「キーですよね。カラオケなんか行くとず〜っと外れている人っているじゃないですか。 音がちょっと高いと気にならないんですけど、低いと気になりますよね。」

S「分かるわぁ〜、その気持ち。あたしなんかもさ、気になった事あるもの。気持ち悪いっていうの?ねえ。」

K「そうなんですよ。気持ち悪いですよね。でも、僕が観た時は気がつかなかったなぁ。」

A「あと、あの字幕ね。」

S「字幕付きだったんだぁ。それじゃ、分かり易かったじゃないの。」

A「それがさ、脚本そのまま字幕にしちゃってたからね、読んでたら舞台を観ないで終わっちゃいそうなのよね。」

S「え〜!!!そんなのだったの?ははは・・・。」

K「それは感じましたね。丁寧だって言えばそうなんですけど、あそこまでしなくても、って。」

A「あと、まあ、これは仕方ない事なんだけど、当然この話はイギリスの話じゃない。 役名は外国人の名前よね。で、日本語だとカタカナがあるから、ルーシーだったらルーシーって発音できるでしょ。 で、その後の日本語が違和感なく聞こえるけど、この舞台だと、ルーシーが「 Lucy」 なのよね、それで、 その後に、「〜〜〜スミダ」でしょ。韓国語に慣れてないから余計に気になったのかもしれないけどね。」

S「なるほどねぇ。言葉って難しいよねぇ。」

K「でも、それを超えて本当に素晴らしい舞台でしたよね、アキさん。」

A「本当ね。あの中に日本のキャストが入るとしたら、互角に演れるのはマルシアくらいじゃないの、 きっと。でも、本当にビックリしちゃったわ。このステージ、もしかしたらブロードウェイよりも良かったかもしれない、 な〜んて思っちゃったもんね。」

S「アキちゃんも大変ねぇ。一週間の間にがっかりしたり、ビックリしたりで。」

A「本当だ。あははは・・・・。」

S「お代わり頂戴!」

K「あっ、僕もお願いします。」

A「あいよっ!」

K「ほら、良い時と悪い時は交互に来るって言うじゃないですか。で、何だったんですか?がっかりって。」

A「あのさ、アカデミー賞のBS放送の事なのよ。」

K「あれはひどかったですよね。ズタズタでしたもの、編集が。」

S「あらあら、みんな意見は同じなのね。ははは・・・・。」

一同「ははは・・・・・。」

おわり


*登場人物は全て仮名です。
*今回紹介したお芝居は、
1)韓国来日ミュージカル<ジキル&ハイド>
     公演終了
以上です。今回の企画制作をした韓国の会社は、今後も日本に今後も日本にこのような企画を持って来ると言っていましたので、 次回の公演が楽しみになってきました。是非、次回公演がある時には皆さんも劇場に足をお運び下さいね。
2006.3.25


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