<奥が深〜い!>の巻

ユー君(以下Y)「こんばんは。ア〜、涼し〜い。」

あき(以下A)「ユー君いらっしゃ〜い。暑いわねぇ。はい、オシボリ。」

Y 「あっ、すいません。ふ〜う。熱いオシボリもさっぱりして良いですね。ホッとしたぁ〜。」

A 「暑い時に熱いオシボリって意外に良いでしょ。で、今日はユー君、何にしようか?」

Y 「え〜と、今月のお勧めドリンクはぁ〜・・・。」

A 「<ブルー・ラグーン>よ。ヴォッカをベースにした、皆に少しでも涼しくなってもらおうと、 深海をイメージ出来る、真っ青なドリンクなの。」

Y 「へ〜。それじゃ、そのブルー・ラグーンをお願いします。」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

Y 「うわっ!本当に青いよね、これ。」

ツトム(以下T)「どれどれ。うわぁ〜。本当に真っ青だね。深海に潜っているみたいだよね、これ見てたら。」

A 「でしょ。もう今年みたいに茹だるような暑さの時にはもってこいよね、気分的に。」

T 「だけどさ、今年はあんなに梅雨が長引いたじゃない。で、予想では雨が少ないなんていってたじゃない? だから夏の予想も外れると思ってたんだけどなぁ〜。」

Y 「ホント、暑いですぅ。こんな時にはやっぱりバーが一番ですよね。エアコンは効いてるし、 飲み物は涼しげだし、音楽でホッとするし。」

A 「あらあら、ユー君、お世辞言ったって何も出ないわよ。ははは・・・・。」

Y 「アキさんにじゃなくて、お店にですよ、言ったのは。ははは・・・・。」

A 「ま〜、ユー君、倍付けよ!ははは・・・。」

T 「俺なんか、今日は快適な一日だったよ。」

Y 「ツトムさん、どんな一日だったんですか?」

T 「今日はね、昼間からずっと劇場だったんだよ。だから、エアコンず〜っと効いてるじゃん。で、 夕方からはデパートに買い物。ここもエアコン効いてるし。で、ず〜っと地下道でここまで来れるじゃん。 ここもエアコン効いてるしね〜。」

Y 「エアコン無いと、もう生活できませんよね。でも、アキさんは、エアコンあんまり使わないって言ってましたよね、 前に。」

A 「そうなのよね。ほら、ここでず〜っとエアコンに当たってるでしょ。アッシらの時代はエアコンに慣れていないから、 ずっとエアコンに当たっていると疲れちゃうのよね。だから、部屋ではなるべくエアコンはつけない様にしてるのよ。 だから汗ビッショリ。」

T 「良く耐えられるね、この暑さに。」

A 「耐えられないわよ、この暑さは。だから、寝る一時間前とお風呂を出てからの一時間は、 エアコンつけるわよ。」

Y 「お風呂入るんですか?」

A 「えっ?ユー君はお風呂に入らないの?」

Y 「入りませんよ。シャワーだけです。ねえ、ツトムさんも入りませんよね。」

T 「ジム行った時だけかな。でもカラスの行水だけどね。普段はやっぱりシャワーだけかな。」

Y 「そうですよね。お風呂、良く入ってられますね。」

A 「アッシは、夏でもゆっくり入らないとダメなのよね。何か、疲れが取れなかったりするじゃない、 入らないと。まあ、40分くらいは入ってるかしら。」

T 「40分も?のぼせちゃわない?そんなに入ってて。」

A 「湯船に40分も入っている訳じゃないのよ。風呂場に40分くらい居るって事よ。冬はもう少し長いかな。」

Y 「へ〜。まあ、年代の違いですかね。信じられないなぁ〜。」

A 「やっぱりユー君、倍付けね。ははは・・・。」

Y 「冗談はやめて下さいよ。ところで、ツトムさん、さっき昼間は劇場って言ってましたけど、 何を観に行ったんですか?」

T 「え〜とね、四季の<ウィケッド>。知ってる?ユー君。」

Y 「今、CMやってますよね。もう一つのオズの魔法使いの話でしょ。アキさんは行きました?」

A 「久し振りに観に行ったわよ、四季。」

T 「あれ?行ったの?あんまり好きじゃなかったよね、四季。」

A 「それはちょっと誤解よ。アッシがミュージカルを最初に観たのは、小学校3年生の時、 四季が初めて子供のために開いた<子供のためのミュージカル教室>だったのよ。名前は正確じゃないけど、 そんな感じのね。」

