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<早く観に行かなきゃ!>の巻
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翔ちゃん(以下S)「アキさん、何か今日は機嫌が悪いみたいですけど……。」 アキ(以下A)「あら、解っちゃった?ちょっとね、イライラしちゃってさ。」 S「イライラを鎮める為に、何か飲んでくださいね。」 A「あら、そうかしらん。それじゃ、頂くわね、翔ちゃん。」 S「はい、どうぞ。それにしても珍しいですよね、 アキさんがイライラするなんて。」 A「それがさぁ〜、ちょっと聞いてよ。」 S「はいはい。で、何が……。」 A「今日ね、雪村いづみさんの50周年リサイタルに行ってきたんだけどね、 何かなっとくできないでさぁ〜。」 S「50周年ですかぁ〜?凄〜いですね。でも、納得できないって、 どんな所がです?」 A「だって、50周年よ、50周年。 ゲストなんか呼ぶ必要があったのかしらん?って。」 S「ゲスト?いったい誰だったんですか?美空ひばりでもないし、 江梨チエミでもないしねぇ〜。」 A「何言ってんのよ。二人ともと〜っくに死んじゃっているじゃないの。」 S「そうですよね。それじゃ誰がゲストだったんですぅ〜?」 A「それがさ、氷川きよしなのよ。」 S「ひぇ〜〜〜〜!!!氷川きよし?」 A「そうなのよ。」 S「だって、雪村いづみさんて言ったらジャズやポピュラーを歌う人ですよね。 オイラの世代には馴染は薄いですけど、 たまにTVで歌っているのを見る事がありますよ。とっても上手な方ですよね。」 A「そうなのよ。昔はね、劇団四季の客演で、<WEST SIDE STORY>のマリアなど、 主役をずいぶんしていたのよ。 それに<約束>という涙なしには聞けない歌もあったし、そうそう、 東京音楽祭の第一回目のグランプリも獲っているのよね。」 S「本当に凄いんですね。でも、氷川きよしだと、ジャンルも違うし、 前座だったんですか?」 A「前座だったらアッシも少しはホッとしたんだけどさ、 途中途中に出てくるのよね。」 S「流れが止まっちゃいますよね。ちょっと想像しても分かりますよ。」 A「ね、ね、ね、分かるでしょ。本当に止まっちゃうのよ、流れが。」 S「分かります、分かります。」 A「まあ、いろんな裏事情も少しは知っているから仕方ないんだけどさ。」 S「っと言うと?」 A「昔、雪村さんのマネジャーをしていたのが、 今の氷川きよしが所属している事務所の社長さんらしいのよ。」 S「なるほどね。それでですか。でも、ジャンルが違いすぎますよね。」 A「そうでしょ。だって聞いてよぉ〜。 <箱根八里の半次郎>を彼が歌うんだけど、その後で一部の終わり、 さっき言った<約束>を歌うのよ。」 S「涙なしには聞けないんでしたっけ?」 A「そうよ。」 S「どんな歌なんです?その<約束>って。」 A「簡単に言っちゃうとね、ある子供がいて、 そのお母さんが死の床についているのね、 その時にお父さんとその子がある約束をするのよ。」 S「どんな約束なんです?」 A「お母さんが死んでも、御前は男の子なんだから絶対に泣くんじゃないよ、 っという約束。」 S「へぇ〜。でも、やっぱり泣いちゃうんでしょ、その子。」 A「そう。お母さんが死んじゃった時には我慢しきれずに泣いてしまうのよ。」 S「感動はするかもしれないけど、良くある話と言えば良くある話ですよね。」 A「でもね、その男の子、そのあくる年の戦争でお父さんが亡くなった時に、 お父さんとの約束を守るのよね。」 S「泣かなかったんですね。いやぁ〜〜〜ん。