<協力が大切よ。>の巻

徹っちゃん(以下T)「いや〜ん。もう死にそ〜〜〜う。」

あき(以下A)「徹、いらっしゃ〜い。まあ、暑い中、有難うございますぅ。はい、オシボリ。」

T 「あ〜〜〜、極楽、極楽。熱いオシボリもいいわねぇ〜。」

順子(以下J)「拭いた後にす〜っと涼しく感じますからね。」

T 「あら、順子、もう来てたの?」

A 「な〜んだ、アンタ達、待ち合わせだったのね。」

J 「そうなんですよぉ〜。偶然紀伊国屋で会って、後でペンギンでって。」

A 「徹は何にします?」

T 「あっそうそう。え〜とぉ〜、今月のお勧めは?」

A 「今月は<ミント・ビアー>よ。」

J 「ミントとビールですか?」

A 「そうそう。凄く単純なんだけど、ちゃんとカクテル・ブックに載ってる物なのよ。」

T 「じゃぁ、それ試してみましょ、っと。」

A 「アイヨッ!・・・はい、お待たせぇ〜。」

J 「ちょっと変った色ですねぇ。」

T 「あらぁ〜〜、ちょっとぉ〜〜、飲みやすいじゃないのぉ〜。順子もちょっと飲んでみる?」

J 「いいんですか?それじゃ、ちょっと。・・・・・う〜む、美味しいじゃないですか。」

A 「でしょ。結構評判いいのよぉ。今月はもう30杯以上出てるかしらね。」

T 「あら、忘れてたわ。アキちゃん、はい、お土産。」

A 「何時も有難うね。助かるわぁ〜。」

J 「何なんですか?」

A 「お新香なのよ、茄子の。」

T 「有名なのよね、アタシの田舎じゃ。」

J 「いいですね、田舎が有る人って。僕はアキさんと一緒で東京生まれの東京育ちだからなぁ〜。 田舎欲しいですね。」

A 「あら、順子、アッシらの田舎は東京よ。故郷は東京。」

T 「そうよ。いいじゃないの東京が故郷なんて。交通費も掛からないし、親元は近いし。 何かあたって直ぐに行けるし、向こうも来れるじゃな〜い。ね。」

J 「まあ、そうれはそうなんですけどぉ〜。どこか淋しい感じがするんですよね、 お盆とか正月だとかはぁ〜〜〜。」

T 「分からない訳でもないけどさぁ〜。大変よ、田舎に帰るのって。アタシなんかもうこの歳じゃな〜い。 でもさぁ、まだ言われるのよね、結婚は?って。」

A 「まあ、それは仕方ないわよ。アッシだって一度は言われるからね、まだ。」

J 「まあ、アキさんが言われるんじゃしょうがないですね、ははは・・・・。」

A 「ま〜〜〜ぁ、失礼ねぇ〜、ははは・・・・。」

T 「所でさぁ、アタシ田舎に帰ってもず〜っと離れなかったのよ、あの事が。」

J 「えっ?どんな子なんですか?」

T 「違うわよぉ〜、あの子、じゃなくて、あの事よぉ。」

J 「な〜んだ。夏の日の恋話だと思ったのにぃ〜、残念。ははは・・・。で、何の事なんです?」

T 「ほら、コンサート。コーラスの。」

J 「あ〜、シングル・シンガーズのコンサートですね。あれ良かったですよね。」

T 「あれ?順子も行ってたの?全然気付かなかったわねぇ〜。」

J 「僕も全く気付きませんでした。でも、本当に良かったなぁ〜。特に一部。」 

A 「管弦が入ってるヘンデルのメサイヤね。」

T 「やっぱりオラトリオは普通の合唱曲と違った良さを感じるわよね。でも、 アタシは一部よりも二部のジャズ・ミサの方が良かったわよ。」

A 「あれはアッシも凄く良かったと思ったわね。演出も照明も。感動の一曲になったわよね。」

J 「確かに二部も良かったですよ。あそこの合唱団はおチャラケが無いからいいですよね。」

T 「そうね。確かに他の合唱団は二部にお遊びが入っちゃうじゃない。 勿論真面目にやっているとは思うんだけどぉ〜。」

A 「そうね。勿論真面目だとは思うんだけど、アッシにとってもおチャラケは全く必然性を感じないのよ。 その点、このシングル・シンガーズは正面から合唱に」取り組んでいる姿勢が好きね。」

T 「それ言えてるぅ〜。ちょっと残念だったのは三部かな。」

J 「あれ、難し過ぎません?」

A 「確かにね。聴く方にとっては多言語の曲は難し過ぎるわね。初めて聴くと、 どうなっているのか全く分からないと感じるかもね。」

J 「そうですね。」

T 「たださぁ、意気込みは感じるわよねぇ。」

A 「それは大いに感じたわよ。 この合唱団が合唱に真摯に取り組もうとしているのが良く分かった三部だったわね。」

J 「お芝居なんかは行ってないんですか? 僕はこの前フライング・ステージの舞台を久し振りに観に行ったんですよ。」

A 「アッシも行ったわよ。もう何年ぶりかしら。」

T 「アタシは行ってないわねぇ。もう10年以上行ってないかしら。で、どうだったの?」

J 「結構面白かったし、現実に僕達がぶつかるかもしれない問題も含んでいて考えさせられましたね。」

A 「そうね。一部は歴史上有名なゲイを登場させて自分達の人生を語っていく。そして、 最後に三島由紀夫の小説に出てくる<私>が他の皆に<本当に幸せだったのか?>っていう疑問を投げかける。 それがニ幕に繋がっていくのよね。」

