<復活に乾杯!>の巻

タク(以下T)「こんばんはぁ〜。」

あき(以下A)「いらっしゃ〜い!寒い中、有難うね。はい、温かいオシボリどうぞ。」

スターちゃん(以下S)「久し振りですね、タクちゃん。」

T 「スターさんこそぉ〜・・・。お元気でしたか?」

S 「ちょっと身体壊しちゃって。」

A 「もうね、アッシとかスターちゃんの歳になると色々ガタがきちゃうのよね。」

S 「そう言えば、アキちゃんも去年の今頃は死ぬか生きるかだったんだもんね。」

T 「そうですよねぇ〜。ずっと聞いてなかったんですけど、どうなんですか?その後。」

A 「心臓以外はほぼ元に戻ったんだけど、心臓はまだ50%くらいかな。 それより太っちゃったからお医者様に怒られちゃって。」

S 「でもさ、アキちゃんのイメージはぽっちゃりだから、その方がいいですよね。」

A 「でも、太るとやっぱり少しキツイのよね。少しだけ痩せないと。で、タクは何にしましょうか?」

T 「あ、いけねぇ〜、注文しなきゃね。え〜と、今月のお勧めドリンクは・・・、 <ライク・ア・フラミンゴ>かぁ〜。ヴォッカ・ベースでしたっけ?」

A 「良く覚えてるわね。その通りよ。」

S 「若い子の記憶力は流石だよね。」

T 「え〜、照れちゃいますねぇ〜。」

S 「まあ、タクちゃんだけの事を言ってる訳じゃなくて、若い子全体についてですよ。」

T 「そうですよねぇ〜〜〜。」

A 「ははは・・・・。それじゃ、タクは<ライク・ア・フラミンゴ>でいいのかしら?」

T 「はい、お願いします。」

A 「あいよっ!・・・・お待たせしました。」

S 「綺麗なピンクですねぇ〜。」

T 「ですよね。何て言うんですかね、何とも言えない淡いピンク。スッキリした味。」

S 「じゃ、僕もそれ頂きましょうかね。」

A 「は〜い、喜んで〜。」

T 「ところで、アキさん、今月はちょっと開店時間遅い日が多いですけど、 お芝居かなんかですか?」

A 「そうなのよぉ〜。はい、スターちゃん、お待たせ。」

S 「大丈夫なんですか?そんなに忙しくして。」

A 「まあ、ほとんどがお客様関係だからね。」

T 「大変ですよね。で、これは!っていうの有りました?」

A 「そうね。結構良かったのが多かったんだけど、特にって言えば、 来日公演の<Singin'In The Rain>と<雪村いづみ喜寿コンサート>かしらね。」

S 「懐かしいですねぇ〜、<雨に唄えば>。ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、 デヴィー・レイノルズ。雨の中ウキウキでジーン・ケリー踊るシーン、部屋で3人が踊るシーン、 目に浮かびますね。」

T 「凄く有名ですよね。でも、映画と舞台では大分違っちゃったんじゃないんですか?」

A 「今回の舞台は、マシュー・ボーンの<白鳥の湖>や、 映画<リトル・ダンサー>で注目を集めたイギリスのロイヤル・バレー団のプリンスパルを務めた アダム・クーパーを主演に迎えてロンドンで上演されたヴァージョンの日本ツアー版なのよね。 数か所を除いて結構映画に忠実だったかなぁ〜。」

S 「ツアー版じゃと言うと失礼かもしれませんけど、役者さん達のレベルが心配ですよね。」

T 「良く聞きますよ。やっぱりツアー・キャストだからねぇ〜・・・、なんて。」

A 「でしょ。でも、今回のキャストはレベル高かったわよ。アッシも少しびっくりだったんだけどね。 アダム・クーパーは勿論の事、特に映画ではドナルド・ オコナーが演じたコズモ役のステファン・アネッリの達者ぶりにはもう脱帽。 そんなに輝かしいキャリアが有る訳でもないのにね。まあ、 期待してなかったから余計に感激したのかもしれないけど。」

S 「へ〜、それは良かったじゃないですか。」

T 「観客も年配の方が多かったんじゃないですか?」

A 「そうね。でも若い人も結構いたわよ。勿論、<雨に唄えば>の映画ファンも沢山いたはずだけど。 それから、テント芝居みたいに前列の人達がビニール持ってたのよね。 これはあのシーンで!って思ってたら、案の定あのシーンで掛かっちゃう水を避けるためだったのよ。」