感動感動ですぅ〜。」 A「でしょ。でもさ、<箱根八里の半次郎>の後じゃ、感動も薄れちゃう、 というか、コチトラいまいち乗り切れないって言うのかな。」 S「あ〜、分かりますよ、その気持ち。」 A「二部でもそうなの。氷川きよしが新曲を歌った後に、 リサイタルも残す所あと二曲、なんて言われたってねぇ〜。」 S「それじゃイライラしちゃいますよね。」 A「もう一度、小さいホールでも良いから彼女の歌だけで綴る50周年リサイタルをやってほしいわね。」 S「ところでアキさん、この<フル・モンティ>なんですけど、 どうなんですかね?」 A「面白いわよ。アッシも行ってきたけど、ブロードウェイと比べても、 結構良かったんじゃない。」 S「それじゃ観に行ってみようかな。」 A「映画は観たんだっけ?」 S「はい、観ましたけど。」 A「それじゃ分かり易くてもっと良いと思うけど。 映画とは設定がちょっと違うだけで、基本的には同じなのよ。」 S「そうですか。じゃあ、英語が分かんなくても大丈夫ですよね。」 A「字幕もあるし。それに、今回の公演にトニー賞を<DREAMGIRLS> で受賞したクリーヴァント・ デリックスが出演しているのも見逃せない要素のひとつだと思うしね。」 S「確か助演男優賞を獲った人ですよね。」 A「良く覚えてたわね。彼のダンス、地味だけどとっても素敵よ。」 S「それから……。」 A「なに?・・・・あ〜、あれね、最後のシーンでしょ、 翔ちゃんが聞きたいのは。」 S「そうなんです。ここは日本だからね。」 A「大丈夫よ。ちゃんと脱いでます。勿論、ブロードウェイでもそうだったけど、 照明で上手く見えないようにはなっているけどね。」 S「あ、そうですか。あと見どころは……。」 A「そうそう。オリジナルでTV界のスター、 キャスリーン・フリーマンが演っていたジャネットという引退した元ミュージシャンを、 キャロル・ウッズが演っているのも見どころね。それに <BIG-ASS ROCK><YOU RULE MY WORLD><BREEZE OFF THE RIVER> <YOU WALK WITH ME>といったとても美しいナンバーも魅力的ね。」 S「夏休みも終わりになっちゃうし、他にお勧めの舞台があったら教えて下さいよ。」 A「そうね、この夏はまだまだ観る物、いっぱいあるわよ。 まず宝塚のOGたちが火花を散らしている<シンデレラ>、 このひと月を通して寺山修司を振り返る<寺山修司の映画と舞台の夏2002> 、恒例3部公演の<歌舞伎>、55周年記念<中野ブラザーズ>、 それにオペラではド二ゼッティの<愛の妙薬>、毎年恒例となりつつある蜷川の <夏の夜の夢>。本当にいっぱ〜〜いあるわよ。」 S「早く観に行かなきゃね。」 A「ぐずぐずしてると、夏と一緒に何処かへいっちゃうわよ。」 S「そうですよね。それじゃ、ごちそう様でした。早速何かに行ってみますよ。」 A「ありがとね。ちょうど二千円です。」 S「はい。それじゃ、お休みなさ〜い。」 A「おやすみ!ありがとね。いってらっしゃ〜い!」 おわり *今回紹介したお芝居などは… 1)雪村いづみ50周年リサイタル 終了 2)フル・モンティ 東京フォーラムC 上演中〜8/25日、他大阪公演あり 3)シンデレラ 新宿コマ劇場 上演中〜8/29 4)寺山修司の映画を舞台の夏2002 ザムザ阿佐ヶ谷 上演(映)中〜8/27 5)八月納涼歌舞伎 歌舞伎座 上演中〜8/28 6)中野ブラザーズ55周年記念公演 博品館劇場 8/30〜9/1 7)オペラ<愛の妙薬> 新国立劇場 8/25、28、30。 8)夏の夜の夢 シアター・コクーン 上演中〜9/1以上です。どうぞ足を運んで下さいね。 |