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<仲が良くて羨ましい>の巻
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竹さん(以下T)「それにしても本当に暑くなりましたよね。ほんのひと月前とは全く違います。
もうこの歳になると応えますよ本当に。」 あき(以下A)「まあ、竹さんはまだまだ若いですって。アッシなんか竹さんよりは若いですけど、 もう大変。気温の変動について行けなくってやる気がなくなっちゃってぇ。」 T 「何言ってるんですかぁ〜。アキちゃんはまだまだ若いって。肌も艶があるし、私とは大違い。 羨ましいくらいですよ。」 A 「ま、肌については両親に感謝ですよね。ケアも何もしてないんですよ。」 大ちゃん(以下D)「こんばんはぁ〜。」 サム(以下S)「お晩です。」 A 「あら、大ちゃんにサムも。いらっしゃ〜い。一緒に来るなんて何かあるの?」 D 「今日は聞きに来たんですよ。」 S 「そうそう。先週言ってたじゃない。」 A 「はい、オシボリ。・・・何だっけ?」 S 「<ドリームガールズ>だってばぁ〜。」 D 「行って来たんですよね、初日に。」 A 「あ〜、その話ね。その前に今日は何にしましょうか?」 D 「あっそうそう、そうでした。」 S 「失礼しました。早く聞きたかったからさぁ〜。 アタシはこの前美味しかったからカンパリ・ビアーを頂きま〜す。」 D 「僕もカンパリ・ビアーで。」 A 「アイヨッ!・・・・お待たせしました。」 T 「懐かしいですね、カンパリ・ビアー。」 S 「あら、全然気が付かなくってぇ。竹さんいらしてたんですね。こんばんは。お元気でした?」 T 「え〜、元気は元気ですよ。暫く振りで来たもんですからね、二丁目に。」 S 「それじゃ、新橋とか上野や浅草に?」 T 「いえいえ、私が飲みに出るとしたら二丁目だけですね。他も行った事はあるんですがぁ〜、 う〜む、私にはイマイチで、やっぱり二丁目ですね。」 D 「こんばんは。初めまして。大です。」 T 「初めまして。お若いね。大ちゃんとおっしゃるの?」 D 「はい、大です。竹さんとお呼びして構いませんか?」 T 「え〜、どうぞどうぞ。竹ですから、ははは・・・。」 D 「竹さんの中ではやっぱり二丁目なんですね。安心します、そんな話を聞くと。」 T 「どうしてまた安心なのですかね。」 D 「まだ年配の方が二丁目に見切りを付けてないんだって。」 S 「確かに最近年配の方を見かける事が少なくなってきましたものぉ〜。」 D 「そうなんですよ。僕なんかが行くバーで年齢の差が大きくあるのってペンギンくらいなもんなんです。 勿論老け専を除いてですけど、あっ、失礼しました・・・。」 A 「確かにそうかもね。最近アッシが行くバーでも何時も一番年上だからね、アッシが。」 D 「だから色々な話が聞けなくて。バーの良さの一つに、色々な世代、職業、 考えの人が集まってるって事があるじゃないですか。だから、僕ら若い人達は、色んな話を聞いて、 それをこれからの人生の参考にも出来るんですよね。」 S 「だけど、今の状態じゃぁね〜。聞こうとしても、相談しようとしても、 年代が一緒だとそれなりの話しか出ないわね。」 D 「そうなんですよぉ。僕がペンギンに来るのも年代が色々居るっていう事もあるんです。 これって趣味とはまた違うんですよね。」 T 「なるほどねぇ。それじゃ色々話してくださいな、これを機会に。」 D 「こちらこそ宜しくお願いします。」 S 「ところでどうだったの?<ドリームガールズ>は。」 A 「行ったのは初日。そんな事もあって観る側も演る側も力が入ってたと思うのよ。だけど、 逆にお客様が入るのって初めてだから、音響とかは調整の必要もあるって訳よね。」 T 「アキちゃん、行ってたんですね。実は私も行ってましたよ、初日に。」 A 「あら、そうだったんですかぁ〜。