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<ミュージカルは楽しい!>の巻
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高明(タカアキ・以下T)「アキさん、今月のお勧めドリンクってぇ〜・・・。」 あき(以下A)「今月はね、ウィスキーをベースにアマレットを加えてソーダで割った <ゴッド・ファーザーに惹かれて>よ。」 べーやん(以下B)「<ゴッド・ファーザー>って言えば、この前デジタル上映してたよね。」 A 「そうなの。だから<ゴッド・ファーザー>っていうカクテルにしようかな、って思ったんだけど、 前にそのカクテルやった時ね、ちょっと強いっていう意見が多かったのよ。」 T 「で、ソーダで割ったっていう訳かぁ〜。」 A 「その通り。これだと本当に飲み易いから、皆に飲んでもらえるじゃない。」 T 「じゃあ、その<ゴッド・ファーザーに惹かれて>を。」 A 「アイよっ!・・・はい、お待たせ。」 B 「結構濃く見えるよね。」 T 「う〜む。でも、飲んでみると凄く飲み易いですよ。ベーやんさんも飲んでみますか?」 B 「えっ!いいのぉ〜。それじゃ、ちょっと。・・・う〜む、結構イケルね。」 T 「<ゴッド・ファーザー>って映画、まだ観た事ないんだよね。」 A 「あっそう。3部作、というか、パート3まで作られたんだけど、どれも本当に良く出来た映画よ。 特にパート2。本当に傑作よね。」 B 「俺はパート3が好きだったなぁ〜。オペラと同時に進行していく殺人がね。もうドキドキものだったよね。 特にオペラが好きだったら余計にね。」 A 「あれ、<カヴァレリア・ルスティカーナ>だったわよね。」 B 「何てったって、あの間奏曲。本当に美しいからね。あの映像とあの美しさ。もう最高!」 T 「へ〜、なんか、観たくなっちゃいました。」 A 「残念ながら公開されてたのはパート1。今だったらレンタルかなにかで観ないとね。でもさ、 パート1が好評だったから、続けてパート2、パート3とやるかもね。」 T 「そしたら観に行きますよ、絶対。所で、アキさん、今日はちょっと開店が遅かったけど、 何か観に行ってたの?」 A 「きょうはね、あれ。(と言って壁のポスターを指さす)」 B 「もう行ったんだぁ、<パイパー>。どう?何か、未来の話って事だけど。」 A 「そうなのよ。未来の火星の話。でもね、野田の事じゃない、現代をやっぱり批判しているなって。」 T 「良く取れましたね、チケット。」 A 「もう最近はね、一所懸命朝から電話掛け捲るのに疲れちゃってね。優先予約で外れたらもうイイや、 みたいになってたんだけど、運良く取れたのよね。」 T 「羨ましいなぁ〜。オイラはぜ〜んぶ外れちゃって。おまけに発売初日は4時間も掛け捲って、 結局予定枚数終了、な〜んてアナウンスが流れるだけ。もう疲れましたよ。」 A 「でも当日券が有るみたいよ。1時間前から発売だったかな。相当並んでたけど。」 T 「そうなんだぁ〜。でも、行ってみるかな。」 B 「そうそう。観たいものは行った方がいいよ。後で後悔しても仕方ないからね。で、どうだったんです?」 A 「そうね。最初は何がなんだか分からなかったのよ。 何しろ人間が火星に移動してから1000年経ってからの話だからね。」 B 「1000年ねぇ〜。それはまた随分と先の話なんだねぇ〜。」 A 「ちょっと先過ぎるけど、そのくらいの方が良いのよね、話作る時には、きっと。」 T 「そうかもね。あんまりにも近い未来だとさ、な〜んて言うか、想像出来ちゃうって言うかね。」 B 「そりゃ、そうだ。でも、宮沢りえに松たか子、それに橋爪功にサトエリ(佐藤江梨子)。 もう凄いキャストだよ、本当に。」 T 「何時も凄いよね、野田地図のキャストって。でも、どうだったんだろう。アキさん、どうなの?」 A 「まあ、そりゃ達者よ、みんな。特に、今回は宮沢りえの声がとっても良く通っててね。 前回の野田作品<ロープ>や、去年出演した<人形の家>の時に感じた危なっぽい感じが全くなかったわね。 それに、パイパー達の動き。もう何とも言えなかったわよ。」 T 「そもそもパイパーって何?」 A 「まあ、確実な所はアッシも観ていても分からなかったんだけど、 火星にいる未知の生き物には間違いないわよ。まあ、1000年前に移り住んできた地球人の見方であり、 時には敵であり、破壊者であるっていう事かな。」 B 「な〜んか難しい存在だねぇ。」 A 「まあ、そうなんだけど、観たら分かるけど、そのパイパーの存在や行動が大きな鍵。 何で急に・・・みたいなね。」 