<懐かしいけど新しい>の巻

タッチ(以下T)「こんばんはぁ〜。」

あき(以下A)「タッチ、いらっしゃ〜〜い!」

スターちゃん(以下S)「久しぶりじゃないですか、タッチ君。」

T 「それはコッチの台詞ですよ、スターちゃんさん。」

A 「はい、オシボリどうぞ。」

S 「そううかもしれませんね。私、1年ぶりくらいなんですよ、新宿にくるのって。」

A 「ホントよね。もう1年以上よ、スターちゃん。」

S 「そうでしたかね。」

A 「それじゃ会わない訳ですよぉ〜。でも、お元気そうで何よりです。」

S 「君もね。」

T 「まあまあです。この季節花粉症がねぇ〜。」

A 「タッチ、今日は何にする?」

T 「そうそう。注文しなきゃ。え〜と、もう桜は有りますよね。」

A 「勿論よ!」

T 「それじゃ、今月のお勧めドリンクで。」

A 「あいよっ!・・・・・はい、お待たせ。」

T 「わぁ〜、綺麗ですね。何ていうドリンクなんですか?」

A 「今月は、<桜貝の恋>よ。コアントローに桜リキュール。それを混ぜてソーダで割ったのよ。」

S 「で、桜の塩漬けを入れたんですよね。」

T 「あ〜ぁ、これですか?桜の塩漬け。なんか、花が咲いたようですよね。」

S 「そうでしょ。季節を感じるよねぇ。」

A 「やっぱりこのくらいの事しかできないしね。なるべく季節を感じるように、 ドリンクもコースターも季節ごとに変えているのよね。」

S 「ほら、コースターも桜じゃないですか。」

T 「本当ですね。へ〜。・・・う〜む、甘くて美味しいです、これ。」

A 「でしょ。ちょっと甘いけど飲み易くてね。」

S 「僕は桜のマティーニですよ。」

T 「桜のマティーニですか?大人のドリンクっていう感じですね。」

A 「所で、こんな日曜日に珍しいじゃない。どこかの帰り?」

T 「そうなんですよ。今日は映画を観た帰りなんです。」

S 「何観て来たんですか?今日は。」

T 「今年のアカデミー賞作品の<アーチスト>です。」

A 「アッシもこの前行ったわよ。」

S 「あの無声映画ですよね。僕も興味あるんですよ。新宿では何処でやってるんですか?」

T 「ピカデリーです。」

S 「ピカデリーですかぁ〜。」

T 「スターちゃんさん、何かぁ〜・・・。」

S 「あそこ、動線が悪いじゃないですか。だからね〜。」

A 「分かる、分かる。でも、<アーチスト>は#1スクリーンだから、直ぐなんで大丈夫よ。」

S 「まあ、動線よりも観る事が大切ですからね。で、どうでした?」

T 「スターちゃんさん、まだ観てないんですよね。言っちゃって大丈夫ですか?」

S 「僕はね、そういうの大丈夫なんですよ。逆に参考になるしね。」

A 「スターちゃんって、昔からそうよね。観た人の感想を聞いてから観に行くことが多かったわよね。」

S 「そうですね。感想は人各々だろうけど、参考にはなりますからね。」

T 「それじゃ、言っちゃいますけど。」

A 「まあ、そこそこにね。」

T 「この<アーチスト>。無声映画って事で話題になりましたけど、オイラ、 実は無声映画を過去に観たことがなかったんですよ。でね、これが無声映画なんだ、って。」

S 「どんな所なんですか?」

T 「字幕です。」

A 「タッチ、まさか字幕が画面の下とか横とかに出ると思ってたんじゃないわよね。」

T 「何で分かったんですか?」

S 「あっちゃ〜・・・。」

T 「で、あんなに少ないんだって。」

A 「あれはこの映画だからよね。字幕は昔の無声映画ではもっと多かったと思うけどね。 ただ、ストーリーが単純だからあまり字幕が無くても大丈夫だったでしょ。」

T 「本当にその通りでした。本当に単純な物語で。」

S 「確か、サイレント時代の大スターがトーキーが出現したことで次第に落ちぶれて行くんですよね。 で、代わりにトーキーの時代にスターになっていく子が現れてって。」

T 「そうなんです。でも、彼女、そのトーキーになってから出てきたのは女の子なんですけど、 その彼女が落ちぶれたサイレント時代のスター、この人は男なんですよ、で、 その彼をもう一度スクリーンに引き戻そうと頑張るっていうストリーなんですよね。」

