<あれから1年ねぇ〜。>の巻

サル(以下S)「こんばんはぁ〜。」

あき(以下A)「サルちゃん、いらっしゃ〜い。」

乱ちゃん(以下R)「サル〜、元気だった?」

S 「乱さん、それはコッチの台詞ですってぇ〜。僕は元気でしたよ。乱さんも元気そうじゃないですか。」

R 「まあね。」

A 「サルちゃん、オシボリどうぞ。」

S 「有難うございます。え〜と、今日は何にしようかな?お勧めって何ですか?」

A 「今月は<細雪>がお勧めよ。ジンベースで葡萄ジュースを加えて上にフレッシュミルクをまぶしたの。」

R 「何か珍しいよね、ジュースが入ってるなんて。」

A 「意外に多いのよ。ほら、ソルティー・ドッグやスクリュー・ドライバーなんかがそうじゃない。」

R 「そう言えばそうだね。」

S 「それじゃ、試しにその<細雪>をお願いします。」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

S 「あ〜、これですね。フレッシュミルクが山の頂に積もった雪の様ですね。」

A 「見た目にもいいでしょ。これね、 もう50年以上前にサントリーのカクテルコンテストでグランプリをとったやつなのよぉ。」

R 「へ〜、じゃあ、俺もそれ貰おうかな。」

A 「飲んでみてぇ〜。・・・・はい、お待たせ。」

R 「どれどれ・・・。う〜む、飲み易いねぇ〜。でもさ、ちょっと強くない?」

S 「そうですよね、僕もちょっと強いかな、って。」

A 「そう感じるのよね。アルコール度は13度位。まあ、ワインや日本酒よりちょっと低いかな。」

R 「やっぱりジュースで割ってるから回るのかな。」

A 「そういう感じがするのよね。それに、飲みやすいから早く飲んじゃうじゃない。さっきも言ったけど、 日本酒やワインとほぼ同じくらいだから、クイクイ飲んでると酔っ払うわよぉ〜。」

R 「それでかぁ〜。」

S 「アキさん、所で<アカデミー賞予想クイズ>の正解者っていたんですか?今年。」

A 「それが、今年はいなかったのよぉ〜。今年はさ、割と下馬評通りだったから何人かはいたと思ったんだけどね。」

S 「な〜んだ、残念!」

R 「で、アキちゃんは見たの?放送。」

A 「勿論見ましたよ。やっぱり素敵よね、アカデミー賞。 NHKのBSでも今週14日に放送するみたいだからまだ見る事出来るわよ。それに、 段々ノミネート作品も上映しだしたし、今月はアカデミー賞ノミネートの映画を観る機会が増えそうね。」

S 「やっぱり<アーティスト>ですよね。来月らしいですけど、公開は。」

A 「そうね。来月始めみたいよ。」

R 「映画もいいけどさ、芝居はどうなの?最近。」

S 「そうですよぉ〜。何か前にアキさん、今年は少し少なくするって言ってたから。」

A 「まあ、少なくするって言ったけど、それはひと月に一度は芝居を観ない月曜日を作ろうかな、 って事なのよぉ。」

R 「じゃあ、観てるんだね。で、何か面白いの有ったの?」

A 「そうね。ナイロン100℃の大倉君達数人で上演した<持ち主、登場>なんか笑いが止まらないほどだったわよ。」

S 「あ〜、サイド・セッションですよね、ナイロン100℃の。」

A 「そうそう。サルちゃんも観に行ったの?」

S 「え〜、たまたまなんですけど、友達が行けなくなっちゃって替わりに。面白かったですよね。」

A 「そうね。別に主題って言うのは無いと思うんだけど、 何しろお客さんに楽しんでもらうっていうのに徹したっていうか。 普段は見ることの出来ない楽器演奏とかもあってね。」

