<年末はこれで決まり!>の巻

友(以下T)「すっかり寒くなりましたよねぇ〜、ホント。」

大ちゃん(以下D)「本当にね。そろそろ暖房かな。」

あき(以下A)「そうねぇ〜。お湯も用意しとかなきゃ。」

T 「アキさん、お変わりお願いします。」

A 「同じものでいいのかしら?」

T 「はい、今月のお勧めドリンクで。」

D 「今月は何だっけ?」

A 「今月はジンをベースにした<ピエロの涙>よ。」

D 「へ〜、素敵な名前だね。」

A 「でしょ。スッキリしたい方にはソーダで、甘〜いのが好きな方にはトニックウォーターでね。」

D 「選べるんだ。」

A 「そうそう。友ちゃんはスッキリよね。」

T 「そりゃそうですよ。自分と一緒です。」

A 「え?なんか言った?ははは・・・・。」

T 「ホント意地が悪いですよね、アキさん。」

D 「アキちゃんのストレス発散だよ、ね、アキちゃん。」

A 「まったく二人ともぉ〜、倍付よ!ははは・・・。はい、おお待たせ。」

D 「何か不思議な色だね。」

A 「パルフェタムールを使っているからね。」

T 「パルフェタムール?」

A 「ほら、ヴァイオレット・フィズなんかで使うじゃない。」

D 「あ〜、あの紫のね。」

A 「そうそう。あれあれ。」

T 「大さん、少し飲んでみます?」

D 「いいのぉ〜?それじゃ、ちょっとね。・・・・う〜む、美味い!アキちゃん、俺もそれ頂戴。」

A 「あいよっ!」

T 「そうそう、アキさん。年末に向けて何かお勧めの舞台ってありますか?」

A 「沢山あるわよぉ〜。」

D 「俺はその前に芸術の秋に観た芝居の事話してほしいんだけどな。」

A 「はい、お待たせ。・・・それね。芸術の秋。本当に沢山観ちゃったのよね。10月は24本。」

T 「え〜〜〜!ほぼ毎日じゃないですか。」

A 「そうなのよね。もう死ぬかと思ったわよ。ははは・・・。」

D 「で、どうだったの?」

A 「もう盛沢山。その中では、ドラマティック・カンパニーの<マザーズ・イン・ヘヴン>、由言企画の<やってきたゴドー>、 アーサー・ミラーの<るつぼ>、ブロードウェイの来日公演<キンキーブーツ>、大竹しのぶ、渡辺えり、 キムラ緑子という超強力メンバーで送った<三婆>、奇ッ怪シリーズの第三弾<遠野物語>、 ウディー・アレンの映画<カイロの紫のバラ>を下敷きにした<キネマと恋人>が良かったかなぁ〜。」

T 「それだけでも多すぎます、ははは・・・・。」

D 「まあ、終わっちゃったのは置いといてこれから年末にかけて何かあったらいいんだけど。」

A 「それだったらつい最近始まったばかりの<キネマと恋人>ね。」

T 「さっき言ってましたよね。っていう事は本当につい最近観たんですね。」

A 「そうなのよぉ〜。で、3時間を超える長い舞台なんだけど、全く長さを感じなかったのよね。さっきも言ったけど、 ウディー・アレンの映画<カイロの紫のバラ>からインスパイアされて作られたんだけど、 もっと大きな劇場でやっても良かった作品だと思ったわよ。何しろ、先ず観て!って。」

D 「へ〜、相当お勧めなんだね。」

T 「その他には?」

A 「来月に入ってから直ぐ始まるのが劇団新感線のヒロイン、高田聖子が座長のユニット月影番外地シリーズの<どどめ雪>ね。 それから10月から始まっている国立劇場の歌舞伎通し狂言<仮名手本忠臣蔵第三部>、そのお隣小劇場では文楽の<仮名手本忠臣蔵>が。」