S 「まあ、この手の映画はそんなもんですよ。」

A 「さっきも言ったようにストーリーは単純じゃなきゃ解らないしね、サイレントは。」

T 「そうですね。で、オイラの世代にとっては新しい驚きって言うのかなぁ〜・・・。 ハリウッド映画って言うと壮大な物語と映像って言うイメージだったんですよね。それがね。」

S 「この映画ってハリウッドで撮ってるらしいですよね。でも、フランス映画なんですよね。」

A 「そうなのよ。主役の二人を除いたら、主な俳優はアメリカ人。キーを握っている、 ってちょっと大袈裟だけど、犬もアメリカ生まれなのよね。」

T 「あの犬、大好きですぅ〜。」

A 「ね、あのシーン。チャップリンの映画を思い出したわ。」

S 「この映画には色んな映画へのオマージュが隠れているって聞いてますけど・・・。」

T 「そうなんですか?オイラには何も分からなかったですけどね。」

A 「まあ、仕方ないわよ。アッシはとっても感動しちゃったわ。」

T 「例えば?」

A 「そうね、具体的に言っちゃうとスターちゃんに悪いから、こんな映画のオマージュが、って所で言うと、 さっきも言ったチャップリンの<犬の生活>でしょ、主役のジョージ・ヴァレンティンが監督する映画は、 どう見てもビング・クロスビーの<珍道中>シリーズだし、電気椅子は<メトロポリス>でしょ、 それに主役二人のバー・シーンは<カサブランカ>。鏡に口紅で文字を書くシーンは<モロッコ>でしょ、 絶対に。音楽では、多分だけど、小津安二郎監督の映画の中で何回か使われてた物が使われてたし、 ヒッチコックの<めまい>で使われてた音楽もあったと思うのよ。それに、何と言っても最後のシーン。 これは誰が観ても、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースよね。」

S 「何か、ワクワクしてきますね。」

T 「オイラ、とっても好きなシーンが有ったんですよ。」

A 「あのシーンでしょ。後にスターになるペピーがジョージのタキシードに腕を通すシーンでしょ。 あれロマンチックだったわねぇ〜。」

T 「今もジーンときちゃいますよ。」

S 「何か、分かるような気がしますねぇ。」

A 「アッシは、この映画の音楽もそれを助けている様だな、って思ったのよ。この映画、 す〜っと音楽が流れてるじゃない。当然だけれども、シーンに合わせて作られたと思われる位ピッタリだったわよね。 」

