《アキのN.Y.お芝居観て歩記 ′01》の巻

正ちゃん(以下S)「あきさ〜〜ん、お帰りなさ〜い。大丈夫だっ たですか?」

なっちゃん(以下N)「本当に心配しちゃっいましたよ。何しろア キさんがニューヨークに着く日だったですからね。」

S「本当ですよね、なっちゃんからも電話もらったしねぇ。」

アキ(以下A)「ほんとに心配掛けちゃったわね。アッシもどうな るかと思っちゃったわよ。JFKに着く1時間前位かしらん、JFK が閉鎖されて降りる事が出来ないかっらデトロイトに向かうっていうじゃ ない。え〜〜っ!、こりゃまたテロかしらん、なんて少し怖くなっちゃっ たけどね。でも、まあ、2時間遅れ位で無事到着。」

S「じゃあ、その日のお芝居には間に合ったんですね。さすがぁ、アキ様 。間に合わせる様にしたんですね。」

N「はははは。そんな事は無いだろうけど、とにかく無事帰ってきて良か ったですよ。ところで、そのお芝居の方なんですけど、どうですか?僕が 行った時はあの事件の前だったから、結構ブロードウェイも賑わっていた んですけどねぇ。」

A「そうね、あんまり変らなかったんじぁなかったかしらん。ただ、確実 に日本人は少なかったけどね。」

N「そうでしょうねぇ。うちの会社なんて海外旅行禁止令が出てますもん 。」

S「へ〜〜ぇ、そんなに厳しいんだ。」

A「まあ、アッシにとっては良かったんだけど。」

S「それで、お芝居は何をみてきたんですぅ〜?」

A「着いた日が...」

N「え〜っ、着いた日からもう観たの?タフやねぇ。で、何を?」

A「初日が《ユーリンタウン》、そして次の日が、今回1番のお目当て《 ザ・プロデューサーズ》、3日目の昼が《バイ・ジーブス》夜が《バット ・ボーイ》、そして最終日に《イレイン・ストリッチのワン・ウーマン・ ショー》。こんな所かしらん。」

S「相変わらずの芝居三昧。何時もハードスケジュールですよね。」

N「最初の日は眠かったでしょうから寝ちゃったんじゃないんです?」

A「それがね、着いた初日に観た《ユーリンタウン》っていうミュージカ ル、面白くて面白くて。全くコックリもしなかったわ。」

S「面白かったりすると、そうですよね。どんな話しなんですか?大体、 そのユーリンタウンっていう意味がわからないわぁ〜。」

N「まあ、下品なタイトルですよ。」

S「何よ、なに?」

A「ユーリンって、オシッコの事なのよ。だから《オシッコの街》とでも 言うのかしらん。」

S「やだ〜ん。おゲヒ〜〜ン。」

N「でも、面白かったんですよね。」

A「そうなのよ。まあ、話しはね、公共のトイレの無料化を求めて立ち上 がる住民とトイレ経営会社の対立ってとこかしらん。」

N「何か、面白そうじゃないですか。」

S「だから、なっちゃんてば、アキ様は面白かったから初日にも拘らず眠 らなかったって言ってるじゃないよぉ!」

N「そんなに語気を荒げなくても...。」

S「そうね、失礼しやした。で?アキ様、続きを。」

A「まあ、その周辺の住民って言うのが、いわゆる下層階級の人達で、そ の先頭になって戦っている若い革命家とトイレ経営会社の社長令嬢との恋 を絡めて進んでいくのよ。」

N「何かバカバカしい話しじゃない?」

A「ホント、ばかばかしくてね。お腹がよじれちゃう位だったの。」

S「ねえねえアキ様、このシアター・ガイドによるとオフからオンに上が ってきたって書いてありますけど。」

N「そうなんですよね。観とけばよかったなぁ〜。」

A「そうでしょ。観て決して損はない作品よ。オフからオンに上がってき たのが良く解るもの。」

S「アキ様、具体的にはどの様な所が、というか、全体の印象と言うかは どうなんでしょおうねぇ。」

A「さっきも言ったけど、何しろ面白いの1語に尽きるわね。役者達はみ な芸達者だし、特にこれと言った音楽は無いものの、演出と凄くマッチし ていて良い印象を残すのよね。」

