<アキのお芝居観て歩記’03>の巻 vol.1

ショウちゃん(以下S)「お帰りなさ〜〜〜い。」

あき(以下A)「長い事お疲れ様でした。無事よ、無事に帰ってまいりました。」

キミ君(以下K)「なんか全然時差ボケ感じないよね、あきちゃんたら。」

A「そうなのよ。今まで一度しか時差ボケした事ないのよね。」

S「それ、言ってましたよね。で、あきさん、何にしましょうか?」

A「そうそういけないわね、注文しなきゃ。え〜〜と、ず〜っとお酒あんまり飲んでなかったからねぇ〜。 う〜む、テンロックにしようかな?」

S「は〜〜い!・・・・お待ちでした。」

K「でさ、時差ボケしないって何か秘訣でもあるわけ?」

A「そうね、飛行機の中で寝ちゃう事かしらん。」

S「え〜〜〜!!!飛行機の中で寝られるんですか?」

K「凄いよね、特技じゃないの?」

A「わりと平気なのよ。」

K「だって、うるさくない?俺なんか絶対にできないと思うな。」

S「オイラは絶対にダメですね。」

A「何でもいいけど、やっぱり久し振りのお酒は酔いが早いわね。」

K「もう回っちゃったの?」

S「じゃあ、もっと回る前に聞かなきゃねぇ、ニューヨークの話。」

K「そうそう。またお芝居たくさん観てきたんでしょ。」

S「今回は何本位観たんですか?」

A「今回は、ミュージカルが5本とナイトクラブのショーが1本ね。」

K「相変わらずの強行スケジュールだよね。ニューヨークは4泊だったっけ?」

A「そうね、4泊。でもさ、お芝居観に行っている訳だからさ、強行になっちゃうのよ。」

S「そうですよね、もったいないもんねぇ。」

K「で、今回は何観てきたの?」

A「初日が<HAIRSPRAY>、二日目のマティネが<NINE/THE MUSICAL>、夜が<BOY FROM OZ>ね。で、 三日目が<WICKED>で四日目が<LITTLE SHOP OF HORRORS>。そして、その日の深夜に<CLEO LAINE>のショーね。」

K「<ナイン>ってさ、アントニオ・ヴァンデラスが出てるやつだよね。」

A「残念ながら彼は10月の2日で降板しちゃってね、今は、TVの<フルハウス>って言うので有名な ジョン・ステイモスって子なんだけどさ、6年位前に行った時にも<努力しないで出世する方法> にマシュー・ブローデリックの後釜として出てたんで、知ってはいたんだけどね。」