休憩時間にもお見掛けしませんでしたね。」 T 「まあ、あれだけ広いですからね。」 D 「それじゃぁ竹さんにも聞けますね、感想。」 S 「そうねぇ〜。で、竹さん、如何でした?」 T 「いや〜ね、私、実はブロードウェイでも観てるんですよ、初演なんですけど。 ず〜〜っと前にアキちゃんとも話しましたよね、確か。」 A 「そうそう、そうでした。あれは、伊勢丹が創業100年記念で呼んだ来日公演でしたよね。」 T 「初演の時と来日公演とを比較したりしてねぇ。 来日公演でエフィー役だった人が知り合いだったんですよね。」 A 「そうです。え〜と、写真があったと思うんだけどぉ〜・・・・、あっ、これこれ。 彼女シャロン・ブラウンっていうんですけど、映画の<コーラスライン>に出た後、数年後に再び来日して、 その時はアンドリュー・ロイド・ウェバーのショーだったんですけど、それが最後ですかね、会ったのは。」 T 「あっそう。で、あの来日公演は初演の演出をまあ忠実にやってましたけど、 今回はちょっと違いましたね。」 D 「どんな風に違ったんでしょうか?」 A 「今回は、ほら、3年程前に公開された映画を基にしているって感じかしらね。」 T 「そうですね。初演時には無かったシーンや歌が結構ありましたし。」 S 「それじゃ、映画を観てたらある程度は字幕を見なくてもいいって訳よねぇ。」 A 「そうね。まあ、字幕は両端にあるから席にもよるけど、 映画のストーリーを覚えてたら字幕なしでも大丈夫よ、きっと。」 D 「で、肝心の出来の方は?」 A 「竹さんはどうでした?アッシはちょっと期待外れかな。でも、これは全くダメって言う事じゃなくて、 初演を観ちゃってるからどうしても比べちゃうのよね。 それにさっきも言った様に映画をまたミュージカルにしたって感じじゃない。 アッシにはちょっとしっくりこなかったのよ。」 T 「そうですね。私もオリジナルの演出の方が好きですね。LEDを使って照明や映像も新しいんですけど、 昔のシンプルな演出の方がグッときますかね。」 D 「え〜、それじゃぁ観る気が少し無くなりますよぉ〜。」 S 「そうねぇ〜。」 A 「さっきも言ったけど、アッシや竹さんは初演を観てるじゃない。 だからそう言った感想を持ったんだと思うけど、映画しか観てない人だったら、結構満足かもよ。 アッシは舞台を観てるっていうより、むしろ映画を舞台上に持ってきた感じがしたのね。まあ、 映像とか使ってたからかもしれないけどね。」 D 「僕は映画が大好きだったから、それだったら大丈夫かもしれませんね。」 S 「出演者達はどうだったの?」 T 「私は、まあ、初日だったって事もあると思いますが、歌の迫力がいまひとつだった様に思えましたがね。 アキちゃん、どうですか?」 A 「そうですね。アッシも、えっ?って思いましたけど、最初はPAの調整のせいかなって思ってたんですよ。 確かにPAは手探り状態だったと思うんだけど、 黒人の人が持ってる特別なソウルみたいなものを感じなかったんですね。もっと弾けても良かったかなって。」 T 「そうですね。グッと来ませんでしたよね。まあ、日本人ではあそこまでも無理だとは思いますが。」 A 「それはそうですよぉ。とってもあの感じは出ませんって。」 D 「映画では結構感じましたけど。実際にステージを観てるとまた違うものなんですか?」 A 「出演者も違うし、演出も違うからね。」 S 「アキちゃんは今回の舞台を観て、特にこんな所に不満を感じたってあるのかしら?」 A 「さっきも言ったけど、歌の迫力が第一ね。一幕の見せ所、<And I am Telling You I'm Not Going> は差し迫った感情がイマイチだったし、二幕のエフィーが自分は変ったって唄う<I'm Changing> は演出方法は初演と少しだけ変ったくらいだったけど、衣装 も 歌の後半変っているんだけど、 あまり変貌した様には思えなかったしね。」 D 「そうなんですか。