《テンポがいいって最高ね!》の巻

たみちゃん(以下T)「あきちゃん、もう一杯お代わり。」

あき(以下A)「あいよっ!ハーパー・ソーダでいいの?」

T「は〜い。お願いします。」

A「あい、お待ち。」

T「そう言えばアカデミー賞も無事に終わったよね。俺、今回予想に応募 しなかったんだけど、当った人いるの?」

カン吉(以下K)「そう言えば、昨日だったけ?僕はちゃんと応募 したんだけど、今年も無理かな?」

A「そうなのよ。例年さ、正解者がいないじゃない。だからね、今年は部 門を減らして主演と助演だけにしてみたのよね。だけど、今年も一人も当 らなかったのよ。」

K「て言う事は、僕もはずれたんだ。ざ〜んねん。」

T「結構、今年は当る様な気がしてたんだけどな。」

A「そうでしょ。アッシもさ、今年は結構簡単かな?なんて思ってたのよ 。それがさ、助演女優でみんなヤラレタわよね。」

T「で、誰だったの?助演女優は。」

A「マルシア・ゲイ・ハーデン。」

K「そんな人、ノミネートされてましたっけ?」

A「ちゃんとされていたわよ。【ポロック】っていう映画で。」

T「【ポロック】?何、それ。」

A「今回、主演男優賞にもノミネートされていた、エド・ハリスが監督も 兼ねて撮った、抽象画家、ジャクソン・ポロックの伝記映画で、マルシア ・ゲイ・ハーデンは、その主人公で、エド・ハリスが演じたポロックの妻 役を演じたのよね。」

K「へ〜。全然知らない。そのポロックっていう画家も。」

A「アッシも知らないのよね。勉強不足だったわ。」

T「俺も始めて知ったけど、彼女ってさ、コーエン兄弟の撮った【ミラー ズ・クロッシング】に出てたよね、確か。」

A「あら、たみちゃん、良く知ってるわね。アッシは何も知らなかったわ 。」

T「それにさ、彼女、東京生まれだったんじゃなかったかな?」

K「えっ!そうなんですか?何か、親近感わいちゃいますよね、僕もあき ちゃんも、東京生まれだし。」

T「悪かったよな、東京生まれじゃなくって。」

A「いいじゃないよ、何処だって。結構たみちゃん、映画好きなのね。今 回応募してれば当ったかもね。」

T「俺もしよう、しようと思っていてついうっかり忘れちゃったんだよな 。ギリギリで申し込もうと思ったんだけどさ、プロニューの芝居観に行っ たら、何か、テンポ良くなっちゃってさ、飯喰ってから渋谷で飲み明かし ちゃって、気が付いたらもう終電てな訳だ。」

K「テンポのいい芝居って良いですよね。あきちゃんも言ってるよね、プ ロニューの芝居って、何時もテンポ良いってね。」

A「そうよね、アッシは、今回は別な用事があって行けなかったんだけど 、次回は必ず行きたいと思ってるのよ。」

T「そう言えば、前に何か言ってたよね、テンポが凄く良かったって。あ れ何の芝居だっけ?」

A「えっ?何だっけ。え〜と、あ〜、あれね、流山児事務所の【ハイ・ラ イフ】。あれは本当にテンポが良くって、久しぶりに《いい芝居》を観た なって感じたわよ。」

K「そんなにテンポが良かったんですか?その芝居。」

A「本当に良かったわね。リー・マクドゥーガルって、今、丁度L.A. で上演しているミュージカル【ママ、ミア】に出演している、元々は役者 さんなんだけど、この戯曲で作家デビューした人の作品でね、まあ、出演 者は男4人のみ。その4人が一攫千金を狙って繰り広げるハード・ドラマ って所かしらん。」