S「その、何でしたっけ?ジョン何とかっていう役者はどうだったんですか?」

A「そうよね、アントニオ・ヴァンデラスの後だから、とってもキツイだろうな、と思うんだけどね、 凄く頑張っててアッシには良かったのよ。」

K「でもさ、やっぱりアントニオ・ヴァンデラスで観たかったでしょ。」

A「まあ、そうだったんだけどね、それは仕方ないしさ。それに、入れ替わったキャストに魅力があったからね。」

S「どんな人が出てたんです?あの、チタ・リヴェラも出てなかったんですかね。」

A「チタも降板しちゃってたのよ。でも、その替わりにアーサー・キットが出てたから。」

S「アーサー・キットって誰です?」

K「いやだ、ショウちゃん知らないの?ほらあれだよ、あれ、<しょじょ寺>。しょっ・しょっ・しょ じょ寺しょじょ寺の庭は、って歌があるじゃん。」

S「あ〜〜、あれぇ〜。それ歌った人なのぉ〜。知らなかったぁ〜。へーへーへー。」

A「あとさ、<ウスクダラ>とかね。昔、江梨チエミが歌ってたじゃないのよ。」

S「そう言われてもねぇ〜。アキさんとは歳が違うし・・・。」

K「そりゃそうだわ。はははは・・・。で、他には?」

A「あとね、そこにあるでしょ、チラシが。<サウンド・オブ・ミュージック>。その映画で修道女の役で出てた人よ。」

S「その映画は観ましたけど、修道女って沢山出てたから・・。」

A「そうね、あと分かり易いといったら、声かしらん。」

K「声?何なの?声って。」

A「キミ君はしってるでしょ、<ウエスト・サイド物語>や<マイ・フェア・レディ>、 それに<王様と私>。そのそれぞれの主演女優の歌の吹き替えをやったひとなのよ。」

K「あ〜。吹き替えられてたのは知ってたけど、その人なんだぁ〜。」

A「そうなのよ。それでね、元々はフェリーニの映画<81/2>のミュージカル化なんだけどさ、 フェリーニでしょ、変わってるのよね。変なのよ。」

K「何よ、変なのってねぇ。」

A「話がさ、まあ、映画監督がその映画の事で悩んでいるんだけど、悩みの中で見る幻想みたいなね。変でしょ。」

S「なんか、頭がゴチャゴチャになりそうですよね。」

A「でもね、デヴィット・ルヴォーの演出がいいのよね。訳解んないこのミュージカルに。」

K「じゃあ、アキちゃんは結構満足いったんだ。」

A「そうね。アーサー・キットはチタと違って踊らないけど歌の迫力がもの凄かったし、 マニー・ニクソンはまだ歌ってたの?って思うだけで嬉しくなっちゃうし。」

K「そうなんだ。でもさ、やっぱりオリジナルで観たかったって思うでしょ。俺なんかさ、 アントニオ・ヴァンデラス大好きだからね、余計にそう思ったかもねぇ。」

A「そうね。まあ、観てみたかったのは事実だけど、そんなにしょっちゅう行けないじゃない。」

S「しょっちゅう行かれちゃ困りますよ、オイラ。」

K「そりゃそうだよ。はははは・・・。」

S「そう言えば、3月に行った時にはストライキで観る事の出来なかった<へアスプレイ>はどうだったんですか?」

A「本当、あの時は悔しかったわね。でも、今回はちゃんと観て来たわよ。着いた日だったから寝ちゃわないかな、 って心配したけど、やっぱり面白いものでは寝ないわね。」

K「トニー賞獲ったんだったよね。」

A「そうなの。獲ったのが本当に良く解るわよ。本当に楽しかったもの。」

K「でもさ、やっぱりキャストが随分替わってたんじゃないの?」

A「それがさ、行く前にはほとんどのキャストが入れ替わってるって聞いてたんだけど、その時は、 主役のハーヴェイ・ファイアスティンだけでも残っていればいいや、って思ってたのよ。で、 行ったら結構残っているのね。女優賞獲った子は替わっていたけど、重要な役は結構オリジナルのままだったのよね。」

K「じゃあ、良かったよね。印象に残っている人って特にはいなかったの?」

A「勿論、ハーヴェイは素晴らしかったわよ。ミュージカルっていう雑誌があるんだけど、そこで、 評論家の萩尾瞳氏がね、トニー賞の主演男優賞に触れてこう言ってたのよ。<主演男優賞はアントニオ・ ヴァンデラスにあげたかった。出番があんなに少ないハーヴェイ・ファイアスティンが貰うのはちょっと納得いかない。>ってね。 でもさ、結構というか、出番多いのよ。ヴァンデラスの役は出すぎ。出ずっぱりだったからね。でも、 アッシ、ハーヴェイがトニー賞獲ったの、改めて納得したわよ。」

S「他には?」

A「そうね。いろんなエピソードは少し下品な気もしたけど、嫌な感じがしなかったんで良かったんじゃないかしらね。 役者で言えば、TVの司会者を演ったクラール・ソレルやペニーの母親役、ジャッキー・ホフマンの怪演。 歩いている姿はとっても頼りないくて心配したけど、歌になると抜群に上手いトニー賞受賞のディック・ラテッサ。」

S「で、またリボンの寄付はして来たんでしょ。」

A「勿論よ。」

K「何それ?」

A「ブロードウェイでもね、沢山の有望なスタッフや役者をエイズで失っているのよ。 だから観客の人にも芝居が終わってからそれに対する援助を求めている訳よね。1ドルでいいから寄付してね、みたいにさ。」

K「へ〜。いい事だよね。日本のお芝居じゃ見た事も聞いた事もないよね。」

A「そうそう。今回、この<へアスプレイ>の終演後にはね、オークションがあったのよ。」

S「役者さん達のサインとかですか?」

A「それもあるんだけど、目玉はね、ハーベイの似顔絵をプリントしたTシャツに落札した人の写真を貼り付けて、 その上にサインをするっていう物だったんだけど、幾らで落札されたと思う?」

S「やっぱりドルですよね。」

K「当たり前じゃない。ニューヨークなんだから。はははは・・・。」

S「じゃあ、Tシャツですよね。500ドルくらいかな?」

K「俺はね、そうだよな・・・、キリがいいから1000ドル。」

A「それがさ、何と、1600ドルよ。約18万円。ビックリでしょ。」

S「凄いですよね。18万円ですか?」

K「考えられないよね。俺だったら、俺に頂戴って感じだよねぇ、はははは・・・。」

A「でもさ、それが役に立てられると思うと嬉しくならない?桁が違うよね、アメリカって。」

K「本当だよね。・・・あらら、もうこんな時間。シヨウちゃんチェックして。あきちゃんまた聞かせてね。」

A「うん、またね。」

S「それじゃ、キミさんは2100円になります。有難うございました。」

K「それじゃね。おやすみなさい。」

A「おやすみ!ありがとね。」

S「いらっしゃ〜い。ああ、徳さん(以下T)。」

T「いたいた。お帰り、あきちゃん。」

A「徳さん、ただいまです。」

T「いろいろ観てきたんでしょ、ミュージカル。」

S「丁度その話で盛り上がってたんですよ。」

T「なによ、あんた達二人で?」

S「違いますって。キミさんがいたんですよ。」

A「あら、すれ違わなかった?」

T「いいえぇ。まず、それよりビールちょうだい。」

S「はい、分かりました。」

T「で、どうだったの?」

つづく


*この続きは次回にお届けします。
*今回紹介したお芝居は、
1)ナイン   ユージン・オニール劇場
2)ヘアスプレイ   ニール・サイモン劇場
以上の劇場で上演中です。また次回をお楽しみに。


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