<早いわね〜。>の巻

キャンちゃん(以下C)「こんばんはぁ〜。」

あき(以下A)「キャンちゃん、いらっしゃ〜い。寒い中、ありがとうね。はい、オシボリ。」

C 「本当に寒いですよ〜。何ですか?この寒さ。」

ヤッ君(以下Y)「今年は異常よね。」

C 「ヤッ君もそう思います?やっぱり。」

Y 「そりゃ、そうでしょ、この寒さよぉ〜。」

A 「本当よね。今年の冬は本当に寒い。秋が殆ど無くて、一気に冬。 それも真冬でしょ。アッシなんか毎朝心臓痛くて痛くて。」

C 「大丈夫ですか?アキさん。」

A 「まあ、寒いとね。もう慣れたけど気を付けないと。で、 キャンちゃん、 今日は何にしましょ。」

C 「もう12月ですよ。12月と言えば、ペンギンでは<ノエル>でしょ。 今年もありますよね、<ノエル>。」

A 「勿論よ!」

Y 「何よ、<ノエル>って。」

C 「今月のお勧めドリンクですよ。」

A 「何か、定番になってきたわね、12月の。<プチ・パパ・ノエル>っていうドリンク。 ペンギンのオリジナルよ。」

Y 「へ〜。ちょっとキャンちゃんの見てからアタシも貰おうかしらん。」

A 「それじゃキャンちゃん、<ノエル>でいいのかしら?」

C 「お願いしま〜〜す。」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

Y 「あら、綺麗じゃない。何?この緑色のは。」

A 「ライムを刻んだやつね。基本はヴォッカ。 それに刻んだライムを入れてソーダかトニックで割るの。その上からカシスを回し入れるのよ。 ね、綺麗でしょ。」

C 「美味しいですよ。チョット飲んでみます?ヤッ君。」

Y 「あら、いいの?それじゃ、ちょっと。・・・・・あら、美味しい。 アタシも同じの頂戴。」

A 「あいよっ!」

C 「それにしても早いですよね。今年ももう二週間ちょいですよ。」

A 「本当よね。また何もしないまま終わっちゃいそう。」

Y 「アキちゃん、歳だからね。早いのよ、時間が経つのが。」

A 「あら、ヤッ君だってそう変わらないでしょ。」

Y 「ひと回り違いって大きいわよぉ〜。」

C 「まあまあ。」

A 「大丈夫よ、しょっちゅうだから。ははは・・・・。」

Y 「ところでさ、こんなにバタバタしてる月でも芝居観に行くの?」

A 「勿論よ。」

C 「今月は何を?」

A 「シアター・トラムでやってる<トップドッグ/アンダードッグ> と赤坂のライヴハウスでやったオフ・ブロードウェイのミュージカル <アイランド・ソング・イン・コンサート>を観てきたわよ。」

Y 「で、どうだったの?」

C 「オイラ、そのオフ・ブロードウェイのミュージカルが気になってたんですよね。」

A 「これね。このミュージカル、 オフ・ブロードウェイで先月公演したばっかりのミュージカルなのよ。 大都会に生きる若者5人の其々の生き様。<レント>以降流行ってるタイプのミュージカルね。」

Y 「出演者は5人だけなのね。」

A 「そうそう。でもね、このミュージカル、タイトルでも分かってもらったと思うけど、 コンサート形式なのね。向こうでもそうだったみたいなんだけどね。」

C 「そうすると、結構歌も上手くなきゃダメですよね。」

A 「そうね。まあ、みんなアマチュアだとは思えないほど上手かったわよ。」

Y 「なによ、アマチュアの公演だったの?良く版権取れたわね。」

A 「そうでしょ。ちゃんと作者と交渉して獲得したんだって。」

C 「凄いなぁ〜。」

A 「ね。5人の中でも梓役の藤倉梓って子が抜群に上手かったのよ。プロだと思えるほどね。」

Y 「あらぁ〜、そんなにレベルが高かったんだぁ〜。」

A 「本当にね。でもさ、日本もレベルが上がってきたわよね。 アマチュアでこれほど高いレベルでやれるんだから。プロでもえ〜??? って人もいるじゃない。凄く満足の行くミュージカル・コンサートだったわ。」

Y 「その点じゃ、<タップドッグ・アンダードッグ>の方は安心して観られたよね、きっと。」

C 「何でですか?ヤッ君。」

Y 「だって、アンタ、堤真一と千葉哲也の二人芝居よ。 それに演出が今最も注目を集めている小川絵梨子でしょ。彼女、 ニュー・ヨークのアクターズ・スタジオ大学院演出部出身だもの〜。 アキちゃんの知り合いにもいなかったっけ?」