S 「それじゃ、本当に観客も楽しめる舞台ですね。」

T 「もう話聞いてたら観たくなっちゃいますよぉ〜。」

A 「機会を逃さないには、情報があったらチケット買う事よ。まあ、 ギャンブルみたいなところは有るけどね、ははは・・・・。」

S 「確かにね!ははは・・・・。いづみさんのコンサートも良かったんですよね。」

T 「誰ですか?そのいづみさん、って。」

S 「あ〜、そうかぁ〜。タクちゃんの世代だと全く知らないんですかぁ〜・・・。」

A 「まあ、仕方ないわよね。初代3人娘の一人よ。」

T 「3人娘?なんですか、それ。モーニング娘だったら知ってるんですけど。」

A 「じゃなくて、3人娘。それも初代。美空ひばり、江利チエミ、そして雪村いづみの3人ね。」

T 「美空ひばりは知ってますけど、後の二人はぁ〜・・・。」

S 「ほら、亡くなったじゃないですか、この前。高倉健さんの奥さんだったのが江利チエミさんですよ。」

T 「へ〜、そうなんですか。」

A 「それに、サザエさんの実写版でのサザエさん。」

S 「サザエさんですか?へ〜しか言えません。で、いづみさんは?」

A 「いづみさんはと言われるとぉ〜・・・。大昔にしかヒット曲はないし、 舞台ではミュージカル中心に活躍してたけど、それも大分昔だし、 音楽祭でグランプリ獲ってたのも40年以上前だしね。」

S 「今の若者には説明できませんね。」

T 「でも、凄い歌手で女優なんだ、って事はな〜んとなく分かりましたよ。」

A 「そうね。でもね、アッシ、今回のコンサートには一抹の不安が有ったのよ。」

S 「と、言いますと?」

A 「いや〜、もう3〜4年前だったかしらねぇ〜。今回もゲストで出てるんだけど、 ピアニストでアレンジャーの前田憲男とのコンサートツアーをしてたのよね。その時、 楽譜を見ないと唄えなかったのよ、彼女。で、ご本人は楽譜は読めないって言ってるから、 多分歌詞が書いてあったのね、そこには。もう忘れちゃうの、って言ってたし、 痴呆が入ってきたのかな、って。」

S 「大きな問題ですよね。アキちゃんや僕もそうですけど、そんなに遠くない将来、 自分の身にも降りかかるかもしれない問題ですよ。タクちゃんだって安心してられませんからね。」

T 「いやだなぁ〜、スターさん脅かさないで下さいよぉ〜。」

A 「でも、本当よ。アッシなんか最近物忘れが激しくてさぁ。始まったかな?な〜んて。」

S 「本当ですよね。笑っていられませんよ。・・・・で、今回は違ったんですよね。」

A 「そうなのよ。ちゃんと覚えてた。それだけじゃなくて、往年の声までが戻ってて。 全盛期じゃないかってくらいまでね。今77歳じゃない、彼女。それが30年位遡った感じよ。」

S 「そりゃ凄いじゃないですか。」

A 「もうビックリ!」

S 「プログラムは、ポピュラーソングと<約束><涙><私は泣かない>なんかですかね。」

A 「今回は、ポピュラーソングと映画音楽で纏め上げたのよ。まあ、アッシは残念だったんだけど、 <約束><涙><私は泣かない>といった日本の名曲は無かったのね。でも、 本当に感激しちゃったわよ。やっぱりミュージカル<サンセット大通り>の主役、 ノーマ・デズモンドは彼女しか出来ないって確信したわ。」

T 「僕はグロリア・スワンソンの映画を観ているんですけど、あの役ですか? そんな実力の持ち主なんだぁ。是非一度聴いてみたいですね。」

S 「確か有りましたよね、カセットテープが。」

T 「あるんだ。聴かせて下さいよ、アキさん。」

A 「はいはい。」

S 「その前にお代わりを。アキちゃんも何か飲んで下さいよ。タクちゃんも良かったら何か。」

T 「え!良いんですか、僕まで。喜んで頂きます。」

A 「それじゃ、タクは同じもので良いのかしら?」

T 「はい、お願いします。」

S 「何に乾杯しますかねぇ・・・。」

T 「復活に乾杯!っていうのはどうですか?」

S 「そうですね、良いじゃないですか。アキちゃんも去年の今頃は生死の境を彷徨ってた時だったし。 いづみさん、アキちゃんの復活に乾杯しましょうか?。」

A 「はい、お待たせしました。」

S 「それじゃ、復活にぃ〜・・・。」

一同 「かんぱ〜〜〜い!」

おわり
  * 登場人物は全て仮名です。

  * 今回紹介したお芝居、コンサートは、

  (1) 来日公演 <Singin' in the rain>
       公演終了

  (2) 雪村いづみ <喜寿〜デビュー60周年記念コンサート>
       公演終了

 以上です。年末にむかってお芝居、コンサートが多くなっていきますね。どうぞ足をお運びくださいね。

2014.11.24


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