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<観劇・感激!>の巻
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聖ちゃん(以下S) 「今晩は。」 あき(以下A)「あら、いらっしゃ〜い。遅いじゃないの?明日も仕事でしょ。」 今ちゃん(以下k)「聖ちゃんも飲みたい時があるのよねぇ〜。」 A 「聖ちゃん、何しようか?」 S「まずはビールで。・・・そうそうエビスの黒がありましたよね。」 A「ごめ〜ん、今さ、メーカーで品切れでね、23日じゃないと入ってこないのよ。」 K「まだ入ってこないんだ。結構長いよね。メーカーとしては、この夏商戦に向けては失敗だよね。」 S「それじゃ、普通のエビスビールで。」 A「あいよっ!・・・はい、お待たせ。でもさ、聖ちゃん、何かあったの?こんなに遅くて。」 S「何があったっていう分けじゃないんだけど。芝居観に行って来たんですよ。」 K「それで、こんなに遅く?それにしても遅すぎない?またまた聖ちゃんたら、オイタしてきたんじゃないの?はははは・・・。」 S「いやだなぁ〜、今さんたら。そんなんじゃないんですよ。ホントに芝居なんだから。」 K「まあ、いいけど。あきちゃん、僕にもビール。」 A「あいよっ!・・・あれでしょ、花園神社。」 S「そうそう。あきさんも行ったの?長かったでしょ。」 A「そうね。あの芝居は長いのよ。アッシは知ってたからね。でも、今回はすご〜い人だったわね。」 S「そうなんだよね。凄い人。人・人・人って感じ。」 A「アッシも久し振りにあんなに人が入っているテント芝居観たわ。」 K「そんなにいっぱいだったんだ。どれくらい入ってたの?」 A「そうね、アッシが観に行った日は、軽〜く500人は居たわね。」 K「500人なんだ。じゃあ、大した事ないじゃんねぇ。」 A「何言ってんのよ、今ちゃん。テント芝居で500人て大変な数なのよ。もうギュウギュウでさ。」 S「本当ですよ、今さん。俺なんか、当日券で行ったから、入るのがず〜っと後で、テントの中は既に満員電車状態。 え〜っ!と思ってたらね、劇団員の人が、みんなにいってるわけよ、詰めてくださ〜い!って。」 A「せえの〜!っていう掛け声と伴に移動するのよね。アッシも何年ぶりで聞いたわよ、せえのっっていう掛け声。」 S「もう、そんな事だから、芝居が始まる前から気分的にハイになっちゃって。」 A「分かるわかる。」 K「すごそうだよね。観てみたくなっちゃった。」 S「残念でしたぁ〜〜〜。今日が楽日だったんだもんね〜。」 K「でたよ、聖ちゃんの意地悪攻撃が。ははは・・・・・。」 A「何言ってんだかね。」 K「でもさ、混んでるのはいいんだけどさ、どうなのよ、内容は。」 S「最初はね、桟敷席だったって事もあって、辛いだけだったんだよね。」 K「テントって、体育座りなんだよね、たしか。」 S「そうなんですよ、体育座り。高校以来だったんだよね、体育座り。もう背中痛くてさ。でもね、 隣の人と隙間が無いくらいに詰めてるじゃないですか。だからさ、動けないわけぇ。もう最初は何だか全然解からないのも手伝って、 ただ痛いだけだったんですよぉ。」 K「難しかったんだ、聖ちゃんには。」 S「俺ね、初めてだったんですよ、テントの芝居。だから、っていうんじゃないんだけど、 はじめはやっぱりチンプンカンプンだったんですよぉ。」 K「でもさ、何で観てみようかなって思ったわけ?聖ちゃんは。」 S「いつもあきさんが言ってたじゃないですか、新宿梁山泊が良いって。それで一度観たいな、って思ってたんですよ。 そしたらさ、新聞に載ったんだよね、劇評が。すごく良さそうだったから、行ってみようかなって思って。」 K「それでなんだ。で、最初は痛かっただけなんだけど、その後は?」 S「二回休憩があるんだけど、一幕目は、ただ痛いだけ、二幕目になってようやくちょっと面白くなってきて、 三幕目ではもう感激!ってかんじですよ。腰や背中が痛いの忘れちゃったもんね。」 A「興奮してくると忘れちゃうのよね。」 K「そうなんだ。でもさ、あきちゃんは大変だったでしょ、そんなにきつくちゃ。それに・・・。」 A「何よ、今ちゃん。そんなに歳だから、とでも言いたいわけ?ご心配ご無用よ。アッシは整理番号も早かったんで、 ちゃんと椅子席で観たからね。昔だったら桟敷でも十分だったけど、今はね、それこそ今ちゃんが言たかった様に歳じゃない。 だからもう桟敷は辛いのよ。テントだと椅子席でもさ、長椅子だから背もたれがないじゃない、桟敷よりはマシだけど、 やっぱり長いと辛いわね。こたえたわよ、本当に。」 K「やっぱりね。僕はまだ大丈夫だよ、きっと。あきちゃんよりはね。はははは。でもさ、どんな所が感激したわけ?聖ちゃんは。」 