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<アキのNYお芝居観て歩記 ’02>の巻 VOL.1
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あき(以下A)「いらっしゃ〜い。」 ヒロミ(以下H)「こん晩は。」 A 「あら、ヒロミちゃん。元気だった?いらっしゃいませ。」 H「え〜と、ビールを下さい。」 A 「あいよっ!」 タッキー(以下T)「それにしても久しぶりですね。ヒロミさんに会うのって 3カ月ぶり位かな?」 H「そうだよね、タッキーとこの前会ったのが、アカデミー賞の時だったからね。 」 A 「もうそんなに経っちゃったんだ。はい、ビール。で、 今回はどの辺に出張だったの?」 H「ニューヨークなんですよ。」 A 「あら、アッシも5月の半ばに行ってきたし、 タッキーもその前に行って来たところなのよ。向うで会いたかったわね。」 H「そうでしたか。それだったら連絡しとけば良かったな。あきちゃん、 またお芝居三昧だったんでしょ?」 A 「そうなのよね。今回は、4日間いて6本のお芝居を観て来たんだけどね。」 T「4日間で6本ですかぁ?そりゃシンドかったでしょうね。」 A 「ちょっと、ハードスケジュールだったかな?」 H「俺なんか、2カ月半もいて、たったの3本だけですよ、観たの。」 A 「ヒロミちゃんはお仕事で行ってたんだもの、仕方ないわよ。」 H「で、今回、何かありました?そういえば、 この前TVでトニー賞生放送でやってましたね。」 T「えっ!?そうなんですか?見落としちゃった。再放送あるんですかね?」 A 「たしか、今やっているんじゃない?再放送。」 T「あらら、それじゃ駄目じゃないですか。あ〜あ、がっかりだな。」 H「俺、ヴィデオとってあるから、今度持ってきておくよ。」 T「本当ですか。うれしぃっ。トニー賞って、ミュージカルのワン・ シーンを再現するじゃないですか。それが楽しみでさ、 毎年欠かさず観ていたんですよ、TV。で、いつ頃来ます?ヒロミさん。」 A 「そんなに焦らなくったって、まだ当分居るんでしょ、こっちには。」 H「今回は1年位いる予定なんですよ。」 A 「あら、それだったら焦る事ないわよね、タッキー。」 H「それより、聞きたいな、あきちゃんのお芝居の話。」 T「そうですよね、僕も聞いてなかったし。」 H「6本でしたっけ?何、観て来たんですか?」 A 「初日はね、ほら、 去年行ったときに飛行機が落ちちゃって大変だったじゃない。 だからチケット買わないで、 半額チケットで残っている物を観ようと思ったのよね。それで観たのが、 <SWEET SMELL OF SUCCESS>っていうミュージカル。」 H「あ〜、それって、あの映画の<成功の甘き香り>を ミュージカルにした物ですよね、噂は聞いたな。だけど、 あんまり評判は良くなかったみたいだったけど。」 A 「この前のトニー賞で、主演男優賞を獲ったわよね。」 H「そうだったよ。ジョン・リスゴウだったよね、確か。」 A 「そうそう。評判はいまいちみたいだったけど、 着いたその日に観たにも係らず、居眠りしなかったから、 アッシには、そこそこ面白かったと思うんだけどね。」 T「僕も観て来たんですよ。僕には何だかあんまり内容が解らなくって。」 H「あきちゃん、映画と同じんだよね、ほとんど。」 A 「そうよ。 影響力のすごくあるコラムニストに取り入ろうとして群がってくる人達の話ね。」 T「そう言う話だったんだ。僕はミュージカル・ナンバーが素敵で、 話の内容はさておき、とても好きだったです。」 A 「アッシもそうね。 マーヴィン・ハムリッシュの音楽がとても印象に残っているわね。」 H「観れば良かったかな?」 A 「でもね、トニーで主演賞獲った、 ジョン・リスゴウはね、チト感心しなかったわね。」 T「どうしてですか?いいおじさん、って感じだったのに。」 A 「だからね、タッキー。彼はさ、優しい良いおじさんじゃ駄目なのよ。 もっと怖さを出さないと。むしろ、彼に取り入ろうとする、 ブライアン・ダルシー・ジェームズが良かったわね。」 H「さっきタッキーも言ってたけど、音楽は相当良かったんだよね。」 A 「印象深かったのは、 オープニングの<THE COLUMN>と何度か繰り返される <I CANNOT HEAR THE CITY>。個人的な趣味で言っちゃうと、 これを歌った、ジャック・ノーズワーシーがとても可愛くて、 それだけで結構満足ってな感じだったけどね。」 T「まあ、あきさんの趣味の話は良いとして、僕は音楽もそうでしたが、 舞台もシンプルで良かったと思うんです。内容は解らなかったけど、 そう思ったんですよね。」 H「内容が解らなくても、良かったって思える舞台だったんなら、 結構良いかもね。」 A 「アッシも、批評が悪い割には良かったって思うのよ。 