《チェックは大切》の巻

マミちゃん(以下M)「あ〜あ。何にもしたくないわ〜っ。だから季 節の変り目ってきらいなのよね〜っ。」

スターちゃん(以下S)「それは気力ですよ、気力。」

あき(以下A)「でも、良く解るわ、マミちゃんの言ってる事も。 まあ、4月鬱っていうヤツよ、それ。でもさ、もうすぐ待望のゴールデン ・ウィークでしょ。羨ましいいわよね。アッシにはないもの、ゴールデン ・ウィーク。」

S「何言っているんですか?君にはちゃんと11月のお休みがあるじゃな いの。それが君のゴールデン・ウィークでしょ。その頃、僕らには無いん ですよ、休みなんか。」

M「そうそう。あたしなんかさ〜あ、前の日休んじゃうから10連休。ど うしようかしら?彼氏もいないし、何か、一人でいるのもどうかと思うわ よね〜え。」

S「一人もいいですよ。僕なんか何時も一人で勉強です。」

M「スターちゃんはいいわよ。勉強好きだからさ〜あ。でもさ〜あ、あた し勉強嫌いじゃな〜い。だからさ〜あ....。」

A「あ〜んた、机に向かっているだけが勉強じゃないのよ。街を歩くとか 、旅に出るとか。そうそう。丁度いい休みなんだからどさ〜んと映画でも 観に行ったら?」

S「映画はいい勉強になりますよ。マミちゃん、結構映画好きだったじゃ ないですか。最近は観てないんですか?」

M「う〜ん。最近ね、だるくてさ〜あ。映画館に足を運ばなくなっちゃっ たのよね〜っ。でも、久しぶりに行ってみようかしら〜っ、映画館。」

A「そうよ、行ってみたら?丁度連休って事もあって、いろいろ上映して るしさ、良いじゃない。行ってきなさいよ。」

S「まあ、良いんじゃないかな。気分転換にもなりますよ、きっと。」

M「そうかしら〜ん。何かお薦めってあるの〜っ、あきちゃ〜ん。」

A「そうね、沢山上映してるしね。ちょっと、マミちゃん、そこの[ ぴあ]取ってくれない?」

M「こういう時には[ぴあ]にかぎるわよね〜え。は〜い、あ きちゃ〜ん。」

A「ありがと。え〜と。あら!やっと上映してるのね、面白かったわよ、 これ。」

S「何ですか?もう観ちゃったんですね、あきちゃんは。その口調から察 するところ、去年アメリカで観ちゃったんですね、その映画。」

A「流石はスターちゃん。本当に面白かったのよ、これ。」

M「何なに。どれどれ。」

A「あんた、急にテンポが良くなったわよ。春のせいかしらん、これも。」

M「イヤ〜だ。あたしさ〜あ、興味が沸いて来ると、居ても立ってもいら れない性格じゃない。早く〜う、教えてってば〜あん。」

A「もう4週も経っちゃっているけど、マミちゃん、これよ、《チキンラ ン》。これ、本当に面白かったわよ。あんた、映画好きだったもんね。そ れだったら間違いなく面白いはずよ。」

M「どれどれ。え〜っ、これアニメじゃないの?」

S「マミちゃん、クレイ・アニメーションって知ってるかな?」

M「なに?スターちゃん、クレイ・アニメーションって。」

S「クレイ、つまり粘土で作った物をひとコマずつフィルムに収めて作っ たアメーション。とっても時間と労力がかかっているんですよ。」

M「へ〜。流石スターちゃん。色んな事知ってるわよね。で、かいつまん で言ってほしいんだけど、どんな話しなの?」

A「まあ、観る前から言っちゃうのも何なんだけどさ、もう観ている人も 多いと思うから言っちゃうとね、養鶏場からニワトリが脱走する話しなの よ。」

M「それじゃ、全く分らないじゃない。さっき、あきちゃん、映画好きだ ったら間違いなく面白いって言ってたでしょ。それはなにようん。」

A「あっ、あれね。まあ、ここでは色んな映画のパロディーが詰まってる 、とだけ言っておきましょう。後でさ、観てから話し聞かせてよ。マミち ゃんがどれだけ映画好きかって判断しちゃうからさ。」

M「イヤ〜ン。まるで、試験みたいじゃない。でも何か楽しくなってきち ゃった。あたし、これ観に行くわ。」

S「結構面白いですよ。僕は《ハンニバル》より数段面白く観ましたけど ね。」

A「あら、スターちゃん。もう観たんだ《ハンニバル》。駄目ダメだめ駄 目、言わないでよ。アッシはこれから観るんだからさ。チョットは聞きた いんだけどね。ここは我慢のしどころ。」