A 「いるいる、彼女の後輩ね。」

C 「どんな話なんです?」

Y 「アタシも聞きたいわ。」

A 「リンカーンとブースっていう兄弟の話なのよ。」

Y 「リンカーンとブース?ちょっと待ってよ。アタシの記憶が間違ってなかったら、 アメリカのリンカーン大統領っていたじゃない。彼を暗殺したのがブースじゃなかったっけ? 俳優のジョン・ブース。観劇中だったのよ、確か。」

C 「え〜、そうなんですか?」

A 「ヤッ君さすがね。そうそう、その通り。って事は、何となく結論は分かっちゃうわよね。」

Y 「そうなんだ。」

C 「え〜、二人だけで分かっちゃってるってずるい〜〜〜。」

Y 「キャンちゃんご安心。アタシだって最後は想像できるけど、 それまでは全く分からないんだから・・・。」

C 「あ〜ぁ、そうですよね〜。で、アキさん、話してくださいよ。」

A 「さっきも言ったけど、兄がリンカーンで弟がブース。ヤッ君が言ってた通り、 リンカーン大統領とその暗殺者ブースから親が名付けたっていう設定なの。 彼らは親に捨てられたアフリカン・アメリカン。安アパートの一室に住んでるのね。 兄は30代後半で仕事は遊園地でリンカーンに扮して観客に暗殺される役をやってるの。 弟は30代前半。万引きの常習犯。以前兄がやってたカード・ゲームのディーラー になろうとしているのよ。時に仲良く、 時に喧嘩もしながらバランスを保って暮らしていく兄弟なんだけど、 タイトルにもあるトップドッグとアンダードッグの構造が次第に表面化していくの。」

C 「何ですか?トップドッグとアンダードッグって。」

Y 「キャンちゃん、大学出てるんでしょ。ちょっと考えなさいよ。」

C 「って言われても英語がぁ〜・・・。」

Y 「トップとアンダーよ、トップとアンダー。」

C 「上と下?」

A 「でしょ、って言うことは?」

C 「あっ、そうかぁ〜。上下関係ですね。」

Y 「そうよ、そういうことよ。」

A 「仲良くしている間は良いんだけど、何かのきっかけで爆発するってあるじゃない。 正にその典型よね。冷静に見たら、世の中では二人ともアンダードッグなのにね。」

Y 「そこに人間の愚かさっていうか、卑しさが出るのよね。」

A 「あら素敵、ヤッ君。アッシはそこに哀しさを感じるのよ。」

Y 「あら、観たくなってきたわぁ〜。」

A 「本当にいい役者、いい演出家とスタッフが作り上げた上質の舞台ね。」

C 「最後はどうなっちゃうんです?」

Y 「アンタ!さっきから何聞いてんのぉ〜?」

C 「だってぇ〜・・・。」

A 「まあまあまあ。全ては二人の親が付けた名前がヒント。」

Y 「換喩法を使ったって事ね、作者は。」

A 「そういうことね。」

C 「何ですか?換喩法って。」

Y 「う〜む、本当に面倒ね、キャンちゃん。ほら調べなさいよ、スマホで。」

C 「は〜い。・・・・あ〜、こういう事かぁ〜。なるほどね。分かりました、芝居の最後。」

A 「そういう事。」

Y 「アキちゃん、今年はもう終わり?芝居観るの。」

A 「い〜え、まだまだ。これから年末まで5本入ってます。」

C 「えっ???5本もぉ〜・・・。お疲れ様です。」

Y 「だけどさ、本当に早いわよね。」

C 「本当に。」

Y 「ちょっと早いけど、ワインで今年に乾杯しない?」

C 「いいですね。ヤッ君、オイラ半分出しますよ。」

Y 「あら、ホント?」

C 「勿論です。」

Y 「それじゃアキちゃん、赤宜しくぅ〜!」

A 「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。それじゃ、ヤッ君、乾杯の音頭を宜しくよ。」

Y 「そう?それじゃぁ〜、今年も無事に終わって、来年も良い年になりますように。 かんぱ〜い!」

一同 「乾杯!ははは・・・・。」

おわり


* 登場人物は全て仮名です。

* 今回紹介したお芝居などは、

  1) オフ・ブロードウェイ・ミュージカル<アイランド・ソング〜イン・コンサート>
      公演終了

  2) <トップドッグ・アンダードッグ>
      上演中〜28日まで  三軒茶屋シアター・トラム
      来年1月には、大阪、福岡、長崎で公演あり。
 以上です。年末の忙しい中ですが、どうぞ足をお運び下さいね。

2012.11.25


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