S「最後の幕で、テント芝居というか、これが小劇場と言われるものの醍醐味なんだ、って言うのが解ったっていうのかな、 そんな気持ちになったんですよ。エリカ役の近藤さんの少年のような可愛らしさ、桃子役の三浦さん、 夜の男役のコビヤマさんの気持ち悪さ、風の商人役、大久保さんの不思議さ。普通の劇には無い、 何か不思議な魅力を感じちゃったんですよ。それに、最後。テントの後ろが開いて、片羽根折れた飛行機が登場するんだけど、 もう興奮しちゃうなんてもんじゃないんだよね。泣きそうになっちゃいました。」 K「すごく良かったんだね、聖ちゃんにとっては。あきちゃんはどうだったの?」 A「うん、勿論良かったけどさ。ただね、アッシの場合は、もう昔の状況劇場の舞台が瞼から離れないのよ。 根津甚八や李礼仙の格好良さ、あっと驚く最後のシーン。もう30年くらい昔の話だけどね。未だに印象深く残っちゃっているからさ。 勿論、今回も健在ぶりを示した大久保鷹をはじめ、結有花ちゃん、伸子ちゃん、鳥山くん、みんな素敵だったけどね。それに今、 この芝居を出来るのは、やっぱり新宿梁山泊だけだろうとは思ったけどね。」 K「いまいち、だったわけね。」 A「そうじゃないのよね。説明うまく出来ないんだけどさ。自分にエネルギーが無くなっちゃったのかもしれないわね。 でも、ああいう芝居がやっぱり好きなのよ。アッシはさ、こういうテント芝居なんかが、現代の歌舞伎じゃないかって思っているのよ。 今の世の中を風刺していて、何か自分たちに考えさせる物を残してくれるのね。ただ単に、可笑しく笑わせて、 お涙頂戴みたいな今の小劇団とは違う何かを感じさせてくれる。作られたのは30年近く前だけど、時代は巡るって言う様に、 今のこの時にまた感動させてくれ、考えさせてくれた唐十郎作の<唐版・風の又三郎>は、唐さんの脚本が素晴らしいのもあるけど、 今様に、新たな解釈で望んだ、演出の金盾進の力を感じるのよね。でも、暑かったわね。真夏だったらテント芝居はチトキツイわね。」 S「そうだったよ。うちわ貸してくれるんだけど、暑かったなぁ〜。でも俺はその暑さも忘れちゃったんだよね、最後には。」 K「聖ちゃんは一気にファンになっちゃったみたいだよね、テント芝居に。僕はやっぱりエアコンの効いた劇場で観たいな。 ねえねえ、何かないの、お薦めは。」 A「そうね、これから夏だしね、エアコンの効いた劇場で何かねぇ〜。・・・・ああ、それだったら、 2年前にトニー賞を獲った<ブラスト!>なんか良いんじゃない?来日公演で値段的にはチトお高いけど、 エアコンの効いた劇場で、ブラスバンドの爽快さが加わったら最高でしょ。あと、これも来日公演なんだけど、 ミラノと言えばスカラ座よね。そのミラノ・スカラ座版の<ウエスト・サイド・ストーリー>がやってくるのよ。」 K「えっ?それって、オペラ歌手が歌って踊るわけ?みんな太っているんじゃないの?」 A「やだわ、今ちゃんたら。オペラ歌手がみんな太っている分けじゃないでしょ。今回はミラノ・スカラ座ヴァージョンなのよ。 だからね、スカラ座で新しい演出と振り付けをした物が、欧米でのオーディションで選ばれた役者を使って上演するのよ。 全員が、と言うより、ほとんどがオペラ歌手じゃないんじゃないかな?だって、踊りが大変でしょ。」 K「そうだよね。踊らなきゃいけないんだからね。でも、それ良いな。行ってみようかな。」 A「多分、チケットはあると思うわよ。しきりに宣伝してるもの、未だに。」 S「そういうのもいいけど、テント芝居みたいな物はないのかな?」 A「そうね、テントじゃないけど、流山児事務所の<書を捨てよ、町へ出よう>なんかも面白いかもね。聖ちゃんだったら、 集合地道案内型チケットを買っていくと、劇場直行型のチケットを買って行くより面白いと思うけどね。あとね、 これは時間がある人には絶対に行ってほしいんだけど、有楽町の朝日ホールでやる朗読劇、<この子たちの夏〜1945・ ヒロシマ ナガサキ〜>っていうやつね。日替わりで数人の女優さんが朗読するんだけど、感動するのよ。時間あったら行ってみてね。」 K「なんか僕も感激出来そうな気がして来ちゃった。」 S「俺もまた感激出来るといいんだけどな。」 A「真夏も劇場で盛り上がりましょう!」 K「それじゃ、もう一杯ビールを。」 S「それじゃ、俺もビールで。」 A「あいよっ!」 おわり *登場人物はすべて仮名です。 *今回紹介したお芝居は、 1)唐版・風の又三郎 公演終了 2)ブラスト! 7/23〜8/10 オーチャード・ホール 3)ウエスト・サイド・ストーリー 8/13〜17・9/2〜12 オーチャード・ホール 4)書を捨てよ、町に出よう 公演中〜27日 本多劇場 5)この子たちの夏〜ヒロシマ ナガサキ1945 8/6〜9 有楽町朝日ホール以上です。どうぞ、足をお運び下さいね。 |