<驚いた>の巻

キューちゃん(以下Q)「本当に驚いたんですよぉ〜。」

俊雄さん(以下T)「あらそうなのぉ〜。信じられないわよねぇ〜。そうでしょ、アキちゃん。」

あき(以下A)「それがそうでもなかったのよぉ!」

Q 「じゃあ、アキさんも観に行ったんですね。」

栄子(以下E)「アタシも行ったわよ。」

Q 「栄子さんもぉ〜。ね、良かったですよね、米倉涼子。」

T 「そうなの?アキちゃん。栄子もそう思ったのかしら?」

A 「そうね。今の日本でやってるミュージカルとしては、大分レベルは高かったと思うわね。」

Q 「そうですよね。ア〜良かったぁ〜。」

E 「アタシも結構良かったって思ったけどね。米倉涼子の今まで持ってたイメージじゃ、 あれだけ踊れるとは思わなかったしね。まあ、歌はイマイチだったけど、 音が外れている訳じゃないし。」

A 「そうね。まあ、元々米倉涼子ってダンスやってたから、まあ、ブランクがあったとしても、 少し踊れば勘は取り戻せると思ってたわよ。っま、歌はねぇ〜。」

T 「そんなに踊れるの。へ〜、意外だわねぇ。」

Q 「僕も意外だったんですよぉ。 もう一人の人は宝塚出身だって聞いてたから踊れるとは思ってたんですけどね。」

A 「和央ようかね。宙組のトップスターだった人よ。」

Q 「へ〜。宙組だったんですか。」

T 「まあ、和央は踊れるからねぇ。」

E 「アタシは宝塚大好きじゃないの。で、和央が出るから行ったんだけど、 米倉には期待してなかっただけに、余計良かったのかもね。」

A 「そうね。アッシも期待して観に行った訳じゃなかったからね。相当良かったって感じたわね。 ただ、やっぱり河村隆一の弁護士フリンはいただけなかったわ。」

Q 「えっ?そうですか?僕は良かったけどなぁ〜。」

E 「アタシもそんなに変だとは思わなかったわ。」

A 「アッシはまるでダメ。演じるという意味ではそんなに悪くはなかったけど、あの声。あの声がダメよね。 あ〜んな高い声で話されたら説得力も何もありゃしないじゃない。もう耐えられなかったわよぉ。」

T 「分かるわねぇ〜。僕なんかも河村隆一、気持ち悪くて気持ち悪くて。もう〜〜〜、結構ぉ〜!って、 ねえ、アキちゃん。分かるわよぉ〜、その気持ち。」

Q 「年代の違いですかね、それって。」

A 「あら、年上二人を敵に回したわね。ははは・・・。」

E 「年上一人は見方よ、キューちゃん。」

Q 「栄子さんは見方で〜す。」

T 「馬鹿じゃないの、あなたたち。ははは・・・。」

Q 「でも、アキさんは良かったんですよね、意外にも。」

A 「そうね。河村君の声は許せなかったけどね。」

T 「アキちゃん、それだけ?」

A 「あと、これも意外なんだけど、アンサンブルがちょっと弱かったかな。」

E 「そうかしらぁ〜。アタシは良かったと思ったけどねぇ。それと最後のダンス。 映画を思い出しちゃったわぁ〜。」

A 「今ね、日本キャストのミュージカルって、何が弱いかって、主役がいないって点よね。 昔は本当に主役っていう人が主役を張ってたけど、今は、 これぞ主役っていう感じの人が少なくなっているのよ。」

Q 「昔って、どんな人がいたんですか?」

T 「もう何を言っとっとぉ〜。越路吹雪に雪村いづみ。もう歌も演技もさることながら、なんたって、 その存在がスター、主役以外の何者でもなかったのよぉ〜、ねえ、アキちゃん。」

A 「そうね。で、今回のミュージカル<CHICAGO>は、そういった意味で主役が強いか、って言えば、 そうでもないんだけど、今、 日本でやっているミュージカルで一番良いなって思っているアンサンブルがここではイマイチだったのよね。 決して悪い訳じゃないんだけど、何かイマイチなの。何かが足りないのよね。だから、 意外にも健闘していた主役の3人が目立ったと思うのね。」

T 「珍しいわよねぇ〜、アンサンブルがイマイチだなんて。」

Q 「へ〜、そう観えたんですかぁ〜。僕は凄いなぁ〜って思ったですけどね。」

A 「何て言ったらいいか分からないんだけど、振りでのキメみたいなものが中途半端な感じがしたのね。 ボブ・フォッシーの振り付けって、ちょっと変だけど、とても魅力的じゃない。」

