<夢見たいね!>の巻

あき(以下A)「はい、おしぼり。雨まだ降ってたかしら?」

タケちゃん(以下T)「もう止んでますよ。なんか嫌な時間に降っちゃいましたね。」

A 「そうね。今日劇場出たら降ってたじゃない。駅までちょっと距離があったから濡れちゃって。」

T 「そうだったんですか。で、何を観て・・・・って、その前に注文ですよね。え〜と、何にしようかな。 う〜む、それじゃ、ラフロイグをロックで。」

A 「あいよっ!・・・・・はい、お待たせ。今日はね、劇団桟敷童子の<キリンの夢>と<こたつのある風景> っていうアトリエ公演に行ってたのよ。」

T 「アトリエ公演ですか。へ〜。で、どうだったんですか?」

A 「あそこの劇団、アトリエ公演では外した事がないわよね。本当に良かった。ハプニングもあったし。」

ヒー君(以下H)「ハプニング?どんな?」

A 「それがさ、<こたつのある風景>での事だったんだけど、物語が進んでいって、最後の最後、主人公が <起きたら違った世界があったりして>って思って眠りに入るのね。そこで一旦幕がさっと落ちて、 それからちょっとの時間で幕がまた開くと、舞台上の世界が一転して一面の銀世界になってる筈だったんだけど、 幕が上がった瞬間にブレーカーが落ちて真っ暗。もう アッシもどうしたのかな?って。勿論演出家は焦っただろうけど、 素直に断りを入れてから数分後に復旧したのね。ほんと、その後は1〜2分の芝居だけだったのよ。最後の最後でね。」

H 「お客さんは白けなかったの〜?ブレーカーが落ちて真っ暗にナちゃったんでしょ。僕だったらどうかな。」

A 「意外に白けないものよ。それよりも、そんなハプニングにぶち当たる事なんてそうそうお無いから、 かえって喜んでたりしてね。劇団からの最後の挨拶でも、<本日は、劇団史上最長の暗転に付き合っていただき有難うございました。 >なんてしゃれで言われちゃったら、もう拍手しかないじゃない。」

T 「生ならではの出来事ですよね。いいな〜、そういうの。自分はまだぶち当たった事がないんですよね。まあ、 無い方がいいのに決まってますけど、一度くらいぶち当たりたいですね。ははは・・・・。」

A 「アッシ結構あるのよね。この前も、歩いてたら電柱にぶち当たっちゃって。な〜んちゃって。ははは・・・。」

H 「しら〜って感じだよね、それって。ははは・・・・・。」

T 「ところで、もう一本の<キリンの夢>の方は?」

A 「こっちは何事も無く終わったんだけどね。」

T 「そうじゃなくて、内容ですよ、内容。良かったんですよね。」

A 「そね。な〜んて事ない内容だったんだけど、ちょっとジ〜ンときちゃったわね。」

H 「どんな?聞いてみたいよね。」

A 「まあ、副題に<罪と罰>って付いているんだけど、主人公とその友達との約束の話なのよ。 友達の彼氏と一度だけ寝ちゃった主人公を責める友達。その償いに友達が求めたものが<笑うキリン>を作る事だったのね。」

T 「笑うキリン?キリンって笑うの?」

H 「まあ笑う事もあるかもね。僕らには分からないだろうけど。でも、無いよね、きっと。」

A 「それで友達はその製作がどれだけ進んでいるかを確かめにひつこいくらい部屋にやって来るんだけど、 勿論笑うキリンなんて出来てない訳ね。」

T 「でも、よくひつこくやって来ますよね。自分だったら殴っちゃうかも、イライラしちゃって。」

A 「それが、そのひつこくやって来る友達は、実はこの世の者ではないのよね。 主人公との口論の末に部屋を飛び出した瞬間に交通事故で亡くなってしまったのよ、その友達。まあ、その亡霊がやって来る、 と言うより、主人公が自分が犯してしまった罪に悩まされていて、頭の中で妄想となって出てくるんだろうけどね、その友達は。」

H 「分かる〜。その友達の怨念。僕も、もし自分の友達が恋人を寝取ちゃったらず〜っと恨みますよ、きっと。」

T 「え〜。怖いですね。でも、寝取られる方にも原因は有る訳ですからね。自分も決していいとは思わないけどぉ〜。」

A 「そうね。タケちゃんの言ってる事は一理あるわよね。 でも自分が罪の意識を持っちゃうとこの芝居の主人公みたいにそれにず〜っと悩まされちゃうんでしょうね。」

H 「で、その後はどうなったんです?」

A 「で、主人公は疲れ果てて寝てしまうんだけど、起きると・・・」

T 「キリンが笑ってたんですね。」

A 「そうなのよ。まあ、それが奇跡か夢かは分からないんだけどね。そこで主人公は解放される訳じゃない。 まあ、夢だったら現実に戻った時にはまた同じなんだろうけど。」

H 「まあそうだよね。全く話が違っちゃっていいですかね。」

A 「いいわよ。何?」

H 「夢で思い出したんですけど、アキさん、もうご覧になりました?<ドリームガールズ>。この前行って来たんですよ、 そこの新しい・・・・何でしたっけ?」

T 「バルト9ですか?」

H 「そうそう。で、行きました?」

T 「アキさんは確か試写会に行ったんですよね。だから、ねえ〜。自分は初日に行きましたよ。凄く良かったですね。 アメリカに居た時にコンサート形式のステージは観た事があるんですけど、オリジナルのミュージカルは観た事がないですからね。 映画とはどうなんですかね。」

