<傑作の嵐だよぉ〜!>の巻

ヨッチ(以下Y)「こんばんはぁ〜!」

あき(以下A)「あらヨッチ、いらっしゃ〜い。・・・はい、オシボリどうぞ。」

トンちゃん(以下T)「ヨッチ、最近太った?もしかして。」

Y 「あれ、分かりました?やっぱりそうだよなぁ〜。」

A 「ははは・・・・。ヨッチ、今日は何にしようか?」

Y 「あっ、そうそう。え〜と、今月は?」

A 「今月はね、<アメリカーノ>よ。カンパリにチンザノのロッソ、 それにレモンジュースを加えて炭酸で割ったのね。」

T 「結構さっぱりして美味しかったわよ。」

Y 「トンさん、本当ですかぁ〜、ははは。それじゃ、 トンさんを信じてその<アメリカーノ>をお願いします。」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

Y 「へ〜、本当だ。さっぱりしてますね。」

T 「でしょぉ〜〜〜。」

A 「結構評判いいのよ。前にもやってるしね。」

T 「アタシも結構飲んだわね、ゴールデン・ウィークにさ。」

A 「そうだったわね。沢山飲んでいただきました。」

Y 「ところでアキさん、最近何かいい舞台ありませんか?ほら、 オイラさ、ゴールデン・ウィーク仕事だったじゃないですかぁ。だから振替で休みが結構あるんですよ。 でね、何かいいのがあったら行きたいなぁ〜って。」

A 「それがさ、最近観た芝居やライブ、本当に凄くいいものばかりなのよぉ〜。」

T 「そんなに良いのばっかだったんだ。」

Y 「早く聞きたいですね。で、どんな?」

A 「まず、ライヴなんだけど、これね。」

T 「あ〜、オマーラかぁ〜。」

A 「そう。このアルバムのコンセプトでライヴやったんだけど、これがまた素晴らしくて。」

Y 「言ってましたよね、アキさん。とっても良いアルバムだって。」

A 「そうなのよ。オマーラが82歳、チューチョ・ヴァルデスが71歳。でもとってもしっかりしてるのね、 二人とも。さすがにアルバムほどの完璧さはなかったんだけど、とても楽しいステージだったわね。 静と動がはっきりしてて、盛り上がる所は大いに盛り上がって、バラッドを歌うときにはちゃんと耳を傾けてる。 まあ、当たり前なんだけど、お客様の質も良かったわね。」

T 「聴きたかったわぁ〜。」

Y 「舞台では?」

A 「これがまた傑作続きなのよ。」

Y 「傑作続きって、それ凄くないですか?」

A 「そうなのよねぇ〜。」

T 「アタシも良かったのがあったわよ。」

Y 「え〜?トンさんもですか?」

T 「まあ、アキちゃんと一緒に行った芝居なんだけどね。」

Y 「な〜んだ、やっぱり。ははは・・・・。で?」

T 「野田マップの番外公演、<The Bee>よ。アキちゃんは初演も観てるらしいんだけど、 アタシは初めてだったのよね。で、たまたまアキちゃんと一緒に行く人が、 行けなくなったってここで話してたから、それじゃ、アタシ行くわ、って。で初野田マップだったんだけど、 ま〜あ、凄かったわよ。暴力の連鎖、っていうのかしら、な〜んかやり切れないっていうの?」

A 「初演の時も思ったけど、暴力が暴力を生んで、また暴力を生む。本当にやり切れないわよ。 それにしても宮沢りえの素晴らしいこと!今年初めのシアター・コクーンで観た<下谷万年町物語> の宮沢りえも素敵だったけど、この宮沢りえは、言葉には表せないくらい女を感じたわね。彼女、 これからどんな女優になるのかって考えたらねぇ〜。舞台史上に残る女優になるのは間違いないわよね、 きっと。」

Y 「そんなに凄かったんですね、宮沢りえ。次の作品は絶対観なきゃ。」

T 「そうよぉ〜。悩ましいのなんのって、ね、アキちゃん。」

A 「本当にね。どんどん良くなるわね、彼女。これから見逃せない女優の一人よ。」

Y 「他にありますか?」

T 「ねえねえ、これはどうなのよ。」

A 「今、言おうと思ってたのよ、これ。」

Y 「ナイロン100℃。そう言えば来てましたよね、ここに。」

A 「そうね。今回の<百年の秘密>は、ある一家の百年にわたる物語。3時間40分という長丁場ながら、 全く時間を感じないほどの素晴らしさだったわよ。」

Y 「そんなに長いんですか。」

T 「でも、アキちゃんにとっては長さを感じなかったのよねぇ〜。あっという間だったって事は、 その舞台に引き込まれたってことじゃない。本当に良く出来てたんじゃないの?」

A 「そうね。」

Y 「どんな話なんですか?」

A 「さっきも言った様に、ある一家の百年にわたる物語なのよね。そこの家には大きな楡の木があって、 その楡の木が語り部となって物語は進んでいくの。中心になるのは、その家に住むベイカー家の娘、ティルダと、 12歳の時に転校してきたちょっと不思議な女の子、コナ・アーネット。彼女らの回りで起こる出来事を、 淡々と描いているのね。」