T 「それに難しいわよねぇ〜。」

A 「そうそう。一寸見にはクニャクニャして見えるんだけど、ただクニャクニャじゃぁダメなのよね。 そこにキメが感じられないとぉ。まあ、振り付けはやっぱり凄いんだけどね。」

Q 「やっぱり厳しいなぁ〜、アキさんは。」

A 「そんな事ないけどね、評論家じゃないし。でも、お金を払って観に行っている訳だから、 好きな事言わせてもらわなきゃ。」

T 「そうよねぇ〜。今の日本の評論家って、ちゃんと評論していない人が多いですからねぇ〜。 せめて素人の観客が観た感じをそのまま出演者やスタッフに伝えてあげなきゃねぇ〜。」

E 「まあ、そうかもね。」

A 「でもさ、あの中でもエイモスを演ってた金澤博が演技、歌共に抜きん出て良かったと思わない?」

Q 「エイモスって、ロキシーの旦那でしたっけ?」

A 「そうそう。彼はUSJでやってる<ウィケット> でオズの大魔王を演っててアメリカのスタッフに大絶賛されただけあって、 前から一度聴いてみたかったんだけど、本当に素晴らしかったわよ。 それに比べて明らかにミスキャストだったのがママ・モートンを演じた田中利花ね。 決して下手じゃないのに役が合ってないのよ。彼女の良さを全く引き出していなかったわね。」

E 「そうかもね。今思い出してみるとママ・モートンの印象が薄いもんね。でも、最後のダンス、 ベルマとロキシーが踊るあのダンスは凄かったじゃない。」

A 「アッシ、あのダンスもイマイチだったかな。良くやっているんだけどね。 ハッとするくらいの踊りじゃなかったのよね。」

Q 「それはアキさんがブロードウェイのシカゴを観てるからですよぉ〜。」

A 「まあ、それは言えてるわね。まあ、比べたら酷かぁ〜。 何てたってアン・ラインキングとビビ・ニューワースのコンビだったからね。勿論観てないけど、 オリジナルのグエン・ヴァートンとチタ・リベラはどんなに凄かったかってね。」

T 「まあ、それはしょうがないわよねぇ〜。」

Q 「アキさん、他に最近驚いたり感激したりした舞台や映画はありますか?」

A 「そうね。拾い物だったのが、俳優座劇場でやった<毛皮のマリー>ね。」

E 「あら、美輪さんの?」

A 「違うわよ。寺山修司が亡くなってから、寺山のお母さんの養子になった、 元天井桟敷にもいた森崎偏陸が演出と美術をやったやつよ。」

T 「入り口に貼ってあるやつね。で、どんな風に良かったのかしら?」

A 「まず、アングラだったの。俳優座でアングラの復活。それだけで感激よね。」

T 「ま〜っあ、アングラねぇ〜。懐かしいわねぇ〜。昔は良く観たわぁ〜。寺山に唐十郎、鈴木忠、 新高恵子、李麗仙、白石加代子。も〜〜う、夢中になったわねぇ〜。で、アングラだったのぉ〜?」

A 「オープニングから怪しい雰囲気いっぱいでね。ブランコに揺れる少女やマッチョの男、小人などなど。 その内、山高帽子を陰部に被せただけの天使役の少年が出てきて、<僕のお母さんは、お父さんだった!!> っていう台詞で暗転、物語が始まるのよ。」

Q 「へ〜。な〜んか不思議な感じがしますよね、アキさんの話だけでも。」

E 「アングラっぽいわね。前にさ、今年の冬もやったけど、寺山修司作の<身毒丸>ね、 あれ観に行ったんだけど、もう全〜部が不思議な時間だった様な気がしたわよ、アタシには。きっと、 あんな感じなのよね。」

