<面倒だわぁ〜。>の巻

康介(以下K)「暑〜〜〜いぃ〜〜〜。」

あき(以下A)「いらっしゃい、康介。アンタ大丈夫?熱中症じゃないでしょうね。」

K 「あ〜、そうかもしれませ〜〜ん。もうボ〜っとしちゃって。」

A 「はい、オシボリ。」

K 「あ〜〜〜ぁ、生き返るぅ〜。」

A 「ちょっとまずは塩水でも飲みなさいよ。はい・・・。」

K 「有難うございますぅ。」

ヨッシー(以下Y)「だけど本当に暑すぎますよ。昼間なんか営業で出てて、何時倒れるかって・・・。」

A 「んまっ!ヨッシーが倒れそうだなんてぇ。まあ、そうよね。アッシも昼間は外に出たくないものね。」

Y 「ですよねぇ〜。でも、俺、営業なんですぅ〜。外に出なきゃ仕事にならないんですよね。 も〜〜〜ぅ死んじゃいそうですぅ〜。」

K 「分かります、分かります、ヨッシーさんの気持ち。僕も昼間はな〜んにもやりたくないですからね。」

A 「益々夜の男になっちゃうわね、康介は。」

K 「な〜んか嫌だなぁ〜、その表現。夜の男ってぇ〜・・・。」

Y 「でも、合ってるかも・・・ふふ。」

K 「酷い!ヨッシーさんまでぇ〜。」

A 「ははは・・・・。それはそうと、康介、今日は何にしようか?」

K 「あっ、そうでした。え〜と、今日はハーパー12年をロックでお願します。」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

K 「いいですよね、この丸氷。」

Y 「ホントにね。俺もこの氷が有るからロックを頼んじゃうんだよね。」

K 「あっ、そう言えばヨッシーさんもロックですよね。何飲んでるんです?」

Y 「俺はラフロイグ。」

K 「あ〜、強烈な匂いのあれですね。」

A 「ファンになっちゃうと止められないのよね。」

Y 「そうなんですよぉ〜。ボウモアもいいですよね。」

A 「そうね。同じアイラだし。」

K 「あ〜、アキさん、チェーサーいただけますか?」

A 「あら、ゴメン。今お出しするわね。・・・はい、失礼いたしました。」

K 「所で最近何か有りました?いい芝居。」

A 「そうね。<真心一座身も心も>の<流れ姉妹〜たつことかつこ>が良かったかしらね。」

Y 「何ですか?真心一座?」

A 「ナイロン100℃所属の女優、村岡希美と猫のホテル主宰の千葉雅子が旗揚げしたユニットよ。 この二人が主演を務めて、流れ姉妹シリーズを上演し続けてるって訳。で、今回は、 来年のシリーズ・ファイナルに向けて、第一章を再演したのよね。」

Y 「どんな芝居なんです?シリーズになってるって事は連続物って事ですよね。」

A 「まあ、タイトル通り、<流れ姉妹、たつことかつこ>の話なんだけど、分かり易く言っちゃうと、 かつての日活映画のシリーズみたいなのよね。今まで第二章が<ザ・グレートハンティング>、 第三章が<獣たちの夜>とやってきて来年がファイナル。」

K 「で、話の流れを簡単に言ってくださいよ。」

A 「そうね。姉たつこの身代わりで北の刑務所で服役していた妹のかつこ。 出所してから姉との再会を望んでいるんだけど、不意な所で再開するの。 所が再び別れ別れに旅立つ運命になっちゃうのね。 それか異郷の地で暮らしていた二人がまたひょんな事から再会。 二人で母からの手紙をたよりに飛田新地に向おうとするんだけど、 そこで元やくざで今は保護観察司をしている末次と再会し、彼は二人の過去、 それは二人が母親を殺したと言うものだったんだけど、それを暴いてしまうのよ。 そして大阪に辿り着いた二人は、またまたひょんな出来事で別れ別れに。 二人が小名浜にある温泉ランドに行くと、そこには母親が・・・。しかし、その母親は偽者だったのね。 全てに末次の影がちらついてるのよ。」

Y 「悪いヤッチャなぁ〜、その末次って奴はぁ〜。」

K 「本当だよね。保護観察司なんでしょ、今は。」

A 「そうそう。で、また姉妹は当ても無い旅にでるのね。そこで第四章、ファイナルになるんだけど、 それは来年ね。」

Y 「本当にシリーズ映画の様ですね。」

A 「でしょ。だから次が観たくなっちゃうの。ファイナルまでいったらシリーズDVDが出るかもね。 そしたら益々映画みたいになっちゃうかもね。」

K 「役者達はどうなんです?」

A 「そりゃ達者よ、みんな。これでチープな演技してたら観られたもんじゃないでしょ。」

Y 「そうですよねぇ〜。」

K 「ファイナル観たくなりましたね。取ってもらえますか?チケット。」

A 「大丈夫よ。ちゃんと決まったら言うからね。」

Y 「そう言えば、行って来ましたよ、アキさんの友達が演出してるっていうやつ。」

A 「あら、行ってくれたんだぁ〜。有難うね。」

K 「何、なにぃ〜?」

A 「<マット&ベン>っていうオフ・ブロードウェイで上演された芝居の翻訳劇なのよ。」

K 「で、ヨッシーさんは如何でした?その芝居は。」

Y 「俺は男バージョンに行ってきたんだけど、結構面白くて。」

K 「男バージョンっていう事は、女バージョンも有ったって事ですよね。」

A 「そうなのよ。この芝居は、元々ミンディー・カリングとブレンダ・ウィザーズ という女性二人が書いた戯曲で、その二人がマットとベンを演じたのね。だから元々は女性バージョンな訳。」