T 「オイラ、それで気になった所があるんですよ。」

A 「分かった!あの音楽が途切れる所でしょ。」

T 「そうなんですよ。」

A 「あそこで途切れるから、あのシーン、余計にドキドキするわよね。」

S 「あ〜ぁ、益々観たくなってきましたね。」

A 「まあ、これ以上言っちゃうと観る楽しみも半減しちゃうから、このくらいでね、ははは・・・。」

S 「今度、絶対に観に行きますよ。でも、混んでるんでしょうね。」

A 「それがさ、アッシが観に行ったときは、時間も夕方だったからなんだろうけど、 600人近く入る劇場に2〜30人しか居なかったのよね。タッチの時はどうだった?」

T 「う〜む、半分ちょっとでしたかね。」

A 「でしょ。いい映画だと思うんだけどね〜。もっと観てもらいたいわよねぇ〜。」

S 「本当ですね。所でアキさん、最近他に映画観ました?」

A 「まあ、試写会だけどね。」

S 「何観たんですか?」

A 「アニメの<ももへの手紙>。」

S 「アキちゃんがアニメ?」

T 「アキさん、あまりアニメを観ないんですか?」

A 「昔、子供の頃は良く観てたわよ。ディズニーや東映のアニメね。」

S 「私たちの子供の頃はよく観ましたね、ディズニー。アキちゃんも私も渋谷のパンテオンですよね。」

A 「そうそう、パンテオン。懐かしいわね〜。」

T 「で、その<ももへの手紙>ってどういう話なんですか?」

A 「事故で父親を亡くしたももが母親と共に瀬戸内海の島にある母親の叔父(伯父)さんの所に移り住むのよ。 慣れない生活に戸惑っているんだけど、そこに<見守り組>という妖怪が現れるのね。その妖怪は、 ももと亡くなった父親を結ぶ大切な使命を負っていたの。勿論、ももは知らないんだけどね。そんな中、 忙しい母親との間にちょっとした諍いが起こってももが家を飛び出していっちゃうの。」

T 「へ〜・・・。」

A 「丁度大型の台風が瀬戸内海を横断しようとしていたその夜、 出ていったまま帰らないももを心配して母親が風雨強くなってきた中を探しまくるのね。無理したのか、 母親の持病、喘息の発作が起きて倒れてしまうのよ。医者は他の島に行ったまま台風で帰って来れず、 母親の様態は悪化するばかり。」

S 「そこで妖怪登場ですかね。」

A 「そうそう。まあ、妖怪の活躍で事無きをえるんだけど。」

T 「観に行かなきゃ!」

S 「結局、そんなこんなで大切な何かを得るんですよね、そのももちゃんは。」

A 「そういうことよ。まあ、よくある話よね。だけどさ、 アッシも昔喘息の発作が良く起きてたから母親が発作を起こした場面は見てられなかったわよ。 昔の事が思い出されちゃってね。アトマイザーの薬が出てきたときにはハッとしちゃって。 人ごとじゃなかったわね。」

S 「この手の話って繰り返し出てくるけど、その度に感動するのは、 やっぱりどこかに新しい何かを見るからなんでしょうねぇ。さっきの<アーチスト>もそうだけど、 古いと思った物が、実は新しかったりしてね。」

A 「時代は廻るっていうしねぇ〜。」

T 「だってですよ、アキさんやスターちゃんさんの時代はもう半世紀以上前なんですから〜。」

A 「あら、考えたらそうよね。」

S 「何時まで経っても今と昔がシンクロしちゃうんだよねぇ〜、アキちゃん。」

A 「そうかもね。ははは・・・・・。」

T 「所で、お芝居のお勧めってあります?」

A 「今月はねぇ〜・・・、野田地図の番外公演<BEE>があるわね。1月の<下谷万年町物語> で抜群の演技を見せた宮沢りえが今度はどんな演技をみせてくれるか楽しみね。それからナイロン100℃の <百年の秘密>、東京ヴォードヴィルショーの40周年記念公演<トノに降る雨>、こまつ座の<闇に咲く花>、 それからイヨネスコの<授業>ばかりを上演する<授業フェスティバル>、それからこれは来月なんだけど、 G-コンの朗読劇もあるしね。」

S 「アキちゃん、今月も忙しいですねぇ〜。」

A 「ヤダ〜、スターちゃん、全部は行きませんよぉ〜、ははは・・・・。」

T 「そりゃそうですよね、アキさんも人間なんですから。」

A 「あら、タッチ、今日は倍付けね!」

T 「そりゃ困りますぅ〜・・・。」

一同 「ははは・・・・。」

おわり


*今回紹介した映画、お芝居は・・・

 1) <アーチスト>   新宿ピカデリーほかで上映中

 2) <ももへの手紙>  4月21日よりバルト9ほかでロードショー

 3) 野田地図番外公演  <THE BEE>
      4/25〜5/20    水天宮ピット

 4) ナイロン100℃  <百年の秘密>
      4/22〜5/20    下北沢本多劇場

 5) 東京ヴォードヴィルショー40周年記念公演 <トノに降る雨>
      上演中〜4/22    三軒茶屋 シアタートラム

 6) こまつ座 <闇に咲く花>
      4/19〜29      紀伊国屋サザンシアター

 7) イヨネスコ<授業>フェスティバル
      4/27〜5/13    神楽坂die pratze

 8) G-コン  新作朗読劇
      5/12〜13     中野 スタジオあくとれ
以上です。暖かい季節になりました。どうぞ足をお運びくださいね。

2012.3.11


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