逆に良かった点は?」 A 「良かったって言うか、やっぱり凄いわねと思わせたのは、家族や仲間の大切さを謳った物語、 カツラを含めた衣装の多さと早や替わり。それからステージのスピードね。」 T 「そうですね。話はやはり良いですよ。それに本当に多かったですね、衣装が。 あの早や替わりは凄かったですよ。」 A 「今回の舞台は、映画を見て初めてドリームガールズを知った人向けだわ、 って思ったのは以前にこの舞台を観ている人全てじゃないかなってね。」 D 「若者向けって言う事かなぁ〜。」 S 「アンタ!竹さんも居るっていうのにぃ〜。」 T 「ははは・・・、構いませんよぉ。まあ、私もアキちゃんの言う通り、 映画を観た人向けのサーヴィス溢れる舞台だったと思いましたが。」 S 「やっぱり多く観ている人とそうじゃない人とは全く見方が違うじゃな〜い。 その辺りが参考になるかならないかの分かれ目よねぇ〜。」 D 「そうですね、きっと。まずは観に行かないとぉ。」 S 「そうよね、折角取れたんだからねぇ〜、アタシたち。」 A 「あら、取れたんだぁ〜。良かったじゃない。楽しんできてよぉ。」 S 「そうよね。アタシたち観たらまた違う感想を持てるでしょうから。」 D 「そうですよね、きっと。」 T 「そうです、そうです。みんな感覚は違いますから。楽しんでいらしてね。」 S 「舞台って観客も自ら楽しまなきゃいけませんから。」 D 「サムさん、楽しみましょうね。」 T 「話は変わりますが、トイレに貼ってあるポスターですけど、アキちゃん、行かれましたか?」 A 「ええ、行って来ました。先週の第二部<夢の泪>なんですけど。」 S 「あれねぇ〜。偶然にも始まった途端に作者の井上ひさしさんが亡くなっちゃったからね〜。」 D 「亡くなっちゃいましたね。」 T 「如何でした?」 A 「もう上手いな、って。脚本も役者もね。」 S 「東京裁判の話なのよねぇ〜。」 A 「まあ、直接東京裁判が出てくる訳じゃないんだけどね。」 D 「出てこないのに東京裁判の話なんですか?」 A 「そうなの。まあ、東京裁判は直接出てこないんだけど、 東京裁判の弁護人補助となった弁護士夫婦を中心に、東京裁判とは?を軸にして日系二世の軍人との交流、 終戦当時の在日朝鮮人たちの立場、 夫婦の娘の成長などを絡めて進んでいくあっと言う間の3時間弱だったわ。」 T 「私、6〜7年前でしたか、いま上演している2部を観損なっているんでね。 是非行きたいと思っていたんですが、何しろチケットが取れないんですね。」 S 「そんなに人気なのぉ〜。」 D 「やっぱり作者が亡くなっちゃった事も相当影響してるんですかね。」 A 「そうじゃないのよ。この芝居、発売当初に完売になっちゃって。後は当日売りかしらね。」 T 「そうですか、当日ですかぁ。」 A 「そうなんですよ。竹さんお時間有るんですか?」 T 「それが丁度忙しい時で、日曜日まで仕事なんですよね。でも、何とか頑張ってみますよ、 君たちもチケット頑張って取ったんでしょ。」 S 「もう、そりゃ大変だったんですよ、竹さん。」 D 「あれ?チケット取ったの僕なんですけどぉ〜。」 A 「あら、サムじゃないのね、ははは・・・。」 S 「だからぁ〜、大ちゃんが大変だったのよ、ね、大ちゃん。」 D 「もう調子がいいんだから、サムさんは。」 T 「いいですね、仲がおよろしくて。羨ましいですな、ははは・・・。」 A 「ほんとに!ははは・・・・。」 一同 「ははは・・・・・。」 おわり
*登場人物は全て仮名です。 *今回紹介したお芝居は、 1) 来日ミュージカル<Dreamgirls> 上演中〜6/5まで 文化村オーチャード・ホール 2) 東京裁判三部作の第二部<夢の泪> 上演中〜23日 新国立劇場・小劇場以上です。どうぞ足をお運び下さいね。 2010.5.23
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