<迷っちやう〜。>の巻

秀雄(以下H)「すごく飲み易いですね、このお酒。何でしたっけ?先月のお勧めドリンクですよね、確か。」

あき(以下A)「<ブルー・マンデイ・ポップ>っていうのよ、これ。」

H「そうでしたよね。ペーさんのも綺麗ですけど、こっちの方が薄青がきれいですね。」

ペーちゃん(以下P)「あら、秀雄ったら。こっちは今月のお勧めドリンクの〜・・・・何だっけ?あきさん、この名前。」

A「こっちは<ブルー・ラグーン>ね。まあ、ブルー・キュラソーの分量が違うから、青い色の具合も変わってくるわよね。」

P「今年のお勧めカクテルは色が綺麗よね。」

A「でしょ。今年はね、色がテーマなのよ。春の桜色、初夏のグリーン、そして、真夏の青ね。」

H「っていう事は、秋は茶色ですか?」

A「う〜む、まだ考えてないんだけど、秋の落葉をイメージして作ってみようとは思っているんだけどね。」

P「あら、それは楽しみだわぁ〜。秋と言えば枯葉。枯葉よぉ〜、枯葉よぉ〜、枯葉よぉ〜、枯葉よぉ〜・・・。」

H「あの〜、ペーさん、何時まで経っても枯葉よぉ〜、だけなんですけど。歌詞知らないんじゃないんですか?」

P「何言ってるのよ。歌詞?う〜む、知らないかもぉ〜、はははは・・・。」

A「ま〜ったく。ははは・・・・・。」

H「ところでアキさん、何かお勧めの芝居か映画ありませんか?いつもホームページ見てるんですけど、 終わっちゃってる物が多くて。これから見に行ける物もあればいいな、って。」

A「そうね。これからっていう物を紹介する事が少ないもんね。でもさ、はっきり言えないじゃない。もし、 アッシが観てさ、こんなの紹介しちゃったの〜???って思う物が出てきちゃったらね。悪いしさ。でも、 芸術の秋も近いし、ちょっと捜してみようかしらん。」

P「まあ、それも良いんだけど、その前に観た物で良かった物の話をしてよぉ〜。」

H「そうですよね。まずはそれからです。何かありますか?」

A「そうね。最近観た中では、フェデリコ・ガルシア・ロルカの<血の婚礼>が良かったわね。」

H「それ、この前のウェブに載っていたやつですね。オイラ、その人さえ知らなかったんですよ。でも、 ちょっと調べたら、スペインのフランコ政権の時に暗殺されているんですね。」

A「そうなのよね。30年くらい前、フランコが死ぬまでロルカ自体を語る事も出来なかったのよ、スペインでは。」

P「へ〜、そんな事があったのぉ〜?怖い怖い。」

A「ほら、ずいぶん前に、映画で<蝶の舌>っていうの覚えてない?ほら、アッシが観なさいよ、って薦めていたやつよ。 あれも、スペイン内戦直前の話なんだけど、フランコ政権の間、スペインは、 左翼系の優秀なあらゆる分野での学者達を葬ってきちゃったのね。本当に恐ろしい事よね。そして、 それが結構長い間続いたんだからね。」

P「で、その<血の婚礼>ってやつ、どうだったの?」

A「何時もtptの舞台を観て思うんだけど、舞台美術が素晴らしいのよね。まあ、これを見たら、すぐ結婚式の場面を想像するわね。 でも、これが使われるのは大分後からなのよ。」