T 「あら、面白そうじゃないのぉ。」

A 「何しろ前に観た時より役者の実力が上がっているのが良かったわよ。」

J 「それにさっきも言いましたけど、実際に起こりそうな問題に真正面から取り組んだのも良かったですよね。」

T 「それって?」

J 「主人公の一人はゲイである事をカミングアウトしているんですよ。一方、 相方の彼は会社や地域に対して体面があるのかカミングアウトできずにいるし、 おまけにかミングアウトしている彼氏を邪魔に思うようになるのよ。」

T 「分かるわぁ〜。カミングアウトしている人って、 そうじゃない人の気持ちがちょっと理解できない所が有るわよね。」

J 「それはお互い様だと思うんですけどぉ。」

A 「そうよね。お互い様よ。自分の考えや都合をそおう簡単には変えられないからね。アッシ、 何時も思っているんだけど、やっぱり相手を尊重するってとても大切な事だと思うわけね。 この芝居での結果は幸せなものじゃないかもしれないけど、 もっと時間を掛けてたらお互いにもう少し歩み寄れたかな、って。」

T 「難しいわよねぇ〜。アタシはカミングアウト、絶対に出来ないわよぉ〜。」

J 「え〜〜〜、そんなにオネエさんなのにですか?」

T 「お黙り!」

A 「ははは・・・・。でもさ、本当に難しいわよね。カミングアウトをした人のいい記事ばかりが紹介されて、 悲惨な事はあまり紹介されないしね。アッシら色々な人達を見ていると、 必ずしもカミングアウトがいいとは思えないところもあるのよね。まあ、アッシらの永遠の課題よね。」

T 「それはそうと、これは行ってきたの?」

J 「渡辺えりさんの<乙女の祈り>?」

A 「一人舞台なのよ。最初は4人の作家の作品をオムニバス形式で上演する予定だったんだけど、3人の作家、 4つの話に変更して上演されたのね、実際には。」

T 「で、どうだったの?」

A 「まあ、やっぱり役者さんよね。夫々の物語の主人公にちゃんとなりきって約90分演じ続けてたわね。」

T 「でも、一人芝居なんでしょうぉ〜。大変よね、衣装も変えなきゃいけないしさぁ〜。」

J 「こんな恰好もするんですか?」

A 「まあ、これはチラシ用ね。実際にはバレリーナの話はないのよね。あったら面白いかもね。 それにしても本当に良くやったわ、って感じよね。台詞の量が膨大だし、衣装替えも工夫がいっただろうしね。 彼女も終演後に言ってたけど、一人芝居といっても一人では出来ない。 色々な人の協力有ってこその舞台だったって。」

T 「そりゃ、そうよねぇ〜。なんでもそうだけど、協力するって本当に大切よぉ。」

A 「そうでしょ。そう言えばアッシの友達が今週歌舞伎町の劇場で<マット&ベン> というお芝居を演出するのよね。だから皆さんも協力お願いしますよ。」

T 「そりゃ大変ね事ねぇ。演出って本当に大変そうだもの。で、どういう芝居なのかしら?」

A 「もう何年前になるかしらね。<グッド・ウィル・ハンティング>っていう映画があったでしょ。 その映画の脚本を書いて出演もしたマット・デイモンと ベン・アフレックのその映画の脚本が届いたばかりに色々な事が起こってく、 売れない二人の映画俳優の話なの。オフ・ブロードウェイの翻訳上演なのよ。」

J 「面白そうですね。それじゃ、このお芝居にも協力しなきゃね。」

A 「宜しくよ!それに、ここでも協力忘れずに、ね。」

J 「えっ?そう言う事なんですかぁ〜?ははは・・・。」

T 「それじゃ、アタシはここでも協力するわよぉ〜。もう一杯、ミント・ビアーお願いね。」

J 「それじゃ、僕もミント・ビアーで。」

A 「アイヨッ!」

T 「アキちゃんも何かどうぞ。」

A 「有難うございます。それじゃ、アッシはブランデイの水割りを頂きますわね。」

T 「それじゃ、みんなで乾杯しましょうよぉ〜。」

J 「そうですね。かんぱ〜〜い!」

一同 「かんぱ〜〜〜い!ははは・・・・・。」

おわり
* 登場人物は全て仮名です。

* 今回紹介したお芝居などは、

  1) シングル・シンガーズ演奏会
      公演終了
  2) 劇団フライングステージ  <トップ・ボーイズ>
      公演終了
  3) 渡辺えり 一人芝居 <乙女の祈り>
      公演終了 (2011年秋、再演予定)
  4) <マット&デイモン>
        8/26〜29  新宿シアター・ミラクル
 以上です。まだまだ暑い日が続きそうですが、映画、お芝居、コンサートなどに足をお運び下さいね。

2010.8.22


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