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<五輪にやられた!>の巻
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オグちゃん(以下O)「こんばんは。」 あき(以下A)「いらっしゃい。ひさしぶりね、オグちゃん。はい、オシボリどうぞ。」 O 「いや〜、やっぱり温かいオシボリもいいねぇ〜。」 シオちゃん(以下S)「そうですよね〜。冷たいのもいいんだけど、 温かいのだとその後が気持ちいいですよ。」 A 「オグちゃんは何にしよう?」 O 「あっ、そうか。え〜と、まだお勧めってやってるの?」 A 「やってるわよぉ〜。今月はね、<ブルー・ブレット>よ。」 O 「えっ?何?それ。」 A 「ヴォッカをベースにコアントローにレモンジュース、 それにブルー・キュラソーを加えて夏らしくしてみたのよ。」 S 「結構強そうですよね。」 O 「本当だよね。強そうだなぁ〜。」 A 「そうね。ちょっと強いからソーダかトニックで割る事も可能よ。」 O 「でも、まずはそのままで飲んでみようかな。それお願い。」 A 「あいよっ!」 S 「そう言えば北京オリンピック始まりましたね。」 A 「はい、オグちゃん、お待たせ。」 O 「へ〜、綺麗じゃん。」 S 「本当。夏って感じですよね。」 A 「ね、そうでしょ。でさ、北京オリンピック。開会式長かったわよねぇ〜。アッシなんか、 オンタイムで観る事出来ないから録画してたんだけど、途中で終わっちゃって。」 O 「俺もそうだったよ。でもさ、凄かったんだけど俺はね、ちょっと恐ろしく感じちゃったな。」 A 「オグちゃんもそうなの?アッシもそれは思ったわよ。あのマスゲーム。 社会主義国じゃないと中々あそこまでは出来ないわよね。」 S 「そうですよね。そんな中でもアキさんは相変わらずお芝居行ってるんですか?」 A 「それがさぁ〜、聞いてくれるぅ〜。ほら、男子の体操。団体で銀メダルだったじゃない。 でね、丁度火曜日だったんだけど、起きた時に始まってたのよ。」 O 「あれさ、お昼ちょっと前だったよね。アキちゃんそんなに早く起きてるんだ。」 A 「何時もは12時半くらいなんだけど、ほら、アッシ月曜日が休みじゃない。でさ、 火曜日はいつもよりちょっとだけ早く起きるのよね。で、この日もちょっと早く起きた訳よ。 そしたら体操でしょ。メダルが取れるか取れないかって所だったんで、 思わずTVに釘付けになっちゃったのよね。そして、 午後 2時ちょっと前に銀メダルが決まってホッとしちゃって。でも、何か忘れてるなってね。 でもさ、お店に来るまで気が付かなかったのよ。」 S 「まさか、その日にお芝居が入ってた、な〜んて事が?」 A 「そうなのよ。午後2時から本多劇場でね。」 O 「珍しいよね、アキちゃんが芝居を忘れるなんて。」 A 「でしょ。もうアッシもビックリよ。それもさ、 唐十郎が書いた唯一の時代劇を流山児が演出する舞台だったのよ。あ〜、 やっぱりオリンピックは強かった!って感じよね。もうがっかり。」 O 「まあ、趣味がいたって事よね。ははは・・・。」 A 「違うわよぉ〜。誰〜〜もいません。ただ、本当に観入ちゃったのよね。元々好きだからね、 体操競技が。」 S 「分かりますよぉ〜。僕もそうですもん。でも、芝居があるのを忘れるほどって言うのはないかな。」 A 「そうよね、普通は。それもさ、さっきも言ったけど、お店に着いてから気が付いたのよ。 もう自分に呆れちゃったわよ。」 S 「それじゃ、最近お芝居は?」 A 「観てるわよ。まあ、今週は日曜日にシアター・ミラクルでやった<在り処>、月曜には銀座で <かいやま由紀>のリサイタル。その前にはパリ国立オペラ劇場公演で二演目。」 O 「何?」 A 「ヤナーチェックの歌曲をオペラ化した<消えた男の日記>とバルトークの<青髭公の城>の二本ね。」 S 「それじゃ、そのシアター・ミラクルでしたっけ。そこの芝居から聞かせてもらえますか?」 A 「<在り処>ね。これは現実に起こり得る話よね。ッて言うのは、 痴呆の老人と泥棒とアルバイトで介護のボランティアをしている大学生の話。」 O 「って言う事は、痴呆の老人の所に盗みに入った泥棒をその老人が自分の子供と勘違いして ・・・みたいな話かぁ〜?」 A 「流石はオグちゃん。だから話の展開としては面白かったんだけどね。」 S 「だけど、何なんですか?」 A 「終わりに救いが無かったのよ。」 S 「殺されちゃうとか?その老人が。」 O 「それじゃ、あまりにも簡単過ぎるじゃない、ねえ、アキちゃん。」 