Y 「そうでしょ。俺ね、 観ていて女性バージョンの方が全て架空に出来てもっと面白かったかなって思いましたから。」

A 「あら、そう。」

K 「で、どんな話なんですか?」

A 「康介は<グッドウィル・ハンティング>っていう映画知ってる?」

K 「はい、勿論知ってますよ。ボーン・シリーズに出てるマット・デイモンとアルマゲドンに出てた ベン・アフレックがアカデミー賞の脚本賞を獲った映画ですよね。」

A 「そうそう。」

K 「あっ、そうかぁ〜。そのマットとベンなんだぁ〜。」

Y 「そうなんだよね。その<グッドウィル・ハンティング>の脚本が天井から落ちてくるところから始まるんだよね、芝居が。」

K 「へ〜。面白そうですね、取っ掛かりを聞いただけでも。」

A 「仲の良い二人がサリンジャーの<ライ麦畑でつかまえて>を基に共同で脚本を書いているのね。でも、 何かしっくりこないのよ。そこに天井から一個の包みが落ちてくるの。」

Y 「で、中身を開けてみると、<グッドウィル・ハンティング〜作マット・デイモンとベン・アフレック> って書いてある。中を読んだ二人は、 そのあまりにも完成されている脚本に自分達が書いた事にしてしまおうと思うんだよ。」

A 「でも、性格が全く違う二人にどんどん溝が深まってってね。色々な出来事が起こるんだけど、 とうとう決定的な争いが。」

Y 「ベンがマットを殴って出てっちゃうんだよね、アパートを。 マットは気絶しちゃって出演が決まってた映画の打ち合わせに行けない状況になっちゃったんだよ。」

K 「酷いね。ベンは。」

A 「でもさ、ベンは後悔してる訳よ。やっと気を取り戻したマットも、ベンをそう悪くは思ってないのね。 で、ベンが謝りの電話をくれないか待ってるのよ。」

Y 「その間、例の脚本を再び読もうとしたマットは、その脚本が真っ白になっている事に驚くんだよね。」

K 「えっ?真っ白に?」

A 「そう。そしてベンから謝りの電話が掛かってくるの。部屋に戻ったベンに脚本が真っ白になっている事を説明すると、 ベンはタイプライターを持ち出してペーパーに打ち出すの。」

K 「何て打ってたんです?」

Y 「観客には分からないんだよね。でも、おそらく<グッドウィル・ハンティング> じゃないかと思うんだけど。」

A 「それが正解よね、きっと。でもアッシは、<マット&ベン>じゃないかと思うんだけどね。」

K 「どっちも想像できますね。で、アキさんは両バージョン観たんですよね。」

A 「勿論観ましたよ。」

Y 「アキさんはどうでした?」

A 「そうね。両方とも達者な役者を揃えただけあって良かったんだけど、 日本語と視覚のイメージの難しさについて考えさせられちゃったかな。」

K 「どういう事ですか?」

A 「ほら、元々はオフ・ブロードウェイだから、英語じゃない。英語って男言葉と女言葉は無いでしょ。 でもさ、日本語には男言葉と女言葉があるじゃない。勿論、今は結構乱れてるけどね。だから、 女性が男性を演じる場合、英語だとそんなに違和感は無いと思うのよ。でもさ、日本語だと、 男性に扮している女性が男言葉で喋ってるって事になるでしょ。架空の話だから、それはそれで良いんだけど、 言葉と視覚の間に何とも言えないもどかしい物を感じちゃうのね。」

Y 「あ〜、なるほどぉ〜。宝塚なんかが良い例ですよね。 確かにそういうものだという意識で観ているから普通に観られると思うんですけど、 いきなりだと違うかもしれませんね。」

A 「そうなのよね。宝塚も、逆だったら歌舞伎だってそうじゃない。 そう言うものだと思ってるから違和感が殆どなく観る事が出来るのよね。たださっきも言ったけど、 全てが架空だからね。そう言う意味では女性バージョンでいいのかなって。」

K 「そうですね。全てが架空ですからね。」

Y 「架空ですからね。女性バージョン観たかったなぁ〜。再演あったら是非行きたいですね。」

A 「その時は言ってくれれば取りますよ、チケット。」

Y 「お願いしますね。」

K 「それにしても早く秋にならないですかねぇ〜。アキさんは芸術の秋だから色々行くんでしょ、きっと。」

A 「そうね。まずは<エリザベート>。トートを城田優君がやるから絶対に行きたいのよぉ〜。」

Y 「出た出た。アキさん、本当に綺麗な子、好きですよねぇ〜。」

K 「本当に。」

A 「あら、いいじゃないのぉ〜。向こうは関係ないんだからさ。こっちが一方的に好きなだけなんだから。」

Y 「でも、行ったらまた話し聞かせて下さいよ。10月末までやってるんですよね、確か。 俺もどのバージョンに行こうか迷っている所なんですよ。」

K 「またまたバージョンが有るんですか?面倒臭いですね。」

A 「まあ、何でもそうだけど、面倒だから止めちゃったら、何も始まらないでしょ。 面倒な事はやらないとね。」

Y 「そうそう。面倒だけど、やらないと。」

K 「は〜い。お二方に怒られちゃいましたぁ〜。」

A & Y 「ははは・・・・・。」

一同 「ははは・・・・・・。」

おわり
*登場人物は全て仮名です。

*今回紹介したお芝居は、

 1) 真心一座身も心も <流れ姉妹〜たつことかつこ〜>
      公演終了
      ファイナル公演は、2011年1月27日〜2月6日、下北沢本多劇場で上演予定

 2) <マット&ベン>
      公演終了

 3) ミュージカル<エリザベート>
      上演中〜10/30    日比谷・帝国劇場
 以上です。どうぞ足をお運び下さいね。

2010.9.12


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