T 「それってさぁ、ソートン・ワイルダーの<わが町>みたいね。」

A 「流石はトンちゃん。そうなの。アッシもこの芝居を観た時に、 まず浮かんだのがワイルダーの<わが町>だったのよ。あれも、その町で起こった出来事がただ淡々と進んでいく。 でもね、<わが町>と<百年の秘密> の決定的な 違いは、確か3幕で死んだ人同士が会話する<わが町>と、 死んだ人が今生きている人の背後で見守っていて、今の人が話している、それで死んだ人を浮かび上がらせる <百年の秘密>ってことかな、って思うのね。」

Y 「へ〜。何か簡単そうで難しいですねぇ。」

A 「全然難しくないのよ。極々自然。だって、そうでしょ。この話、ある家族の百年の物語だんだもの。 生きていた人が死に、そして次の世代に繋がっていく。そして百年。ず〜っと見ているのは、 庭にある楡の木だけなのよ。」

Y 「何か、ちょっと分かった気がします。まだやっているんですかね。」

A 「東京公演は終わちゃったんだけど、地方公演がこれからあるのよね。 横浜でもあるから時間があったら行ってみてよ。」

Y 「スケジュール調整してみようかなぁ〜。」

T 「そう言えば、この前行ったんだけど、G-コンの<bughunter〜砂の女より>は良かったわよね。」

Y 「あれちょっと分からなかったんですよね。」

T 「どういう所?」

Y 「だってですよ、何で砂の中に家があって、そこで生活している人がいるんです?」

A 「はははは・・・・・。ヨッチ、それは考えたらダメなのよ。あれはさ、 安部公房っていう不条理劇が多い作家の作品なのね。だから、まず何故?って考えちゃうと、 それから先が進めないの。だから、そういうシチュエーションだって思わないと。」

Y 「だから芝居は難しいんですよねぇ〜。」

T 「ははは・・・・。ヨッチ、あんまり難しく考えない方がいいわよぉ。でもさ、女を演じたJun君、 良かったわね。段々女に見えてきちゃって。G-コンの中でも何本かの指に入る作品ね。」

A 「ヤダ、トンちゃん。G-コンってまだそんなに作品ないわよぉ〜。ははは・・・・。 アッシは今回Gakuちゃんがとっても良かったわよ。昆虫採集に来た男を本当に良く表現してたわね。それにしても、 彼の脚色、本当にいいわよね。<ゆれる>の時も思ったけど、勿論、原作ありきなんだけどさ、 良く脚色してるわぁ〜。」

Y 「良いか悪いかはわからないんですけど、ここんとこ、感動している事は確かですよね。でも、 分からなかったですけど、今回は。」

A 「ははは・・・。いいのよ、そんなの。分かる分からないより、感動したかどうかなんだからさ。」

T 「そうよ。アタシなんか、映画でも芝居でも、終わった時にどうだったかで、その善し悪しを決めるのよ。」

A 「それが正解よ。だって、評論家じゃないんだもの、アッシ等。」

Y 「そうですよねぇ〜。で、アキさん、今やってるので何かありませんか?」

A 「そうねぇ〜。今やってる中だったら、劇団桟敷童子の<軍鶏307>が超お勧めね。」

T 「知らない、その劇団。」

Y 「僕も初めて聞きました。」

A 「アッシの好きな劇団の一つなの。 主に九州のかつての炭鉱地域に伝わる伝説を基に話が書かれているんだけど、今回は、戦後「307」 と呼ばれた病院を中心に話が進んでいくのね。」

T 「アキちゃんは、その劇団のどこに魅力を感じてるのかしら?」

A 「何しろ役者がいいのよ、本当に。特に女優。大竹しのぶとタメをはる板垣桃子をはじめ、 存在感抜群のもりちえ、時々回ってくる少年役もピッタリな外山博美、姉御肌の川原洋子、 デビュー時の原田知世を想い出させる爽やかさがある中井理恵、それに年齢不詳の(笑)鈴木めぐみ。勿論、 男優陣も、今回は出ていないけど、色んな芝居に引張り凧の池下重大、原口健太郎、桑原勝行、深津紀暁などなど。 本当に魅力あるわぁ〜。」

Y 「凄い思い入れですね、アキさん。そこまで言われると観なきゃ、って感じになりますよ。」

A 「だって、観るたびに感激しちゃうんだもん。それに美術。大劇場じゃないから手作り感いっぱいでさ。 もっと皆に観て欲しい劇団なのよね。」

T 「さっきアキちゃんが言ってたけど、いいもの多くて良かったわよねぇ。」

Y 「傑作の嵐ですよね。」

A 「傑作の嵐。いいわね、それ。ははは・・・・。」

一同 「ははは・・・・。」

おわり


 * 登場人物は全て仮名です。

 * 今回紹介したお芝居などは、

   1) オマーラ・ポルトォンド&チューチョ・ヴァルデス
         公演終了

   2) 野田地図 <THE BEE>
         東京公演は終了。今後、大阪、北九州、静岡、松本で公演あり。

   3) ナイロン100℃ <百年の秘密>
         東京公演は終了。今後、大阪、横浜、北九州、新潟で公演あり。

   4) G-コン <bughunter〜砂の女より>
         公演終了。

   5) 劇団桟敷童子 <軍鶏307>
         公演中〜5/28まで  すみだパークスタジオ○倉
以上です。いい季節。どうぞ足をお運び下さいね。

2012.5.20


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