A 「まあ、その泥棒にもよるっていうのも可笑しいけど、まあ、殺すんだったら最初から殺してるわよ。」 S 「あっ、そうかぁ。じゃあ、何だったのぉ〜?」 A 「話は、泥棒を息子と間違えて接する老人と息子に成り済ましてどうにか金目の物を手に入れようとする泥棒と、そこにやって来る介護のバイトをしている大学生とのやり取りが結構可笑しく進んでいくのよね。でも、最後に、泥棒が金目の物を手にすると、当然なんだけど、姿を眩ます訳よ。それで老人は物を取られた落胆と、息子が居なくなってしまった落胆とでガックリした処で幕になるのね。」 S 「ちょっと淋しいですよね、それだと。」 O 「でもさぁ、それが現実なんじゃないの?まあ、殺されなかっただけ救いは有ったと思うけどな。」 A 「そうね。だけど、アッシとしては、まあ、甘いんだけど、最後に大学生が老人の家にやってきて、 その息子(泥棒)とあって、<これ、お婆ちゃんに渡してって預かってきたんだ。>みたいにさ、 盗んだ物を良心の呵責に耐えかねて老人に返すみたいな所で終わってくれたらな、って。」 O 「まあ、それも分かるけどね。まあ、俺は現実の厳しさの方をとるかな。」 A 「そうね。まあ、ハッピー・エンドばかりじゃね。そうかも。現実も有りか。」 S 「まあ、淋しいですけど、考えてみるとそうかもしれませんね。」 O 「それじゃ、かいやま由紀のリサイタルはどうだったのよ。」 A 「今年は結構安心して聴けたわね。」 S 「去年はそうでもなかったんです?」 A 「そうなのよね。去年は声が出なくて。もう引退間近かしら、な〜んて思わせちゃったからね。」 O 「俺も去年は行けたんだけど、ちょっと苦しかったな。 だから今年は考えちゃって行こうかどうしようかね。」 S 「で、結局行かなかったんですね。」 O 「そうなんだよ。でも、良かったって聞いたらちょっと後悔しちゃったかな。で、どうだったの。」 A 「今年、彼女還暦なのよね。だからテーマは<ルージュ>。 と言っても赤に関係する曲を歌った訳じゃないんだけどね。照明も素晴らしかったし、 声も本当に良く出てて危なげなかったし。まあ、ちょっと高音は辛いかなって思った所もあったけど。 それにドンちゃんの編曲が素晴らしくて。」 S 「ドンちゃんて、あの?」 O 「そうそおう。あのドンちゃん。今やシャンソン界じゃ引っ張りだこだからね、かれは。」 S 「へ〜、そうなんだぁ〜。」 A 「特に前奏に工夫がみられて良かったわよ。それに、あの人気でしょ。おば様連中の黄色い声、 それにこちらの応援も凄かったし。まあ、由紀ちゃんじゃなかったら怒っちゃうでしょうね。」 O 「あれ、やったのかな?<あいたい>って曲。」 A 「勿論やったわよ。アレは外せないでしょ。」 S 「どんな曲なんですか?その外せない曲って。」 O 「<あいたい>っていう言葉とナレーションだけで曲が進んでいくんだよ。」 S 「えっ?ちょっと分かりませんけど。」 A 「シオちゃんは、<あいたい>っていうとどんな言葉、っていうか、漢字を思い浮かべる?」 S 「あっ、そうかぁ。<あいたい>にも色々有るってことですよね。アキさん、紙とペン有りますか?」 A 「はい、シオちゃん。」 S 「例えば、<会いたい>とか<合いたい>とか<逢いたい>とか、って事ですよね。」 O 「それから、こんな<遇いたい>もあるし、あいたくは無いけど、こんな<遭いたい>もあるじゃん。」 A 「そう言う事よ。歌う方も聴く方も、色々な<あいたい>を想像できるって訳。」 S 「へ〜。聴いてみたいなぁ〜。」 A 「そう言えば、由紀ちゃんは来月銀座にあるシャンソンパブ<ボンボン>でライブあるわよ。 ドンちゃんのピアノじゃないけど。もし、時間が有るなら行ってみれば。 ライヴハウスで聴くシャンソンもいいもんよ。それに、もう立秋も過ぎてるしね。」 O 「いいねぇ〜。秋に聞くシャンソンも。そう言えば、さっき言ってたパリ国立歌劇場。 今年が初来日だよね、確か。」 A 「そうなのよ。で、絶対行かなきゃって。でもね、どれを聴きに行くか、随分迷っちゃって。」 S 「どんな演目だったんですか?」 A 「さっきも言ったけど、ヤナーチェックの<消えた男の日記>とバルトークの<青ひげ公の城> のカップリングでしょ、それから、ポール・デュカスの<イリアーヌと青ひげ>、それから、 ワーグナーの<トリスタンとイゾルデ>の3公演。」 O 「で、結局アキちゃんはヤナーチェックとバルトークを選んだって訳だ。」 A 「そう。<トリスタンとイゾルデ>は去年ベルリンで観てるし、 <イリアーヌと青ひげ>は悩んだんだけどね。まあ、安くもないしさ。 