T 「な〜んか、消化不良。」 B 「それは仕方ないんじゃないかな、まだ始まったばかりなんだからねぇ。」 A 「それだけじゃないのよ。宮沢りえと松たか子は姉妹の設定なんだけど、 父親の設定になってる橋爪功の3人の関係がまたね。」 T 「う〜む、本当に消化不良。観に行きたくなっちゃうじゃん。」 B 「行けば良いんじゃないかな、当日券でもさ。」 A 「そうよ。ここで聞いて全部観た気になっちゃってもねぇ〜。」 T 「まあ、そうだよね。じゃあ、行こうかな、当日券で。」 A 「当日券で観るには、その前に並ばなきゃならないっていう努力も必要なのよ。で、 この芝居なんだけどさ、アンサンブルがとっても良いのよ。これはちゃ〜んと観てきてよ。」 B 「お芝居でも、映画でも、そう、コンサートでもそうだけど、 最初に言ちゃっていい物とそうじゃない物があるじゃない。野田地図の<パイパー>は後者なんだろうね。」 A 「そうね。新作だし、最初から聞いてたら詰まらなくなっちゃうし。」 B 「そりゃ、そうだよね。でもさ、これなんかは初めに話を聞いてても良いんじゃないかって思うんだけど。」 A 「あ〜、<ドロージー・シャペロン>ね。これは内容を話したら、 余計に観に行きたくなっちゃうミュージカルよね。」 T 「それじゃ、ちょっとだけ聞かせてくださいよ。その大まかな内容とか、出演者についてとか、 演出についてとかぁ〜。」 B 「俺はミュージカル好きじゃないんだけど、もしかしたら行くかもしれないから一応聞いときたいな。」 A 「もう何しろミュージカル好きにはたまらないミュージカルよね。高明もミュージカル好きでしょ。」 T 「そうなんだよぉ〜。もう大好き!これもTVで結構宣伝してるし、 藤原紀香出演っていう事で話題になってるし、宮本亜門演出だし・・・ それに木の実ナナも久し振りのブロードウェイ・ミュージカルだしぃ〜・・・。」 B 「それじゃ、観に行くっきゃないよ。」 T 「そうだよねぇ〜。」 B 「でもさ、ミュージカルって何で突然歌いだしたりするのかな?俺さ、そこがねぇ〜、 イマイチ分からなくって。」 T 「ミュージカル嫌いな人って、わりにそこが嫌いって言う人多いんだよね。」 A 「そうね。でもね、このミュージカル。初めに椅子の男って言うのが出てきてその辺りを話すのよ。」 T 「椅子の男って、このキャストだと小堺一機かなぁ〜。」 A 「そう。で、小堺君が良いのよね、ピッタリなの、この役に。 この椅子の男って言うのは謂わばナレーターの役割なんだけどね。まあ、 その椅子の男の大好きなミュージカルの話なのよ。」 B 「な〜んだ。じゃあ、ここでアキちゃんの話を聞いててもあんまり変わらないんじゃない。」 A 「何言ってるのよぉ〜。舞台でやるのとここでアッシが話してるのじゃ、まるっきり違うのよ。」 T 「それで、ど・ん・な・・・?」 A 「あっ、そうそう。舞台が始まるとね、そこはある街のマンションの一室なの。 そこにその椅子の男がいるのね。で、語り始めるのよ。最近のミュージカルは死んだり、 戦争だったりするのが多くないかって。」 B 「観客に向って?」 A 「そう。でね、自分の大好きなミュージカル、<ドロージー・シャペロン>のレコードを取り出して、 これは楽しい、素敵なミュージカルだって。で、観客に向って、聞いてみたい?って問いかけるのよね。」 T 「当然、観客はそこで拍手だよね。」 A 「そう。で、レコードをかけ始めるの。そのレコードはね、所謂オリジナルキャスト盤なんだけど、 語りも入っている完全版なのよ。」 B 「語りの入ってるやつなんか有るのかな?」 A 「勿論、全部って事は無いと思うけどねぇ〜。アッシが持っているオリジナルキャスト盤では、 ストレート・プレイだけど、<真夜中のパーティー>のレコードがそれに当たるかしらねぇ。」 B 「真夜中のパーティーって、あの?」 A 「そう。でも台詞でしょ、全部。当たり前なんだけど、ちょっと飽きちゃうのよね。舞台を観ていると、 そこに人が動いてたり、背景があるからまだ良いんだけど、台詞だけでしょ。ちょっとキツイわよ。」 T 「で、ミュージカルは?」 A 「そうだったわね。で、レコードを掛けると、彼の部屋にキャストが出てきてミュージカル<ドロージー・シャペロン>を上演していくの。」 T 「素敵だね。」 A 「で、この場面が好きとか、ここは退屈な場面な〜んて言って進んでいくのよ。勿論、 繰り広げられている舞台は、本当は彼の頭の中で想像しているものなんだけど。」 B 「でも、結構良いよね。頭の中で繰り広げられている物を舞台に載せちゃうっていうアイディアがいいよね。」 A 「でしょ。