M「《羊たちの沈黙》の続編よね。新聞や雑誌の批評では、なんかパッと しないわよね。あたしは、まあいいかなって思ってるのよ。」

A「あら、マミちゃん、結構チェックしてるんじゃない。な〜んかテンポ が急に早くなったわって思ってたら。春のせいじゃなくて、ただ興味があ るかないかの問題だったのよね。アンタ、もういろいろ決めてるんじゃな いの?観るもの。」

S「僕が当ててあげましょう。まず、《ザ・メキシカン》、それに《タイ タンズを忘れない》。この二つは絶対に観るはずです。」

M「すご〜い。スターちゃん。あたしの心の中が分るみたい。もしかして..... 。」

S「それはないです。だって、マミちゃん、ミーハーじゃないですか。ブ ラピに新人だけど、マミちゃんは絶対チェックしているはずのキップ・パ ルデュー。この二人を外す訳がありませんからね。」

A「凄い観察力。感心しちゃったわ、スターちゃん。勉強ばかりじゃなく て、たまには映画なんかも観るのよね。で、スターちゃんが観る予定にし ているのは何なのかしらん。」

S「そうですね、僕はマミちゃんとは違ってミーハーじゃないですから。 でもね、視点は違うと思いますけど、人種差別という問題ではなくて、人 間の生き方の壁みたいなテーマを扱っている《タイタンズを忘れない》は 観ようと思っています。それに、《トラフィック》と《ショコラ》。どち らもアカデミー賞で話題でしたからね。」

M「スターちゃん、スッゴ〜イ。あたしなんか、とりあえず好きな俳優が 出てると、それに飛び乗っちゃうんだけど、ほとんど内容とか調べないの よね。だからズッコケちゃう事もあるのようん。」

A「あら、あんた、調べたってさ、ズッコケちゃう時はズッコケちゃう。 そんなものよ。それより、どんな理由だって、観終わってから感動したり 、勇気づけられたりする事の方が良いんじゃないの?アッシはそう思うけ どね。」

S「そうですよ。観てからのお楽しみ。さて、どうなりますか。ところで 、あきちゃんはどうなの。まあ、ゴールデン・ウィークは書き入れ時だか ら映画どころじゃないかもしれないけど。」

A「そうね、この連休は行けないと思うけど、ず〜と観よう、観ようと思 っててまだ観てない《山の郵便配達》と《タップ・ドッグス》は観たいの よね。」

M「あら、チェックしてないわよ、それ。どんなのかしら?教えて頂戴よ 。」

A「《山の郵便配達》はね、中国映画でさ、山間部に郵便配達をしている 初老の郵便配達人が寄る年波には勝てなくなって、その仕事を息子に引き 継がせる為に郵便集配の旅に出るって話し。旅って言うのはちょっと大袈 裟だけどね。あと、《タップ・ドッグス》はミュージカル好きな人にはお 薦めの映画よね。タップが好きな一人の青年も物語り。」

S「シドニー・オリンピックでワーク・ブーツのタップダンスを披露した ディン・ペリー率いる集団の実話に近い物語りですよね、確か。」

A「あら、スターちゃん、これもチェックしてたのね。」

S「一応。今は、よほどのヒット作でないと長い期間上映しないので、選 ぶ方も大変ですよ。」

A「まあ、上映期間が長いから良い映画とは限らないしね。観逃した物も 沢山あって、アッシなんか、ヴィデオで観るのイヤな方だから、本当に何 時観に行くかまでちゃんとチェックしないと、気が付いた時にはもう終わ っちゃってるなんて事もザラにあるのよね。」

M「ほんとよね、休みは長いけど、選ぶのも大変。映画三昧も良いけどね 。でも、こんなに長い期間休める事も夏までない事だし、映画三昧といこ うかしらね。そうしましょ。それじゃ明日も早い事だし、あたし、この辺 で失礼するわ。いろいろ有難うございました。」

S「ちょっとは参考になりましたか。それは良かった。もし、映画館で会 っても無視しないで下さいね、マミちゃん。」

M「大丈夫よ。スターちゃ〜ん、って抱き付いてあげるわよん。」

S「それはご勘弁。」

一同「イヤダ、ハハハハハ......。」

A「ところで、マミちゃん、チェックまだなんだけど。」

M「あら、ゴメン。話しに夢中で帰ろうとしちゃったわ。はい、これね。 ゴメンなさ〜い。それじゃまたね。」

A「は〜い。お休み!またね。」

S「そうですよね、あきちゃんにとっては、映画のチェックも大切だけど 、こっちのチェックはもっと大切か。」

A「あたりまえです。ハハハ....。」


おわり


みなさんもこの連休、映画三昧はいかがですか?

*登場人物は全て仮名です。


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