S 「そうでしたね。楽器もできるんだぁ〜って。兎に角、 楽しんでもらおうっていう意気込みがコッチに伝わってくる舞台でしたよね、アキさん。」

A 「そうね。ショート・コントが幾つかあって、それがどこかで繋がっていく。そして、 必ずここっていう所で持ち主が登場する。真面目な演技の繰り返しから笑いをうんじゃう。シブゲキ、 っていう渋谷の新しい空間も良かったんじゃないかな。」

S 「あそこ、一番後ろでも舞台から客席が近くて、舞台と一体感があるんですよね、凄く。」

R 「へ〜。近いっていいよなぁ〜。下手したらS席でもここが?って所もあるからね。」

S 「そうなんですよね。あそこは良いですよぉ〜、・・・。あれ?地震じゃないですか?」

A 「あら、ホントだ。・・・・ちょっと乱ちゃん、ドア開けて。」

R 「おぉ〜。・・・・収まったかな。」

S 「そうですねぇ〜。」

A 「あれから1年経つのよねぇ〜。今年は元旦からグラッと来たし、何時までも忘れるなよ、 っていう事よね。」

R 「あの時は東京も凄かったからね。ここも大変だったじゃない。」

A 「今でも良く覚えてるわよ。心配で自宅から歩いて来てみたら、全部落ちてるじゃない。 片付けるのに3時間以上掛かってさぁ〜。でもね、片付ければどうにかお店も出来たからね。 被災地の事を考えるとここなんか大したことないわよね、本当に。」

S 「ですよねぇ〜。あの震災から後はお芝居やコンサートも中止になったりしたしね。」

R 「川崎のコンサートホールなんか、天井が崩落しちゃって、金曜日だったから良かったけど、 土曜日だったら大変だったよね。」

A 「あそこは今でも再開出来てないのよね。」

S 「凄くいいホールだって評判だったんですよね。」

A 「そうよねぇ。被災地はまだまだ復興に相当掛かりそうだけどね。」

R 「もうイライラしちゃうよ、政府の対策の遅れには。俺だけじゃなくて、み〜んな思ってるんじゃないかな。」

A 「ホントね。でも、そういう人たちを選んでるのはアッシらだからね。」

S 「ちゃんと考えなくっちゃ。」

R 「地震がくる度にやっぱりあの日の事を思い出しちゃう。でも、それが大切なんだよ。 東京では何時もは普通の生活がほぼ戻ったけど、やっぱり忘れるな!って事だよね。」

S 「地震だけだったらまだしも、原発の問題もあったし・・・。」

A 「もうあれから1年。あっという間の1年だったわね。」

S 「東京では今年はお芝居もコンサートも行くことが出来るんだから本当に幸せですよね。」

R 「だから行こうよ、芝居に映画、コンサートも。」

S 「そうですよね。アキさん、他に何かありますか?お勧め。」

A 「アッシ、この前ミュージカル<キャバレー>を観てきたんだけど、 これは正直言ってちょっとお勧めできないかな。前回と成長も何もなかったのよ。ちょっとどうかなぁ〜、って。」

R 「それはキツイね。前の時に言ってたよな、アキちゃん。主役がイマイチって。」

A 「そうなのよね。サリーの藤原紀香とクリフの大貫勇輔が歌も演技もチョットね、って感じよ。 MCの諸星和巳やシュナイダー夫人の杜けやき、 果物屋の主人シュルツの木場勝己たちが本当に良かっただけに残念で仕方ないかったわぁ。」

S 「そうだったんですね。舞台の宣伝なんかでは相当いいみたいな事言ってましたけどぉ〜・・・。」

R 「そりゃ、そうだろうよ。そう言わなかったら来てくれないでしょ、お客様がさ。」

A 「そうよね。でも、あれじゃねぇ〜。まあ、酷くはないんだけど、伝わってこないのよね。本当に残念!」

R 「今月は無いの?」

A 「そうね。これからのだとぉ〜・・・・、テネシー・ウィリアムズの<ガラスの動物園>、 三島の<サド公爵夫人>、MODEの<満ちる>、新国の<パーマ屋スミレ>なんかどうかしら?」