D 「歌舞伎と文楽を比べてみるのも良いよね。」

T 「面白そうですね。」

A 「11月は毎週のように三軒茶屋に通ってたんだけど、今週日曜日から始まる<エノケソ一代記>もお勧めよ。」

D 「エノケンでしょ、アキちゃん。」

A 「エノケソでいいのよ、エノケソで。大ちゃんが言ったエノケン、榎本健一に憧れてる売れない喜劇役者とその奥様の一代記ね。」

T 「あの〜、エノケンってぇ〜〜〜?」

D 「エノケン知らないの?」

T 「全くぅ〜。」

A 「まあ、友の歳じゃ仕方ないでしょ、知らなくても。」

D 「昭和の喜劇王って言われた人は何人かいるんだけど、その中のひとり、榎本健一の事だよ。 晩年は壊疽で足を切り落としたにもかかわらず舞台に立ち続けた人だね。」

T 「へ〜、そんな人がいたんですね。」

A 「まあ、アッシの歳だと結構鮮明に覚えてるけど、亡くなったのが1970年だものぉ〜、分からなくて当然と言えば当然よぉ〜。」

D 「歌もヒットしたよね。<私の青空>とか<月光値千金>とかね。」

A 「まあ、そんなエノケンに憧れちゃった喜劇を目指した役者さんは多くいたのよね。その中の一人、エノケソのお話。」

T 「ちょっと観てみたくなりましたよ。」

A 「ミュージカル好きな人には<RENT>の来日公演、映画で大ヒットした<プリシラ>のミュージカル版もあるわよ。」

D 「レントかぁ〜。もう初演から大分経つよね。」

A 「今回は20周年記念の来日公演なのよ。ま、正直言ってアッシはそんなに好きなミュージカルじゃないんだけど、 熱狂的なファンがいるミュージカルだからね。」

T 「<プリシラ>の映画は本当に面白かったし泣きました。」

A 「良く出来たロードムービーだったわね。劇中に使われる曲もアッシ世代には懐かしかったし。」

D 「ミュージカルじゃどうなるのかな。」

A 「そこも楽しみの一つじゃない。で、これは日本キャストね。」

T 「大分紹介してもらいましたけど、迷っちゃいますね。」

D 「決定回避の法則だよ。」

T 「なんですか?それ。」

A 「つまり、選ぶものが少ない時はあまり迷わないんだけど、多い時には迷っちゃって中々決められない、って事ね。」

T 「あ〜、あります、ありますぅ。」

A 「それなのにあと一つお勧めがあるのよ。」

D 「まだ有るんだ。」

A 「そう。忘れてたんだけど、この所素晴らしい作品を送り続けている劇団桟敷童子の<モグラ…月夜跡隠し伝…>ね。 関東大震災後の大正末期、二つの神が存在するという禁断の地<泥捨馬場>を舞台に展開する話みたい。」

D 「桟敷童子には前作<夏に死す>でノックアウトされたからな。行かない訳にはいかないなぁ〜。」

T 「いやぁ〜、本当に悩んじゃいますね」

D 「お代わりもらって考えますかね。アキちゃん、ジンバックを。」

T 「僕も今月のお勧めドリンクを。」

A 「あいよっ!」

おわり
 * 登場人物は全て仮名です。

 * 今回紹介したお芝居は

   1) ドラマチックカンパニー<マザーズ・イン・ヘヴン>
       公演終了

   2) 由言企画<やってきたゴドー>
       公演終了

   3) アーサー・ミラー作<るつぼ>
       公演終了

   4) 来日公演<キンキーブーツ>
       公演終了

   5) 三婆
       27日まで  新橋演舞場

   6) 遠野物語〜奇ッ怪 其の参
       公演終了

   7) <キネマと恋人>
       上演中〜12月4日 三軒茶屋シアタートラム

   8) <どどめ雪>
       12月3日〜12日 下北沢ザ・スズナリ

   9) <歌舞伎・通し狂言・仮名手本忠臣蔵・第三部>
       12月2日〜26日 国立劇場・大劇場
  10) <文楽・通し狂言・仮名手本忠臣蔵>
       12月3日〜19日 国立劇場・小劇場

  11) <エノケソ一代記>
       11月27日〜12月26日 世田谷パブリックシアター

  12) 来日公演<RENT>
       12月15日〜31日 東京国際フォーラム・ホールC

  13) ミュージカル<プリシラ>
       12月8日〜29日 日生劇場

  14) 劇団桟敷童子<モグラ…月夜跡隠し伝>
       12月15日〜27日 すみだパークスタジオ〇倉
  以上です。年末でバタバタすると思いますが、どうぞ足をお運び下さいね。

2016.11.22


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