<中身濃〜い!>の巻

トンちゃん(以下T)「おめでとう!」

あき(以下A)「トンちゃん、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いしま〜す。」

T 「宜しくね!」

浩(以下H)「トンちゃんさん、今晩は。明けましておめでとうございます。」

T 「浩ちゃん、来てたの、新年早々。」

H 「も〜う、それはないんじゃないですかぁ〜。」

T 「ゴメンゴメン。自分も来てるっていうのにね、ははは・・・。」

A 「はい、トンちゃん、オシボリどうぞ。」

T 「有難う。アキ、はい、これ、お年賀。」

A 「あら〜、何時もすみません。いただきま〜す。で、今日は何にしましょうか?」

T 「新年早々だし、日本酒でもいただこうかしらん。」

A 「珍しいですね、日本酒。でも、そ〜かぁ〜、トンちゃん昔良く飲んでましたっけ。」

T 「昔はね。でもさ、最近日本酒酔っちゃうのよぉ〜。でも、新年だし。アキも飲むでしょ。」

A 「はい、いただきま〜す。・・・それじゃ、とんちゃん、どうぞ。」

T 「有難う。・・・・それじゃ、アキも。ついでって言っちゃいけないけど、浩も飲めば?」

H 「え〜、良いんですかぁ〜。それじゃ遠慮なく頂いちゃおうかなっ。」

T 「はい。」

A 「それじゃ、トンちゃん、改めて今年も宜しくお願いします。」

H 「お願いしま〜す。」

T 「宜しくね。」

A 「ところで珍しいですね、本当に。何時もは正月休みは海外じゃなかったでしたっけ?」

T 「何時もはね。でもさ、今年のカレンダー、ね、こんなんじゃない。だから直ぐに仕事だったのよ。」

H 「多いみたいですよ、今年は。」

T 「多いみたいね。」

H 「実はオイラも4日からだったんです。な〜んか、あんまり正月休みって感じがしなくて。」

T 「本当よね。僕もさ、終わったのが29日でしょ。あっと言う間に休みが終わっちゃったのね。」

A 「普段だったらそんな事もないんでしょうけど、 年末年始はやたらとやる事が多いから余計に早く感じるんじゃないですかね。」

T 「それは言えてるわね。」

H 「アキさんも大変だったんですよね、年末から。」

T 「えっ?そうなの。何でぇ〜。」

A 「いえね、アッシは芝居やらコンサートやらで。たまたま年末に重なっちゃってぇ。」

T 「で、どんなの観て来たの?」

A 「年末恒例の綾戸智恵のライヴにGaku-Gay-Kaiで<贋作・Wの悲劇>、 それに渡辺えりが主宰するオフィス3○○の実験公演<笑うハチドリ>。 年始に入ったらシス・カンパニーの<大人は、かく戦えり>ですかな。」

H 「ね、年末から年始ですよ。他にやること沢山あっただろうに。 もうアキさんったら時間無い時間無いって・・・。」

T 「まあ、自分で予定立てたんだから仕方ないわよね、それは。」

A 「本当にそうなんですよ。まあ、でもさぁ、年末にこう重なっちゃうとねぇ〜・・・。」

T 「今どき珍しい芝居馬鹿ね、アキちゃん。」

A 「そうですね、全く。ははは・・・・」

T 「で、何かこれって言うものあったの?」

H 「オイラもそれ聞きたかったんです。って、その前にお代わり下さい。」

A 「アイよっ!・・・はい、お待たせ。」

T 「何?これ。」

H 「今月のお勧めドリンクなんです。すご〜く飲み易いんですよ。トンちゃんさんもちょっと飲んでみますか?」

T 「あら、そ〜う〜。・・・・・あら、結構いけるじゃない。何て言うの?」

A 「<赤ワインシャンディー>です。赤ワインにビール、それにジンジャー・エールを加えたものなんですよ。」

T 「へ〜。シャンディー・ガフに赤ワインを加えたってやつかしらん。」

A 「流石!トンちゃん。」

H 「って、そのままじゃないですかぁ〜、ははは・・・。」

T 「本当よぉ。正月早々、お世辞は結構よ、ははは・・・。で、話は戻るけど、何か有ったの?」

A 「それが中身が濃くて。特にオフィス3○○の<笑うハチドリ>と シス・カンパニーの<大人は、かく戦えり>の二つは本当に素晴らしかったわね。」

H 「聞きたい、聞きたい。」

T 「そんなに中身が濃いんだったらねぇ。」

A 「そうなんですよ。まずオフィス3〇〇の<笑うハチドリ>なんですけど、 これは実験公演って謳ってるんだけど、本公演以上に充実した舞台になってたのよね。テーマはずばり<虐待>。」