T「俺も観たかったんだよな、あきちゃん観終わってから店で良い良いっ て、言い続けてたもんな。」

A「本当、良かったもの。今思い出しても気分壮快。芝居はこうでなくっ ちゃ、って思うわよ。まあ、再演したら是非観に行ってよ。これは間違い なくお薦めだから。」

K「じゃあ、この芝居はどうですか?全然チケット取れなかったんで、当 日券、挑戦してみようと思ってるんですけど。」

T「【毛皮のマリー】か。またやるんだ。今度はミッチーなんだよな、相 手役が。」

A「あら、たみちゃん、結構若いじゃない。アッシなんか、この及川光博 って子、マツキヨの宣伝でしか知らなかったから、もうどうなることやら って思っていたのよね。」

T「じゃあ、あきちゃん、もう観てきたんだ。」

A「はい、しっかり観てきたわよ。」

K「で、どうなんです?ミッチーは。」

A「それがさ、知らなかったって事もあるんだけど、出来るのよ、芝居。」

T「前から芝居は出来るって聞いてたけどさ、そんなに出来るんだ。」

K「じゃあ、当日券、並ぶ価値ありですよね。」

A「アッシ、びっくりしちゃったもの。アッシの知っているイメージとは 大分違っていたわね。もともと、今回の芝居は、若松武史の演る美少女・ 紋白に期待してたじゃない。勿論、若松さんは、期待を裏切らない出来だ ったんだけど、及川君、テンポが良くて、最高だったわね。」

K「へ〜。」

A「それに、色々な顔を持っているのよ。知らなかったのはアッシだけか も知らないけど。声も通るしさ。美輪さん相手に、とても初舞台だとは信 じられない位だったわね。」

T「若松武史って、昔も紋白の役やってたけど、下男・醜女のマリーは、 今回も麿赤児だったのかな?」

A「そうよ。当り役。可笑しくて、哀しくて。それに水夫の役は、これも 以前同じ役を演じてた、菊池隆則。NHKの朝の連ドラに出てたから 、知っている人も多いわよね。」

K「豪華キャストですよね。でも、この衣装、チョット気味悪いんだけど 。」

A「あら、カン吉もそう思う?アッシも初めそう思ったのよ。で、芝居が 始まったら、それが、良いのよね、衣装も。」

T「じゃあ、役者も良い。衣装も良い。勿論、演出は、この芝居に関して は初めてみたいだけど、美輪さん自身がしている訳だから、きっと良いだ ろうし。完璧じゃん。」

A「そうなの、と言いたいけれどね。」

K「何か不満でもあったんですか?あきちゃんは。」

A「役者も、衣装も、音楽も、そして、舞台美術も良かったのよね。今ま で観た【毛皮のマリー】の中でも、決定版のようだったんだけど、アッシ ね、最後の最後で砕けちゃったのよね。その演出に。」

T「最後の最後?そりゃ、悔しかっただろうな。」

K「どんな所が駄目だったんです?あきちゃんにとって。」

A「そうね、美輪さんは、最後の最後を近親愛、親子の情愛の形として、 ああいう演出をしたんだしょうけど.....。」

T「ああいう演出って?」

A「それは、まだ観ていない人の為に言えないけど。」

K「まるで、新作映画みたいですよね。」

A「とにかくアッシは、やはり最後は、脚本の通り、美少年・欣也に化粧 をしている所で幕にしてほしかったのよね。テンポが自分の中で崩れちゃ ったのよ。」

T「テンポって、大切だからな。」

K「折角いいテンポできてたのに。あきちゃんにとっては残念でしたね。」

A「本当にね。でもさ、今、カン吉が言ったように、これは、アッシにと って駄目だっただけで、他の人にとっては、最後まで良いテンポのままだ ったかもしれないしね。現に、アッシの隣にいた女の子なんか、涙流して 泣いてたし。」

K「それじゃ、やっぱり当日券頑張ってみようっと。」

T「ああ、観た方がいいよ。俺も【毛皮のマリー】って芝居は好きだし、 カン吉にとっては、ずっといいテンポで行くかもしれないしな。」

A「そうね、人によって感じ方は違うし、いいテンポで観る事ができたら 最高だからね。観てきたら感想聞かせてよ。」

K「勿論です。」

T「でも、その前にチケットの確保。それからだよ。」

A「ほんとだ。」

一同「ハハハハッ.......。」

おわり。


*登場人物は全て仮名です。

*今回登場した芝居、劇団などは、

1)プロニュー(正確にはプロジェクト・ニュートラル)
    次回公演:5/10~5/14
    こまばアゴラ劇場
2)流山児事務所
    次回公演:4/24~4/30
    下北沢ザ・スズナリ
3)毛皮のマリー
    公演中〜4/22までPARCO劇場
    以降、全国巡演

以上です。お問い合わせは各劇団、劇場にお願いします。


Back Number!