<まだまだ頑張らないと!>の巻

ケンちゃん(以下K)「こんばんはぁ〜〜!」

あき(以下A)「あら、こんな早い時間に。ケンちゃんいらっしゃ〜い。」

ゲン(以下G)「ホントだぁ〜。本当にはやいですね、ケンさん。」

A 「はい、オシボリどうぞ。」

K 「いや〜、昨日来ようと思ったんだけどさ、ちょっと用事があったんで、今日は何しろ来なくっちゃって。」

A 「何かあったのね。」

G 「深刻な事なんですか?」

K 「違うって。って、その前にビール頂戴よ。」

A 「アイヨっ!・・・はい、お待たせ。で、何なのよ。」

K 「もうさ、言いたくて言いたくて。」

G 「何なんですか?」

K 「アズナヴールよ、アズナヴール。」

G 「何だぁ〜。それだったら今丁度アキさんとその話始めたばかりだったんですよ。」

K 「え〜!そうなのぉ〜。でもさ、凄かったよね〜。92歳でしょ。」

A 「本当にね。まあ、去年のライヴをDVDで観てたから分かってはいたけどね。でも、目の当たりにしてしまうと、改めてその凄さに脱帽って感じよね。」

G 「僕も行って来たんですけど、彼の生のステージを観るのは初めてだったんですよぉ〜。でも、本当に凄かった!」

K 「ホントねぇ〜。もう話したくって話したくって。」

A 「ケンちゃん、昨日行ったの?」

K 「そうなのよぉ〜。で、帰りに寄りたかったんだけどね、用事があったからさ。アキちゃん、昨日行ってたでしょ。」

A 「そう。アッシも昨日。」

K 「凄く良い席で観てたよね。直ぐ分かった。どうやって取ったの?あんな良い席。」

A 「別にコネ使った訳でも何でもないんだけど、発券したらあの席だったのよ。でも、アッシもあんなに良い席だと思わなかったのよね。もう、本当に最後の来日だろうからさ、彼の一挙手一投足を観ることが出来て本当に幸せだったわよ。」

K 「でもさ、本当に凄かったよねぇ〜。あの艶のある声、軽快なステップ。あの人、時間が止まってるんじゃないかと思っちゃったよねぇ〜。」

A 「そうね。勿論、音やテンポがずれちゃうとか少し有ったけどね。それにしてもある程度は以前と変わらなかったわよね。何か、あの場所に居れた事が嬉しくて嬉しくて涙が出そうだったもの。」

G 「アキさんから涙が出そうだなんて・・・。」

A 「出ないけど、出そうだったの!ははは・・・。」

G 「そうでしょうね、きっと。」

A 「ゲンちゃん、倍付けよ!」

G 「あ〜ぁ、すいません、すいません。それだけはぁ〜〜〜・・・。」

K 「まあ、冗談は止めてさ、ホントに涙が出そうだったよねぇ〜。アキちゃんは何が良かった?」

A 「やっぱりジ〜ンときちゃうのは、<Comme ils disent〜人々の言うように>かなぁ〜。」

G 「どんな歌でしたっけ?」

K 「ほら、頬の横に手を持って行ってさぁ〜・・・。」

G 「あ〜、もう終わりの頃に唄ったあの歌かぁ〜。あの歌、どんな内容なんです?」

A 「ゲイの悲哀。ひと言で言ったらね。」

G 「ゲイの悲哀?」

K 「アズナヴールの歌って本当に3分間のドラマだよね〜。ほら、<人々の言うように>だって、最初は体の不自由なお母さんを面倒見て家事やって、でも夕方<夜の仕事>に行くのよね。」

G 「夜の仕事?」

A 「そう。彼ね、夜はストリップしてるのよ。勿論お母さんには内緒でね。そしてお客様を喜ばせて、仕事が終わると仕事仲間とパブで騒ぐの。ここまでだけでもドラマになるのに、その後よね、その後。」

G 「その後は?」

K 「家に帰って化粧を落とすとね、自分が好きなあの人の事を考えるんだよ。」

A 「でもね、その人はノンケで奥さんもいるのよ。で、今頃はその奥さんと・・・。結局彼は自分には振り向いてくれない事を自覚するのよね。あ〜ぁ、何度聴いても哀しくなるわぁ〜。」

G 「こんなにオープンになった今でも分かりますよね〜。」

A 「これ40年以上前に作ってるのよね。彼の時代を見る目の凄さを感じるわよ。で、ゲンちゃんは何が良かったの?」

G 「やっぱり最後の方で歌った<ラ・ボエーム>かなぁ〜。」

A 「あれも悲恋よね〜。」

G 「最後にタオルを投げ捨てるじゃないですか。それまでもす〜っと演技してるんですよね。映像が見えてくるんです。表現力が凄いのかな〜、やっぱり。」

K 「タオル争奪戦が凄いよね、何時も。」

A 「あれは本当に凄いわよね。ケンちゃんは何が良かった?」

K 「<世界の果てに連れてって>かな〜。他にもいろいろあるんだけどねぇ〜。」

A 「昔はあの歌を唄った後に、クルクル回って舞台の袖に消えて行ったんだけど、流石にそれは厳しくなったのか、回らなかったわね。」

K 「もしもの事を考えてスタッフがやらせなかったんじゃないかな。ほら、森光子もそうだったじゃん。」

A 「あ〜。でんぐり返しね。」

G 「そのニュース聞いたことがあります。」

A 「やっぱり無理させてその後大変な事にでもなったらねぇ〜。」

K 「その後続けていけなくなっちゃうから・・・。」

A 「何しろ92歳。」

K 「まだまだ頑張ってほしいですよね。」

G 「アキちゃんにも92歳まで頑張ってもらわないと。」

K 「本当ですよ!」

A 「無理無理。でも、もうちょっと頑張ろうとは思ってるけどね。それには皆さんがお店に来てもらわないとね。お客様がいらっしゃらなくなったらお店は続けていけないんだから。宜しくお願い致しますよ〜。ははは・・・・。」

K 「勿論ですよ。」

G 「当たり前だのクラッカーってね!」

K 「古すぎ〜〜〜!」

A 「まだまだ頑張らないとね!」

K 「じゃ、みんなで乾杯しましょ!アキちゃんもゲンちゃんもみんな作って。」

A 「同じ飲み物でいいかしら。・・・はい、お待ち!」

K 「それじゃ、まだまだアキちゃんに頑張ってもらうためにも、かんぱ〜〜〜い!」

一同 「乾杯!ははは・・・・・。」

おわり
  * 登場人物は全て仮名です。
  * 今回紹介した公演は
    1) シャルル・アズナヴール来日公演
        公演終了

  以上です。夏の暑い時期ですが、皆さん、劇場に足をお運び下さいね。
2016.7.23


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