日本でやってもいいんじゃないかな?」 H「他はどうよ。」 A 「二日目の夜は、<OKLAHOMA!>の再演。」 T「リチャード・ロジャースとオスカー・ハマーステインの <オクラホマ>ですよね、あの有名な。」 H「これは観たよ、俺も。観客が異様に盛り上がってたけど。」 A 「そうなのよね。今年はリチャード・ロジャースの生誕100年という事で、 彼関係の催し物がいろいろあるらしいんだけど、 この<オクラホマ>の再演に関しては、アッシはちょっと首を捻っちゃうわね。」 T「僕は観なかったんですけど、 ロンドンでは相当ヒットしていたみたいじゃないですか。」 A 「そうなのよ。ロンドンのプロダクションをそのまま持ってきたんだけど、 ブロードウェイ版は、キャストがいまいちだったわね。」 H「というと?」 A 「まず、主役のカーリーを演たパトリック・ウィルソンが、 まったくカウメンに見えないのよね。」 T「カウメン?何ですか?それ。」 H「カウボーイの事だよ、こっちで言ったら。」 T「あ〜、カウボーイですか。」 A 「彼、<フルモンティ>に出てた時には、結構格好良かったんだけど、 <オクラホマ>ではね、ちょっと。」 H「<フルモンティ>に出てた彼か。俺、 何処かで観た俳優だなって思ってたんだけど。」 A 「そうなのよ、あの彼。なんか、魅力半減ってな感じよね。それに、 相手役のロウリーを演った、ジョセフィーナ・ゲイブリエルも、 ただ踊れるだけって思ったし。」 H「俺は結構良かったけどな。特に敵役ジャドを演った、 シュラー・ハンズレイなんかは。」 A 「アッシも彼は良かったって思ってるのよ。 彼はロンドンでも同じ役で絶賛されたでしょ。ニューヨークでも同じで、 今年のトニーも獲っちゃったわよね。エラーおばさんを演じた アンドレア・マーティン。彼女も光っていたわね。結局この二人だけ。 スケールが小さく感じたのは、決してアッシだけじゃなかったと思うんだけど。」 H「さっきも言ったけど、客席は異様な盛り上がりを見せてたんだよね。 俺もさ、つられてノリノリだったけど。」 A 「結局、今のアメリカが欲する物がそこにあったんじゃないのかしらん。 去年の9月11日以降、強いアメリカを皆が望んでいるし。」 T「未だ影を落としているんですね、やっぱり。」 A 「まだまだ時間は掛かるんでしょうね。」 H「でも、劇場は元気を取り戻しているね。 ブロードウェイにはあまり行かなかったけど、行った時に、まず、 それを感じたな。」 A 「そうね、アッシも感じたわ。去年の11月より数段元気になってるって。」 T「それはそうと、 この雑誌に載っている<メタモルフォシス>って気になるんですけどね。 ニューヨークにいた時も気になっていたんですよ。」 A 「あ〜、<METAMORPHOSES>ね。3日目のマチネで観て来たわよ。」 H「何か意味ありげな写真だね。」 A 「厭らしい事、想像しちゃだめよ、タッキーったら。」 T「してないですよってば。」 H「どんな舞台だったのかな?」 A 「これはね、 ギリシャ神話を題材にしたストレート・プレイなんだけどね、…。」 T「と言う事は、アフロディーテとか、 オルフェウスとかユリディスとか出てくるんですか?」 A 「そうよ。フェイトンとかへルメスとかもね。」 H「面白そう?」 A 「まあ、ギリシャ神話だからね。 日本昔話みたいだとおもってくれれば良いと思うけど、内容はともかく、 舞台に特徴があるのよ、この芝居は。」 H「というと?何か変わってるって事なのかな。」 A 「舞台のね、5分の4がプールなの。」 T「水中劇場みたいなんですか?もしかしたら。」 A 「いやね〜、タッキーったら。 常磐ハワイアンセンターに行ってるんじゃないんだからさ。」 H「あきちゃん、いまはね、ハワイアンズって言うらしいよ。 そういう所で年が出ちゃうんだよな。」 A 「あら、悪かったわね。で、話を戻すとね、そのプールの回りや、 水の中で演じられるのよ。とても面白い試みでしょ。案の定、 今年のトニーの演出賞を獲ったけどね。」 H「お客さんの反応はどうだったんだろうね。」 A 「結構良かったわよ。さっきも言った様に、話自体はギリシャ神話だから、 〜で、〜で、〜だったんだとさ、的な感じでしょ。 でもアイデアが素晴らしいわよね。 前3列位のお客さんにはタオルが配られるしね。」 H「何か、昔のアングラ芝居を想い出しちゃうよね。」 A 「そうね、そう言えば。アングラの時は、ビニールのシートだったけどね。 お客さんも喜んでいるのよ、水掛けられて。」 T「やっぱり観ておけば良かったなぁ〜。」 H「話が尽きないよね。ビールお代わり。」 T「それじゃ僕は、バーボンロックで。」 A 「あいよっ!」 つづく *このつづきは、また次回に。後半で観た3本のミュージカルを紹介しますので、お楽しみに。 *登場人物は全て仮名です。 |