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<会場って難しい>の巻
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あき(以下A)「いらしゃ〜い!」 カンちゃん(以下K)「こんばんは〜。」 A 「あら、カンちゃ〜ん。久し振りじゃない。はい、オシボリ。」 K 「また寒くなっちゃいましたよね。これで桜も結構持ちますかね。」 ヤッ君(以下Y)「当たり前よ〜。そうじゃなきゃアタシ困っちゃうもん。」 A 「あら、ヤッ君、何か困る事でも?」 Y 「アタシ主催の花見なんだけどぉ〜、毎年4月の第一日曜日なのよねぇ。だ・か・らぁ〜、困るのよねぇ〜。」 K 「アキさん、注文いいですか?」 A 「はい、何にしましょ。」 K 「今月のお勧めお願いします。」 A 「アイヨッ!」 Y 「何だっけ?今月のお勧めって。」 A 「<ウォーブラー>よ。ジンと桜リキュールにソーダね。」 K 「去年もやりましたよね、名前は違うけど。」 A 「カンちゃん、良く覚えてるわね。去年は<スプリング・バード・ハイボール>っていう名前だったのよ。」 Y 「何でそれが変わったのかしらぁ?」 A 「だって、長いじゃない。だから色々考えたのよ。・・・はい、お待たせぇ〜。」 Y 「あら、綺麗じゃない。何?何か入ってるけど。」 A 「あれはね、桜の花よ。」 Y 「桜の花?へ〜。」 K 「桜茶に使うんですよね。」 Y 「何よ、桜茶って。」 A 「もうヤッ君、な〜んにも知らないの?」 Y 「あら、悪いかしら?」 A 「悪いわよ!ははは・・・。桜茶、本当は桜湯って言うんだけど、お祝い事なんかの時に、 普通のお茶は出さないでこの桜の塩漬けを入れた白湯を出したりするのよ。」 Y 「でも、何でぇ?」 K 「ほら、お茶だと、濁すって言う事で、祝い事では嫌われるんですよね、アキさん。」 A 「その通り。お茶って透き通ってないでしょ。茶を濁すって言うじゃない。だから嫌われるのよ。 そこで、お湯の中で桜の花が開く桜湯が好まれるのよね。」 Y 「へ〜。アタシ知らなかったわ、そんな事。友達の結婚式の時もそうだったのかしら。記憶ないわぁ〜。」 K 「ヤッさん、歳なんじゃないですか?歳。」 Y 「あら、カンちゃん、若けりゃいいってもんじゃないのよ!ねえ、アキさん。」 A 「そうよ、そうよ、ははは・・・。」 K 「所で確定申告が終わったから、結構観に行ったりしてるんです?お芝居やコンサート。」 A 「そうね。今月から大分増えたわよ。先週はね、 六本木のスウィート・ベイジル139で亀淵由香のソロ・ライヴに行ってきたのね。」 Y 「誰?亀淵由香って。」 K 「僕もしらないなぁ〜、その人。有名なんですか?」 A 「アッシらの世代には有名よ。だって、もう40年くらい歌手やってるしね。そうそう、 VOJAっていうゴスペルコーラス知ってる?」 Y 「アタシ聞いた事あるわVOJAって。あんまり良く知らないけど、太った女性が中心になているのよね。 紅白か何かで見たと思うんだけどぉ〜。」 A 「そうそう。彼女の事よ。その彼女が久し振りに開いたコンサートなのね。」 K 「で、どんな曲をやったんですか?」 A 「2部構成だったんだけど、1部がジャズのスタンダード。<センティメンタル・ジャーニー>でスタートして <テイク・ジ・Aトレイン>、<縁は異なもの>、<ブルー・ムーン>、それから、ボッサ・ノーヴァの<ウェイヴ>、 渡辺貞夫が作曲して、もう大分前に亡くなっちゃったヒデとロザンナのヒデ事、出門日出が作詞した<白い波>、 <ミスティー>、終わりが<テネシー・ワルツ>だったかな。