<年末の一押しは?>の巻

アキ(以下A)「いらっしゃ〜い。」

佐野君(以下S)「今晩は。寒いですね、本当に。」

A「はい、おしぼり。」

S「わぁ〜、暖かいなぁ〜。」

A「何しようか?」

S「ホットでウーロン杯おねがいします。」

A「あいよっ!でも、佐野君が一番乗りなんて珍しいわね。」

S「そう言えばそうですね。いやぁ〜、今日は昼間に友達の出ている芝居に行ってきたんですよ。」

A「もしかして、トミちゃんの出ているあれね。」

S「そうなんです。で、何かふっ切れないと言うか、悔しくてね。」

A「どう言う事なの?」

S「アキちゃん、観たの?」

A「勿論観たわよ、<クロカミショウネン18>の<サーモン大使館>でしょ。だから、佐野君が悔しいっていう気持ち、何となく解るわね。」

S「そうでしょ。みんなそれぞれに実力があるのに・・・・・。」

A「はい、お待たせ。熱いから気を付けてね。・・・で、そうよね。アッシもあの集団、実力はそこそこあると見ているんだけど、今回の公演に関して言うと、脚本がいまいちだったと思うのよね。」

S「そうですよね、脚本ですよ、脚本。」

A「アッシ、この劇団はこれからも少し観たいなって言う気持ちにさせてくれた、この所出てきた劇団の中では数少ない劇団の一つだからね、もっと良い脚本にめぐり会えたら、きっとブレイクしちゃうと思っているのよ。」

S「それはあるかも知れませんよね。ただ、今回の脚本も劇団の人が書いているわけでしょ。書けるかなぁ〜?ところで、アキちゃんは注目した役者なんていたんですか?」

A「さっきも言った様に、役者さん達は結構達者で、それぞれに良かったけど、しいて上げると、大使夫人を演った長谷川紀子、一等書記官を演った吉田亜貴代、工場経営者の関村俊介、この三人を注目していきたいと思っているの。」

S「あ〜。僕も工場経営者の誰でしたっけ?」

A「関村俊介ね。」

S「そうそう、彼は良かったですよ。しかし、トミちゃんがほんの10分程度しか出なかったのは残念だったなぁ〜。」

A「役柄が役柄だからね。仕方ないわよ。」

S「それより、今月お勧めのお芝居ないですか?」

A「そうね、アッシも今月は用事が重なっていて、なかなか行けないんだけど、毎回楽しみにしているのがPARCO劇場の<ラヴ・レターズ>なの。」

S「朗読のヤツですね。」

A「そうそう。日代わりで読む人が代わるのよ。」

S「朗読物もたまには良いかもね。他には?」

A「アッシは行けないんだけど、紀伊国屋サザンシアターでやる<阿部定と睦夫>。」

S「阿部定って、あのぉ〜?」

A「そうなの。その定の強烈なファンだったと言う津山30人殺しの犯人、都井睦夫との話。」

S「津山30人殺しって、何か物騒ですね。」

A「ほら、佐野君って、映画の<八つ墓村>って見た事ある?」

S「勿論ありますよ。」

A「ほら、あれに出てくるじゃない、津山30人殺しって。」

S「あ〜、あの犯人が都井睦夫なんだ。」

A「そうなのよ。燐光群の坂手洋二がどんな演出で見せてくれるか、時間が空いたら行きたいのよね。」

S「何か面白そうだな。劇団四季の<マンマ・ミーア>は?」

A「佐野君、ごめんね。アッシさ、アバの音楽嫌いなのよ。だから、これ、ブロード・ウェイでも観てないのよね。だけど、アバの物語りじゃないから、一度は観ても良いかなって思っているけど。」

S「汐留シオサイトも見学できるし。」

A「そういう楽しみもあるわよね。何しろ、アンコールでは会場が一体になって、ダンシング・クウィーンを踊っちゃうっていうから。」

S「益々楽しそうじゃないですか。」

A「でも、あのアバの曲を日本語で聞くとなると、これは訳詞が怖いかも。何しろ、キャッツの時の苦い経験があるからね。」

S「ははははは。あれは凄かったですよね。」

A「あと、これはちょっと気になっているんだけど、同じ日の同じ時間、同じ演出家で全く違った物語を違った会場で行うと言う東京タリバンの<TANGO>。」

S「何です?その企画。でも面白そうだよ。」

A「あと、お得な公演と言う分けでもないんだけど、今年も国立劇場で文楽鑑賞教室が開かれるのよ。少し料金も安くなっているんで、文楽観た事ないけど行ってみたい、な〜んて人には良いかもよ。」

S「演目は?」

A「八百屋お七に題材をとった<伊達娘恋緋鹿子〜だてむすめこいのひがのこ>と<仮名手本忠臣蔵>の二本。」

S「聞いてたら沢山行きたくなっちゃいました。家に帰ってゆっくりと練ろうっと。それじゃお会計して下さい。」

A「あいよっ!え〜と、佐野君は1200円です。有難うございました。」

S「こっちこそ、いろんな情報有難うございます。それじゃ、お休みなさい。」

A「おやすみ!ありがとね。いってらっしゃ〜い!」

おわり


*登場人物は全て仮名です。

*今回紹介したお芝居などは、
1)クロカミショウネン18<サーモン大使館>
                            公演終了
2)PARCO劇場 <ラヴ・レターズ>
        12/23〜27
3)紀伊国屋サザンシアター<阿部定と睦夫>
        12/8〜15
4)電通四季劇場<劇団四季・マンマ・ミーア>
        12/1〜ロングラン
5)明石スタジオ/ザムザ阿佐ヶ谷<TANGO>
        12/7〜15
6)国立劇場 <文楽鑑賞教室>
        12/6〜18

以上です。どうぞ、足をお運び下さい。


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