<あの〜、2杯目は?>の巻

デンコ(以下D)「こんばんはぁ〜」

あき(以下A)「いらっしゃ〜い。はい、デンコ、おしぼり。」

D 「ふ〜〜む、極楽、極楽。」

ネコッチ(以下N)「あ〜んた、何なのぉ〜、年寄りみたいにぃ〜。あ〜、やだやだ。」

D 「だってぇ〜、ホントにホッとしたんですってばぁ〜。」

A 「で、デンコ、飲み物は何にする?」

D 「あ〜、そうでしたね。今月のお勧めは?」

A 「今月は<I.W.ハーパー12年>よ。」

D 「12年ですかぁ〜。じゃあ、お願いします。」

A 「で、どんな飲み方にする?」

D 「えっ?」

N 「馬鹿ねぇ〜。ただ、それ下さいじゃ、分からないじゃないのよぉ〜、アキちゃんも。ロックなのか、 ソーダ割りなのか、水割りなのか、ねえぇ。」

D 「あっ、そう言う事かぁ〜。じゃあ、最初はロックですよね、やっぱり。」

N 「あんた、分かってるじゃないの、意外に。ははは・・・。」

D 「何か棘あるよなぁ〜、今日は。」

A 「芝居のチケット失くしたらしいのよ。」

D 「それでぇ〜。でも方法はありますよ、ネコッチさん。」

N 「えっ!あるの?」

A 「はい、お待たせ。」

D 「いいですねぇ〜、この丸氷。これだけで美味しく感じちゃいますね。・・・う!美味〜い! 結構甘いですね、これ。」

A 「でしょ。コクがある割りには甘いのよ。でも、凄く美味しいわよね。」

N 「ちょっとぉ〜、味はいいからその方法教えてって。」

D 「そうだった、そうだった。で、ネコッチっさん、そのチケットどこで買いました?」

N 「え〜とねぇ〜・・・、アッ分かった。・・・そうそう、あそこよ。うむうむ。席番号も分かってるのよ。」

D 「インターネットで購入したんですね。それに席番号も分かってるんですよねぇ。それだったらまず大丈夫ですよ。 ただし、そのチケットを他の人が持ってたら別なんですけど。」