N「役者がみな芸達者だと安心して観る事が出来るからねぇ。」

S「特に印象に残った役者さんはいたんですか?」

A「警察官のロックストックを演じたジェフ・マッカーシーとリトル・サ リーを演じたスペンサー・ケイデン、それに革命家ボビー・ストロングを 演じたハンター・フォスター。この3人が傑出していたけど、本当にみな 芸達者でね。」

N「それでオンに来て続きそうなのかな?」

A「これは間違いなく続くわよ。作品としてはオフから来ているので解る と思うけど、B級なのよね。パロディーも所々にあって、みな真面 目に演っているんだけど笑っちゃうのよ、こっちが。」

S「パロディーって、どんなのがあったんですか?」

A「まあ、これを言っちゃうとこれから観る人に悪いからあまり言えない んだけ ど、アッシが判っただけでも《ファンタスティックス》、《屋根の上のヴ ァイオリン弾き》、《ウエスト・サイド物語り》、《ビッグ・リヴァー》 、《レ・ミゼラブル》それに《フォッシー》。」

N「そんなに。」

S「それじゃミュージカルの好きな人にとってはたまらないわよねぇ。」

A「そうでしょ。」

N「それほど面白い芝居を初日に観る事が出来て良かったですね、本当に 。」

S「最初良ければ後は良、って言うしね。」

A「それがそう旨くいかないのが世の常っていうものでしょ、正ちゃん。」

S「って言う事は、つまらない芝居もあったんですねぇ。」

A「アッシにとってはね。」

N「なんなんです?」

A「3日目のマチネで観た《バイ・ジーブス》なのよ。」

N「それって、アラン・エイクボーンとアンドリュー・ロイド・ウェッバ ーの作ったやつだよねぇ。結構期待してたんだけど。」

A「まあ、なっちゃんが観たらどうか分らないけど、とにかくアッシには つまらなかったわね。」

S「どんな点がそうだったんですかね。」

A「そんな点て、とにかくアッシには退屈で仕方なかったのよ。」

N「何か、イギリスっぽく過ぎているって事なのかな?」

A「それはあるわね。何か、スノッブでさ。それに今の時代には古すぎる 話しと音楽。」

S「結構ひどかったんですね。」

A「だからアッシにとってね。最初は良かったのよ。何か始まるわよ的な 感じで。でも、舞台が進んでいくにしたがって段々退屈になってきちゃっ てさ。」

N「回りの反応はどうだったんです?」

A「2幕の初めに主人公のウースターが観客にむかって、【安心した。ま だ残っていてくれたんですね。】みたいな台詞を言うのだけど、これは台 本にはちゃんと書いてあるんだろうけど、どうもアッシには本当の気持を 言っている様にしか感じられなかったのよ。実際、1幕で帰った人も大分 いたしね。」

N「そうなんですか。期待してたのにねぇ。」

S「でもなっちゃんが観たらまた違うかもしれないじゃないですか。ねえ 、アキ様。」

A「そうよ。あくまでもアッシが観た感想なんだからさ。」

N「それじゃ続かないかもしれないじゃないですか。」

A「アッシはもう風前の灯だと思うんだけどね。」

S「まあまあ、なっちゃん機嫌直しに何か1杯飲む?」

N「そうですね。じゃあ、時間も遅くなったのでソフト・ドリンクを。ウ ーロン茶にしてください。」

S「は〜い。お待たせ。」

N「アキさん、その他の芝居の話しも聞きたいんですけど、時間が無くな っちゃったので今度また聞かせてくださいね。」

A「そうね。もう終電だもんね。今度は全く退屈しなかった《ザ・プロデ ューサーズ》と超超B級だった《バット・ボーイ》の話しをするわ ね。」

S「それじゃなっちゃん、2800円で〜す。」

N「はい、これで。」

S「200円のお釣りで〜す。ありがとうございま〜す。」

A「有難うね、なっちゃん。続きは今度ね。」

N「はい、楽しみにしていますよ。それじゃお休みなさい。」

S&A「お休み!ありがとう!」

おわり


*登場人物は全て仮名です。



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