<動と静>の巻

ナミちゃん(以下N)「イェイ!今晩はぁ〜!」

あき(以下A)「あら、ナミちゃんいらっしゃい。何なのよ、そんなにはしゃいじゃって。」

オッちゃん(以下O)「なんかさ、サタデイ・ナイト・フィーバーみたいじゃない?」

N「オッちゃんさん、正解!サタデイ・ナイト・フィーバー なのよねぇ〜ん。アキさん、ジントお願いします。」

A「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

N「ナイト・フィーバー、ナイト・フィーバー・・・・・。」

O「懐かし〜〜〜い!よく踊ったよなぁ〜、ディスコでさ。ねえ、あきちゃん、君もそうだろう?」

A「よく行ったわよね、ディスコ。アッシはさ、赤坂のムゲン。生バンドでね、楽しかったぁ〜。」

O「そうそう。ビブロスにシンデレラ。お腹が空いたらニューヨーク・ニューヨークだよ。」

A「そうね、カメオにアース・ウィンド アンド ファイヤー。チークタイムにはスタイリスティックス。 ルーファスにはノックアウトだったわね。」

N「何です?何です?全然解らないんだけど。」

O「え〜!君知らないの〜?でも、そうか、君の年代だとハウス系の音楽だもんなぁ〜。」

A「あったのよ、昔。所謂ソウルミュージック全盛の頃にね。あの頃、楽しかったわ。」

O「そうだよなぁ〜。楽しかったよぉ。」

N「今日も楽しかったですよ。」

O「あっ、そうだよ。どうだったの?サタデイ・ナイト・フィーバーは。見逃しちゃったんだよな、映画。 またやってるんだ、リヴァイヴァルかぁ〜。」

A「違うわよ、オッちゃん。今さ、コマ劇場でやってんのよ、大澄賢也と純名りさで。」

N「あきさんは観に行った?」

A「行ったわよ。招待券あったからさ。」

N「招待券あったんですか?ほしかったなぁ〜。」

A「貼ってあったじゃないよ。ちゃんと見てよね。」

N「でも、どっちにしても遅かったです。先月はじめに買っちゃいましたから。」

A「それじゃ、駄目だったわね。空いてたからさ、席がね。沢山配ったらしいわよ、招待券やら優待券やら。 うちにもこんなに来たもの、優待券。」

N「あっ!本当だ。待ってリゃ良かったかなぁ〜。」

O「でもさ、難しいでしょ、待つのって。買わなかったら観る事が出来ないかも知れないからな。」

N「そうなんですよね、オッちゃんさんも良く分かってらっしゃる。」

A「本当よね。以外に取れたり取れなかったりするものね。アッシなんか、だから予定が先に先にと入っちゃうのよね。」

O「そうだよな、あきちゃんの予定ったら半年も先まで入っちゃってるからね。在りえない!」

A「まあ、仕方ないわよね。」

O「ところでさ、肝心の舞台はどうだった?お面白かったって言ってたよなぁ。」

A「ナミちゃんは楽しかったって言ってたのよ。ねえ、ナミちゃん。」

N「ええ、まあ、どっちでもいいんですけど。楽しかったし、面白かったですよ。 それに初めて行ったコマ劇場が良かったですね。」

A「あそこは面白い造りよね。コロセイム状でさ。」

O「良く行ったよ、ひばりちゃんにサブちゃん。」

A「でもね、今回はチトキツイんじゃないかしらん。あのキャストで一ヶ月でしょ。それもこの暑い夏の間。 子供や学生相手のミュージカルだったらまだしも、サタデイ・ナイト・フィーバーでしょ。25年前よ。 その頃のオバサン達を狙ったとしてもねぇ〜。主役のトニーにもっと大物を配していれば、また違ったんだろうけど。」

O「なんかさ、聞いてるとアキちゃんにとってはそれほどでもなかった様な感じだなぁ。」

A「そうね。まあ、一所懸命やってたし、踊りも歌もまあまあなんだけどね。」

N「僕は楽しかったですよ、本当に。踊るって事にも共感できたしね。」

O「で、アキちゃんはどこが不満だったのさ?」

A「アッシね、ブロードウェイで観なかったんだけど、それはね、あんまり批評がよろしくなかったのよ。で、 それだったら、良いものを観た方がいいじゃない。で、他に沢山観たいものがあったからさ、そっちの方を観ちゃったんだけど、 ブロードウェイで批評が悪かった割には人が入っていた理由も分かったし、批評が悪かったのも分かったのよね。」