で、何と言ってもレコードじゃない。だから針が飛んだりしちゃう訳よ。」 T 「その時は、まさかぁ〜・・・。」 A 「そう。予想してる通りよ。その場面も同じように飛んじゃったり、繰り返しちゃったりしちゃうのよ。」 T 「え〜〜〜!すげ〜面白そう。」 B 「中々凝ってるよね。で、演出やキャストはどうだったの?」 A 「宮本亜門の演出は、殆どブロードウェイと変わらなかったわよ。まあ、変わらない演出は、 かえって良かったと思うわよ。下手に演出してもね。何しろ、椅子の男の頭の中にあるミュージカル <ドロージー・シャペロン>は、アメリカだろうが日本だろうがロシアだろうが変わらない訳だからね。」 T 「それはそうだよね。で、キャストは?TVでは藤原紀香が結構良いって言ってたけど。」 A 「そうね。まあ、合格点かな。でも、凄く良かった訳じゃないわよね。まず歌。 これは下手じゃないからもう少しレッスンしたら良かったと思うわね。 まあアッシが観に行ったのは初日だったからね。終わる頃には良くなっているかも。去年<シカゴ> に出た米倉涼子の方が、まだ数段上だった事は間違いないわよ。」 B 「そうなんだぁ。他のキャストは?」 A 「さっきも言ったけど、椅子の男役の小堺一機が抜群に良いわよね。 彼って本当にミュージカル好きなんだと思うわよ。前に<イントゥー・ザ・ウッド> に出たときもそう思ったけどね。花婿介添人役の川平慈英、プロデューサーの愛人役、瀬戸カトリーヌ、 女性飛行士役の浦島りんこは流石に良かったし、ジゴロ役の梅垣義明、 プロデューサー役の尾藤イサオはまあ無難。でもね、 このミュージカルの中心人物でもある花嫁介添人の木の実ナナがねぇ〜・・・。」 T 「えぇ〜〜〜?そんなに良くないの?」 A 「う〜む。役にはピッタリだと思うんだけどね。歌がぁ〜・・・。」 B 「彼女って歌えなかったっけ?」 T 「そんな事ないよぉ。彼女約40年ぶりのブロードウェイ・ミュージカルへの出演なんだけど、 オリジナルのミュージカルやショーには出てたし。」 A 「音程がどうのこうのじゃないんだけどね。歌の半分以上がファルセットなのよ。 だから迫力に欠けるのよね。あの役は、もっとドスが利いてなきゃ。それから惜しかったのが、 結婚式の主催者役の中村メイコとその執事役の小松政夫のコンビ。キャストを初めて聞いた時、 これはハマルわって思ったんだけどね。」 B 「何かが足りなかった。」 A 「そうなのよね。コミカルなんだけど、もうちょっと歌と踊りにドキっとするものが欲しかったわよね。 外国でもロングランになると、え〜〜〜???っていう役者が出てくるけど、初演の時はまず無いじゃない。」 T 「それで全てが決まっちゃうからね。本当にレベルは高いよね。この人が?っていう人が沢山いるもん。 みんな歌も上手くて、踊りも踊れる。歳とか関係ないよね。」 A 「そうなのよ。雰囲気は凄くあるだけに惜しかったわね。でもさ、本当に楽しいミュージカル。 椅子の男がプロローグで言ってた様に、ミュージカルってこれじゃなきゃ!って。楽しくて夢があってね。 椅子の男って、何かアッシの代弁者の様な感じなのよ。」 B 「何か、聞いてたら観たくなってきたなぁ〜。」 T 「そうですよね。やっぱり行かなきゃね。」 B 「高明、良かったら連れてってよ。勿論誰か他に当てが有るんだったらいいんだけど。」 T 「有りませんよ。良いですよ、一緒に行きましょうよ。そしたら早速予約しなきゃ。って、 まだ有るかなチケット。」 A 「そうね。ひと月もやってるんだから有るかもよ。早速明日にでも調べてみたら?」 T 「そうですね。それじゃ、ベーやんさん、オイラに任せてもらいますよ。」 B 「そうだね、頼むよ。じゃあ、アキちゃん、高明に何か一杯あげてよ。」 T 「え〜!いいんですかぁ〜。取れなくても文句言わないで下さいよ。」 B 「そんなに期待してないよ、ははは・・・。」 T 「それじゃ、遠慮なく。今月のお勧めを。」 A 「アイよっ!」 B 「それじゃ、あんまり好きじゃないけど、ミュージカルに乾杯かな。アキちゃんも何か飲んで。」 A 「あら、それじゃ、アッシもいただきます。」 T 「じゃあ、楽しいミュージカルに乾杯!」 一同 「かんぱ〜い!」 おわり *今回紹介したお芝居は、 1)野田地図<パイパー> 上演中〜2/28 シアター・コクーン 2)ミュージカル<ドロージー・シャペロン> 上演中〜1/29 日生劇場 そのほか地方公演あり。以上です。どうぞ足をお運び下さい。 2009.1.17
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