ヤナーチェックの<消えた男の日記>は元々が歌曲じゃない。だから、どんな演出をするのかなって。 <青ひげ公の城>は大好きだったから、この2本立てに行く事にしたって訳。」 S 「で、どうでした?」 A 「アッシにはとっても斬新な演出に思えたわね。フランスっていいなぁ〜って。 芸術に対しての姿勢っていうかさ。きっとね、ブーイングも多かったと思うのよ。斬新過ぎて。 でも、それを許せる土壌があると思うのよね、フランスには。これ、日本で最初にやったとしたらどうかしらね、 って考えちゃうとさ、マスコミっていうか、所謂日本の評論家っていう人達に、 滅多クソに書かれちゃうんだろうな、とか考えちゃったのね。」 O 「そういう所はあるかもな、日本は。」 S 「じゃあ、アキさんの感想は?その〜、斬新だった演出を含めて。」 A 「そうね。結論から言えば、とっても良かったのよ。どちらの出し物も紗幕を使ってるんだけど、 それが何重にもなっててそこに映像が投影されて、何とも言えない効果があったわね。」 O 「へ〜。紗幕を使ってたんだ。」 A 「で、<消えた男の日記>の方は、どこかエロティックでね。 言葉はチェコ語だから丸っきり分からないんだけど、主人公の男の心の中が何となく見えるような気がしたの。 現実から禁断の世界へと入っていく主人公をテノールのミヒャエル・ケーニッヒが良く表現していたと思ったわね。」 O 「もう一本の<青ひげ公の城>の方は、あの青ひげ伝説を題材にしているんだっけ?」 A 「そうよ。青ひげ伝説を題材にしている他の作品には、 このパリ国立歌劇場でも今回上演されたデュカスの<イリアーヌと青ひげ>、グレトリーの<青ひげ>、 オッフェン・バックの<青ひげ>、それに、レズニチェックの<青ひげ騎士>があるんだけどね。そういえば、 寺山修司の戯曲にも<青ひげ公の城>っていうのがあったけど、これも青ひげ伝説を題材にしてたわよね。」 S 「観ましたよ、寺山修司の<青ひげ公の城>。何か不思議な世界でしたよ。」 A 「まあ、物語は殆ど一緒よね。このオペラも紗幕と映像を上手く使って異次元の世界を作り上げていたわよ。 特に最初のシーン。青ひげの後に映る影の青ひげがこの物語を語っていたわね。 それに妻のユディットが部屋を開ける時に映し出される<目>。 それが彼女の心の中の目のような気がしてならなかったわね。」 O 「観に行けばよかったなぁ〜。」 A 「まあ、次の機会には是非行ってよ。」 S 「あれ??もうこんな時間。アキさん、チェックしてください。」 A 「あら、まだ11時前よ。明日何かあるの?」 S 「明日は何にもないんですけど、今日、11時からバレーボールの中継があるんですよ、 オリンピックの。」 O 「こんな遅い時間から?」 S 「そうなんですよ。選手も大変ですよね。」 A 「そうなんだぁ〜。今日はポーランドとかしらね。 この試合に勝たないと決勝リーグ行きは難しくなるから大事な試合よね。」 S 「アキさん、良く知ってますね。」 O 「あっ、そうか。シオちゃんは知らないかもしれないけど、アキちゃん、 これでも前にバレーボールやってたんだよ。俺も見に行ったことあるけど、結構本格的だったよな。」 A 「まあね。でも、もうダメよ。今やっちゃったら死んじゃうわよ。ははは・・・。」 S 「そんな訳でチェックお願いします。」 O 「それじゃ、俺も帰ってオリンピックでも見るかな。俺もチェックして。」 A 「あらら、オグちゃんも。まあ、この時期オリンピックには勝てないわね。ははは・・・。」 S 「24日まではそうかもしれませんね。」 A 「はい、二人ともありがとうございました。シオちゃんが2100円、オグちゃんが1500円です。」 O 「アキちゃん、悪いけど、これで。」 S 「あれ、すいませ〜ん。僕も1万円なんですけどぉ、大丈夫ですか?」 A 「大丈夫よ。お釣りはちゃんと用意してありますから。・・・はい、オグちゃんは8500円、 シオちゃんが7900円のお返しです。ありがとうございます。」 S 「ご馳走様でした。」 O 「それじゃ、また。」 A 「ありがとうございます。行ってらっしゃ〜い!バレーの結果連絡頂戴よぉ〜。」 おわり *今回紹介したお芝居などは、 1)流山児事務所<由比正雪> 公演終了 2)<在り処> 公演終了 3)<かいやま由紀リサイタル> 公演終了 4)パリ国立歌劇場オペラ公演 公演終了以上です。これから秋に向けて演劇やコンサートが目白押しです。 オリンピックが終わってからでも足をお運び下さいね。 2008.8.16
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