全部で10曲以上だったと思うわ。」 K 「へ〜。僕も知ってる曲も幾つか有りますね。で、2部は?」 A 「2部はね、映画音楽特集。演奏で<風と共に去りぬ>で始まって、<虹のかなたに>、チャップリンの<スマイル>、 <いそしぎ>、彼女が大好きだっていうドリス・デイのメドレー、 オードリー・ヘプバーンの主演した映画音楽のメドレーなんかをやって、終わりが<アンチェインド・メロディー>。で、 アンコールがこのライヴの演出をした高平哲郎さんが新しく詩を付けた<マイ・ウェイ>だったの。」 Y 「でもさ、雰囲気がいいわよね、あそこは。」 K 「ヤッさん、行った事あるんですか?スウィート・ベイジルに。」 Y 「あるわよぉ〜。前回は岩崎宏美のライヴだったかしら。2月だったけどぉ。食事が出来て、 ゆっくりお酒を飲みながら歌が聴けるのよ。もう大人の空間って感じよね。」 A 「そうね。お子様はちょっと、ね。あそこはキャパもいいしね。狭過ぎず、広過ぎずね。」 K 「アキさんも良く行くんですか?」 A 「そうね。気に入った人のライヴがあればね。勿論、金曜、土曜は行けないけど。ここのところ、 吉田美奈子のライヴが金土ばっかりで行けないのがとっても残念なんだけどね。」 K 「今までどんな人のライヴに行ったんですか?」 A 「先月じゃないけど、その前にやった岩崎宏美でしょ、綾戸智恵でしょ、長谷川きよし、坂本スミ子、TOKU、 それからオープンの時がロバータ・フラックだったかな。結構行ってるわね。」 Y 「そんなに色々?でもさぁ、あそこって本当に広さがいいわよね。同じ人数入っても、 青山のブルー・ノートは横に広すぎるじゃない。でもさ、 スウィート・ベイジルは2階もあるから広いっていう感覚がないのがいいわよねぇ。」 A 「そうね。会場の広さって凄く関係があると思うのね、やってる方も行ってる方も。」 K 「そんなに関係あるんですか?」 Y 「あら、あるわよねぇ。アタシ、もう何年も前に青山劇場でミュージカルの<リトル・ショップ・オブ・ホラーズ>を観に行ったのよ。 で、終わってからな〜んか違うわぁ〜って思ったんだけど、後で気が付いたのよね、会場の大きさだって。」 K 「どういう事ですか?」 Y 「だってさぁ、あのミュージカルにはどう考えても大き過ぎる会場だったもの。ねえ、アキさん、そう思わない?」 A 「だからアッシは大好きなミュージカルにも拘らず行かなかったのよね。だって、オフでやってたミュージカルよ。 ブロードウェイでも数年前にオンでやちゃってぇ。え〜って。やっぱりオフ向けのミュージカルなのよ、あれは。」 K 「最近もありました?そんな事。」 A 「日本の主催者って、会場を選ぶって事を忘れちゃって、売り上げばかりに目がいっている様な気がしてならないのね。 数年前にやった宮本亜門演出の<ユーリンタウン>もそうだったのよ。あっちではオフからオンに上がったんだけど、 オンでも一番小さな劇場でやってたものね。でも、日本では日生劇場だったでしょ。あれじゃ、 あのミュージカルの良さが半減しちゃうもんね。」 Y 「本当にそうよねぇ〜。」 K 「確かに関係有るかもしれませんよね。でも、日本って会場が無いんじゃないんです?適度な。」 A 「それもあるかもね。確かに小劇場なんかでは100人くらいの所もあるけど、後は1000人以上の所が多いじゃない。 4〜500人の所って本当に少ないもの。それでも東京は良いと思うのよ、沢山あるから。でも、主催者側が劇場を選ばないじゃない。 それが問題よね。」 Y 「どんなに良い芝居でも見る側はねぇ〜。それに今はさ、殆どが高い席でしょ。席種があまりないじゃない。まあ、 国立劇場や歌舞伎なんかは安いところもあるけどさぁ。