T 「で、芝居の方は?」

A 「まず変わっていたのは、毛皮のマリーは舞踏家の工藤丈輝がやってたんだけど、彼は殆ど喋らないのよ。 で、台詞を言うのは醜女(シコメ)のマリーなのよ。」

T 「って言う事は下男がマリーの台詞を言う訳ね。でも、マリーとの対話はどうするのかしらねぇ〜。」

A 「下男は別にちゃんと居るのよ。その下男役が、アッシと同じ歳なんだけど、 映画や舞台で活躍している日野利彦だったの。」

E 「その人、美輪さんの<黒蜥蜴>に出てたわよね。あの小さな人でしょ。」

A 「そうそう。彼、久し振りに沢山台詞の有る役だったんだけど、もうしっかりしてるのよ。 ちゃ〜んと発声出来てるの。アッシ、感動しちゃって。殆ど台詞が無い役が多かったからね。でも、 ちゃんとしてて良かったわよ。昔は結構台詞が有る役、多かったんだけどね。 最近はあんまり聞いてなかったから。まあ、それはさて置き、醜女のマリーを演じた吉野悠我がいいのよね。 何て言うのかしら。う〜む、詩を読んでるというかねぇ〜。いいのよ。」

E 「面白いわよね、そういうのも。」

A 「でしょ。で、毛皮のマリーの息子、欣也を演ったのが、映画やTVで活躍している津山登志子さん。でも、 彼女の演った欣也はイマイチだったわね。それに比べて、欣也を誘惑する紋白を演った大雅は男、女、 その両方を上手く使い分けていて好演してたわね。」

Q 「あ〜、大雅ってこの人ですよね。何か、見た事がある、この人。ね〜、栄子さん、見たことありませんか? この人。」

E 「どれどれぇ〜。あら、これ、ねえ、アキちゃん、ここのお客さんじゃなかったっけ?」

A 「それがね、そうなのよ。それにもビックリよ。知らなかったからね、芝居やってるなんて。」

T 「でも、いいわねぇ〜、色々やれて。僕もお迎えが来る前に、芝居やコンサートやりたいわよねぇ〜、 ね、アキちゃん。アキちゃんもそうでしょ。」

A 「そうね。でも、俊雄さん、お迎えが来る前になんて、そんな事言わないでよぉ。」

T  「まあ、でも何時来てもおかしくないからねぇ、僕の歳じゃ。」

Q 「そうですよね〜。」

T 「そう言われると、またぁ〜・・・。」

Q 「この前、<おくりびと>っていう映画を観てきたんですけど、淡々としていていい映画でした。 アキさん観ましたか?」

A 「勿論よ。」

E 「ちょっと、話さないでよね。観に行くつもりなんだからさぁ。」

T 「僕も行くから。」

A 「でもね、その<おくりびと>を観た後でビックリした事があったのよ。」

Q 「何ですか?そのビックリしたことって。」

A 「映画観終わって、部屋に帰ってTVのニュース見てたら、峰岸徹が死亡したって。もうビックリ!」

Q 「それは驚きますよね、あの映画を観た後じゃぁ。」

T 「あら、徹ちゃん亡くなちゃったのぉ〜?僕だ〜い好きだったんだけどね。いい役者だったわよねぇ〜。」

E 「でもさぁ、何でビックリしたのかしら?峰岸徹が亡くなちゃったニュース見て。」

Q 「それは映画を観てないお二人には言えません。そうですよね、アキさ〜ん。」

A 「まあ、そうね。観てからのお楽しみ、っていうのも何か変だけどね。でも、ビックリしたわぁ〜。」

T 「でも、ガッカリだわねぇ、徹ちゃんがねぇ〜。」

徹ちゃん「こんばんは。」

A 「あら、徹ちゃん、いらっしゃ〜い。」

T 「え〜〜!!!出た〜〜〜!」

Q 「な訳無いじゃないですか、俊雄さん。」

E 「そうよ。ちゃ〜んと見なさいよぉ。あ〜んなに歳とってないから、こっちの徹ちゃんは。」

T 「あら、本当だ。まあ、出るわけないわよね、ここに。は、ははは・・・。」

徹ちゃん「えっ?何?」

A 「ゴメンゴメン。ちょっと話してたら登場したからさ、アンタが。」

Q 「まあ、タイミングが良かったっていうかね。」

E 「それにしても俊雄さんの驚き方ったら、ははは・・・。」

T 「本当に出たと思ったのよぉ〜。ははは・・・。」

徹ちゃん「なんか、解からないけど、面白かったみたいですね。は・は・は・・・・。」

一同 「ははは・・・・。」

おわり


*今回紹介したお芝居、映画は、

1) <CHICAGO>
   上演中〜11/2   赤坂ACTシアター
   11/4〜6  大阪 梅田芸術劇場
   11/12〜16 青山劇場
2) <毛皮のマリー>  公演終了
3) <おくりびと>  全国で上映中
以上です。芸術の秋、どうぞ足をお運び下さいね。
2008.10.26


Back Number!