<変えちゃイヤ!>の巻

ヨシコ(以下Y)「こんばんは。」

あき(以下A)「いらっしゃ〜い!あら、ヨシコ。はい、オシボリどうぞ。」

Y 「有難うございます。行って来ましたよ、アキさん。」

A 「えっ?何処よぉ〜。何処行ってきたの?」

Y 「だからぁ〜、これですよ、これ・・・ってポスター変わってるぅ〜。」

伴ちゃん(以下B)「ちょっとぉ〜。声大き過ぎよぉ。早く注文したら!」

Y 「あっ、そうだった。え〜とぉテンをロックで。」

A 「アイヨッ!・・・はい、お待たせ。で、<毛皮のマリー>?行って来たって。」

Y 「そうですよぉ〜。この前行くからって言ったじゃないですか。」

B 「で、どうだったのよぉ。」

Y 「伴さんは行ってないんですか?」

B 「行かない訳ないでしょ、これが最後かもしれないんだし。」

A 「ちょっと、美輪さん怒るわよ、そんな事言ったら。ってね、 アッシもこれからやる美輪さんの舞台は観とかなきゃって。だってさ、もう70超えたのよ、あの方。」

B 「でしょぉ〜。ワッチもそう思ってさぁ〜、必死こいて獲ったわよ、チケット。」

Y 「で、伴さんはどうでした?」

B 「その前にアンタ言いなさいよぉ、ヨシコ。」

Y 「まあ、そりゃそりゃ感激でしたよ。美輪ワールド凄いですよね。それにあの肌。 とっても70過ぎの人だって思えませんよね。」

B 「芸能人ですもの。当たり前ちゃ当たり前よねぇ。でも、本当。凄〜〜く綺麗よねぇ〜。 ワッチもお肌の手入れしなきゃ。」

A 「あら、伴ちゃん、これからじゃ、もう遅いんじゃない?」

Y 「手遅れって事ですね、ははは・・・。」

B 「あら、ちょとぉ〜ヨシコ、喧嘩売ってるのぉ〜?」

Y 「イヤッ、違いますって。伴さんに喧嘩売る訳ないじゃないですかぁ〜。 ちょっとアキさんの発言に乗っちゃっただけですよぉ〜。」

A 「あら、ヨシコ、それじゃ、アッシが悪いみたいじゃないの。」

B 「そうよ、そうよ。一番若いからって、いい加減にしなさいよ!ははは・・・。」

A 「怖いわよ、アッシらを敵に回したら。ははは・・・。」

Y 「はい、気を付けますぅ〜。」

B 「っま、いいわ。ははは・・・。で、美輪さんの舞台の話に戻りましょ。で、 美輪ワールドを満喫したって感じなのね、ヨシコは。」

Y 「そうなんですよ。でもぉ・・・。」

A 「でも、何か?」

Y 「話がちょっと解からないんですよぉ、アタシには。難し過ぎるんですよね。何がなんだかぁ。 解かりました?伴さんは。」

B 「ワッチは古いもん。アングラの世界をイヤって言うほど観てきたのよ。あの世界大好きよぉ。」

Y 「へ〜。アングラですかぁ。」

A 「そうね。天井桟敷の寺山修司と状況劇場の唐十郎、 そして早稲田小劇場の鈴木忠志の3人が当時の小劇場運動を引っ張ってきてね。アングラの全盛だったわね。 アッシも中学から高校、大学の時代だから、本当にアングラの洗礼を受けたわよ。」

B 「そうよねぇ〜。ワッチはアキちゃんより少し若いけど、やっぱり受けたわよ大分、影響はね。」

Y 「で、お芝居なんですけど、あっと言う間でしたよ。全く解からないまま終わっちゃったって感じで。」

B 「ヨシコぉ〜、あれはさ、親子愛よ。ねえ、アキちゃん、そうよね。」

A 「そうね。まあ、血は繋がってないけど、純粋な親子愛の話よね。そこに色々な人物が絡んでくるのよね。」

Y 「あのぉ〜、下男っていうのか、醜女(シコメ)のマリーの方の存在感が凄かったですよ。」

B 「あ〜、麿さんね。あの人は強烈よね。ほら、自分がなりたい人物って言うか、役っていうか、あの場面、 もう解かるぅ〜〜〜!って。」

A 「あのシーンは美女の亡霊が出てくるシーンなのよぉ。で、あの役は、 映画<サンセット大通り>に出ていたエリッヒ・フォン・シュトロハイムの様にっていう注が付いているのよね。 だから麿さんは本当にピッタリよ。」

Y 「それに、あの紋白っていう役。アレは何なのぉ〜?男?女?」

A 「基本的には女かしらね。一応美少女で、あるやんごとなき人の愛人っていう設定だからね。それに、 この戯曲は全ての役を男が演じるっていう注文が付いているのね。だから、マリーは男娼だって言うのは分かっているから、 紋白は女だと思うのよ。マリーがオカマって紋白に向って言うけど、やっぱり女の設定かな? それにしても若松武は凄かったわね。やっぱり天井桟敷の生き残り。今回、 欣也を除いたメインのキャストの凄さってったら・・・。」