O「へぇ〜、で、どんな風に?」

A「まずね、結構ヒットしたのはさ、ブロードウェイって、やっぱり観光じゃない、ニューヨークに行った時のね。だから、 観客はアメリカだったら地方の中年以上が多いわけよ。懐かしいって言うの?当時凄いブームだったじゃない。 ビージーズにしても、ディスコにしても。内容よりは、その懐かしさでお客さんが入ったって感じだと思うのよ。現に、 コマ劇場でも楽しいんでいる中高年の人もいたしね。」

O「それはあります。ノスタルジーだよなぁ〜。ほら、何だっけ?アバの曲ばっかり集めたのやら、 ビリー・ジョエルの曲ばっかり集めたのやら、沢山あるよね、この頃のブロードウェイでは。」

N「僕にとっては新鮮な音楽だったですけどね。」

A「それも分かるのよね。ナミちゃんが聞き出した頃には流行ってなかったからね、ソウル。ディスコじゃなくて、 もうクラブだったでしょ。」

N「そうですね。たまにCDショップにいくと、オムニバスのCDにディスコって文字を見るくらいかな。」

O「そうかぁ、そだよな、時代は変わるよ。で、批評が悪かったのをアキちゃんなりに言ってみたらどうなるのさ。」

A「それはね、一番は、この舞台に関しては、映画ノ方がず〜っと、ず〜っと良かったっていう点よね。 やっぱり難しいと思うのよね。既にある物を作り直すっていうのって。ましてや、映画を舞台にでしょ。逆もあるけど。」

N「そうかも知れませんね。」

O「何が良くなかったんだろうなぁ〜?」

A「決定的に良くなかったのは脚本だと思うわ。舞台の場合ってさ、多くを語らない方が良いんじゃないかと思うのよ。 詰め込み過ぎちゃって、見えてこないのよね、何を本当に言いたいのかが。勿論、言いたい事はわかるんだけどさ。」

O「なるほどなぁ〜。言っている事は分かりますなぁ〜。色々言いたいけど、的を絞った方がよりみんなには分かり易いって事ね。」

A「そうなの。」

O「そういう意味では、最近何かあった?お芝居では。」

A「そうね、毎年続けられているんだけど、広島と長崎の原爆の悲惨さをテーマにした、<この子たちの夏> っていう朗読劇が良かったわね。」

N「ああ、あれですね。前に新聞で読んだ事がありましたよ。もう随分と長い事上演している作品ですよね。」

O「僕もあるよ、観に行った事が。感動したって記憶しているよ。あれは良かったよぉ〜。」

N「新聞で読んだだけだから、詳しい内容が分からないんですけど、どんな内容なんですか?」

A「1985年に初演された作品でね、女優陣が広島と長崎で被爆して亡くなった子供達にたいする親の手記を朗読していく物なんだけど、 違う子供に対する手記を朗読するだけなのに、ひとつの劇として成り立っちゃっている、そして、 それが本当に素晴らしい舞台になっている。構成、演出が良いからだろうと思うけどね。」

O「やっぱり伝えていかなきゃいけないんだろうなぁ〜、ああいった事実は。体験者って語らないじゃないですかぁ〜。 そういう人が多いよね。僕なんかの親もそうなんだけど。」

A「そうね、うちの親なんかも、ある程度までは子供の頃に話してくれたけど、それから先は、・・・って感じだったわよ。」

O「だからさ、ああいった形で伝えていく必要性って大きいよなぁ〜。」

A「今の、また戦争に少しずつ近付いて行きそうな日本の状況を考えると、みんなに、特に若い人や政治家に観てもらいたいわよね。」

N「みんな死んでいった人達は若かったんですか?」

A「あの劇で呼びかけられている人達は、中学生をはじめとした若い人達だったわね。もう敗戦ま近だったし、 学徒出陣もとっくに始まっていたから、残っているのは、当時の老人と子供たち。それに、日本国内にいた軍人と、 戦争に行っていない女性たちだけだったでしょ。」

N「広島や長崎の悲劇を忘れないためにも、自分も観に行かなきゃ。」

O「今だって、世界で似たような出来事がたくさんあるだろ。広島や長崎だけじゃなくて、 どうしたら本当の平和が訪れるかを考えなくっちゃだよなぁ〜。」

A「本当ね。<動>の<サタデイ・ナイト・フィーバー>も、<静>の<この子たちの夏>も、 差別や平和を考えるにはピッタリの芝居よね。」

O「僕も観に行かなきゃね。それじゃ、アキちゃんお代わりもらいましょうかね。」

N「僕も下さい。同じ物で。」

A「あいよっ!」

おわり


*登場人物は全て仮名です。
*今回紹介したお芝居は、
1)サタデイ・ナイト・フィーバー
     新宿コマ劇場   上演中〜8/28まで
2)この子たちの夏      公演終了
以上です。足を運んでみては如何ですか?


Back Number!