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<やっぱりサーヴィス>の巻
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キム子(以下K)「アキちゃん、ビールお替わり。」 アキ(以下A)「あいよっ!それにしても、今日は良く飲むわねぇ〜。」 K「何か、飲みたい気分ってあるじゃない。」 ガッチャン(以下G)「わかるわかる。失恋するとついねぇ〜。」 K「違いますぅ〜!ウチはちゃんと上手くいってますぅ〜。」 G「これはこれは失礼しました。」 A「それじゃ、またなんで?」 K「今日観てきた芝居が悲しすぎちゃったんだも〜ん。」 G「そんな、何時も悲しい事なんて無いようなキム子さんが、悲し過ぎる芝居って、何だったんですか?」 K「ほら、アッちゃんが翻訳した、・・・」 A「ああ、<BENT〜ベント>ね。ありゃ哀しいわよ。」 K「アキちゃんもう観たんだ。」 A「年明け一番で行ってきました。」 G「アキさんにとっては、今年の初芝居だったんですね。」 A「そうなのよ。」 G「年明けそうそう、それ程哀しい芝居を観て来るなんて、何か、今年のアキさんを占っているみたいですよね。」 A「えっ!!!何だって!!!」 G「いやいや、冗談ですよ。」 K「ガッチャンも、年明けそうそう怒らせないの。アキちゃん血圧上がっちゃうでしょ。年寄りは労わらなきゃね。」 A「キム子っ!!!」 K「あらあら、逆効果。ところで、ガッチャン も観てきなさい。なんとタダなんだから。」 A「キム子、タダという言い方はチトお下品よ。無料公演と言ってね。」 K「それは失礼。でもね、そんな事どうでも良いくらい、素晴らしいお芝居だったし、皆にも観てもらわなきゃね、 アキちゃんそう思うでしょ。」 A「そうね、あれは観なきゃ。」 G「そんなにいい芝居なんですか?」 A「役者さんの技量はともかく、その内容で観るべきじゃないかしらん。」 K「ほんと、悲しいお話よ。」 G「<ベント>って、以前にもパルコ劇場でやりませんでしたっけ?」 A「もう15年位前の話だわね。その前にも、日本の初演が野沢那智の劇団薔薇座でしょ。これはもう20年以上前ね。 パルコの後が、加藤健一事務所。そして、今回かしらん。」 K「アキちゃん全部観ているのねぇ〜。」 A「残念ながら、初演は観てないのよ。パルコからかしらん。まあ、役者さんの演技の好き嫌いがどうしても出てきちゃうから、 アッシは、今回の若い役者さん達のを観るのって、とても新鮮で良いと思うんだけど。」 K「それに、サーヴィスも沢山あるし。」 A「サーヴィスなんてあったかしら?」 K「ほらほら、あんなにハダカが出てくるじゃない。」 G「それって、サーヴィスなの」 A「キム子ったら、ったくぅ〜!あれはサーヴィスとは違うわよ。必然的なものじゃない。そんな色目で観てて、 良く哀しいなんて言っているわよね。」 K「でも、主人公マックスの筋肉の動きとか、素敵じゃなかった?」 A「そりゃ、凄かったけど。それはサーヴィスじゃありません。」 K「ご免、ゴメン。でもさ〜ぁ、ナチって、ああやってゲイも迫害していたんだって分かると、 本当に腹立たしくなってきちゃうわよね。」 G「そういう話なんだ。」 A「そうね。だから二度と戦争は起こしちゃならないのよ。」 G「本当ですね。無料公演だし、俺も早速観に行くかな。」 A「ガッチャン、無料公演だからって、無断キャンセルは絶対にしないでよ。」 G「勿論しませんよ、そんな事。」 K「でも沢山いるらしいわよ、無料だからって、無責任な人たちが。」 A「やっぱり大人の行動をとってもらいたいわね。」 G「必ずいきますよ。」 K「そう言えば、ガッチャンも今日何か行ってきたのかしら。あの薄紫色の中身ってパンフじゃない?」 G「キム子さん、良く分かりましたね。へへへへ。今日ね、初めて宝塚行って来たんですよ。」 A「<エリザベート>ね。」 K「素晴らしかったでしょ。」 G「笑ってましたよ。初体験。とても良かったで〜す、キム子さま。」 K「あら、ガッチャンたら、からかわないでよ。僕はね、根っからの塚ファンだからさ、周りでは、 笑っちゃうの何のって言われても、全く平気。でも、この<エリザベート>だけは別。本当に宝塚版はいいんだから。 ねえ、アキちゃん。」 A「まあ、良かったんじゃない。アッシには<オペラ座の怪人>と<キャッツ>を足して二で割った様なミュージカルだったけど。 まあ、楽しめたわよ。」 K「大河ドラマよりも壮大な歴史絵巻。トートとエリザベートの愛の行方。ハプスブルグ家の盛衰。何度でも観たいわぁ〜。」 G「俺は何度も笑いをこらえちゃいました。はははは。」 A「アッシはね、確かに宝塚って、芝居はクサイし、笑っちゃうのも分かるんだけど、ただ、何時も感心する事があるのよ。」 G「何です?それ。」 A「それはね、ファンをとっても大切にしているって事なのよね。」 K「そうでしょ。ファンに対するサーヴィス精神って凄い物があるのよ。」 A「そうよね。例えば、ガッチャンも聞いたと思うけど、芝居が始まる前に、今回の場合は花組なんだけど、 必ずその組のトップスターが幕開前に観客に向かって挨拶するじゃない。」 G「そう言えば、してましたね。花組の〜〜ですって。」 A「ね、それって、他には無いでしょ。芸術座に行ったって、帝劇だって、劇団四季にだってないわよね。」 K「そうそう。あるのは宝塚だけ。他は、開演前に、携帯や音の出る物のスイッチを・・・ばっかりだもの。」 A「それに、このパンフ。1000円でしょ。こんなに厚くて、しかも歌詞が書いてある。とてもお買い得。 なかなか他には無いわよね。」 K「なんてったって、サーヴィス精神旺盛ですからね。」 G「俺も、これは安いな、って思ったんですよ。」 A「それから、何と言っても、最後のフィナーレ。芝居は終わっちゃっているのに、また出てきてそれぞれの主要パートを歌っちゃうのよ。 それもレヴューの様にショーアップして。」 K「それがたまらないじゃない。」 A「そうなのよね。ファン心理をくすぐるって言うのかしらん。」 K「ファンに対するサーヴィスが徹底しているのよね。」 G「それは言えますよ。俺も、笑いをこらえるのには必死でしたけど、これだけ人を集めている訳が納得出来ますもんね。」 A「やっぱりサーヴィスが一番だって事よ。」 K「そうでしょ。サーヴィスが一番よ。」 G「そうですよね、サーヴィスが一番ですよ。」 K「気分も少しよくなったし、そろそろ帰ろうかしら。アキちゃん、お勘定お願い。」 A「あいよっ!あら、キム子、今日は沢山飲んでくれたわね。有難うね。え〜と、ビール5本だから4800円です。」 K「あら、サーヴィスはないのかしら?」 A「何言ってんのよ。さっきの話とは違います!」 一同「ははははは・・・・・。」 おわり *登場人物は全て仮名です。 *今回紹介したお芝居は、 1)<BENT> 上演中〜23日 ベニサンピット 2)<エリザベート> 上演中〜2/9 東京宝塚劇場 以上です。どうぞ足をお運び下さいね。 |