H「じゃあ、待ち通しくなっちゃいますね。」

A「まあ、聞きなさいよ。で、舞台には白い布が吊るされているの。その曲線が何とも言えずにいい曲線を描いているのよね。」

P「でもさ、その布?何か意味しているんじゃないのぉ〜?」

A「そうね、はっきりは分からないんだけど、アッシはさ、その布の曲線が、 花嫁の純白さと心の動きを表わしているように思ったのね。」

H「へ〜。で、物語りは?」

A「舞台はとある農村。結婚が決まっている男と女。でも、その女には忘れられない男がる訳よ。」

P「あら、良くある話だけどちょっと興味あるわ、そのテの話には。」

A「また、ペーちゃんったら、すぐそうなんだから。でも、興味本位でみちゃうわよね、このテの話って。」

H「いいから先に先にぃ〜。」

A「そうだった。で、その忘れられない男には妻子があるのよ。その一方で、その男にも他の秘密があるのね。」

P「あら、複雑ねえ。」

A「そう。なんと、その男は、花嫁の父親と兄を殺した男だったのよ。」

P「あら、それってドラマみたいねえ。でも、結構作りやすい話よね。」

A「そこにさ、人間のどうしようもない心が描かれていると思うのね。で、結婚式の当日、花嫁とその男が姿を消しちゃうのよ。」

P「あるで、映画の卒業みたいね。」

H「あ〜、ダスティン・ホフマンのですね。」

A「でもね、帰ってきた花嫁の衣装は血だらけだったのよ。」

P「あら、怖〜い!」

A「で、考えさせられた訳よね。愛って何?ってさ。」

H「え〜〜〜!!!アキさんにも愛なんて言葉があったんですね。」

A「あら、失礼ね、秀雄ったら。」

H「だって、アキさんの辞書には愛って言葉はないって、この前誰かが言ってましたよ。」

A「も〜う。本当に連れて来なさいよ、ソイツ。殺してあげるから。ははは・・。」

P「ちょっとぉ〜、本気そうで怖いわよ。」

A「あら、そうかしらん。で、愛ってさ、何だと思う?」

H「愛ですね。そう言われると考えちゃいますよね。どうですか?ペーさんは。」

P「そうね、愛って無償のものよ。与えつづけるもの。それが愛じゃないの?」

A「まあ、ペーちゃんに与え続けられても、それはそれでねぇ〜・・・。」

P「あら、失礼だわぁ〜。ははは・・・。」

A「究極の<愛>って、<死>なのかも、ってね。だからアッシは絶対に愛せないんだな、人をって。」

H「じゃあ、何を愛するんですか?サル?ヘビ?それともぉ〜・・・。」

A「馬鹿じゃないの?秀雄ったら。そういう事じゃなくてぇ、・・・。」

H「分かってますよ。つまりアキさんは、やっぱり人を愛せないって事ですよね。」

A「違うってばぁ〜、も〜う。」

H「冗談ですって。ははは・・・・。」

P「ところでさあ、役者達はどうだったのよ。」

A「役者達ね。ちょっと違和感を感じた所もあったわね。」

H「どんな所でです?」

A「例えば、この戯曲に登場するのは、親と子とその他なのね。親と子っていったら、まあ、 少なくとも20歳くらいは離れてるとは思うんだけど、若い役者が多いせいか、親と子、というより、 兄弟みたいに見えちゃうのよね。まあ、これは技量なのかもしれないけど、でも、よくやってたと思うわよ。」

H「そうですよね。じゃなかったら良いって言わないですものね。」

A「そうね。全体的には良かったわね。それに、やっぱり台詞が素敵なのよ。ロルカって詩人でもあるわけで、 ここにその素晴らしさを見る事ができると思うのね。」

P「台詞と言えば、アニメの<王の鳥>って、ジャック・プレベールが書いているんだってぇ?」

A「そうなのよ。さっきペーちゃんが歌ってた枯葉。あれもそうよね、確か。アッシも早く観に行かないと、 と思っているんだけど、夏休みじゃない。混んでるみたいだし、9月に入ったら行こうかなって。」

P「そうねぇ、僕もそうしましょうっと。」

H「それじゃ、そろそろ、これからやるもの、何か薦めて下さいって。」

A「ああ、そうだったわね。どんな物を観たいの?秀雄はさ。」

H「そうですね。絶対に観ておいた方がいい舞台とか、ミステリーとか、スペクタクルとか、ギリシャ悲劇とかぁ〜・・・。」

P「アンタ、それだったら何でも良いって事でしょ、ったくぅ〜。」

A「まあまあ、興味があるって良い事よ。そうね、まず、絶対に観ておいた方が良い舞台っていったら、 やっぱり森光子の<放浪記>でしょうね。」

P「そうよね。あれはもう観ておかなきゃ。だって、森さん、80代半ばでしょ。 芸術座が建て替え終わるまであと数年かかりそうだしね。」

H「もうそんな歳なんですか?森光子って。それじゃ、観ておかないと、ですね。美輪さんは?」

A「彼はまだ70歳過ぎたばかりよ。で来月コンサートがあるから、それも観ておいた方がいいかもね。まあ、 二人とも元気そうだからまだまだ大丈夫だとは思うんだけどね。」

P「元気な内に観ていた方がいいわよぉ〜。」

A「あとミステリーだったら、もう何度も再演しているんだけど、<夜の来訪者>がお薦めよ。」

P「なんか、昔あったわね、そんな歌が。夜の来訪者ぁ〜〜、って。小川何とかっていうんじゃなかったっけ?」

A「誰だっけ?アッシも忘れちゃったわよ。でも、あれはさ、夜の訪問者じゃなかったっけ?」

P「あ〜、そうそう。そうでした。」

A「どっしりとした芝居が観れると思うわよ。」

H「小劇場系では何かありますか?」

A「そうね、小劇場かぁ〜。そうそう、新宿梁山泊もあるわね。」

H「アキさんが好きな劇団ですよね。勿論行きますよね。」

A「勿論よぉ。」

P「小劇場もいいけどさぁ、もっと派手なのはないのかしら?大劇場でやるような。」

A「それだったらトイレにも貼ってあるけど、<魔界転生>なんてどう?橋之助に成宮君よ。」

P「あら、成宮が天草四郎よね、それだったら。」

A「そうそう。ちょっと良くない?成宮君の天草四郎って。」

P「僕は、それにしようかしら〜。おもしろそうだしねぇ。」

A「あと、忘れちゃいけないのがギリシャ悲劇の<オレステス>ね。蜷川幸雄演出で藤原竜也、中嶋朋子の出演よ。」

H「まあ、だけど迷いますねぇ、これだけ推薦してもらっちゃうと。ねえ、ペーさん。・・・ねえ。ちょっと、 ペーさん、何読んでるんですか?」

P「えっ?あ〜、びっくりぃ〜。いや〜、今月号なんだけど、結構可愛い子が多くて、迷っちゃってさぁ〜。ちょっと、 成宮君に似てない?この子。」

A「あ〜あ、これだからね。全くぅ〜。ははは・・・・・。」

H「本当ですよ。ぺーさんったら。ははは・・・・。」

おわり


*今回紹介したお芝居などは、
1)<血の婚礼>       公演終了
2)<王の鳥>  シネマアンジェリカで上映中
3)<放浪記> 9/1〜28   帝国劇場
4)<美輪明宏音楽会> 9/7〜10/1 パルコ劇場
5)<夜の来訪者> 9/6〜10 俳優座劇場
6)<新宿梁山泊=YEBI大王>9/13〜18 新宿FACE
7)<魔界転生> 9/2〜26  新橋演舞場
8)<オレステス> 9/6〜10/1

以上です。どうぞ足をお運び下さいね。
2006.8.20


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