<こうでなくっちゃ!>の巻

まちゃ(以下M)「もう本当に暑いったらねえぇ・・・。あ〜、天国天国。」

あき(以下A)「なによ、入ってきて早々に。はい、おしぼり。」

M 「いっや〜〜〜〜!気持ちい〜〜〜〜ぃ!顔拭いていいですか?」

A 「聞く前に拭いてるじゃないのよぉ。」

M 「熱いオシボリで顔拭くと、直ぐ後ス〜ッとして気持ちいいんだよねぇ〜。」

陽ちゃん(以下Y)「分かる、分かる。気持ちよかぁ〜、って感じだよね。」

A 「まちゃ、今日は何にしようか?」

M 「そうだった。え〜と、先月のお勧めってまだ出来ます?」

A 「<梅雨空のメテオ>ね。大丈夫よ。」

M 「じゃあ、それにして下さい。」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

Y 「何時見ても綺麗やねぇ〜。この何とも言えない色。やっぱり、これよ、これ。 今月の<ブルー・ラグーン>も美味しいけどなぁ〜。でも、やっぱりこれでなきゃねぇ。 オイラもお代わりは<梅雨空のメテオ>にしてもらおう。」

M 「そうですよね。やっぱりこれですよ、これ。」

A 「本当に気に入ってくれたのね、みんな。」

Y 「だって、本当に綺麗やもんねぇ、これ。」

M 「綺麗と言えばこのチラシ。凄く綺麗ですよね。」

Y 「どれぇ?・・・あら、本当やねぇ〜。なに?これ。」

A 「<ジス・イズ・ボサ・ノヴァ>っていう映画のチラシよ。」

M 「ボサ・ノヴァですかぇ〜。やっぱりこれでなくっちゃね、夏は。」

Y 「なによ、ボサ・ノヴァって。」

A 「陽ちゃん聴いた事ない?ボサ・ノヴァ。え〜と、CDあるから聴いてみてよ。」

M 「いいよ、ボサ・ノヴァ。僕ね、4年前だったかな、ジョアン・ジルベルトっていう ボサ・ノヴァの神様みたいな人の初来日コンサートに行ってきたんだけど、2時間待たされて・・。」

Y 「2時間?よう待ってたなぁ〜、そんなにぃ。」

A 「あの時は凄かったわね。今、ホテル出ました、とか、あと30分ほどで到着しますとか。で、 舞台に出てきたら謝りもしないでいきなり演奏でしょ。もう呆れちゃったけど、やっぱり凄かったわね、あの演奏。」

M 「ホント、凄かったですねぇ〜。囁くように歌うでしょ。こっちが否が応でも耳澄ませなきゃダメなんですよね。」

Y 「何でやん?」

A 「これには事情があるのよ。この映画でも語られるんだけど、ボサ・ノヴァが誕生するころ、 みんなで部屋に集まって、あ〜でもない、こ〜でもないってギター片手に歌うたってからしいのよね。 そうすると、隣近所から、五月蝿〜い!って苦情が来たんだって。で、少し声を小さくして歌ってると、 また五月蝿〜い!って。」

Y 「で、どんどん小さい声になちゃったってぇ〜?ははは、有り得へんわ、そんなん。」

A 「でも、そうらしいのよ。」

M 「へ〜、なるほどね。そこの辺りが映画でもちゃんと語られてるんですね。観に行かなきゃ。」

A 「あった。ちょっと待ってね、陽ちゃん。」

・・・・・・・・

Y 「あ〜、これね。聴いた事あるわ、これだったら。これがぁ〜、ボサ・ノヴァかぁ〜。なんか、 ぼ〜っとしてしまう音楽やね。」

M 「気持ち良いんですってば、これが。」

Y 「まあ、そうかもなぁ、これやったら。」

M 「映画は単館ロードショーですか?」

A 「そうね。渋谷の文化村のすぐ傍よ。結構いい映画館だったけど。昼間で半分くらいかな?人が。」

M 「じゃあ、早めに行った方が良さそうですね。」

A 「そうね。8月一杯はやってるって言ってたけどね。早目にこした事はないわね。」

Y 「どんな映画なん?」

A 「まあ、簡単に言っちゃえば、ボサ・ノヴァの歴史かしらね。ドキュメンタリーだから。まあ、 アッシなんかは嬉しくて涙が流れちゃうくらい懐かしい人とかの映像が満載だし、 新しい発見もあって観て良かったわよ。」