アタシも沢山観る方だから、困っちゃうのよね。それにさぁ、 同じ値段でまるで観えない所もあるじゃないのぉ。前だったら良いってもんじゃないわよねぇ〜。」 K 「まあまあ、ヤッさん落ち着いて下さいよ。興奮しちゃう気持ちは分かりますけどね。 僕もコンサートなんかでアリーナでやるものだとドキドキなんですよ。チケットが取れたは良いけど、席が何処かが気になっちゃって。 前の方だったらノリも違うんだけどって。」 Y 「良くあるある。アリーナは特にねぇ〜。でもさ、アリーナだったらこっちが乗っちゃえは勝ちみたいな所もあるじゃない。 でもお芝居はねぇ〜。」 A 「そうよね。この前tptの芝居を観に行った時も、これはキャパの問題じゃないんだけど、それに似たような事を思ったわね。」 Y 「あら?アキさんさぁ、tptって森下のベニサンピットが無くなっちゃって活動してなかったんじゃなかった?」 K 「そうでしたよ。あんな空間で素晴らしいキャストと素晴らしい舞台美術、一流の演出家に役者たち。 観る方もいくら椅子がイマイチだからといって文句が言えない舞台を提供して、僕達を満足させてくれてましたよね。 でも無くなっちゃったって聞いてガッカリしてたんですけど。復活ですか?」 A 「まあ、そう言う事かしらね。でも、森下じゃないのよ。」 Y 「どこどこ?」 A 「まあ、何時もここじゃないと思うんだけど、横浜の馬車道近くにあるBank ART Studio NYKの3cギャラリーって所なのよ。」 Y 「なんかぁ、覚えるの大変ね、ははは・・・。」 K 「だからヤッさん、それは歳、歳のせいですってばぁ〜。」 Y 「オダマリ!」 K 「で、どんな所なんです?」 A 「まあ、倉庫か何か、それっぽい所なんだけど・・・。名前で分かる通り、 1階や2階を見ると今はギャラリーとして使っているみたいなの。そこの3階なのね、会場は。 だだっ広〜いコンクリート打ちっぱなしのその会場は、ちょっとひんやりしてね、これから何が始まるのかって。」 Y 「その気持ち分かるわよぉ。だってtptだものねぇ。新しい芝居がかかる度に、今度はどんな舞台になるんだろうって。 客席だって何時も違ったじゃないのぉ。普通に列だったり、斜めだったり舞台を囲んでたり・・・。で、今回は?」 A 「まあ、ごく普通かな。横長の小さなコの字型。そうね、席数にしたら100席くらいだったかしら。」 K 「それじゃ、ベニサンピットより少し小さいくらいでしょうかね。」 A 「席数はね。会場は大分広いと思うけど。」 Y 「で、美術は?」 A 「な〜んにも無いのよ。」 K 「益々期待が膨らみますよね、それだったら。」 Y 「分かるわぁ〜。何処から何が出てくるかって。いや〜ん、早く話してよぉ〜。」 A 「それがね、舞台というか、その倉庫の様なだだっ広い所には客席の他には、 サイドのドアが開いて役者4人が持ってきた椅子とリンゴだけ。」 Y 「あら。でもそのシンプルなのもいいわよね。」 A 「で、芝居が始まった途端・・・。」 K 「何かあったんですね。」 A 「そうじゃなくてぇ〜。役者さん達の声が響きすぎちゃってぇ。残響が凄いのよね。」 Y 「あ〜、残響ぉ〜。ハウリング起こしちゃってるみたいだったのねぇ。」 A 「そうなのよ。だから役者さん達は大変だったと思うのね、残響に対する声の出し方がさ。」 K 「そうですよね。彼らだって分かってるでしょうからね。でも、倉庫っぽい所だったんでしょ。 初めから分かってすでしょうにね、残響凄いって。」 A 「まあ、そうよね。だから、もしかしたら演出家はそれも計算の内だったかもしれないけどぉ〜。」 Y 「台詞が聞き取れないってぇ、結構辛くな〜い?」 K 「そうですよ。