N 「で?どうするの?」

A 「アッシも知っときたいわ、イザという時の為に。」

D 「まず購入先に連絡するんですよ。で、発券証明書を送ってもらうんです。」

A 「発券証明書?」

D 「そう、発見証明書。インターネットで購入したんだったら決済されてますよね。 だから発券したという証明が必要なんです。」

N 「ちょっと待ってぇ〜。発券証明書ね。書いておかなきゃ。」

D 「で、今度は主催者側に連絡するんですよ。そうして当日どうしたら良いかを教えてもらうんですね。」

A 「ふ〜ん、なるほどねぇ〜。」

D 「でも、さっきも言いましたけど、飽く迄もチケットを持ってる人が優先ですからね。」

N 「分かったわぁ〜。ちょっとぉ〜、アキちゃん、デンコに次の一杯私からね。」

D 「へ〜、良いんですか?」

N 「アタシはこれでも大人よ。教えてもらったままって言うのはねぇ〜、出来ないじゃない。 せめて一杯くらいは。」

A 「流石はネコッチ。じゃあ、お代わりはネコッチからでね。」

N 「あ〜ら、何かスッキリしちゃったわぁ〜。アタシももらおうかな、<ハーパー12年>。アタシはソーダ割でね、 結構飲んでるからね。」

D 「ところで、アキさん。」

A 「何?」

D 「来月朗読するんですって?」

N 「えっ!!!朗読?」

A 「やだ!どこで聞いてきたのよぉ〜。まだ誰にも言ってないんだけど。」

D 「もうチラシ出来てましたよ。ほら・・・。」

A 「あら、ホントだ。アッシのところには来てないのに。」

N 「どれどれぇ〜・・・、あ〜、<Living together lounge>ねぇ。行かなきゃぁ〜。で、え〜と、 日にちがぁ〜・・・。」

A 「8月2日の日曜日よ。まあ、時間があったら聞きに来てね。」

N 「でも、ビックリしたわよ。とうとうアキちゃんも行動し始めたんだってぇ。」

A 「朗読はね、ず〜っとやってみたかったのよ、暫くやってなかったんで。丁度お話があってね。 それじゃぁって事で重い腰を上げたってなわけ。」

D 「朗読もいいですよね。またやりますよね、PARCO劇場で。」

N 「<Love Letter>かしら?」

D 「そうです。あれも良いですよね。」

N 「そう言えば、アキちゃんここの所忙しい忙しいって言ってるけど、お芝居行ってないの?」

A 「そんな訳ないじゃな〜い。しっかり行ってますよ。」

D 「最近は何に?」

A 「今週の月曜日にPARCO劇場に<サンデイ・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ>を観に行ってきたの。」

N 「あら、それアタシ昔観たわよぉ。確か鳳蘭と草刈正雄だったかしらね。」

A 「そうそう。確か、アッシがお店を開いてから3年くらい経った時だったから、今から20年ちょっと前かしらね。」

D 「へ〜。で、今度のキャストは?」

A 「主役の二人には戸田恵子と石丸幹二。それに諏訪マリーや鈴木蘭々、山路和弘、春風ひとみ、畠中洋などなど、 中々豪華なキャストだったんだけどね。」

N 「だったんだけど、って言う事は、アキちゃんにとってはイマイチだったのね。」

D 「そのキャストを聞くと、ミュージカルなんですか?」

A 「そうそう。ミュージカルよ。」

D 「で、どんな話なんです?」

N 「確かぁ〜、1幕と2幕では大分違ったわよね。最初の幕がジョルジュ・スーラが有名な絵を描いてるときの話で、 次の幕が現代っぽかったと思うんだけど。」

D 「ジョルジュ・スーラと言えば、何てったって<グラン・ジャット島の日曜日の午後>っていう絵ですよね。」

N 「あらデンコ、結構知ってるじゃないの。それって、あれよね〜、日傘を差してる女性とか、 パイプを加えている男とかが描かれてるやつよね。それよ、それ。その絵を描いている時の話が1幕目よ。 ね、アキちゃん。」

A 「そうそう。スーラが殆ど見向きもされなかった時代ね。彼が色々試行錯誤していた時代って言うのかな。」

N 「で、2幕目がスーラのひ孫がやってる美術。何やら現代美術っぽかったわよねぇ〜、アキちゃん。」

A 「そうね。ひ孫もアーチスト。発明家で彫刻家っていう設定ね。彼もまた試行錯誤しているのよね。」

D 「何か、1幕と2幕の繋がりがイマイチ分からないんですけどぉ〜・・・。」

N 「あんた、これはやっぱり観ないとね。そうよね、アキちゃん。」

A 「まあ、そりゃそうだわよ。まあ、簡単に言っちゃうと、スーラっていう人物は謎が多い人物だったって言うのは知ってる?」

D 「そうみたいですね。死ぬ間際に子供の事とかを話したらしいじゃないですか。」

N 「あら、アンタ、本当に良く知ってるわね。」

A 「その子供が2幕に出てくるお祖母ちゃん、マリーね。そのお祖母ちゃんが彼女の父であるスーラの <グラン・ジャット島の日曜日の午後>についての話をし、 その孫のジョージがその絵を記念して制作したレーザーで色を溢れさせて、 そこからこの絵を浮かび上がらせるというイヴェントをやっているのよ。」