Y 「なんですか?それって。」

A 「東京の公立小学校の生徒に、芝居に親しんでもらおうと、四季が招待してくれるのよね。当時、 出来立ての日生劇場でやったのよ。今でも、<幕を開ける歌>は覚えているわ。」

T 「相当強烈だったんだね、アキちゃんには。」

A 「そりゃ、そうよ。ようやくTVも一般化してきた時だもん。東京オリンピックが終わって、 これから本当に日本は延びて行くっていう頃よ。だから、四季から受けた影響は凄いものだったわよ。まあ、 本場のブロードウェイやウエストエンドを観ちゃってからは、その実力の差に唖然としちゃって、 四季から遠ざかっていたんだけどね。」

Y 「へ〜。東京オリンピックかぁ〜。まだ僕は生まれてませんよ。」

T 「ユー君、何年生まれだっけ?」

Y 「昭和60年です。」

A 「え〜〜?60年なんだ。アッシと30歳も違うのぉ〜?」

T 「まあ、こればっかりはね。」

Y 「まあ、そんなのはどうでもいいんで、四季のミュージカルの話して下さいよ。」

T 「ちょっとは興味あるの?ユー君。」

Y 「何年か前に、ペンギンのホームページに載ってたんですよね、この話が。そうでしたよね、 アキさん。」

A 「あれね。もう4年くらい前じゃないかしらん。アッシがブロードウェイに行った時に観て来て、 帰ってきてからホームページに観劇レポートみたいの書いたのよ。」

T 「それじゃ、今回が初めてじゃないんだね、これ観るの。」

A 「四季のは初めてよ。」

T 「でもブロードウェイで観てるじゃん。4年前っていう事は、まだ始まったばっかりでしょ、 このミュージカル。良くチケット取れたねぇ。」

A 「アッシ、何時も一人じゃない、ニューヨーク行くの。で、劇場のボックスオフィスに行って翌日の一枚ある? って聞いたら一枚だけ有るっていうのよ。ラッキー!って。」

Y 「観に行こうと思ったのは何でなんですか?」

T 「そりゃ、話題になってたもんね。」

A 「それもそなんだけど、アッシとしては、キャストで行ったって所かな。」

Y 「キャストですか?」

T 「そうか、そうだよね。初演のキャストって、<レント> に出てたイディナ・メンツェルがエルファバ演ってたんだもんな。」

A 「それに、グリンダが<チャーリー・ブラウン>に出ていたクリスティン・チェノウェスだったし。 でも、彼女らよりも、アッシが観たかったキャストは、オズの大魔王を演ったジョエル・グレイ。」

T 「誰だっけ?聞いたことあるんだけど、その名前。え〜と・・・。」

A 「キャバレーの初演でMCを演った伝説の、っといっても結構ミュージカルには出ているんだけどね。 彼の生の演技が観たかったのよ。」

T 「で、ブロードウェイと大分違ったかな?」

A 「装置なんかは大体同じだと思うけど。まあ、細かいところは分からないけどね。でも今回の劇場<海>って、 大きさとしては理想の大きさね。ちょっと2階がせり出し過ぎてるけどね。 こういう感じの劇場が日本にももっと出来ればいいのにね。」

Y 「へ〜。同じだったんだ。」

T 「確かにあの劇場の大きさは良いよね。で、 アキさんが観た時のグリンダとエルファルバのキャストは誰だったの?」

A 「グリンダが沼尾みゆきで、エルファバが濱田めぐみだったかな。」

T 「じゃ、俺の時と同じだね。で、出来は?」

A 「まあまあかな。気になった事はあったけど。」

Y 「どんな所だったんですか?」

A 「さる達の動きね。ちょっと???って思ったのよ。それから、グリンダがズベ公みたいでさ。」

Y 「ズベ公って?」

A 「あら、ちょっとお下品だったかしら。まあ、不良少女よね。まあ、嫌な女なんだけど、 ズベ公ではないわよね。わがまま娘っていうんだったら分かるんだけど、沼尾みゆきの演ったグリンダは、 どうみてもズベ公にしか見えなかったのよ。」