何してるのか分かったんですか?あきさん。」 A 「そこまで酷くはなかったわよ。さっきも言った様に、役者さんたちが残響凄いの分かってたんだろうからね。」 Y 「で、どんな話だったの?」 A 「話は単純。時間も1時間ちょっとだったしね。」 K 「面白かったんですか?」 A 「まあまあかな。話はね、タイトルでも分かる通り、醜い顔を持った男の話なの。」 Y 「あ〜ら、アタシにはまるで関係の無い話だわぁ〜。」 K 「本当ですね、ヤッさん、ははは・・・。」 Y 「オダマリ!」 A 「ははは・・・。そのね、醜い顔の男が、その顔のお陰で仕事を部下に取られちゃうのよ。」 K 「今だったらセクハラで訴えられちゃいますよぉ、本当に。」 A 「そうかもね。で、本人は自分の顔が醜いな〜んて思ってないわけ。でも、その顔について妻に訪ねると、 彼女までもが醜いっていうのよ。で、決心するのね、整形を。」 Y 「整形!!!ちょっとぉ、早く次の話を!」 A 「で、手術後の顔を見た皆が、あまりの美男子ぶりに仰天。奪われた仕事も奪え返しちゃって。それだけじゃないのよね。」 K 「ブームにでもなったんですかね。」 A 「その通り。で、色々な所から引く手数多。多忙な<売れっ子>になっちゃうのよね。」 Y 「整形・・・・。」 A 「でも、事はそう旨くは進まないのよ。」 Y 「あら、失敗かしら?弘田○○子みたいに。」 A 「そうじゃないのよ。さっきカンちゃんがブームって言ったじゃない。正しくその通りで、ブームになっちゃったから、 周りの人達がみ〜んな真似するようになちゃったの。」 K 「あ〜ぁ、なるほどぉ〜。皆が同じ顔になっちゃうんですね。」 A 「そうなの。だから主人公は混乱してくるのよ。で、最後には、元の顔に戻してくれ〜〜〜、って。」 Y 「整形・・・。」 K 「まあ、恐ろしい話ですよね。」 A 「そうよね。まあ、良くある話でしょ、これって。どっかで聞いたような感じもするんだけどね。 やっぱり親からもらった顔はそのままの報がねぇ。ねえ、ヤッ君聞いてる?」 Y 「えっ???整形でしょ、しないわよ、アタシ。しなくたって・・・。」 A 「でもさ、美を追求するって言うのは分からなくもないのよ。でもねぇ〜、エスカレートし過ぎると、 っていう警告みたいなものがこの芝居にはあったと思うのね。」 Y 「そうだわ、そうだわ。美しくなり過ぎる事はないのよねぇ〜。このままでもぉ〜・・・。」 K 「十分に綺麗ですってば、ヤッさんは。」 Y 「あら、カンちゃん、流石ねぇ〜。アキさん、一杯あげて、カンちゃんに。」 K 「え〜〜!本当ですかぁ〜?・・・それじゃぁ、アキさん、バーボンのボトル入れて下さ〜い。」 Y 「あんた!!!」 K 「冗談ですよぉ〜、もうヤッさんたら。」 A 「ははは・・・。」 Y 「安心したわぁ〜。もうあげないわ、アンタなんかに。」 K 「え〜。そんな事言わないでぇ〜。」 Y 「ウソよ。一度言ったんだもの。アキさん、一杯、カンちゃんに。」 A 「アイヨッ!それじゃ、カンちゃん、何にする?」 K 「それじゃあ、バーボン・ソーダを頂きます。」 A 「・・・・。はい、お待たせ。」 K 「それじゃ、ヤッさん頂ま〜す。」 Y 「はいどうぞ。乾杯。」 K 「頂きま〜す。かんぱ〜い!」 一同 「ははは・・・。」 おわり *今回紹介したコンサート、お芝居は、 1)亀淵由香ソロライヴ 公演終了 2)tpt <醜い男> 上演中〜3/29まで BankART Studio NYK(横浜馬車道)以上です。どうぞ足をお運び下さい。 2009.3.29
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