N 「あ〜、大分思い出してきたわ。」

A 「そこで100年前のジョルジュと違って社交性のある現代のジョージは売り込みにはしるのね。でも、 お祖母さんの言葉にどこか引っ掛かっているの。」

N 「そうそう。で、確かぁ〜、そのお祖母さん、そのイヴェントの後に死んじゃうのよね。」

A 「そう。そのイヴェントの時にマリーから渡された赤いノート。 そこにこれから彼が進むべきあるヒントが書かれててね・・・。それはちょっと言えないんだけど。」

D 「あ〜、そこで1幕と2幕が繋がるんですね。」

A 「そういう事。」

N 「で、アキちゃんが今回のミュージカルがイマイチだって思ったのはどういう所なのかしら?」

A 「まあ、ネコッチは知っているとは思うけど、ソンドハイムの音楽って難しいじゃない。」

N 「そうそう。アタシなんか歌えないわよ、絶対に。まあ強いて挙げれば、 <リトル・ナイト・ミュージック>の・・・。」

D 「<センド・イン・ザ・クラウン>ですね。」

N 「あら、デンコも結構知ってるじゃない。」

A 「ね、本当に難しいのよ。で、その歌がイマイチ歌えてなかったのね。特に主役の二人が。」

D 「え〜?だけど、二人とも歌の上手さでは定評ありますよね。その二人がぁ〜?。」

A 「そうね。アッシが思うに、ジョージの石丸幹二はこのミュージカルに書かれた音楽には合っていないように思えるのね。 この役にしては声が太すぎると思うの。比べちゃいけないんだけど、 日本初演の草刈正雄のジョージはこの音楽にピッタリだった。この人、こんなに歌えるんだって思ったもの。」

N 「イメージから来るものもあったんじゃない?」

A 「確かにね。草刈正雄はそもそも歌が歌えるとは思ってなかったし、石丸幹二は、 前々から歌は上手いほうだと思っていたからね。でも、やっぱり合ってなかったと思うわね。」

D 「戸田さんの方は?」

A 「彼女も合ってない様に思えたのよ。声がすぐに裏声になるし。迫力がなくなっちゃうのね。 それから2幕で演じる今ではお祖母さんになっているジョルジュの娘マリー。ちょっとコミック色が強すぎたかなって。」

N 「相変わらず厳しいですね。他のキャストはどうだったんですか?」

A 「そうね。やっぱりジョルジュ・スーラのお母さんと美術評論家のブレアーを演った諏訪マリーが安心に観ていられたかな。 それから鈴木蘭々。彼女は特に2幕目が良かったわね。」

N 「演出は?」

A 「アッシは日米の初演しか観てないんだけど、去年ブロードウェイで上演していたものと然程変わらなかったみたいね。 ただちょっと気になった事もあったのよ。」

D 「何です?」

A 「あのね、1幕はジョルジュ・スーラが<グラン・ジャネット島の日曜の午後> を描くのに必要なスケッチをする場面がほとんどを占めるんだけど、そのスケッチをするスケッチブックが真っ白なのね。 アッシは前の方だったから判ちゃったんだけど、もうちょっと細部にも気を使って欲しかったかなぁ〜。」

N 「再演ってやっぱり難しいのねぇ〜。」

D 「脚本が難しすぎたんじゃないですか?ソンドハイムだし。」

A 「でも、良く出来た脚本よ。1幕と2幕で全く違った場面を作って、でも、そこは一つのもので結ばれてるっていう、 本当に素晴らしい脚本だと思ったわね。今回は、やっぱりキャストの選び方が勝負の分かれ目ってな感じかしらね。でも、 まあ、まだ始まったばかりだから、これから手を加えて良くなる事を願っているわね。」

N 「あら、もうこんな時間だわぁ〜。アキちゃんアタシ、チェックして。」

D 「え〜とぉ〜、ネコッチさん、・・・。」

N 「何?」

D 「あのぉ〜、僕、まだ2杯目頂いてないんですけどぉ〜・・・。」

N 「ま〜〜〜、しっかりしてるわねぇ。覚えてるから大丈夫よぉ。アキちゃん、じゃあ、デンコの2杯目作って。 それでチェックしてね。」

A 「アイヨッ!まあ、一本取られた!ってな感じね、ははは・・・。」

N 「本当にしっかりしてるんだからねぇ〜、ははは・・・。」

A 「はい、お待たせ!」

D 「有難うございま〜す。ネコッチさん、頂きま〜〜〜す。」

N 「勝手に飲めば!」

A 「うっ、もう〜。ははは・・・・。」

一同 「ははは・・・・。」

おわり


*今回紹介したお芝居は・・・

1)<Love Letters>    ル・テアトル銀座
     7/21〜26
2)<SUNDAY in the PARK with GEORGE>
     PARCO劇場  上演中〜8/9まで
以上です。梅雨明けも間近。どうぞ足をお運び下さいね。また、チケット紛失時の対応も参考にして下さい。
2009.7.11


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