T 「そうかなぁ〜。俺は十分に満足だったけどね。濱田めぐみなんか、もう歌が凄くて。 そう思わなかった?アキさん。」

A 「だって、それは当たり前じゃない。彼女が主役なんだし。歌が凄くて当たり前。あの程度だと、 一所懸命歌っているっていう感じだけど、胸にグッと来るところまでは行ってなかったわね。でも、 良くやってたとは思うわよ。」

Y 「やっぱり厳しいなぁ〜。でも、そんなアキさんが観に行ったんだから、よっぽど好きなんですね、 このミュージカル。」

T 「良く出来てるもんね、話が。ユー君は映画<オズの魔法使い>を観たことがあるかな?」

Y 「はい、ありますよ。ジュディー・ガーランドのでしょ。」

T 「そうそう。その話がもっと良く分かるミュージカルなんだよね。」

A 「まあ、全く違った話なんだけどね。何しろ100年も後に作られたんだからさ。」

T 「えっ!そうなの?最初からある話じゃないんだ。」

A 「やだ、ツトムったら。知らないで楽しんでたの?」

T 「知らなかったよぉ。後から作ったんだ。」

A 「そうよ。<オズの魔法使い>を基にした<オズの魔女記>のミュージカル化なのよ。」

T 「まあ、どっちにしろ、話は面白いよ。どうして緑の魔女が悪いのかとか、ライオンが臆病なのは何故かとか、 ブリキ男に心が無いのは何でかとかさ。観てると段々分かって来るんだよね。」

A 「そう。でも、それだけじゃないのよね、あのミュージカル。しっかり今の社会の状況に釘をさしているのよ。」

T 「どういう事?良く分からないけど。」

A 「この話は、マイノリティーを排除しようという意図が少し見えるのよね、一見。だけど、実は逆で、 そんな考えが如何に馬鹿な考えであるかを皆に教えてくれるミュージカルでもあるのよ。本当に頭の悪い人は、 それに気が付かないかもしれないけど。」

Y 「今の日本の状況に少し似ていますよね。」

A 「そうね。本当に頭の悪い人が多いからね。」

T 「えっ???どういう事かな。」

A 「だからさ、オズの大魔王を良く思い出してごらんなさいよ。最初はエルファバを認めてるでしょ。でも、 その裏では動物虐待をしている張本人でもあるわけじゃない。で、 エルファバがそれに落胆してオズの大魔王から離れていく訳だけど、その後、オズの大魔王がとった行動は?」

T 「え〜と、エルファバを悪い魔女に仕立てちゃって・・・。あっ、そうか。」

A 「そうそう。情報操作よ。民衆はその情報操作にまんまと乗せられちゃってるわけでしょ。 今の日本のマスコミに操られている人々と全く一緒よね。」

T 「奥が深いな、ミュージカルも。でも、そこまで考えたこと無かったよ。」

A 「でもさ、情報操作に乗せられない人も若干ではあるけど居る訳でね。マイノリティー排除が如何に馬鹿馬鹿しい、 そして怖いものであるかに気付いた人達がこれからどれだけ増えていくか。それが日本の未来を決めるっていうか、 世界の未来を決めることになるのよね。」

Y 「何だか凄く勉強になっちゃいました。」

T 「ホントに奥が深いよね。今までそんな見方した事なかったよ。面白いじゃん、詰まんないじゃん、 だけだったからね。」

A 「それはそれで良いと思うわよ。一番なのは、観た人がどれだけ楽しめたかだもの。ただ、 そこから何かを得てほしいし、作者のメッセージを捉えてほしいのよね。」

T 「これからは楽しんだ後に、ちょっとでも考えてみようかな。」

Y 「そうですよね。当たり前と言えば当たり前ですよね、良く考えると。作り手側にはメッセージがあるんですものね。 本当に奥が深いですね。」

A 「まあ、そんなに堅く考える事もないんだけどね。ちょっと堅すぎたかな。」

T 「そんな事ないよ。気が付いたしね。それじゃ、アキさん、俺に<ブルー・ラグーン>作ってもらえますか?」

A 「あいよっ!」

Y 「それじゃ、僕もお代わりで。」

A 「あいよっ!・・・ちょっと商売しちゃったかしら、ははは・・・・・。」

T 「そうかも。ははは・・・・・。」

A 「はい、お待ち!」

おわり


*今回紹介したお芝居は、
1)劇団四季・ミュージカル<ウィケッド>
    電通四季劇場「海」 上演中

以上です。みなさん、どうぞ足をお運び下さいね。
2007.8.11


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