S 「ちょっと説明してもらっていいですか?」

A 「じゃ、簡単にね。」

S 「あ〜、その前にビールもらえますか?」

R 「俺も何か・・・、ジントニックかな。宜しく!」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。でぇ〜、なんだっけ?」

R 「あらあら、アキちゃんも惚けてきたね、本当に。まずさ、<ガラスの動物園>だよぉ〜。」

A 「あ〜、そうだったわ。簡単に言うと、作家のテネシー・ウィリアムズの自伝的作品なのよね。家族とは、 愛とは、っていうテーマかしらん。ちょっと重いけど、アッシは大好きな作品。ただ、 このキャストでどこまでやれるか、って言うか、芸達者な人たちなのは分かるんだけど、 どこまで役にリアリティーを持ち込めるかが勝負のような気がするのね。で、次の〜・・・。」

R 「三島の<サド公爵夫人>だってぇ〜。」

A 「あっ、そうね、<サド公爵夫人>。一昨年に少年隊の東山らオール・メール・キャストで上演された時は、 イマイチの感が拭えなかったけど、今度のキャストはそれだけで期待を持たせてくれるわよ。」

S 「誰なんです?」

A 「蒼井優に美波、白石加代子に麻実れい。もう凄いじゃない。中々観る事出来ないわよ、このキャストじゃ。 アッシは、演出が野村萬斎だから、能のような舞台になると面白いかな、な〜んて思ってるのよ。で、 次はぁ〜・・・、乱ちゃん、黙ってていいわよ、MODEの<満ちる>よね。」

S 「これ、全く知らないんですけど。」

R 「俺も初めてかも。」

A 「これは作家、竹内銃一郎の新作で、すまけい扮する映画監督が久々に作品を撮る事になるんだけど、 その娘の脚本家、満ちると噛み合わず、現場は行き詰まってしまってどうなることやら、ってな感じかな。 この芝居は、何といっても「すまけい」、その人に注目よ。そして新国の<パーマ屋スミレ>ね。 これは鄭義信の新作。」

R 「鄭義信って、<焼肉ドラゴン>の作家だよね。」

A 「そうそう。彼よ。今回は1960年代が舞台。九州の閉山間際の炭鉱が舞台。 炭鉱の事故で障害を負った人達が懸命に生きていこうとする姿を描いた注目作ね。」

S 「何か重そうですねえ〜。」

A 「そうね。確かに重いテーマだと思うんだけど、人と人との絆を改めて考える切っ掛けとなった3.11、 あの大震災後の気持ちと通じるものを感じるのよね、アッシ。」

R 「演劇や映画って、やっぱり考えさせられるよなぁ〜。 今アキちゃんが教えてくれたどれか一つでもいいから観に行きたいね。」

S 「そうですね。ちょっと重いものが多そうですけど、観てみない事には分かりませんもんね。」

A 「そうそう。先ずは観に行ってちょうだいね。」

R 「それじゃ、もう一杯いっちゃおうかなぁ〜。」

A 「あいよっ!」

おわり


* 登場人物は全て仮名です。

* 今回紹介したお芝居は、

  1) ナイロン100℃サイド・セッション<持ち主、登場>

          公演終了

  2) ミュージカル<キャバレー>

          上演中〜3/18   東京国際フォーラム・ホールC

  3) シス・カンパニー <ガラスの動物園>

          上演中〜4/3   シアター・コクーン

  4) <サド公爵夫人>

          上演中〜3/20   世田谷パウリックシアター

  5) MODE <満ちる>

          3/22〜31      座・高円寺1

  6) <パーマ屋スミレ>

          上演中〜3/25   新国立劇場 小劇場

以上です。もう直ぐ春です。どうぞ足をお運び下さいね。

2012.3.11


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