B 「本当よねぇ〜。美輪さんは言うに及ばず、麿赤児や若松武でしょ、それに水夫の菊地隆則、 鶏姦詩人の江上真悟と倉持一裕。み〜んな達者でぇ〜。」

Y 「確かに凄かったですよぉ。もう圧倒されっぱなしでしたけどぉ〜。」

B 「欣也だって初舞台にしては良かったんじゃな〜〜い。可愛かったしぃ〜。」

Y 「アタシはイマイチでしたよぉ。な〜んかワザとらしくてさ〜。アキさんはどうでした?」

A 「そうね。悪くはなかったけどね。ちょっと背が高いかな。もうちょっと低くても良かったんじゃないかなって。 この欣也っていうのは寺山修司その人がモデルだし、マリーは寺山のお母さんのハツさんがもでるなんだからさ。」

Y 「え〜っ???そうだったんですかぁ〜?」

B 「ヨシコ、観てれば分かるじゃないのよぉ。さっきも言ったけど、これは親子愛の話。」

A 「それも、異常なほどの親子愛よね。」

B 「そうよぉ。あれは異常よね。」

Y 「異常だな〜とは思いましたけどぉ〜。」

B 「な〜んたって、閉じ込めちゃうのよ。今だったら犯罪よ、犯罪。TVでも時々あるじゃないの、 何年も監禁してたっていう事件。」

A 「まあ、この話には事件性はないけど、監禁という意味ではある種の犯罪よね。でも、 それが異常な親子愛からきているものだからね〜。」

Y 「もし、学校なんかへ行ってたら、このマリーはモンスター・ペアレントの会長みたいになってるかもしれませんよね。」

A 「モンスター・ペアレントの会長?ははは・・・。それは面白いわね、ははは・・・。」

B 「たまにはいい事言うじゃないよ、ヨシコも。」

Y 「受けちゃったぁ〜。ふぅ〜。で、話は戻るんですけど、伴さんはどうだったんですよぉ〜、この芝居。」

B 「そりゃ満喫したわよ。カーテンコールはちょっと笑っちゃったけどぉ〜・・・。」

A 「そうね。あれは何か美輪教みたいだったわね、ははは・・・。」

Y 「アキさんはどうだったんですか?前から色々なヴァージョンを観ていると思うんですけど。」

A 「そうねぇ〜。今回はさっきも言ったけど、キャストが超強力じゃない。だから悪いはずがないんだけどぉ・・・。」

Y 「何かぁ〜?」

A 「余計な物を付けない方がいいと思ったのよね。」

B 「余計な物って?」

A 「あの戯曲はさ、欣也の唇に紅を注すシーンで終わりなのよね。まあ、 美輪さんのすることに寺山さんは文句を付けないと思うけど、やっぱり、あのシーンで終わった方が余韻が残るっていうか、 勿論、今回のラストシーンでも余韻は残るんだけどぉ、余韻の種類が違うって言うのかな〜。分かる?言ってる事。」

B 「な・ん・と・なく・・・だけどねぇ〜。変えちゃイヤなんでしょ、アキちゃんは。」

Y 「なるほどね。アタシが思ったのは、最後の緞帳の下がり方なんですよ。あれ、中途半端じゃなかったですぅ〜?」

B 「ヨシコの時もなの?ワッチさぁ〜、緞帳を下げるの失敗したんだと思ってたわよぉ。」

A 「アッシもね、今回最初に観た時は、伴ちゃんと一緒で、ミスだったのかなって思ってたんだけど、 この前2回目に観た時も同じだったからミスじゃないのだけは分かったわよ。でも、意味が分からないのよね、 あの。寺山の戯曲はここでとりあえずは終わりだって言いたかったのかなぁ〜。」

Y 「全く解からなかったんですけど、もっと解からなくなりましたねぇ〜、ははは・・・。」

A 「それと、欣也が戻ってから、欣也を追ってくるチンピラ風の数人との殺陣。あれもいらないと思ったけどね。」

B 「あら、ワッチはあれはあれで良いと思ったけどねぇ〜。」

A 「アッシはさ、寺山戯曲の信望者だから、あんまり変えて欲しくない、っていうのが本音なのよね。 さっき伴ちゃんが言ってたけど、変えちゃイヤなのよぉ〜。」

Y 「そういう気持ちは分かりますよ。」

B 「そうね、そりゃそうかも。」

A 「さっきも言ったけど、あの最後のカーテンコールも如何なものか、って。」

Y 「さっき言ってた美輪教みたいって。あれ、本当に美輪教でしたね、ははは・・・。」

A 「バックが孔雀だったじゃない。余計に宗教色を感じちゃったわね。」

B 「あら、もうシンデレラ・タイムだわぁ〜。ワッチは帰らないとぉ。お肌が荒れちゃうからね。」

Y 「だからぁ〜、もう遅いですってばぁ〜。ねえ、アキさん。」

A 「まあ、そうね。ははは・・・。」

B 「もう二人ともオダマリィ〜〜〜!」

一同 「ははは・・・・。」

おわり


*今回紹介したお芝居は、

1)<毛皮のマリー>  上演中〜5/10
   ル・テアトル銀座
   そのほか6月19日まで全国巡演
以上です。どうぞ足をお運びくださいね。
2009.5.9


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