M 「ほんと、早く観に行こうっと。陽ちゃんも一緒に行かない?」

Y 「オイラ?う〜む、遠慮しとくわ。なんか、眠くなっちゃいそうやしなぁ〜。違うの誘ってぇ〜なぁ〜。 そうそう、これなんかどう?」

M 「<犬顔家の一族の陰謀>?何ですか?これ。」

A 「劇団新幹線の舞台よ。」

Y 「古田新太やクドカンのやねぇ。」

M 「あ〜、あのぉ〜。」

A 「もう面白かったわよ。馬鹿ぁ〜って心の中で言いながらゲラゲラ笑ってたわ。」

Y 「なんでよぉ、アキさ〜ん。何で誘ってくれなかったん?もう行きたかったのにぃ。な、行こや、これ、 まちゃ。な、行こ。」

M 「もうやってんですよね。チケットありますかね。」

A 「う〜む、ちょっと厳しいかも。何せ、人気劇団じゃない。それに、久し振りのネタ物だから、 劇場も小さいしね。そうだ、まだ上演中だから電話で聞いてみましょ。」

M 「えっ?いいんですか。」

Y 「もう優しいなぁ〜、アキさん。もうこれもオイラの魅力やね。」

A 「あっ、そうですか。分かりました。有難うございます。」

M 「有りました?チケット。」

A 「あのね、若干当日券出すって。でも日にちによって違うから必ず出るとは言えないみたいだけどね。」

Y 「それやったら予定も立たんし、もうアキさんの話聞いちゃった方が早いわぁ〜。な〜、まちゃ。」

M 「そうですね。平日は仕事だし、週末は遊びたいしね。」

Y 「そもそも週末なんか無理に決まってるやんかぁ〜。何時間も前から並ばにゃあかんしなぁ。」

A 「でもさ、本当に観たいんだったら何時間も並んで観なきゃね。」

Y 「そりゃそうなんだけどやなぁ〜。この暑さだしなぁ〜。もうええよね、まちゃ、アキさんに話てもらって。」

M 「そうですね。アキさん、どうでした?」

A 「さっきも言ったけど、もう馬鹿馬鹿しくて、面白くてね。新幹線はこれじゃなきゃって。」

Y 「やっぱりあれなん?<犬神家の一族>のパクリなん?」

A 「パクリというより、パロディーよね。<犬神家の一族>だけじゃなくってね。」

M 「へ〜。他にも有るんですね、色々。」

A 「そうなのよねぇ〜。ノッケから違うの、犬神家と。」

Y 「っていうとぉ?」

A 「舞台が開くとね、化粧台に大きな鏡。天井には豪華、とは言えないかもしれないけど、 シャンデリアがあってね。」

M 「それって、前に観た気がするけどぉ・・・・お〜っ、それって、オペラ座の怪人じゃないですか。」

A 「そうなのよ。それだけじゃないの。」

Y 「と、言うとまだ何かあるん?」

A 「その後がキャッツ、そしてコーラス・ラインのパロディー。」

Y 「ははは・・・・。ワンやね。ははは・・・。おもろそうやね、それ。」

A 「で、ようやく犬顔家の広間に舞台が変わって始まるんだけどね。」

M 「犬顔家の人たちって、人?それとも犬なんですか?」

A 「犬顔家の人には代々鼻に黒いアザが有るらしいのね。」

M 「それが犬の顔に似ているから犬顔家かぁ〜。」

Y 「まちゃ、アホちゃうか。君なぁ〜、苗字は最初からあるもんやん。 鼻に黒アザが有るから犬顔っていう苗字になった訳ないやないかぁ。ほんま、アホやね、 まちゃは、ははは・・・・。」

M 「本当に意地悪いですよね、陽ちゃんって。まあ、いいんですけどね。どうせ馬鹿ですから。」

Y 「ほんま可愛いなぁ〜、そんなところがなぁ〜、まちゃなぁ〜。」

A 「はいはい、二人の熱々なところはその辺りでいいからね。で、 映画<犬神家の一族>のように犬顔家の当主が残した遺言状が公開されてから、 実際には公開されるまえから幾つもの殺人事件が起こるのよね。」

M 「犬神家の家宝、斧、琴、菊で殺人が行なわれたように、犬顔家でも?」

A 「そう。でも、何で殺人が行なわれたかは、まだ観ていない人のために公演が終わってから話すわね。」

Y 「ケチやねぇ、アキさん。話て〜な〜。」

M 「あの有名な湖で逆さになって殺されているシーンもパロッてるんですか?」

A 「ははは・・・。あれね。今思い出しても笑っちゃうわね。あのシーン、何をパロッてると思う?」

M 「あれですか?オリンピックの体操とか?」

Y 「シンクロやろ、きっと。」

A 「凄〜〜〜い!陽ちゃん、大当たり。それも、ユーミンの<シャングリラ>だって。ははは・・・。」

Y 「シャングリラ。ははは・・・・、そりゃおもろいわ。」

A 「で、次々と殺人の謎を解いていくわけね。途中<八墓村>なんかもパロッていて、 本当に最後まで笑い通しの舞台だったわね。」

M 「最後は誰が犯人だって事に?」

Y 「まちゃ、ほんまにアホやね。さっき途中でまだ観てない人のために殺人の方法も言わなかったアキさんがここで最後のネタばらす訳ないやないのぉ。 な〜、アキさん。」

A 「そりゃそうよ。これも舞台が終わってから。でも、舞台が始まったシーンからちゃんと観てるって事がヒントよ。」

M 「もう観に行きましょうよ、陽ちゃん。これじゃ蛇の半殺し状態じゃないですか。行きましょう、ねえ。」

Y 「まあ、アキさんも、新幹線はこうでなくっちゃって言ってるしなぁ〜。まちゃが3時間位前に行って並んどいたらええし。行こか。」

M 「え〜!僕が並んでるんですか?もう何時もそうなんだから。・・・分かりました。並んどきますよ。でも楽しみだな〜。」

Y 「こうでなくっちゃねぇ。頑張って並んでや。」

A 「まあ、勝手にやって頂戴ってとこね、あなた達。ははは・・・。」

Y 「それじゃ、アキさん、オイラ頂きますよ、<梅雨空のメテオ>。」

M 「じゃ、僕は今月のお勧め、<ブルー・ラグーン>で。」

A 「アイよっ!」

おわり


*今回紹介した映画、芝居は、

1) <This is BOSSA NOVA>
   渋谷QーAXシネマで上映中
2) 劇団新幹線 <犬顔家の一族の陰謀>
   サンシャイン劇場 上演中〜9/9まで

以上です。残暑厳しい中ではありますが、どうぞ足をお運び下さいね。
2007.8.25


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