<温か〜い!>の巻

タケちゃん(以下T)「こんばんはぁ〜!」

あき(以下A)「あら、タケちゃんいらっしゃい。はい、オシボリどうぞ。」

T 「う〜む、温か〜い。もうこの温かさが嬉しい季節になりましたよね。」

バンバン(以下B)「本当にね。この所12月の寒さだからね。」

T 「バンバンさん、そうなんですか?どうりで・・・。」

A 「今日はタケちゃん、何にしようか?」

T 「今月のお勧めお願いします。」

A 「あいよっ!・・・・・はい、お待たせ。」

B 「何がはいってるんです?」

A 「ジンをベースにしてね。ドライとスウィートのチンザノを加えてコアントローをほんの少し。 それをトニックウォーターで割ったのよ。」

T 「甘くて飲み易いですね〜。」

A 「でしょ。でもね、2/3はお酒なのよ。だから飲み易いんだけどちょっと強いのよね。 だから飲みすぎには注意しなくちゃ。」

B 「アキさんの所のお勧めって、何時も大体強いですよね、ははは・・・・。」

A 「そうかもね。まあ、お酒が好きだからねぇ〜。でも、美味しいでしょ。」

T 「ええ、凄く美味しいですよ。」

B 「平日って珍しいんじゃないのかな、タケちゃん。」

T 「バンバンさん、本当にそうなんですよ。ただ、今日は芝居の帰りでですね。」

B 「何に行ったの?」

T 「<上海異人館〜China Doll〜>です。」

B 「あ〜、観た観た昔、映画で。」

T 「らしいですね。昔映画でやったみたいで。」

A 「そう。もう30年くらい前かしらね。寺山修司がポーリーヌ・レアージュ原作の<O嬢の物語> を脚色してフランスと共同で作ったのよ。」

T 「どんな人が出てたんですか?」

A 「あんまりハッキリ覚えてないんだけど、イザベル・イリエ、クラウス・キンスキー、ピーター、 劇団天井桟敷の看板スターだった新高恵子、山口小夜子も出てたかなぁ〜。」

  B 「結構豪華だったよね。」

T 「映画も観てみたいですよね。」

B 「で、芝居はどうだったの?」

T 「とっても不思議な感じがしました。」

B 「まあ、吉田日出子が出てたのよね、確か。そりゃ不思議な舞台になるよね。」

T 「確かに不思議でしたね。日出子さんは<夜鳴き鶯>の役だったんですけど、台詞は全部録音なんですよ。 日出子さんは踊ってるのかなんなのか〜・・・。でも、上海バンスキングの挿入歌、<ウェルカム・上海> はちゃ〜んと歌ってる。何であの歌が入るのかも分からなかったんですけど〜。」

A 「まあ、確かにね。あれは演出家の金守珍が上海の物語で吉田日出子が出るんだからと挿入したのよね。 日出子さんの夜鳴き鶯はアンデルセンの童話で、この舞台では劇中劇の人形劇として登場するのよ。 だから日出子さんの動きは人形の動きなのよ。」

T 「へ〜、そうだったんですか〜。」

B 「アキちゃん、良く観てるね〜。」

T 「あと、最初の方で、主人公の黒蜥蜴がお風呂に入ってるシーン。あれ全く分からなかったんですよね。」

A 「あ〜、あの場面ね。あれは寺山修司の初期の戯曲、<毛皮のマリー>の最初のシーンそのままなのね。 ただマリーが黒蜥蜴になってるだけ台詞も殆ど一緒だったわね。今回の金守珍の演出は、元々の<上海異人娼館> と<毛皮のマリー>、それにこれも寺山の<中国人の不思議な役人> を合わせてそれにアンデルセンの童話を人形劇風にした<夜鳴き鶯>を挿入したって感じの舞台なのよ。 今までとは一味も二味も違った<上海異人娼館>になってたわね。でも、結構良かったわよ。ね、タケちゃん。」

T 「いや〜、本当に。とっても不思議だったんですけど良かったんですよね。時間を全く感じなかったですから。」

B 「タケちゃん、プログラムとか持ってないの?」

T 「あ〜、すいません。僕買わないんですよね。でも、これだったらありますよ、配役表。これでいいですか?」

B 「どれどれ・・・。結構豪華ね、この舞台も。毬谷友子に吉田日出子、それに〜中山ラビ?彼女芝居に出てるんだ〜。」

A 「そうなのよ。最近結構出てるのよね。」

B 「それと蘭妖子!寺山の天井桟敷にいた女優だよねぇ〜。それにフラワー・メグぅ〜〜〜?あの伝説の。 他は知らないけど、これだけ出てりゃ凄いよねぇ〜。それに舞台美術と衣装が宇野亜喜良、演出が金守珍。 あ〜、失敗。何時までなんだっけ?」