T 「え〜、虐待?」

H 「また随分と重いテーマですね。」

A 「そうでしょ。年末にこの重さ。ははは・・・。この作品、 渡辺えりが女性作家の作品を取り上げてる<えり選り>の一つなんだけどぉ・・・。」

H 「えり選り?」

A 「そう。やっぱり去年、彼女がやった舞台、<乙女の祈り>がその第一弾だったんだけど、 女性作家の秀作を彼女が取り上げて上演していくっていう企画なのね。で、 その第二弾がこの<笑うハチドリ>だった訳よ。」

T 「で?」

A 「この作品は石原燃っていう作家の作品なんだけど、元は、宮澤賢治の短編<黄色いトマト>なのよ。」

H 「黄色いトマト?」

A 「そう。一所懸命働いても働いても社会は残酷で認めてくれない。でも、良く見てみると、 その黄色いトマトは輝き続けているっていうやつ。」

T 「な〜るほど。」

A 「舞台は学校。標本のある場所なのね。かつて親に虐待の経験を持つ一人の警備員、虐待されてる一人の生徒、 虐待してないと言う母親、生徒の教師たち。その人達が織り成す人間模様なのね。 それを標本のハチドリが不思議な世界へと誘って・・・・。何しろ、役者が本当に良かったのよ。 次回公演が益々楽しみになってきたって感じなのよ。」

T 「結構良さそうだねぇ〜。昔の3〇〇みたいになってきたんじゃないの?」

A 「そんな感じでしたね。」

H 「<大人は、かく戦えり>は、このポスターのやつですよね。」

A 「そうよ。」

T 「こっちは凄いでしょ。このメンバーだもん。これで凄くない筈がないわよぉ〜。」

A 「正にその通りなんです。このメンバーですからね。」

H 「段田安則、大竹しのぶ、秋山菜津子、高橋克己。本当に凄いよね。で、どんな話なんです?」

A 「舞台はウリエ家の居間。ウリエ家の息子に怪我をさせたレイユ家の息子。 その謝罪にウリエ家を訪れたレイユ家夫婦。 ウリエ家夫婦とレイユ家夫婦の間で起こっていく子供の喧嘩の謝罪に端を発したお互いの家族、 夫婦間で起こる感情の爆発。一つの空間で起こる4人の丁々発止(打々発止とも)。時に辛辣に、時に笑いを。 実力をまざまざと見せ付けられた舞台でした。」

H 「それだったら映画にもなりそうだよね。」

A 「そうなのよ。もう映画化も決まってて、監督がロマン・ポランスキー、演技陣が、ジュディー・フォスター、 ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリーという超豪華版になる予定みたい。」

T 「凄いわね。でもさ、ポランスキーってアメリカに入国できないんじゃなかった?」

A 「そうなんですよ。」

H 「何でです?」

A 「ほら、もうず〜〜っと前の事だけど、彼、少女淫行事件を起こしてるのね。 それでアメリカには入国できないって事なのよ。」

T 「どうするのかしらねぇ〜。」

A 「情報によると、何でも今月からパリで撮影を開始するみたい。舞台はブルックリンみたいだけど。」

H 「凄く楽しみぃ〜!」

T 「子供の喧嘩に親が口出すと、やっぱり大変な事になりそうね。ははは・・・・。」

H 「アキさん、お代わりお願します。」

T 「あら、じゃ、僕も頂こうかな、その〜・・・」

A 「<赤ワインシャンディー>ですね。」

T 「それそれ。」

A 「これも、中身が濃いですよ〜。」

T 「一本とられたわね、ははは・・・・。」

一同 「ははは・・・・・。」

おわり
*登場人物は全て仮名です。

*今回紹介したお芝居は、

1) オフィス3〇〇 <笑うハチドリ>
    公演終了

2) シス・カンパニー <大人は、かく戦えり>
    上演中〜1/30 新国立劇場小劇場
    2/5 のみ 名古屋・名鉄ホール
    2/11〜15 大阪・シアター・ドラマシティー
以上です。今年に入って寒い日が続いていますが、どうぞ足を運んで下さいね。
2011.1.16


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