A 「実はアッシ、もう一度観に行ったのよ。パンフレット欲しくて、ははは・・・・。でも、もう一度じゃなくて何度でも観たいわね。 もうこんなに観たいなって思ったのって、ジュリー・アンドリュースが主演した<ヴィクター・ヴィクトリア>以来かしらね。」

H 「僕も舞台は観た事がなんだけど、どうなんですか?舞台と比べて違うんですか?」

A 「それが、舞台を壊す事無く、ちゃんとした映画になってたわよ。去年やった<プロデューサーズ>は、 舞台をそのまま映画にしちゃったんだけど、まあ、あれはあれで、 製作者サイドがそうしようっていう事だったみたいだから良いんだけどさ、アッシとしては、イマイチだった訳よ。だから、 この<ドリームガールズ>を試写で観たときは、もう拍手喝采だったわね。本当に何度でも観たくなっちゃう映画よね。 観に行ったのが夜遅くだったから客席はまばらだったけど、思わず拍手したくなる場面が沢山あって。 舞台だったら拍手出来るのにってね。もう残念で残念で。アメリカだったらみんなしちゃってるんだろうね、拍手。」

T 「多分してますよ。凄いんじゃないんですかね。でも本当に良くできてましたね。最初から引き付けられちゃったし。」

H 「ホントだよね、あのステージのシーン。あれでオーディションでしょ。プロだもんね、プロ。」

T 「他のステージシーンも豪華で豪華で。舞台ではああはいかないでしょうからね。何しろ転換がスムーズでいいですよ。 シーンからシーンへの繋ぎが本当にうまかったですね。」

A 「本当ね。役者陣も良かったし。」

H 「ビヨンセが霞んじゃったよね、あれじゃ。まるでエフィーが主役みたいだったもの。」

T 「あれは舞台じゃエフィが主役だったんですよね、アキさん。」

A 「そうよ。エフィを演ったジェニファー・ホリデイがトニー賞の主演女優賞だったからね。 そう言えば今度のエフィもジェニファー・ハドソン。ジェニファーつながりね。」

H 「まあ繋がってはいないでしょうけど。ははは・・・・・。エディー・マーフィーが良かったなぁ。 良く引き受けましたよね、主役じゃないのに。」

T 「それだけ脚本が良かったんじゃないんですか。良くできてますもん。」

A 「いろんな夢に向って進むじゃない。スターになる夢、白人社会に食い込む夢、作曲家として大成する夢。 結婚して子供を授かる夢。進むうちに挫折を味わって、本当に大切な夢を発見するってね。」

T 「それにしても、本当にシュープリームスやダイアナ・ロス、 それにモータウン・レコードを嫌だと言っても連想させてしまいますよね。」

A 「ホントね。ジャクソン5みたいのまで出てきて、それも<ABC>にそっくりな歌を歌ってるのよぉ〜。 もうマイケル可愛いって叫びそうよね。」

H 「ビヨンセのメイクの変化も良かったですよ。最初はダサい感じだったのが、 スター街道を進むにしたがってどんどん良くなってく。メイクって作るっていうのがはっきり分かりましたねぇ。」

A 「それにアッシにはニヤッとした事があってね。まあ、みんなには分からないと思うんだけど。」

T 「何ですか?みんなには分からないって。」

A 「それはね、舞台の初演の時にロレールを演じてたロレッタ・ディヴァインが 歌手役として出てたのと、 初演のジミー役を引き継いだ ヒントン・バトルが出てた事、それに、映画<トーチソ ング・トリロジー>でアーノルドの友達役、 マレーを演じてたケン・ページがクラブのオーナー役で出てた事ね。」

H 「へ〜、そうなんですか。全く知らないですよ。どの人かは分かったけど、そんな人達だったんですねぇ。 そう言うのが分かっているともっと楽しくなるんだろうね。」

T 「何曲か舞台版にはない新曲がありましたよね。」

A 「そうね。確か4〜5曲かな?エフィの歌う<ラヴ・ユー・アイ・ドゥ>、CCが歌う<ペイシェンス>、 さっき言ったジャクソン5みたいなグループが歌う<パーフェクト・ワールド>でしょ、それにビヨンセの<リッスン>。 あっ、そうそう、ジャズ歌手の歌う<アイ・ミス・ユー・オールド・フレンド>があったわね。」

H 「曲もみんな良かったな。やっぱりもう一度観に行きたくなっちゃったねぇ。」

T 「映画館も新しくて椅子もいいし。アキさんが言ってたように、何度観てもいいかも、ですね。」

A 「アッシも実はもう一度と言わず、二度三度と観に行こうかなって思ってるのよ。」

H 「アキさん、かけて下さいよ、<ドリームガールズ>。みんなで聴いて楽しみましょうよ。え〜とビールお代わりください。」

T 「自分もお代わりお願いします。」

A 「あいよっ!」

おわり

*今回紹介したお芝居、映画は、
1)   桟敷童子番外公演      公演終了
2)   映画<ドリームガールズ>    上映中

みなさん、どうぞ足をお運び下さいね。 
2007.2.24


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