T 「今日が樂日だったんですよ。」

B 「もっと失敗!教えてよ、アキちゃん。」

A 「そんな事言われてもねぇ〜。まあ、今情報誌が無いじゃない。 だから情報はこっちから取りに行かなきゃならないのよね。でもさ、芝居はほら、この雑誌が有るからまだいいのよ。」

B 「<シアター・ガイド>。へ〜、こんなの有るんだ。・・・・ひと月分の情報ちゃんと出てるのね。これ便利じゃない。」

A 「でしょ。毎月ちゃんと新しいの置いてあるから見てよ。」

T 「でも、映画の情報誌は無いんですよね。」

A 「残念ながらね。」

T 「アキさん、最近何か観ました?あとお勧めなんかあったら教えて下さいよ。」

A 「そうね。一番最近観たのはウディ-・アレンの<恋のロンドン狂騒曲>かな。」

B 「ウディー・アレンかぁ〜。ちょっと苦手かも。」

T 「僕は結構好きですけどね〜。この前の<ミッドナイト・イン・パリ>なんか本当に面白かったし。」

A 「あれは脚本が本当に良かったわよ。」

B 「で、その<恋のロンドン狂騒曲>ってのは?」

T 「新作なんですよね、彼の。」

A 「違うのよね。<ミッドナイト・イン・パリ>の前の作品なのよ。日本では公開順が逆になったのね。 何て言ってもウディー・アレンって日本ではコアなファンはいるけど、ヒット作になるまでにはね、 ちょっと・・・。でも、<ミッドナイト・イン・パリ>がヒットしたからね、この作品も日の目を見たのよね。」

B 「で、肝心の内容は?」

A 「まあ、大人のラブコメってな感じかな。」

T 「大人のラブコメですかぁ〜。」

B 「大人の・・・・ね。」

A 「出来としてはイマイチかなぁ〜。世代の違うふた組みの夫婦のてんやわんや。 幸せを探し続けている彼らの行く末は・・・。豪華なキャストが織り成す恋のから騒ぎってところよね、きっと。」

B 「恋のから騒ぎかっぁ〜。ちょっと興味あるなぁ〜。」

A 「人間てさ、必死になればなるほどハマっていくじゃない、悪い方向へ。 そんな恋模様をウディー・アレン特有の辛口脚本で見せていくのね。アッシにとってはイマイチだったけど、 恋愛に悩んでいる人たちにはいいかもね。」

T 「何処かにヒントが有るって感じですね。」

A 「まあ、そうかもね。」

B 「あとは何か・・・。」

A 「まだ観てないんだけど、<EDEN〜エデン〜>っていう映画がやっと公開になったんで観て欲しいのよね。」

T 「<エデン>?」

B 「あ〜、なんか前にアキちゃんが話してたやつかな?ほら、山本太郎が主演ってことで、 公開が延びてたってヤツでしょ。」

A 「そうそう。ほら、7月にピープルシアターが舞台にしたじゃない。」

T 「あ〜、あれですね。ショーパブの話。」

A 「ショーパブの話、っていうか、そこで働く人たちがある事件を通して差別と戦っていくという内容ね。」

B 「女装の従業員が突然死んじゃうんだよねぇ。そこでその親が警察に引き取りにくるんだけど、 女装の息子を見て、息子だと認めず引き取りを拒否しちゃうんだよね。」

A 「で、他の従業員が一念発起してその遺体を引き取らせるまでを描いているのよ。」

T 「温かそうな話ですよね。」

A 「そうね。」

B 「寒いしさぁ〜、心が温まる話もいいよねぇ〜。」

A 「本当ね。」

T 「アキさん、お湯割りなんか出来ます?」

A 「勿論よ。」

T 「温かい物を飲めば心も少しは温まるかな〜。」

B 「あ〜ら、タケちゃん、乙女っぽいわねぇ〜・・・。ははは・・・。」

T 「乙女なんで。」

A 「何処が乙女だか!乙女ってどういうことか知ってるの?」

T 「アキさん、ヒドイ!」

一同 「ははは・・・・・。」

おわり


* 登場人物は全て仮名です。

* 今回紹介したお芝居などは・・・

 1) <上海異人娼館> 
      公演終了

 2) <恋のロンドン狂騒曲>
      12/1から新宿武蔵野館ほかでロードショー 

 3) <EDEN>
      公開中〜12/7 まで 新宿K'sシネマほか
以上です。寒い日が続きますがどうぞ足をお運びくださいね。

2012.11.25


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